自己破産でなくなるものは?処分の条件とより多くの財産を残す方法

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自己破産したら全財産がなくなるの?
自己破産しても財産を守る方法はある?

自己破産したらすべての借金を帳消しにしてもらえるという強力な効果をもった債務整理です。
そのかわり財産の処分という代償も払わなければなりません。

しかし自己破産をしたらすべての財産がなくなってしまうのでしょうか。
自己破産したらこれまでの生活がどのように変わるのでしょう。

そこでこちらの記事では、

  • 自己破産をしても処分されない財産
  • 自己破産をするときに注意すべきこと
  • 財産を守るためには弁護士に相談すべき

などについて解説します。

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目次

自己破産したら全財産を失うわけではない

自己破産をするとすべての財産を失うと考える人がいますが、そのようなことはありません。

自己破産の手続きをすると財産はどのように扱われるのでしょうか。

自己破産では財産の分配を決める

自己破産でまず最初にすることは、破産手続によって財産の処分をすることです。

借金をすべて帳消しにしてもらう手続きを進める一方で、所有している財産をお金に換えて、可能な限り債権者に返済する必要があるのです。

債権者にも借金を返してもらう権利が法律で保障されているので、裁判所が選ぶ破産管財人によって財産状況を調査され、売却処分の手続きが進められます。

債権者が複数ある場合は、法律に基づいてそれぞれに公平に分配しなければなりませんので、金融業者だけではなく家族や知人など個人的に借りた借金の相手も対象になります。

個人的な借金だからといって別物として扱うことはできないので注意が必要です

自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産しても処分されない財産がある

自己破産をしても、所有している全財産が処分されるわけではありません。

自己破産という制度の目的は破産者が生活を立て直せるように支援することなので、生活ができなくなるような財産の引き上げは趣旨に反します。

必要最低限の生活は保障され、99万円以下の現金や家具・家電など生活に必要不可欠な物品は手元に残すことが可能です。

また財産の処分は、できるだけ借金を返済して債権者の不利益を最低限に抑えるためでもあり、債務者にペナルティを与えることが目的ではありません。売却しても一定程度のまとまった金額にならない物品は、あえて処分されることはなく手元に残すことができます。

自己破産したら処分される財産と処分されない財産

自己破産をしたら処分される財産と、処分されない財産があります。

具体的にどのような基準で判断されるのかを解説します。

処分される財産

自己破産で財産が処分されると、借金の残額の返済に充てられます。ただし時価評価額が低い財産や生活上必要になる物品などは処分されません。

具体的に処分される可能性の高い財産は次のようなものです。

  • 持ち家や土地などの不動産
  • 自動車
  • 高額な預金
  • 時価評価額20万円以上の財産

処分される財産はあくまでも本人名義のものだけですので、配偶者など他の家族名義のものは処分されません。

誤って同居している家族の財産が引き上げられてしまった場合は、売却される前に取り戻せるようにすぐに裁判所や専門家に相談しましょう。

自己破産で差し押さえられる財産については以下の記事で詳しく解説しています。

処分されない可能性のある財産

たとえ本人名義であっても処分されない財産があります。

本人が自由に所有したり売却したりできる財産という意味で「自由財産」といいます。

本来的自由財産は処分されない

次のような物品は本来の解釈通りに自由財産であることが認められているので「本来的自由財産」と呼ばれています。

  • 破産手続開始後に取得した財産(新得財産)
  • 生活必需品など法律により差押が禁止されている財産
  • 99万円以下の現金(預金は含まれない)

処分の対象となる財産かどうかは破産手続開始時が基準となるため、手続き開始後に取得した新得財産は処分されません。

生活に最低限必要なものは処分の対象から外され、99万円以下の現金も生活に必要なものとして手元に残すことができます。

給料は金額や給与発生の時期がポイント

例えば給料の場合、すでに受け取っている給料だと、手元の現金と合わせて99万円以下であれば処分されませんが、99万円を超えた分は処分されてしまいます。一方、破産手続をした後の給料は新得財産となり処分の対象外です。

ただし、手続き開始時ですでに働いているけどもらっていない分の給料は処分の対象になります。給料は4分の3が生活費として保障されているため、4分の1が処分されることになります。

自由財産の拡張で処分されない場合もある

しかし本来的自由財産以外の財産をすべて処分対象にされると、生活ができなくなってしまうケースもあります。

そこで実際には自由財産にならない財産でも、裁判所の決定によって自由財産の適用範囲を拡大して処分されない場合もあります(自由財産の拡張)。

原則は処分の対象になると解説した給料の4分の1も、なければ生活に支障をきたす財産とみなされて処分されない場合が多いです。

どのようなケースが自由財産の拡張が認められるかは各地方裁判所ごとの判断に拠りますが、例えば東京地方裁判所では次のような基準があらかじめ設定されています。

自由財産拡張の基準|東京地方裁判所の例
  • 残高20万円以下の預貯金
  • 見込み額20万円以下の生命保険解約返戻金
  • 見込み額の8分の1が20万円以下になる退職金債権
  • 評価額20万円以下の自動車
  • 賃貸物件の敷金

東京地方裁判所の基準は全国の他の裁判所でもよく採用されていますが、あくまでも基準・判断は地方裁判所ごとに異なります。

自由財産については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産前に絶対にやってはいけないこと

自己破産の手続きでは、ギャンブルや遊びなど、本人の責任が大きい借金は認められないという免責不許可事由という条件があります。

本人の責任が大きいというだけではなく、金融業者が一方的に不利になる行為も免責不許可事由に該当します

次に挙げる行動は免責不許可事由に当たり、借金の免除がされなくなるだけではなく、意図的かつ悪質な場合は詐欺破産罪で逮捕されることもあるので絶対にやめましょう。

名義変更

家や車などの処分を避けるために家族の名義に変更しようと考える人がいるかもしれませんが、破産手続前の名義変更は財産隠しと見られて借金免除が認められなくなります。

破産手続中の名義変更はもちろんのこと、手続きに入る前であっても免責不許可事由に該当する可能性があります。すでに自己破産を検討している段階であれば、名義変更は控えてください。

財産の処分・譲渡等

財産を没収される前に自分で売却処分してしまおうと考える人がいるかもしれませんが、これも免責不許可事由に当たります。

売却処分以外にも次の行為をすると自己破産が認められなく可能性が高まります。

  • 隠すこと
  • 壊すこと
  • 譲り渡すこと
  • 現状を改変して価値を下げること
  • 安く売却すること

基本的に金融業者が不利になるような行為はすべて控えたほうがいいでしょう。

自己破産の免責不許可事由については以下の記事で詳しく解説しています。

偏頗弁済

偏頗弁済とは、借金の返済ができなくなった後に、特定の債権者を優先して借金を返済することで、免責不許可事由となります。複数の借金がある場合、他の金融業者や債権者が不利益にならないように、債務者はすべての債権者を平等に扱わなければならないという原則があるのです(債権者平等の原則)。

債権者の中には家族・友人などの個人も含まれるので注意が必要です。

なお、弁護士費用は偏頗弁済とはなりませんので、現金での支払いが可能です。

免責不許可事由に触れる行為は、破産管財人の厳しい調査によって必ずと言っていいほどバレてしまいます。やむを得ない事情がある場合は、破産手続をする前に必ず弁護士に相談するようにしましょう。

偏波弁済については以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産して財産への影響が心配なときに工夫できること

ここまでは一般論として自己破産が財産にどのような影響を及ぼすかを解説してきましたが、財産を守るために手続きを工夫して進めることも可能です。

財産への影響を最小限に抑えるために、例えば次のような方法が考えられます。

  • 自由財産の拡張で財産を守る
  • 家族が破産管財人から財産を買い取る
  • 財産への影響が小さくなる個人再生を検討する
  • 判断に迷ったら弁護士を頼ろう

それぞれについて解説します。

自由財産の拡張で財産を守る

自由財産として処分の対象外になるかどうかは裁判所の判断で決まります。

明確な基準が一定程度決められているケースもありますが、個別に判断をされることもありますので、自由財産の拡張の申立てをしましょう。生活への影響が大きいと認められれば財産を守れる可能性があります。

家族が破産管財人から財産を買い取る

破産管財人が処分する財産を、第三者の手に渡る前に家族が買い取るという方法があります。破産管財人としては債権者の利益になれば問題ないので、相応の金額であれば家族であっても財産を買い取ることは可能です。

ただし、身内だからといって安く買えるということではないことには注意しましょう

財産への影響が小さくなる個人再生を検討する

個人再生で解決するのも一つの方法です。個人再生ならば車や持ち家といった財産を残せる制度があります

最低でも100万円は自力で返済しなければなりませんが、借金総額を5分の1(最大10分の1)にまで減額できるので検討する価値はあるでしょう。

個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。

判断に迷ったら弁護士を頼ろう

財産への影響を実際にどれくらい抑えられるかはケースバイケースです。自己破産の手続きは非常に複雑で、いろいろとリサーチをした上で個人で判断をしても、裁判所や破産管財人は別の判断をする可能性もあります。

借金の解決方法で迷ったら弁護士に相談しましょう。

まとめ

まとめ
  • 自己破産したら全財産を失うということはありません。
    自己破産後の生活をきちんと送れるように最低限の財産は残しておけることが、法律で保障されています

  • 一方で、法律は債権者の権利も保障しています。
    財産を勝手に処分するなど、債権者が不利益を被る行為は禁止されています

  • 自己破産は手続きが複雑なため、自分だけで判断するのは困難です。
    自己破産をすれば、処分されると困る財産までなくなってしまう可能性もあるため、財産のことで心配な場合は弁護士の助言をもらいましょう。

弁護士法人・響に相談するメリット
  • 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
  • 今お金がなくても依頼可能!
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  • 最短即日!返済ストップ
監修者情報
島村 海利
監修者:弁護士法人・響弁護士
島村 海利
弁護士会所属
第二東京弁護士会 第52828
出身地
高知県
出身大学
香川大学法学部卒 九州大学法科大学院卒
保有資格
弁護士、2級ファイナンシャルプランニング技能士(FP2級)
コメント
人に対する温かいまなざしを持ち、ご依頼者の話をよく聞き、ご依頼者様に寄り添える弁護士になれるよう日々努めています。
[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
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