自己破産の手続きにかかる期間、すなわち「弁護士に依頼してから返済義務が免責されるまでの期間」は、最短で5ヶ月程度です。実際には手続きの種類によって異なり、以下が目安となります。
- 同時廃止事件:5~7ヶ月程度
- 管財事件:8ヶ月〜1年程度
- 少額管財:6〜8ヶ月程度
手続きが終了するまで返済が続くと思うかもしれませんが、そのようなことはありません。実際は弁護士に依頼したタイミングで、債権者(お金を貸した側)からの督促、および返済をストップすることができます。
この記事では、自己破産の手続きにかかる期間について、手続きの流れとともに具体的に解説します。あわせて、手続きをスムーズに進めるためのポイントも紹介していますので、参考にしてください。
弁護士法人・響では、自己破産をご依頼いただいた場合、最短即日で返済をストップできます。また、手続きがスムーズに進むよう、書類作成などのていねいにサポートいたします。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
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目次
自己破産の期間は手続きによって異なる
自己破産には、以下の3つの手続きがあり、それぞれ所要期間が異なります。
手続き | 該当するケース | 所要期間の目安※ |
---|---|---|
同時廃止事件 | 財産額が20万円を下回る場合など | 5~7ヶ月程度 |
管財事件 | 財産額が20万円を上回る(家や車を所有している)場合など | 8ヶ月〜1年程度 |
少額管財事件 | 財産額が20万円を上回るが、財産の調査・換価処分の時間を短縮できる場合など | 6〜8ヶ月程度 |
※弁護士に依頼してから、返済義務の免除が確定するまでの期間。ケースによってはさらに長引くこともある
どの手続きをとるかは、裁判所が借金の総額や収入、財産、借金をした理由などを踏まえて判断します。
いずれにしても、自己破産を弁護士に依頼してから免責確定(返済義務の免除が確定すること)まで、少なくとも5〜7ヶ月程度かかります。
自己破産の手続きにおけるステップと、それぞれの所要期間の目安は以下のとおりです。
以下、自己破産の手続きの種類ごとに
- どのようなケースで選ばれるか
- 他の手続きとの期間の違い
を解説します。
自己破産の手続きの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
※この記事では、自己破産の手続きを弁護士に依頼することを前提に解説します
同時廃止事件は5~7ヶ月程度
自己破産の手続きの中で、最も利用されることが多いのが「同時廃止事件」(以下、同時廃止)で、手続きにかかる期間は5〜7ヶ月程度です。
自己破産は本来、破産手続きを申し立てると、「破産管財人」によって、申立人の財産が換価され、債権者に配当されます。
しかし、所有する財産が少ないことで、債権者に十分な配当ができず、また破産手続きに必要な費用の支払いが難しいと判断される場合は、破産手続き自体が省略されます。
(破産手続きが開始と同時に終結するため、同時廃止と呼ばれています。)
同時廃止は、財産の調査・換価処分などを行う必要がないため、破産手続きの終結(廃止)後、早ければ2〜3ヶ月程度で免責が確定します。
- 配当できるほどの財産がない(財産額が20万円を下回る)
- 手続きの費用を支払う経済的余裕がない
- 借金の理由がギャンブルや遊興費などの浪費ではない
管財事件は8ヶ月〜1年程度
「管財事件」の場合は、手続きに8ヶ月~1年程度の期間がかかります。
管財事件は破産管財人が選任される手続きで、原則として一定以上の財産がある場合などにとられます。
破産手続きの終結後に、破産管財人によって財産の換価処分や配当などが行われるため、同時廃止よりも時間がかかります。
なお、債権者が多いと、債権者集会を複数回開催する場合があるため、手続きにかかる期間がさらに長くなる可能性もあります。
破産管財人から、債務者(お金を借りた側)の財産の処分結果や、免責をしてもよいかについて進捗報告などがされる場のこと。
- 家や自動車など、価値の高い財産がある
- 借金の理由がギャンブルや遊興費などの浪費である
- 会社の倒産による破産である
少額管財事件は6〜8ヶ月程度
「少額管財事件」(以下、少額管財)の手続きの期間は、6~8ヶ月程度です。
少額管財は管財事件の一種で、手続きを一部簡略化することで、費用を抑えることなどを目的としています。
財産の調査・換価処分、債権者集会などを簡略化するので、それらの期間も管財事件の半分(2〜3ヶ月)程度で済む可能性があります。
なお、少額管財は、採用している裁判所とそうでない裁判所があります。
また、一般的に、弁護士に破産申立てを代理してもらう必要がありますので、注意しましょう。
- 借金返済に充てられる財産がある(20万円以上相当が目安)
- 予納金を納められるだけの現金や貯金がある(33万円以上の現金が目安)
- 借金の理由がギャンブルや遊興費などの浪費である
取り立て・返済が止まるのは自己破産を弁護士に依頼したタイミング
自己破産を検討されている方の中には、「一刻も早く厳しい返済生活から抜け出したい」と思われる方も多いでしょう。
前述したとおり、自己破産で借金返済の免責が確定するまでには、一定の期間を要します。ただし、それまでの期間、返済し続けなければいけないわけではありません。
実際には、自己破産の手続きを弁護士に依頼した時点で、返済をストップできることがほとんどです。
なぜなら、弁護士が依頼を受けた際、債権者に対し「受任通知」を発送するからです。受任通知とは、弁護士が債務者に代わって手続きを進める旨を、債権者に知らせることをいいます。
受任通知を受けた債権者は原則として、債務者に対して取り立てができません。これは、貸金業法第21条で規定されています。
返済がストップすれば、生活再建に向けて、自己破産の手続きに落ち着いて取り組むことができるでしょう。
また、返済ストップ後は、それまで毎月返済していたお金を自己破産の費用に充てることできます。
自己破産の費用は基本的に、破産手続きの申立ての時点までに支払えればよいため、その期間中に積み立てるケースが多いといえます。
自己破産の手続きをスムーズに進めるためのポイント
自己破産を弁護士に依頼した時点で返済をストップできるとはいえ、その時点で免責が確定するわけではありません。
免責確定までは不安が消えず、なるべく早く終わらせたいと思われる方も多いでしょう。
自己破産の手続きは、スムーズにいけば前述した期間で終了しますが、場合によっては長期化してしまうこともあります。
手続きをスムーズに進めるためには、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。
- 書類準備で不明点があれば都度確認する
- 虚偽の報告をしない
- 「即日面接」制度を利用する
それぞれ、以下で具体的に解説します。
書類準備で不明点があれば都度確認する
自己破産の手続きでは、多くの書類を提出する必要があり、その準備に相応の時間がかかります(2〜3ヶ月程度)。
また、書類はすべて正確に記載しなければなりません。内容に不備があれば、裁判所から調査不十分と判断され、再度の提出を求められるなど、手続きが長期化する可能性もあります。
自己破産を弁護士に依頼した場合は、弁護士から書類準備のサポートを受けられます。
書類準備で不明点があった場合は、個人の判断で進めずに弁護士と連絡をとり、しっかり確認しながら進めるようにしましょう。
以下は、自己破産の必要な書類の例です。
- 自己破産申立書
- 陳述書・報告書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 住民票・戸籍謄本
- 家計簿など(申立ての直前1~2ヶ月分)
- 給与明細など(申立ての直前2~3ヶ月分)
- 源泉徴収票(申立ての直前1年分)
- 預金通帳のコピー(申立ての直前1~2年分)
- 退職金見込額証明書
所有財産によっては以下も必要となる
- 車検証・自動車税の申告書など車の名義の証明書類
- 不動産所有に関する書類
- 保険契約に関する書類
- 株式の取引明細書
自己破産に必要な書類については、以下の記事で詳しく解説しています。
虚偽の報告をしない
自己破産の書類準備や免責審尋(裁判官との面談)の際、くれぐれも虚偽の報告はしないようにしましょう。
たとえば、自己破産では99万円を超える財産は原則として回収されますので、少しでも手元にお金を残したいと考えるかもしれません。
しかし、預金のある口座をわざと申告しないと、虚偽の報告と見なされます(この場合は、財産隠しといいます)。
そのような行為をしても、破産管財人によって口座情報などはすべてチェックされますので、後で明らかになることがほとんどです。
もし虚偽の報告であるとわかれば、書類を作り直したり、追加の調査が必要になる可能性が高く、余計に時間がかかってしまいます。
場合によっては、「免責不許可事由」に当たるとして、自己破産ができなくなる可能性もありますので注意しましょう(破産法第252条)。
自己破産による免責が認められない理由のこと。免責不許可事由に該当すると、自己破産の免責が許可されず、借金の返済義務が残る可能性がある。
免責不許可事由については、以下の記事で詳しく解説しています。
「即日面接」制度を利用する
管轄の裁判所が東京地方裁判所であれば、「即日面接」制度を利用することで、申立てから破産手続開始までの約1ヶ月間を短縮できる可能性があります。
即日面接とは、自己破産の申立てをした当日か遅くとも3日以内に、代理人(弁護士)と裁判官が面接をする制度のこと。多数の申立てがされる東京地方裁判所において、適正かつすみやかに手続きを進めることを目的としています。
即日面接は、代理人である弁護士が事前に債務者の財産状況などを十分に調査することが前提となっています。
それゆえ、債務者と担当弁護士との連携が重要となります。
自己破産の依頼後は綿密にコミュニケーションをとり、必要な書類などもすみやかに手配できるようにしましょう。
(参考:東京地方裁判所「よくある質問 即日面接はどのように行われますか」)
自己破産以外の方法で借金を解決できる場合もある
ここまで、自己破産の手続きにかかる期間について解説してきました。借金解決までのイメージがある程度、できたかもしれません。
しかし、実際に自己破産を検討する場合は、そのリスクについても十分に認識しておく必要があります。自己破産は原則として、住宅や車などの財産が回収されたり、連帯保証人・保証人が一括請求されたりします。
自己破産をすべきかどうかは、そうしたリスクを踏まえたうえで判断するようにしましょう。
借金を解決する手段は、自己破産だけではありません。自己破産と同じく、借金を解決する正当な方法(債務整理といいます)には他に、以下のようなものがあります。
- 個人再生
- 任意整理
それぞれの方法について、どのようなケースで利用できるか、手続きに要する期間も含めて、解説します。
なお、いずれの債務整理も共通して、信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆる「ブラックリストに載る」状態)。詳しくは以下の記事で解説しています。
元金の1/5〜1/10の金額を3〜5年で返済できるなら個人再生
個人再生とは、裁判所に申立てを行うことで、借金を1/5~1/10程度(最低100万円まで)に減額してもらえる可能性のある手続きです。
再生計画案など書類の準備をする必要があるため、手続きにかかる期間は、1年〜1年6ヶ月程度となります。
個人再生は、自己破産と異なり、価値のある財産を手放さずに済む可能性があります。たとえば、住宅ローン返済中であっても、「住宅ローン特則」という制度を利用することで、住宅の回収を回避できます。
ただし、借金返済の義務は免除されませんので、減額された借金の残額を3年(最長5年)かけて返済していく必要があります。
また、連帯保証人・保証人つきの借金がある場合は、連帯保証人・保証人に一括請求がいくので、注意が必要です。
メリット | ・持ち家等の財産を残せる可能性がある |
デメリット | ・ブラックリストに載る ・保証人や連帯保証人に請求がいく ・返済を続ける必要がある |
毎月の一定額の返済ができ、住宅や車を手元に残したい場合に、検討すべき手段といえるでしょう。
個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。
元金を3〜5年で返済できるなら任意整理
任意整理とは、将来利息や遅延損害金をカット(※)してもらい、毎月の返済額の減額や、返済期限の延長などに応じてもらう方法です。
(※金融機関によってはカットできないこともあります)
自己破産や個人再生と異なり、裁判所を介さず債権者と直接、和解交渉をします。ケースによりますが、和解交渉にかかる期間は3〜6ヶ月程度です。
和解契約後は、3~5年での完済を目指します。
任意整理は、債務整理の対象となる借金を選ぶことができます。
それゆえ、返済中の住宅ローンや自動車ローンがあっても、それらを整理の対象から外すことで、住宅・車を残せます。
また、連帯保証人・保証人つきの借金を整理対象から外せば、連帯保証人・保証人が借金の返済を迫られることを回避できます。
一方で、元金自体は減らないため、個人再生ほど返済負担は減りません。
メリット | ・持ち家等の財産を基本的に残せる ・連帯保証人・保証人に一括請求がいくことを回避できる |
デメリット | ・ブラックリストに載る ・借金の元金は減額されず、返済を続ける必要がある |
借金の元金を3〜5年で完済できる見込みがあり、財産の回収や連帯保証人・保証人への影響を回避したい場合は、検討してみましょう。
任意整理については、以下の記事で詳しく解説しています。
借金問題を早く解決したい場合は弁護士法人・響にご相談を
借金問題を早期に解決させたい方は、弁護士法人・響にご相談ください。
自己破産をご依頼いただいた場合は、最短即日で債権者に受任通知を送付いたしますので、すみやかに返済をストップすることができます。
また、手続きがスムーズに進むよう、書類準備や免責審尋の際にていねいにサポートいたします。
借金の総額や収入、財産の状況次第では、個人再生や任意整理など、自己破産よりもリスクを抑えられる解決方法を提案できる場合もあります。
もちろん、債務整理をする必要がない場合に、無理に手続きを勧めることはありませんので、ご安心ください。
弁護士法人・響は、債務整理の相談実績が43万件以上ありますので、安心してご相談ください。
ご相談は24時間365日、無料で受け付けています。
自己破産によるデメリットが影響するのはいつまで?
自己破産は、返済義務が免除される可能性がある一方で、手続きを行うことで一定のデメリットも生じます。
自己破産を検討する際は、デメリットについてもあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。
以下、自己破産によるおもなデメリットと、影響を受ける期間を解説します。
- クレジットカードやローンの契約ができない(5〜7年程度)
- 銀行口座が凍結される(1~3ヶ月程度)
- インターネット版官報に公告される(3ヶ月程度)
- 職業・資格の制限を受ける(3ヶ月~1年程度)
※期間はあくまで目安です
クレジットカードやローンの契約ができない(5〜7年程度)
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が5〜7年程度登録されます(いわゆるブラックリストに載る状態)。
信用情報とは、クレジットカード・ローンなどの契約内容や、支払い状況(残高や滞納情報を含む)のことで、以下の信用情報機関に登録されています。
信用情報機関 | 加盟している業種 | 自己破産後の 事故情報の登録期間 |
---|---|---|
シー・アイ・シー(CIC) | ・クレジットカード ・信販会社 |
5年間程度 |
日本信用情報機構(JICC) | ・消費者金融 | 5年間程度 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | ・銀行 ・信用金庫 ・信用保証協会 |
7年間程度* |
*KSCの事故情報の登録期間は、2022年11月4日、10年から7年に変更されています(参考:KSC「一部情報の登録終了および登録期間の短縮について」)
信用情報は、クレジットカードやローンなどの申し込みの際に、必ず照会されます。その際に事故情報が登録されていると、「返済能力がない」と判断され、基本的に審査に通りません。
事故情報は、上記の登録期間が経過すると削除されますので、その後は再びローンやクレジットカードの利用・契約ができる可能性があります。
自己破産後のクレジットカードの利用については、以下の記事で詳しく解説しています。
銀行口座が凍結される(1~3ヶ月程度)
銀行からの借り入れがある場合、自己破産を申し立てると1〜3ヶ月程度、銀行口座が凍結される場合があります。
口座が凍結されると、口座にあるお金は財産として回収されます。
また、預金の引き出しや家賃・公共料金の引き落としができなくなるため、事前に口座変更を行うなどの対処が必要になるでしょう。
自己破産による銀行口座への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
インターネット版官報に公告される(3ヶ月程度)
自己破産をすると、破産者の氏名、住所、手続きの開始決定年月日などが官報に公告されます。
内閣府が発行している国の機関紙のこと。法令などの政府情報を国民に伝える新聞として、行政機関の休日を除き毎日発行されている。
公告されるのは、破産手続開始決定時と免責許可決定時の2回です。
官報は「インターネット版 官報」というWebサイトで過去90日分閲覧できます。
※以前は直近30日分までの公開でしたが、2023年1月27日以降の発行分から直近90日分の公開に変更されました。
官報を日常的に閲覧している人は少ないといえますが、会社が下記の業種に関わることがある場合は、バレる可能性もあります。
- 士業(弁護士や司法書士など)
- 金融業者
- 保険会社
- 信用情報機関の関係者
- 市や区の税務担当者
- 警備会社
など
自己破産による官報の公告については、以下の記事で詳しく解説しています。
職業・資格の制限を受ける(3ヶ月~1年程度)
自己破産の破産手続開始決定から免責を受けるまでの期間(3ヶ月~1年程度)は、特定の職業や資格に制限が発生します。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 公認会計士
- 税理士
- 証券会社外務員
- 生命保険募集人(外交員)
- 銀行の取締役・執行役・監査役
- 有価証券投資顧問業者
- 旅行業者
- 宅地建物取引業者
- 建設業者
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 警備業者
- 質屋
など
上記の職種、または資格が必要な業務に就いている場合は、一時的に業務を停止する必要があるでしょう。
自己破産の免責が確定すれば、職業・資格の制限は解除されます(復権といいます)。
自己破産による職業・資格制限については、以下の記事で詳しく解説しています。
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