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破産宣告とは?6つの影響や手続きの効果を解説

澁谷 望
監修者:弁護士法人・響 弁護士
澁谷 望
  • 所属弁護士会:第二東京弁護士会 第54634号
  • 出身地:熊本県
  • 出身大学・大学院:関西大学法学部 同志社大学法科大学院
  • 保有資格:弁護士・行政書士
  • コメント:理想の弁護士像は、「弱い人、困った人の味方」と思ってもらえるような弁護士です。 そのためには、ご依頼者様と同じ目線に立たなければならないと思います。そのために日々謙虚に、精進していきたいと考えています。
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破産宣告を受けるとなにが起きるの?

借金のことで悩みを抱えている人の中には、「破産宣告」という言葉を聞いたことのある人がいるかもしれません。
「破産」という言葉から「自己破産」を連想すると思いますが、厳密に意味を理解している人は少ないでしょう。

破産宣告は、これから自己破産をする場合は深く関係してくることなので、おさえておくべき用語です。

ただし、下記のとおり、現行法においては、破産宣告ではなく、「破産手続の開始決定」という名称に変更されています。

そこでこちらの記事では、
・破産宣告を受けることの意味と条件
・破産宣告による生活への影響
・自己破産は破産宣告だけでは不十分

などについて解説します。

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破産宣告の意味と破産宣告を受ける条件

破産宣告は自己破産と関係がありそうですが、どういう場面で使われる言葉なのでしょうか。
まずは破産宣告の意味について理解しておきましょう。

破産宣告とは

自己破産では、まず財産を失うことを意味する破産手続からはじめます。
破産手続は法律に従い裁判所を介して行われますが、手続きの開始を裁判所が認めることを破産宣告と言います

破産宣告という言葉は2005年の破産法改正で「破産手続の開始決定」と表現が変わり、現在裁判所では使われていません
「破産宣告を受ける」という言葉が、「破産したら厳しい罰則を受ける」という悪い印象を必要以上に与えてしまうという理由から、「破産手続の開始決定」というニュートラルな表現に変更されたのです。

破産手続の開始決定を受けるために必要な3つの条件

破産手続の開始決定を受けるためには次の3つの条件を満たす必要があります。

1.破産者が支払不能であること

支払不能というのは、収入や財産が足りないことで、継続して返済していくことが難しい状況を指します。
一時的に収入が極端に減ってもまた元通り得られる見込みがあったり、収入が途絶えても十分な財産があったりする場合は認められない可能性があり、支払不能であるかどうかは、客観的な事実に基づいて裁判所が判断します

ちなみに、個人ではあまりないケースですが、法人や会社などは一定程度の収益がある場合でも、借入金や不渡り手形などが膨らんでくると、収益が返済に間に合わない「債務超過」として破産手続の開始決定を受けられることがあります。

2.破産手続きができなくなる理由がない

次のような、破産手続きができなくなる理由(破産障害事由)がないことも条件の一つです。

  • 裁判所に予納金を納めていない
    破産手続を進めるためには、必要な費用として予納金を裁判所に納めなければならず、予納金を納付するまで破産手続の開始決定受けることはできません。

  • 自己破産の権利の濫用
    自己破産は貸したお金が返ってこなくなるため、債権者にとっては圧倒的に不利です。
    そのためもともと破産するつもりだったなど、債権者が損失を被るとわかって借金をすると、破産手続が認められなくなります。

  • 自己破産以外の手続きが開始されている
    自己破産以外の手続きをすでに開始していたり、破産手続の開始決定後に開始したりすると破産手続ができなくなります。
  • 自己破産以外の手続きとは、個人の場合だと個人再生、会社の場合だと民事再生、会社更生、特別清算手続があたります。
    基本的に自己破産は借金の解決方法としては最終手段であるため、他に解決方法がありそうな場合はそちらの方が優先されるからです。

    3.破産の申し立てが適切に行われている

    破産申し立てが法律に則っていることも必要で、具体的には次のようなポイントが確認されます。

  • 債務者本人または債権者が申立てを行うこと
  • 管轄の裁判所に申立てを行うこと
  • 定められた様式の書面で提出すること
  • これらを踏まえた上で、破産申立てが適法に行われたかが裁判所によって判断されるのです。

    破産手続の開始決定を受けると生じる6つの影響

    破産手続の開始決定を受けると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。
    破産手続の開始決定が生活に与える6つの影響について解説します。

    1.財産の管理は破産管財人が行うことになる

    破産手続の開始決定を受けると、まず所有している財産を売却して借金返済に充てるための手続き(破産手続)が始まります。

    この手続きは裁判所だけで行うと大変な作業になるため、裁判所に選ばれた破産管財人という専門家が代わりに行います(破産法74条~78条)。
    破産手続の開始決定後、財産は破産管財人の管理下に置かれ、破産者は自分の所有物であっても勝手に売却したり譲ったりすることができなくなります

    2.貸金業者などの債権者は取り立てができなくなる

    財産の管理が破産者本人の手から破産管財人のもとに移っているため、貸金業者などの債権者は債務者から直接取り立てをすることができなくなります(破産法24条~25条、28条、91条、100条)。

    自己破産を弁護士などの専門家に依頼した場合も同様に、破産者の代理人であることを告げる受任通知が貸金業者などに送られて取り立てを止めることができます(貸金業法 21条9項)。

    3.引越しや旅行などの移動が制限される可能性がある

    破産者は破産申立てをすると、裁判所の許可を得てからでないと居住地から離れることができません(破産法37条)。
    破産者は裁判所からの出頭命令にいつでも応じなければならないため(破産法38条)、裁判所の許可なしに居住地を離れることができないのです。

    一時的な外出は問題ありませんが、一般的には1泊以上の海外渡航、2泊以上の国内移動が制限の目安とされています。

    4.郵便物は破産管財人に転送される

    破産者宛の郵便物が破産管財人に転送されることになります(破産法81条、82条)。
    これは破産者の財産状況の厳密なチェックや、財産隠しの防止が目的で、一般的には郵便物の転送は第1回債権者会議まで続けられます。

    ただし転送される郵便物はあくまでも破産管財人の業務に関連するものですので、破産手続とは関係しない郵便物(年賀状など)は直接届けてもらえる可能性があります。
    また、宅配業者が取り扱うメール便は、転送の対象外となるので直接本人に届けられます。

    5.仕事に制限を受ける場合がある

    破産手続の開始決定を受けると、一部の職業や仕事に就くことができなくなります。
    主なものとしては以下のような職業です。

    ・弁護士や司法書士などの士業
    ・警備員
    ・特定保険募集人
    ・派遣元責任者

    職業制限は、破産手続の開始決定を受けたときから開始され、借金返済の免除が認められる免責許可の決定が出たときに解除されます(破産法255条)。

    6.官報に掲載される

    破産手続を法律に則って公平公正に進めるため、破産者は破産手続の開始決定によって官報に名前を掲載されることになります(破産法10条)。
    官報とは、政府が国民に伝えるべきことを広告する機関紙で、法律の制定や、破産等の裁判に関する情報などが掲載されます。

    自己破産では債権者に対して平等に財産の分配をしなくてはならないため、掲載した債務者の債権者が裁判所に申し出られるように広く知らせる必要があるのです。

    破産手続の開始決定だけでは借金は免除されない

    破産手続の開始が許可される破産手続の開始決定だけでは、借金の返済義務がなくなるわけではありません。
    自己破産で借金を帳消しにしてもらうためには、破産手続の他に免責手続も進めなければならないのです。

    返済義務の免除には免責許可が必要

    そもそも自己破産には破産手続と免責手続の2つの手続きがあり、それぞれで目的が異なります。

    破産手続は破産者の財産を処分して可能な限り債権者に借金を返済する手続きで、その目的は債権者の権利を保護することです。

    一方、免責手続は破産者の借金の返済義務を免除してもらうための手続きで、こちらは債務者の救済措置となります。

    借金を帳消しにできる自己破産のメリットを得るためには、破産手続と免責手続の両方を進めていく必要があります。

    免責手続きは破産手続の開始決定とセットで行う

    基本的に、借金返済が免除される免責手続は、財産を売却するための破産手続と一緒に行います

    ただしお金に換えられるほどの財産がない場合は、破産管財人がわざわざ財産の調査や管理をする必要がなくなるため、破産管財人の仕事はすべて省かれて破産申立てと同時に破産手続が完了します(同時廃止)。
    同時廃止も管財事件と同様に、免責許可を受けなければ借金が帳消しにならないので注意が必要です。

    破産手続と免責手続は別々の手続きであり、破産手続の開始決定を受けてから1カ月以内に免責許可の申立てを行うことが法律上定められていますが(破産法248条)、実際には破産申立てと免責許可の申立てを一緒に行う流れが一般的です

    手続きを終えるまでの目安期間

    自己破産を行うには、まず必要書類を揃えるための準備をしなければなりません。
    必要書類は広範に渡り、手続きも複雑なため専門家に相談しながら進めていくのが一般的です。

    自己破産手続が完了するまでの期間は、借金の件数や財産の状況などによって異なりますが、大まかな目安は以下表のようになります。

    同時廃止少額管財管財事件
    相談~破産申立て6カ月6カ月6カ月
    破産手続の開始決定 ~免責手続完了3~4カ月6カ月1年以上
    相談~全手続き完了までの合計期間(目安)9~10カ月1年1年6カ月以上

    まとめ

    「破産手続の開始決定」は裁判所を介した自己破産手続きが正式に始まったことを意味する言葉で、現在は「破産手続の開始決定」と表現が変わっています

    自己破産には債権者の権利を保護する破産手続と、債務者の救済を認めてもらう免責手続があり、借金を免除してもらうには、免責手続によって裁判所から免責許可をしてもらう必要があります

    自己破産には3種類の方法があり、いずれの手続きにおいても必要書類の内容や申立ての手順は複雑で手間がかかるため、専門家に依頼するのが一般的です。
    破産手続の開始決定のことで心配なことがある場合は、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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