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「債務整理のことは、誰に相談すればいいの?」
「弁護士に債務整理の相談をするには、どうすればいいの?」
債務整理や過払い金について相談をするなら、弁護士・司法書士に相談することが一般的です。
弁護士や司法書士に相談できる窓口は、主に以下の通りです。
- 弁護士事務所
- 司法書士事務所
- 法律相談センター
- 司法書士総合相談センター
- 法テラス
- JCCO 日本クレジットカウンセリング協会
どこに相談しても自分に合った債務整理の解決方法を提案してくれ、借金解決まで導いてくれます。相談は無料で行っているところも多くあります。
また、弁護士や司法書士に債務整理を依頼すれば「過払い金」が戻ってくることもあります。
それぞれの相談窓口の詳細について、解説します。
目次
債務整理を相談する窓口はどこ?
債務整理の相談は、弁護士や司法書士に依頼することが一般的です。
弁護士や司法書士には、借金の解決方法や過払い金について相談することができます。とはいえ、どうやったら弁護士や司法書士に相談できるのでしょうか。
弁護士や司法書士に債務整理の相談をするための窓口は、どのようなものがあるのか、これから紹介していきます。
借金が140万円以上あるなら=弁護士事務所
債務整理の相談窓口として真っ先に思い浮かぶのは「弁護士」ではないでしょうか。
弁護士はさまざまな事件やトラブルについて法的なアドバイスをしてくれ、場合によっては依頼者の代理人として相手方との交渉も行ってくれます。
債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士事務所は多くあります。Webサイトなどで探して、問い合わせてみるとよいでしょう。
弁護士事務所の中には、借金問題や債務整理について相談を無料で対応してくれるところも多いです。
弁護士に債務整理を依頼する場合には費用がかかりますが、今すぐに一括で払えるだけのまとまったお金が用意できない場合は、費用の分割払い・後払いに応じてくれることもあります。
相談時に費用の分割払い・後払いが可能か、聞いてみるとよいでしょう。
費用を安くあげたい場合は=司法書士事務所
「司法書士」は、不動産や会社などの登記の手続をするのが主な業務となりますが、債務整理も取り扱うことができます。
司法書士に相談・依頼する場合は、一般的に相談料・着手金などがかからないこともあり、弁護士に比べて費用はやや安い傾向にあります。
中には無料で相談に応じてくれる司法書士事務所もあります。
- 債務整理の業務における弁護士と司法書士の違い
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- 司法書士は債務整理において取り扱える借金額に上限がありますが、弁護士には取り扱える借金額に上限はありません。
- 債権者(貸した側)1社につき借金額が140万円を超える場合だと、司法書士は債務者(借りた側)の代理人となって債務整理の業務を取り扱うことができません。
- 利息制限法に基づいた現在の金利で利息を再計算する「引き直し計算」をして過払い金が債権者1社につき140万円を超える場合も、司法書士は債務者の代理人となって債務整理の業務を取り扱うことはできません。
例えば借金額が100万円程度と比較的低めの場合は、司法書士に債務整理を依頼する選択肢も考えられます。
一方、140万円以上の借金がある場合は弁護士に債務整理を依頼するほうががよいでしょう。
近くの弁護士に頼みたいなら=法律相談センター
「法律相談センター」とは、各都道府県の弁護士会が運営している法律相談所です。
法律相談センターでの相談は有料(30分で5,000円程度)ですが、借金問題の相談(初回30分)は原則として無料となっています。弁護士が借金解決に向けての相談に応じてくれます。
ネットで法律相談センターに法律相談を予約したい場合は「ひまわり相談ネット」を活用すると全国の「法律相談センター」へ予約ができます。
ひまわり相談ネットは、「日本弁護士連合会」が運営するサイトです。
ひまわり相談ネット https://www.soudan-yoyaku.jp/
電話で法律相談センターに法律相談を予約したい場合は「ひまわりお悩み110番」があります。近くの法律相談センターにつながります。
ひまわりお悩み110番 TEL:0570-783-110
近くの司法書士に相談したいなら=司法書士総合相談センター(日本司法書士会連合会)
日本司法書士会連合会の「司法書士総合相談センター」は全国約150ヵ所に設置されており、クレジットカード・ローン等の借金返済に関する相談に応じてくれます。
原則として有料相談ですが、各都道府県の司法書士会では、無料で電話相談に応じてくれるところもあります。
債務整理の費用がないなら=法テラス
「法テラス」とは「日本司法支援センター」の通称のことで、法的なトラブルにあった経済的に余裕がない人に対して、無料の法律相談に応じてくれます。
法テラス 問い合わせ先
https://www.houterasu.or.jp/
TEL:0570-078374
法テラスでは弁護士・司法書士費用の「立替え」も行ってくれます。
立替えとは、法テラスが利用者に代わって一時的に弁護士・司法書士に費用(着手金・報酬金・実費)を支払ってくれます。、利用者は後から法テラスに費用を分割払いするものです。
立替えた弁護士・司法書士費用は、原則として月額5,000円~1万円程度で分割払いします。
無料で任意整理をするなら=JCCO 日本クレジットカウンセリング協会
「JCCO公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会」では、クレジットカードや消費者ローンなどの返済に悩んでいる人に向けて、専任のカウンセラーが相談に応じてくれます。
カウンセラーの相談料は無料です。相談者の個人情報と秘密は厳守されます。
JCCO 日本クレジットカウンセリング協会 問い合わせ先
http://www.jcco.or.jp/
TEL:0570-031640
電話で相談した結果、必要に応じてカウンセリング(面接相談)を受け付けています。
カウンセリングによって債務整理が必要と判断された場合は、相談者にとって適切な解決方法をアドバイスしてくれます。
- 任意整理:相談者が希望する場合、日本クレジットカウンセリング協会による任意整理が可能(利用無料)
- 任意整理以外の方法(個人再生・自己破産など):弁護士会など関係機関に紹介
債務整理を弁護士・司法書士に相談するとどうなる?
債務整理について弁護士や司法書士に相談、依頼した場合、弁護士・司法書士はどんなことをしてくれるのでしょうか?
弁護士・司法書士に債務整理を相談するメリットを紹介します。
過払い金が戻ってくることがある
「過払い金」とは、本来支払う必要がないのに高い金利で借り入れていた場合に支払い過ぎていたお金です。
債務整理をしてみたら過払い金があることがわかることがあります。その場合は、貸金業者などの債権者(貸した側)に対し「過払い金返還請求」ができます。
過払い金とは
利息制限法(15~20%)と旧出資法(29.2%)の上限金利の間の金利を「グレーゾーン金利」と呼びます(上図参照)。
貸金業者の中には、利息制限法の上限金利を超えたグレーゾーン金利の間で金利を設定して、利息を取っていたところがありました。
しかし2006年(平成18年)12月に貸金業法が改正され、2010年6月には上限金利が引き下げられたことで、グレーゾーン金利は撤廃されたのです。
そのため2010年以前にグレーゾーン金利で借り入れをしていたら、払い過ぎたお金を「過払い金」として貸金業者から返してもらえるのです。
過払い金があることがわかれば、過払い金の返還請求を行うことで借金は消滅する場合もあります。
過払い金が発生しているのか、いくらあるのかについては、弁護士・司法書士に依頼すれば調べてくれます。
利息制限法に基づいた現在の金利で利息を再計算する「引き直し計算」をして、算出してくれます。
自分に合った債務整理の方法を提案してくれる
債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった借金の解決方法があります。
弁護士や司法書士はそれぞれの解決方法の特徴を説明した上で、相談者・依頼者それぞれに合った解決方法を提案してくれます。
任意整理=裁判所を通さず債権者と交渉。将来利息をカットし借金を減額
「任意整理」とは、裁判所を通さずに債権者と直接交渉することで借金の減額を図る解決方法です。
任意整理を行う場合、以下のお金が減額できる可能性があります。
- 将来利息:通常通り返済を続けていく場合に本来払うはずの利息
- 経過利息:最後に借金を返済した日から一定の日(和解日、和解提案日、取引履歴開示日など)まで発生する利息
- 遅延損害金:借金の返済を滞納している間に発生する損害賠償金の一種
例えば下図のように借金額が150万円ある場合、任意整理を行うことで将来利息を約74万円減額できる可能性があります。
任意整理ができる主な条件は、以下のとおりです。
- 3~5年程度で完済できる安定した収入があること
- 完済まで返済を続ける意思があること
個人再生=裁判所から認可決定を受けて借金を1/5~1/10に減額
「個人再生」とは、債務者(借りた側)に返済不能のおそれがあることを裁判所に申立てて、再生計画の認可決定を受けることで借金を減額してもらう解決方法です。
個人再生には、主に以下のメリットがあります。
- 借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がある
- 原則3年、最長5年での分割返済が可能となる
- 住宅ローンが残っている住宅については「住宅ローン特則」を利用することで住宅を手放すことなく住み続けられる
個人再生の手続を行うことで、借金額が以下のとおり減額されます。
個人再生における借金額の減額基準 | |
---|---|
借金額100万円未満 | 借金額の全額 |
借金額100万円以上 500万円以下 |
100万円 |
借金額500万円超 1,500万円以下 |
借金額の5分の1 |
借金額1,500万円超 3,000万円以下 |
300万円 |
借金額3,000万円超 5,000万円以下 |
借金額の10分の1 |
※上記の借金額は住宅ローンを除く
※保有する資産がある場合、上記と清算価値(保有資産の価値)の総額とを比べて多いほうが返済額となる
個人再生ができる主な条件は、以下のとおりです。
- 将来的に継続的・安定的な収入があり、再生計画に則った返済ができること
- 借金総額が5,000万円以下(利息制限法の引き直し計算後)であること
自己破産=一部の債務を除きすべての借金の支払義務を免除に
自己破産とは、一部の債務を除きすべての借金の支払義務を免除(免責)してもらう解決方法です。
自己破産には、主に以下のメリットがあります。
- 残っている借金は税金や養育費など非免責債権を除いて、ほぼ全額免除できる
- 免責後に得た収入や財産は原則として自己破産を申し立てた本人が自由に使える
- 手続を開始すると、債権者は給料・財産を差押さえるなどの強制執行ができなくなる
自己破産ができる主な条件は、以下のとおりです。
- 借金が払えない状態である
- 借金の理由が仕方のないものである(免責不許可事由にあたらない)
- 支払義務が免除(免責)の対象の借金である
債務整理の手続を、ほぼすべてお任せできる
弁護士・司法書士に依頼するメリットの一つに、債務整理の手続をほぼすべてお任せできることが挙げられます。
債務整理の手続は複雑です。必要書類を準備・作成したり、債権者や裁判所などに連絡を取ったりと手間や時間がかかります。
仮に自分で債務整理の手続を行う場合、弁護士・司法書士に払う費用がかからないメリットはある反面、それ以上に大きな負担がかかるデメリットがあります。
債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士・司法書士に依頼すれば、ほとんどの手続きを弁護士・司法書士にお任せすることができます。
借金の督促や返済が一時ストップする
弁護士・司法書士に依頼すれば、借金の督促・返済が一時ストップするメリットがあります。
弁護士・司法書士は、債務整理の依頼を受任すると、依頼者(債務者)の代理人となったことを債権者へ告げる「受任通知」を送付します。
受任通知には、貸金業法の第21条1項9号に基づく借金の取り立て行為を規制する法的な効力があるのです。
債権者に受任通知が届いた時点から債務整理の手続が終わるまでの間、借金の督促は止まり、返済も一時ストップします。
それにより一定の期間、督促や返済のプレッシャーから解放されるのです。
【相談前に知りたい】債務整理の対象になる借金・ならない借金は?
自分の抱える借金が債務整理の対象になるのかどうかわからず、不安に思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、ほとんどの借金やローンは債務整理の対象となります。
債務整理の対象になる借金と、債務整理の対象にならない借金は何が違うのか解説します。
クレジットカードやローンのほとんどは債務整理の対象になる
債務整理の対象となる債務(借金)は、金銭消費貸借契約(お金を貸し借りする契約)で借りたお金だけではありません。
クレジットカードで商品やサービスを購入したり、ローンを組むなど、原則として自分に支払義務があるすべての債務は債務整理の対象となります。
- 債務整理の対象の対象になる債務の例
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- クレジットカード(ショッピングのリボ払い、キャッシング)
- 消費者金融
- 銀行系カードローン など
ヤミ金に借りたお金は返す義務はない
「ヤミ金(闇金)」とは、出資法に定める上限の金利(年20%)を超える高い金利で貸付を行う業者の俗称です。
法律で定められた金利を超えるヤミ金の貸付行為は違法で、刑事罰もあります。
ヤミ金に借りたお金は返す義務はありません。そもそもヤミ金については、債務整理の対象かどうかを考える以前の問題です。
ヤミ金にお金を返してはいけません。ヤミ金からお金を借りて悩んでいるなら、すぐにでも借金問題の取り扱い実績が豊富な弁護士に相談しましょう。
税金・社会保険料などは債務整理の対象とならない
税金や社会保険料といった「租税債権」と呼ばれる「公的な性質」を持つものについては債務整理の対象にはなりません。
養育費など子どもの扶養に関するお金についても債務整理の対象にはなりません。
- 債務整理の対象の対象にならない例
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- 税金
- 社会保険料(健康保険料、介護保険料、年金保険料など)
- 養育費 など
債務整理の相談に必要なものは?
最後に、弁護士や司法書士に債務整理の相談・依頼をする際に必要なもの、用意しておいたほうがよいものを紹介しましょう。
債務整理の相談・依頼時に必要な書類
債務整理の準備をしたり、手続を行う際は数多くの書類が必要になります。
また、債務整理の解決方法やなどによって必要な書類は異なります。
必要書類が多くて揃えるのは大変ですが、弁護士・司法書士に相談すれば的確なアドバイスをもらえます。
- 相談時に必要な主な書類
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- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 債権者一覧表(債権者、と借入時期、借入額借金総額がわかるもの)
- 借金の状況・残高・取引履歴がわかる書類(借入時の契約書、取引明細書)
- クレジットカード
- 印鑑(シャチハタ不可) など
- 任意整理に必要な主な書類
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(上記1.の書類に加えて、以下の書類も必要)
- 住民票
- 収入を証明する書類(給与明細、源泉徴収票など)
- 家計の収支表
- 預金通帳 など
- 個人再生・自己破産に必要な主な書類
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- 住民票(世帯全員を記載し、本籍や続柄を省略しないもの)
- 戸籍謄本
- 給与明細(申立人および同居の家族のものが必要)
- 家計簿
- 源泉徴収票・確定申告書(過去2年分)
- 退職金見込額証明書(個人再生は原則必要、自己破産は勤続年数が5年以上である場合に必要)
- 生命保険証券(申立人および同居の家族もの)
- 自動車の車検証
- 預貯金の通帳(申立人のものはすべて必要、同居の家族のものも場合によっては必要)
- 住居の証明書(賃貸の場合は賃貸借契約書、持ち家の場合は登記事項証明書と評価額証明書が必要)
- 家計の収支表(個人再生の場合は直近3ヶ月分、自己破産の場合は直近2ヶ月分)
- 領収書関係(水道光熱費や電話代などの領収書)
- 各種の受給証明書(年金、児童扶養手当、児童手当、生活保護などの給付を受けている場合は必要)
- 納税証明書(事業主の場合は必要) など
弁護士・司法書士の相談料は不要のケースも多い
弁護士事務所・司法書士事務所の中には、相談料を無料にしているケースも多いです。
まずは借金や債務整理について相談したいなら、相談無料の事務所に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
法テラスでは、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに、弁護士・司法書士から面談・電話・オンラインにて無料で法律相談を受けられます。
法テラスでの1回の相談時間は30分程度、1つの問題につき3回まで相談を無料で受けられます。
【まとめ】債務整理の相談は、取り扱い実績豊富な弁護士・司法書士へ
債務整理を相談できる窓口は、弁護士事務所・司法書士事務所をはじめ、法律相談センター、司法書士総合相談センター、法テラス、日本クレジットカウンセリング協会など数多くあります。
借金に悩んでいる場合や債務整理を検討している場合は、まずは上記の相談窓口に問い合わせてみましょう。
弁護士や司法書士に相談することで、自分に合った債務整理の解決方法を提案してもらえます。
また弁護士や司法書士に依頼すると借金の督促や返済が止まりますし、調査・計算してもらうことで過払い金が返ってくる場合もあります。
債務整理のことは、取り扱い実績が豊富な弁護士・司法書士に相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。相談を無料にしている事務所も少なくありません。