債務整理中にキャッシングは可能?利用のリスクと審査が通らないときの対処法

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債務整理の手続き中にキャッシングってできるの?
債務整理中にお金が必要になったらどうすればいい?

債務整理中に、金融業者のキャッシングやカードローンは利用できません

また、債務整理中に新たな借入をすることで、債務整理が成立しない可能性があるので避けたほうがよいでしょう。

どうしても債務整理中にお金が必要な場合、以下の公的制度を利用すれば借入できる可能性があります。

  • 生活福祉資金貸付
  • 住居確保給付金
  • 一部負担金減免制度
  • 年金担保融資

債務整理中に生活が困窮しているなどの悩みがある場合、債務整理を依頼した弁護士に相談しましょう。状況に合わせて対処法をアドバイスをしてくれます。

この記事では、債務整理中にキャッシングできない理由や、お金が必要になった場合の対処法などを解説していきます。

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目次

債務整理中にキャッシングができない2つの理由

債務整理中と債務整理後のどちらのタイミングでも、基本的にキャッシングはできません。
キャッシングができない理由は次の2つです。

  • 債務整理が成立しない可能性がある
  • 債務整理後は事故情報が登録されている

それぞれの理由について詳しく解説します。

債務整理が成立しない可能性がある

債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産がありますが、どの手続きにおいても、債務整理中にキャッシングすると債務整理が成立しないことが想定されます。

たとえば、任意整理中に新たに利用したキャッシングが、任意整理の和解交渉を行っている金融業者に知られれば、「借金返済で生活が苦しい状況なのに、さらに借金を重ねて返済できるのだろうか?」として返済への疑問を抱かれ、交渉に応じてもらえない恐れがあるのです。

個人再生は裁判所を通す手続きで、借金が減額されるには、裁判所に再生計画を認めてもらわなければなりません。
ですが、手続き中にキャッシングを行うことで裁判所の見方が悪くなり、更正する意思がないとみなされて個人再生が認められない場合があります。

また、自己破産では、借金をした理由がギャンブルや浪費だと基本的に免責が認められませんが、裁判所の判断で自己破産を認めてもらえるケース(裁量免責)も多いです。
ところが、自己破産の手続き中にキャッシングを行うと、裁量免責が認められない可能性が高くなります。

債務整理についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

キャッシングしたことが、債務整理を依頼した専門家に影響する場合もあります。 債務整理中のキャッシングを専門家が把握すれば、利息の引き直し計算や債権者一覧表などの必要書類の作成をやり直す必要が出てくるでしょう。
依頼人の意識が欠けていたことで専門家の仕事を妨げたとなれば、「信頼関係を保ちながら仕事ができない」「生活再建の意思がない」と判断され、専門家が辞任して手続きができなくなる恐れもあるのです

債務整理後は事故情報が登録されている

債務整理後は、債務整理中とは異なる理由で、キャッシングができません。

債務整理をすると、信用情報機関には事故情報が登録されます。
債務整理後にキャッシングを申し込むと、申し込んだ先の金融業者は信用情報機関を参照します。
その際に事故情報があれば、「返済能力に問題がある」と金融業者に判断され、基本的にキャッシングの審査には通りません。

事故情報の掲載期間は任意整理で約5年、個人再生と自己破産で最長10年です。

債務整理によるブラックリストの影響についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

債務整理中のキャッシングはリスクが伴う

債務整理中のキャッシングは基本的にできないとご説明しましたが、厳密にいうと、債務整理中でもキャッシングできる金融業者がないわけではありません。
しかし債務整理中のキャッシングにはリスクが伴います。

任意整理、個人再生、自己破産、いずれの債務整理も、そもそもは「借金返済の負担を減らしたい」や「借金問題を解決したい」という理由があったからこそ決断した手続きになります。
つまり、債務整理中の家計はとても厳しい状況です。

その厳しい状況でキャッシングを行えば、より返済負担が重くなるのは目に見えています

債務整理中のキャッシングが原因で債務整理ができなくなってしまったら、新たに背負ったキャッシングの返済額だけでなく、債務整理前の借金もそのまま負うことになります。

債務整理中にお金が必要になったとき考えてほしい制度

それでは、債務整理中にお金に困った場合は、どうすればいいのでしょうか。
債務整理中でも借入に利用できる可能性がある制度や機関は次の通りです。

  • 生活福祉資金貸付
  • 住居確保給付金
  • 一部負担金減免制度
  • 年金担保融資
  • 生活保護
  • 法テラス

それぞれについて解説します。

生活福祉資金貸付

病気や失業などで一時的に生活費が必要な場合、連帯保証人を立てれば無利子で、連帯保証人を立てない場合は年利1.5%で、お金を借りることができる貸付制度です。
相談窓口は各地域の社会福祉協議会です。

住居確保給付金

失業や廃業などで収入が減って家賃を払えない場合に利用できる給付金です。
収入と資産が基準額以下で、ハローワークなどで就職活動を行っていることが利用条件です。
各地域の自治体の自立相談支援機関が相談窓口です。

一部負担金減免制度

災害や失業などで国民健康保険の医療費を支払うことが難しくなった場合に、医療費の減額や免除を行ってもらえる制度です。
各自治体によって異なりますが、収入や資産、生活状況を基にして判断されます。 各地域の自治体が相談窓口となっています。

年金担保融資

国民年金や厚生年金を受給している方が、年金を担保として融資を受けられる貸付制度です。
独立行政法人福祉医療機構の受託を受けた金融機関で相談を受け付けています。

ただし年金担保融資は、毎回の年金の手取り額が減ることや、自己破産しても返済義務が免除されないなどの理由から、手続き後の生活が苦しくなる可能性がありますのでご注意ください。 申し込みの受付は2022年3月で終了となります。

生活保護

働くことが難しく、財産もない状況で生活に困窮している場合に、最低限度の生活の保障を受けられる制度です。
自己破産を検討する際に合わせて考える人も多く、自己破産前でも自己破産後でも申請は可能です。
相談窓口は各地域の福祉事務所です。

法テラス

法テラスの民事法律扶助という業務の中で、法律に関連する無料相談や弁護士・司法書士費用の立て替えを行っています。
収入や資産が一定額以下であること、民事法律扶助の趣旨に反していないこと、といった利用条件を満たす必要があり、各地域の法テラス地方事務所で相談することができます。

このような公的な制度は債務整理中でも利用できる可能性がありますが、利用の際には条件があるケースが多いので、予め確認してから相談を検討するといいでしょう。

債務整理後にキャッシングが必要なときの注意点

債務整理の手続き後、どうしてもキャッシングを利用したい場合もあるかもしれません。
そのようなときに失敗をしないよう、債務整理後のキャッシングの注意点について確認しておきましょう。

事故情報の回復を待つ

債務整理すると信用情報機関に事故情報が登録されます。
事故情報が登録されている目安期間は次のとおりです。

・任意整理 約5年
・個人再生 最長10年
・自己破産 最長10年

各債務整理から5年~10年が経過したあとであれば事故情報が削除されている可能性が高いので、キャッシングの際に通常どおりの審査を受けられるようになります。

ただし登録期間はあくまでも目安です。
実際に事故情報が回復しているかどうかは、債務整理から5年~10年が経過した後に、信用情報機関に問い合わせるといいでしょう。
問い合わせの方法にはインターネット、郵送、窓口があります。

同じ金融業者には申し込まない

信用情報機関の事故情報が消えたあと、一度債務整理した金融業者への申し込みは避けましょう。
その理由に、各金融業者が独自に管理している社内ブラックがあります。

過去に債務整理を行った顧客をデータベース化し、グループ会社間で共有しているので、同じ金融業者やグループ会社にキャッシングを申し込んでも審査には通らない可能性が高いでしょう。

たとえば消費者金融のアコムはMUFGグループなので、過去にアコムのキャッシングを債務整理していれば、同じグループ会社であるジャックスのクレジットカードキャッシングの審査には通らないということです。

中小の金融業者を検討する

中小の金融業者は大手金融業者よりも利用者数が少なく、顧客確保のため積極的に融資を行うことがあります。
そのため、信用情報機関の事故情報が残っていても、中小の金融業者のキャッシングなら利用できるかもしれません。

ただし中小の金融業者も返済能力を判断する審査があるため、
債務整理から時間が経っている
返済中の借金は完済している
安定した収入がある といった条件を満たす必要があるでしょう。

大手の金融業者よりも利率が高い、滞納時の督促が厳しいといった懸念もあるので、利用の際にはくれぐれもご注意ください。

ヤミ金は絶対に利用しない

中小の金融業者を利用する前に、ヤミ金と健全な金融業者を見分ける必要があります。
法律に違反した金利を設定したり、違法な取り立て行為を行ったりするのがヤミ金なので、絶対に利用してはいけません。

ヤミ金と健全な金融業者を見分ける際に、「ブラックでも借入可能」「誰でも融資します」「自己破産直後でも借入OK」といった甘い宣伝文句があるときは警戒した方がいいでしょう。

また、貸金業の登録があるかどうかも確認してください
貸金業登録を行っている金融業者は、自社サイトやチラシなどに貸金業の登録番号を掲載しています。
その番号を金融庁の検索ページで調べることで、法律に則った金融業者かどうかが分かります。

金融庁の登録貸金業者情報検索入力ページ

【まとめ】債務整理後にキャッシングする際は利用先の吟味を

まとめ
  • 債務整理中は基本的にキャッシングができません。
    債務整理中のキャッシングによって、債務整理が成立しない可能性があるからです。

  • 債務整理後のキャッシングに関しても、信用情報機関に事故情報が残っている期間は難しいですが、中小の金融業者なら利用できることがあります。

  • 信用情報機関の事故情報が消えた後も、過去に債務整理した金融業者とグループ会社は利用が難しいです。
    キャッシングが必要なときは、ヤミ金などには手を出さないように利用先をしっかり吟味するようにご留意ください。

弁護士法人・響に相談するメリット
  • 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
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監修者情報
島村 海利
監修者:弁護士法人・響弁護士
島村 海利
弁護士会所属
第二東京弁護士会 第52828
出身地
高知県
出身大学
香川大学法学部卒 九州大学法科大学院卒
保有資格
弁護士、2級ファイナンシャルプランニング技能士(FP2級)
コメント
人に対する温かいまなざしを持ち、ご依頼者の話をよく聞き、ご依頼者様に寄り添える弁護士になれるよう日々努めています。
[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)