回復の見込みがないほど破たんした婚姻生活
日本では過去においても長い期間、有責配偶者からの離婚請求は認めないという原則のもと、離婚の裁判が行われてきました。
しかし、ここ数十年の間では、すでに回復の見込みがないほど破たんした婚姻生活を送っているのであれば、たとえ有責配偶者からの離婚請求であっても、離婚を認めてしまったほうが良いのでは?といった考え方が取られるようになってきました。
現実に、多くの裁判所で有責配偶者からの離婚請求を認めた実例が出てくるようになっています。ただし、いずれの実例であっても一定以上の条件を満たさない限りは、有責配偶者からの離婚請求が認められることはなかったと言えるでしょう。
過去に離婚が認められた条件について
では、過去にはどういった条件の下、有責配偶者からの離婚請求が認められてきたのでしょうか?下記に簡単にまとめてみました。
・不貞行為と婚姻生活の破たんとの関連性が認められない場合
・すでに別居期間が長期間におよび婚姻生活を継続することが困難な場合
・婚姻生活の破たんについては双方に同程度の責任がある場合
・幼い子供がいない場合など
特に、別居期間と幼い子供については重要視されています。
過去においては、別居期間が20~30年以上必要とされていましたが、最近では10年程度で認められたこともあります。
また、幼い子供がいる場合は、まず離婚請求が認められることはないと言えるでしょう。それほど離婚が幼い子供に与える影響については重大であると認識されています。
様々な要素と十分な審理のもと判断が下される
また、現実には上記の条件のみで判断が下されるわけではありません。
その他にも、別居期間中の婚姻費用の問題や、離婚後の生活保障、過去に不貞行為といった離婚原因になり得る行為を許していたか否か、といった様々な要素が取り上げられ、それらをすべて考慮した上、十分な審理のもと最終的な判断が下されることになっています。
よって、今後の民法改正によってはどうなるかわかりませんが、現時点(平成27年9月)では、有責配偶者からの離婚請求は容易でないと言えるでしょう。