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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2022.7.7放送

第179回

他人事ではない?!勝手に婚姻届を出されるかも…!

婚姻届けを持ち結婚指輪を見せる島田秀平さんと古藤由佳弁護士

放送日は七夕でした!島田さんが所属する事務所では、七夕の時期になると毎年ロビーに笹が飾られ、皆さんが願い事を短冊に書いて吊るすそうですよ!素敵ですね!古藤先生は、七夕に願うなら「1か月くらい海外に行きたい」と書くそうです!ちなみに、行きたいのはニューヨーク!コロナ禍で旅行や海外に行けない日々が続きましたが、せっかくの七夕の願い事ですから、叶うといいですね!

さて、仲の良い夫婦である織姫と彦星が一年に一度会える7月7日、第179回の放送では、結婚に欠かせない「婚姻届」について、古藤先生に詳しく解説して頂きました。

勝手に出された婚姻届は受理される?

今年5月、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが、「ストーカーに婚姻届を出されました」と題したYouTubeを更新し、身に覚えのない婚姻届を出されていたことを明かしました。戸籍住民課戸籍届出係から、「提出された婚姻届に不備があるため、連絡をください」という郵便が届いたことで発覚したそうです。

自分の知らないうちに、婚姻届が出されるなんて怖いですよね。
当然自分に婚姻の意思はないのですから、書類に不備があってもなくても、勝手に婚姻届が受理されるわけがないと思ってしまいますが、実はこれ、受理されることがあり得るのだそうです。

古藤先生によると、「婚姻届」は婚姻届に署名をした二人のうち、どちらかが提出に行った場合でも、書類に不備がない限りは受理されるそうです。もっと言えば婚姻する二人ではない第三者が提出した場合でも、委任状があれば受理されるとのこと。そのため、役所に来なかったもう一人は、知らないうちに結婚していたということもあり得るそうです。
どちらか片方が婚姻届を提出に行った場合、後日、役所に来なかった夫または妻に、「〇月〇日付で婚姻届を受理しています」という内容の書面が届くそうです。そのため、提出に心当たりが無い人が、この書面を受け取ることで初めて婚姻届が提出されていたことを知るということもあるようです。

本来、婚姻届の署名は本人でなければなりません。しかし、役所の窓口では”形式面が整っているか”どうかは確認しますが、例えば、”署名が本物か”どうかというところまで確認することはできません。そのため、偽造であったとしても、提出すれば受理されてしまうことがあるそうです。

そしてこの、「婚姻届を勝手に出された」という事例は、実はそんなに珍しいことでもないのだとか。今回の、キングコング・西野さんの場合は、ファンと思われる方による提出だったようですが、例えば、本人同士は承諾していないのに親同士が勝手に出してしまう、ですとか、その場のノリや冗談で結婚に合意したら相手が本当に出してしまった、というようなことも実際にあるそうです。

勝手に出された婚姻届は取り消せる?

もし、勝手に出された婚姻届が受理された場合、それを取り消すことはできるのでしょうか。

古藤先生によると、法律上、婚姻が成立するためには「両当事者に婚姻意思があること」が必要となるため、一方に婚姻意思がない場合には、婚姻は無効となるそうです。
ただし、一度婚姻届が受理されると、戸籍上は婚姻関係が成立していることになり、戸籍が変わります。そのため、電話連絡等で簡単に戸籍を元通りに戻してもらうことはできないそうです。必ず法的な手続きが必要になるとのこと。つまり、裁判をする必要があります。

具体的には、まず、家庭裁判所に「婚姻無効確認調停」を申し立てます。
この調停での話し合いによって、勝手に婚姻届を出した方が自分の非を認め、結婚を白紙に戻すことに同意すれば、それを元に裁判所が審判という形で婚姻が無効であることを確認します。

相手が同意せず、話がまとまらない場合には、加えて「婚姻無効確認訴訟」を提起する必要があるそうです。
裁判では、例えば相手がこれまで全く面識のない人であることや婚姻届の署名欄にある署名・捺印が自分のものではないことを証明するなどして、自分に相手との婚姻意思がないことを主張・立証する必要があるとのことです。

審判、または判決を取得したら、その謄本を添付して、判決の確定から1か月以内に役所へ戸籍の訂正を申請する必要があるそうです。

婚姻届の不正提出は犯罪!罰則は?

また、婚姻届を勝手に提出することは、当然罪に問われ得ます。
他人に成りすまして勝手に署名などを偽造、さらにその婚姻届を提出して役所に受理させた場合、有印私文書偽造・同行使罪(刑法第159条・第161条)、電磁的公正証書原本不実記録罪(刑法第157条)に該当するそうです。有印私文書偽造・同行使罪の法定刑は、いずれも3ヶ月以上5年以下の懲役、電磁的公正証書原本不実記録罪の法定刑は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

婚姻届が勝手に出されるのを防ぐための対策

婚姻届を勝手に出されないようにするための対策としては、あらかじめ、役所に「婚姻届不受理申出書」を出しておく方法があるそうですが、そもそも心当たりがなければ不受理申出をしようとも考えないため、なかなか難しいとのことでした。

もし、こういったトラブルに巻き込まれた場合には、ぜひお早めに弁護士にご相談くださいね。
弁護士法人・響でもご相談を受け付けています。
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