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2023.9.21放送

第242回

若い夫婦で増加中?ペーパー離婚とは?

テーブル上の離婚届けに判を押しピースして、ペーパー離婚を表現する島田秀平さんと古藤由佳弁護士

明後日9月23日は「秋分の日」ですね!昼と夜の長さがほぼ同じになり、夜が長い秋冬へと向かう境の日でもありますが、同時に、祖先を敬い亡くなった人を偲ぶ日でもあります。お彼岸でもありますから、家族でお墓参りに行くのもいいかもしれませんね!

さて、実は最近、「ペーパー離婚」という離婚をする夫婦が増えているそうです。ペーパー離婚の背景には様々な事情があるようですが、そもそも「ペーパー離婚」という言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。第242回の放送では、「ペーパー離婚」について、古藤先生に詳しく解説していただきました。

ペーパー離婚のメリット・デメリットは?

古藤先生によると、「ペーパー離婚」とは、法律婚をしている夫婦が、事実婚(内縁)の状態にするために離婚届を提出することを言うそうです。法律的には離婚して姓を変えますが、生活は今までどおり何も変わらず、戸籍上のみの離婚であることから「ペーパー離婚」と呼ばれているのだそう。

生活は変わらないにもかかわらず離婚届けを出す理由としては、一つに、「夫婦別姓にするため」ということがあるそうです。夫婦がお互いに仕事をしている場合、特に女性が仕事上で旧姓を使い続けることを望んでいたり自分の旧姓に思い入れがあったりして、もう一度旧姓を名乗るためにペーパー離婚をするというケースがあるそうです。また、結婚した後も妻や母としてだけでなく、自分が自分らしくいられるためにどうしたら良いかを考えた結果、ペーパー離婚をして姓を旧姓に戻すという選択をする人もいるそうです。
男女平等やジェンダーレス、多様性が何かと取り沙汰される時代ですが、現在でも、結婚して姓を変えるのは女性が約95%と圧倒的に多くなっています。女性の経済的自立や社会進出が進む現代では、これまでの法律の規定が馴染まないと考える人も増えているようです。

夫婦別姓の実現以外のペーパー離婚による変化としては、「民法上の拘束から解放される」ということがあるそうです。法律上で夫婦になると、お互いに対する責任や、同居・協力・扶助の義務などが発生します。それが嫌だという夫婦は、ペーパー離婚をすることで夫婦の縛りに悩まされなくなるため、これをメリットと考える人もいるようです。

逆に、ペーパー離婚のデメリットとして、一つには「姓を変更することによる手続きの負担」があるそうです。結婚で姓を変えると、免許証やクレジットカードなどの名前変更や、仕事をしていれば取引先への説明、名刺の刷り直しといった様々な手続きが必要になります。ペーパー離婚をすると姓が旧姓に戻るので、もう一度その手続きをしなければいけません。自分が希望したことであっても、手続きが多いと負担になってしまいますよね。

また、「相続」の面でもリスクがあるそうです。法律婚の場合、夫婦の片方が死亡すると、その配偶者には亡くなった人の財産を相続する“法定相続人”の権利が発生します。しかしペーパー離婚をした事実婚の状態では法定相続人にはなれないため、法的効果のある遺言書で配偶者から遺贈を受ける必要があるそうです。そして遺贈の金額によっては、他の法定相続人から遺留分減殺請求*をされるリスクもあるとのこと。わかりやすく言えば、遺産の取り分を巡って、他の相続人とトラブルになる可能性があるそうです。
(*遺留分減殺請求…法定相続分に応じて、法定相続人が最低限相続できる財産の割合を下回る相続財産しかもらえなかった相続人が、もらいすぎている人に対してお金の支払いなどを求めること)

その他、ペーパー離婚は形式上の離婚ではありますが、当然戸籍にはバツが付きます。そのため、周囲から理解を得るのが難しい可能性もあるそうです。 ペーパー離婚という言葉や形態自体がまだ社会に浸透していないため、説明が難しく、理解できないという人もいないとはいえません。また、子どもさんがいる場合、親が別々の姓というのは他の家庭から見て特殊に映ることもあるかもしれません。事情が分からない人に誤解される可能性がないとは言い切れませんから、子どもさんへのフォローなども必要になってきます。ペーパー離婚は、そういった点もしっかり考える必要があるそうです。

偽装離婚とペーパー離婚の違いとは?

昔からある「偽装離婚」という言葉も「ペーパー離婚」に近いイメージがありますが、古藤先生によると、偽装離婚とペーパー離婚の違いはその目的にあるそうです。
一般的に「偽装離婚」は公的手当の不正受給や、保育園への入園、脱税など、不当な経済的利益を目的としていて、「公正証書原本不実記載等罪」などの犯罪が成立し得るものを指すそうです。
一方「ペーパー離婚」は、結婚により姓を変えた者が旧姓に戻すためなど、違法目的ではない離婚を指すとのこと。ただし、当事者は「ペーパー離婚」のつもりであっても、偽装離婚に該当する行為をしてしまうと、民事や刑事、行政上のペナルティを課されてしまう恐れがあるため、気をつけなければならないそうです。

例えば、離婚したひとり親家庭の場合様々な「ひとり親手当」を申請することができますが、同居を続けて夫婦双方の収入で生活している場合に手当を申請すると、偽装離婚に該当してしまうそうです。また、離婚後に自己破産をすると、財産隠し目的の偽装離婚だと疑われる可能性もあるとのことでした。実は一方に大きな借金があり、離婚の直後に破産に至るというようなことがあると、いらぬ疑いが生じることもあり得そうですね。
偽装離婚に該当したとしても、戸籍上の婚姻関係を解消しようという意思がある以上離婚は成立するそうですが、公正証書原本不実記載等罪に問われた場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるそうです。

このように、偽装離婚とみなされると重い罪を負う可能性があるため、もしペーパー離婚を考えている方は、弁護士に相談するとよいとのことでした。
ペーパー離婚をする場合、偽装離婚を疑われないための手続きの順番や、ペーパー離婚した後の相続問題に備えて遺言書を作成するなど、考えるべきことは多岐にわたりますが、弁護士であれば、全て一括して相談を受けられるそうです。ペーパー離婚のメリットとデメリットをしっかり理解しておくためにも、一度、専門家である弁護士に相談してみてくださいね!そのうえで、自分達にとって、一番良い夫婦関係を見つけられると良いのではないでしょうか!

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