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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

弁護士法人・響の古藤由佳弁護士と
手相芸人の島田秀平氏が
様々なトラブルや
法律について、わかりやすく解説する番組!

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2022.6.30放送

第178回

お店の独自ルール、法的にはどこまで有効?

「ラーメン大盛食べ切りましょう」と書かれた紙を持った島田秀平さんと古藤由佳弁護士

放送日の6月30日は「ハーフタイム・デー」。今年もいよいよ半分が終わってしまいました!振り返ってみると、非常に充実していた半年間だったという古藤先生。特に、弁護士法人・響には最近8名の新人弁護士が加わり、フレッシュなエネルギーで満ち満ちているそうです!古藤先生も新人弁護士さんを指導されるそうですが、「ドラマみたいな華やかなお仕事ばかりではありませんが、やりがいを感じられることは確実にある仕事なので、苦しくても一緒に頑張っていきたいと思っています。」と話される姿がとっても素敵でした!
弁護士法人・響にはそんな素敵な弁護士さんがたくさんいらっしゃいますから、困ったことがあったらぜひお気軽にご相談くださいね!

さて、今年4月、大阪にある人気ラーメン店「ラーメン工藤」が、「大ラーメンを注文するお客様には¥10,000お預かりします。完食後返金します。」とSNSで宣言し、話題となりました。店主によると、「食べられる分だけを注文してほしい」「注文した飲食物はできればすべて食べてほしい」と、冷やかし注文を減らしたいという思いから実施を決めたとのことですが、SNSでは、「やりすぎでは」などの声も挙がっていたようです。
とはいえ、ラーメン工藤に限らず、飲食店には様々な独自のルールを設けているお店がたくさんありますよね。そこで、第178回の放送では、「お店が独自に決めたルールは、どこまで法的に有効なのか」について、古藤先生に詳しく解説して頂きました。

古藤先生によると、民法では、契約の際に債務不履行(契約違反)があった場合の損害賠償額を、あらかじめ当事者間で「損害賠償額の予定」として決めることができるそうです。決めた場合には、損害の額に関わらず、原則として決めていた額を請求することができます。そのため、ラーメン工藤の「完食できなかったら預かった1万円を没収する」というルール自体は、法的に有効となるそうです。
ただし、「損害賠償額の予定」は絶対のものではないとのこと。
今回のラーメン工藤の場合、880円というラーメン代に比べて、1万円は10倍以上の金額になります。これはあまりにもかけ離れた金額のため、1万円全額が認められる可能性は低いとのことでした。
基本的に、常識の範囲内の金額であれば法的にも有効ですが、あまりに無茶な金額は認められない可能性が高いんですね。

似たようなケースでは、「大食いチャレンジに成功したら無料!ただし、失敗したら罰金」というサービスを提供しているお店もあります。
民法では「契約自由の原則」があり、客がルールを理解して、合意した上での契約であれば、法的には有効となるそうです。
ただしこちらも、罰金の額が100万円など高額な場合には、ラーメン工藤のルールの時と同じように、法外な金額であるとして全額が認められる可能性は低いとのことでした。

また、食べ放題のお店には、「食べ残しがあった場合には、○○円の罰金を頂きます」というルールを設けているところもあります。明らかに食べきれない量を注文するのは当然良くありませんが、口に合わずに残してしまうということはありそうですよね。
古藤先生によると、罰金の金額が合理的な金額であれば、法律には抵触しないため、ルールに同意した上での注文の場合、罰金を支払わなければならない可能性が高いそうです。“合理的な金額”の基準は、食べ物の提供価格やその原価に応じて決まってくるとのこと。つまりこちらも、法外な金額でなければ、お店のルールは有効となるそうです。

また、食べ放題の性質上、客にとって食べることは権利ではありますが、食べきれないであろう量を注文することでお店の営業を邪魔したり、他の客が食べる機会を奪ってしまうような行為をしたりといった場合には、不法行為<「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」(民法第709条)>に該当するため、損害賠償請求の対象となる可能性があるそうです。
その為、仮にお店が罰金のルールを設けていなくても、食べ残しがひどい場合には損害賠償請求の対象になる可能性があるとのこと。食べ放題では、食べられる分だけを注文するようにしましょう!

そしてこれらのルールの他にも、飲食店について度々話題にあがるのが、予約のキャンセル料です。
古藤先生によると、飲食店の予約と言っても、法律的には、客が予約をした時点で、店との間には契約が成立しているそうです。そのため、客が店との契約を一方的に破って店に損害を与えた以上、法的には、店は客に損害賠償を請求することができるそうです。
さらに、最初からドタキャンするつもりで大量の予約をしてドタキャンをした、というような悪質なケースでは、偽計業務妨害罪という犯罪も成立するため、当然ではありますが、悪意のあるドタキャンは絶対にしないでください、とのことでした。

こうしてみると、飲食店のルールは、基本的には法的にも有効なものが多いようです。美味しく楽しく食べるためにも、お店のルールはしっかりと守りましょうね!

もし、日常で「これって法律的に問題ないんですか?」などという疑問がありましたら、是非番組宛てにメールを送ってくださいね!
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