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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2023.3.2放送

第213回

お店への迷惑行為は犯罪!?その代償とは!

レトルトカレーは湯銭派?レンチン派?を問いかける島田秀平さんと古藤由佳弁護士

放送日は「ご当地レトルトカレーの日」でした!理由は島田さんが解説してくださいましたよ。
1月22日が「カレーの日」、2月12日が「レトルトカレーの日」だったため、1月・2月に続けて「3月」、さらに22日・12日に続けて「2日」にしようということで、 3月2日が「ご当地レトルトカレーの日」になったのだとか。
カレーに直接関係する由来ではないのが意外ですが…皆さま理解できましたでしょうか?(笑)古藤先生も解説を聞いて笑っていらっしゃいましたが、オープニングではその後も、レトルトカレーの調理は湯煎?電子レンジ?などカレートークで盛り上がりました!最近では色々な種類のカレーがあって食べる楽しみも増えましたよね!

さて、家での食事はもちろん、外食も食の楽しみですが、度々残念なニュースが話題になることもありますね。
今年1月、ある男性客が回転寿司チェーン「スシロー」で卓上の醤油さしや湯呑みを舐め回して元に戻し、唾をつけた指でレーン上の寿司に触れるという内容の動画がSNS上で拡散され、批判が殺到しました。この迷惑行為について、「スシロー」を運営するあきんどスシローは、「刑事・民事の両面から厳正に対処してまいります」と公式サイトで発表。外食チェーン店ではこの件以外にも、「人の注文した寿司」を横取りして食べる動画や、客が共用のスプーンを口に入れる動画などがSNS上で拡散し、大きな問題になっているようです。そこで、第213回の放送では「飲食店での迷惑行為とその代償」について、古藤先生に詳しく解説していただきました。

 

共有のモノへの迷惑行為!どのような罪に問われる?

共有のモノへの迷惑行為は、「決してイタズラや迷惑行為といった軽いものではなく、犯罪です」と、古藤先生は仰っていました。

共有のモノへの迷惑行為は、まず、「業務妨害罪」に問われる可能性があるそうです。
業務妨害罪にはいくつか類型があり、今回の「スシロー」の件は店側に隠れて行われた行為であるため、「偽計業務妨害罪」にあたるものと考えられるとのこと。
お店としては、迷惑行為によって共有物の取替作業や回収作業という、本来なら不要な作業に時間を割くことになります。それによって商品の提供、その他の通常業務に遅れを生じさせる危険性があるため、業務を妨害したことになるそうです。業務妨害罪に該当すると、罰則として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、共有のモノへの迷惑行為は「器物損壊罪」にも問われる可能性があるそうです。
古藤先生によると、「器物損壊罪」の「損壊」は、物理的に使用不可能な状態にする行為だけではなく、精神的に使用不可能な状態にする行為も含むそうです。
例えば、他人の唾がついた醤油さしや湯飲みは使いたくないと思いますよね。このように、精神的に使用不可能にする行為、買い替えが必要になる行為も器物損壊罪に該当する可能性があるとのことでした。器物損壊罪に該当すると、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料に処される可能性があります。

さらに民事では、「偽計業務妨害罪」「器物損壊罪」に該当する行為でお店に損害を与えたとして、損害賠償を請求される可能性があるそうです。
飲食店での迷惑行為の場合、備品の交換費用、清掃・消毒費用や人件費などを合算して、損害賠償の請求金額が決まるそうです。さらに、迷惑行為の動画が拡散したことにより客足が減ったという因果関係を証明できれば、かかった経費に加えて、売上減少分が損害として認められる可能性があるとのことでした。

 

未成年の場合どのような処分が下される?投稿者、拡散者の責任は?

今回の「スシロー」の件のように、行為者が未成年の場合は少年事件になるため、家庭裁判所の少年審判で処分が決定するそうです。少年審判の結果、少年院送致や保護観察といった指導的な保護処分になるか、家庭裁判所が刑事処分が妥当と判断した場合には事件が検察官に送られ、刑事裁判の後、罰則が科されることになるそうです。また、民事では未成年であっても損害賠償を請求される可能性があるそうです。

また、今回のように動画が拡散したことによって大きな問題となった場合、迷惑行為を行った本人だけでなく、迷惑行為を撮影したり、SNSへ投稿・拡散した撮影者・投稿者も、行為を行った本人と同罪とされる可能性があるとのことでした。
今回の「スシロー」の件でも岐阜県警が捜査を行っており、動画の撮影者と、SNS上で最初に動画を拡散させた知人とみられる関係者も含め、計数人を書類送検する方針を示したという報道がありましたね。

 

過去にも問題となっている迷惑行為!繰り返さないためには?

飲食店での客や従業員による迷惑行為は、これまでも度々話題になっています。
2013年には、蕎麦屋のアルバイト従業員が洗浄機に入る写真をSNSに投稿した結果、その蕎麦屋が倒産してしまったケースがありました。この件では、倒産した蕎麦屋が、アルバイト従業員に対し、1,385万円を請求する民事訴訟を起こしています 。
今回被害者となった「スシロー」は全国展開するチェーン店であるため、一つの店舗だけではなく、企業自体の評判を下げ、全店舗の売り上げが大きく下がるといったことも考えられるそうです。そうした場合、損害賠償で請求される金額は、数千万から数億円といった莫大な金額になる可能性もあると、古藤先生は仰っていました。

ちょっとしたイタズラのつもりが、多くの人の人生を狂わせることにもなりかねません。同じようなことが繰り返されないために、決して軽い気持ちで犯罪に加担しないよう、気を付けて頂ければと願います。
美味しく楽しい食事をするために、ルールはしっかりと守っていきましょう!


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