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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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様々なトラブルや
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2021.4.15放送

第115回

そのコスプレ、気をつけないと著作権法違反になるかも!?

ディズニーランドにまつわる都市伝説を紹介する島田秀平さんと笑顔の澁谷望弁護士

今回も、弁護士法人・響の弁護士、澁谷 望(しぶたに のぞむ)先生にお越しいただきました! 本日4月15日は、38年前の1983年、千葉県浦安市に東京ディズニーランドが開園した日だそうです。澁谷先生も思わず「へぇ~!」となった島田さんのディズニーランドに関する都市伝説…聴き逃した方はぜひradikoのタイムフリーで!

さて、今年1月、アニメや漫画のキャラクターに扮する「コスプレ」をめぐり、未然に著作権トラブルを防ぐため、政府がルール整備に乗り出したというニュースが報じられました。そのニュースを受け、ネット上では「コスプレ文化が衰退する」といった不安が広がったようです。
井上クールジャパン戦略担当相によると、このルール整備はあくまでも「コスプレ文化をさらに盛り上げていくために、法的問題が生じないための方策」とのことですが、そもそもコスプレは著作権法違反なのでしょうか?
そこで第115回はコスプレに関する著作権について澁谷先生に詳しく解説していただきました。

澁谷先生によると、実は著作権法に問われればアウトになるコスプレは現在もあるとのこと。
例えば、人気キャラにかなりそっくりな着ぐるみを作成し、着用する場合、キャラクターのデザインは著作物なので、著作権があります。着ぐるみを作成すると立体的複製と捉えられ、理論上は著作権侵害にあたり、法的には複製権や翻案権に触れてしまう可能性があります。また、メイクだとしても衣装やメイクが「そのキャラ」と十分わかるようなコスプレの場合は、単に「誰だかわかる」「ありふれた要素が似ている」というだけではなく、オリジナルキャラの「特徴的な表現」をどこまで再現しているかで、著作権侵害かどうか決まるとのことです。
ただ、現在の著作権法には、私的複製・私的翻案という例外規定があるため、あくまで個人が楽しむためにコスプレ衣装を自作するようなケースは、いくら精巧につくられていたとしても法的には問題ありません。

しかし、気を付けたいのがコスプレをSNSなどにアップする行為です。
写真や動画をネットに投稿すれば「公衆送信」にあたります。私的な複製は許されますが、「私的な公衆送信」という例外規定はありませんので、著作権侵害と判断される可能性が高いです。また配信するためにサーバーに複製するのはそもそも私的複製の範囲とは言えないため、「特徴的な表現」が十分似ているコスプレであれば、理論上は著作権侵害と判断される可能性があります。
また、撮影会なども同様で、イベントとして人に見せることが目的となってしまうため、著作権侵害に当たる可能性が高いとのことです。

しかし、著作権侵害は、刑事罰はあるものの、原則としては「親告罪」です。つまり、権利者が悪質だと思って刑事告訴しなければ、起訴・処罰はされません。また、民事上も権利者が損害賠償請求をしなければ責任を問われることもありません。
また、コスプレが広告宣伝の役割を果たしている場合もあります。作品自体の人気につながることもありますし、逆に訴えることでマイナスイメージがついてしまうことを恐れる作家さんもいらっしゃるようです。
今までコスプレで訴えられたといった話をあまり聞いたことがないように思いますが、これは上記の理由などから権利者が「見て見ぬふり」をしてくれていたことが大きいですね。

今後コスプレに関してもいろいろと法整備がなされることが予想されますが、
みなさんも最低限の著作権に関する法律の知識を持ってコスプレを楽しみましょう!