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2022.2.17放送

第159回

『RT』『いいね』で名誉毀損!?軽はずみのワンクリックで賠償命令も!

ディレクターの古藤由佳弁護士とラジオMCの島田秀平さん

放送日の2月17日は「天使のささやき記念日」でした!「天使のささやき」とは、凍った空気中の水蒸気に太陽の光が当たることでキラキラと光る「ダイヤモンドダスト」という現象のことですが、天使と言えば、やはり子どもたちではないでしょうか。島田さんは、お子さんを保育園に送った時に「パパはやくむかえにきてね」と言われてたまらなかったそうですよ!本当にかわいいですね…!古藤先生も年の離れたいとこが、耳元で「あいうえお」と50音を読んでくれた時には、天使のささやきに感じましたとお話しされていました。子どもたちは本当に元気をくれますよね!

さて、第159回の放送では、「その『リツイート』『いいね』は大丈夫!?軽はずみのワンクリックで賠償命令も!」というテーマで古藤先生に詳しくお話を伺いました。

Twitterのリツイートで賠償命令!?

ツイッター(*2023年7月以降「X」)の投稿で名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが起こした訴訟で、2021年11月30日、東京地裁は、被告の漫画家・はすみとしこさんら3人全員に賠償を命じる判決を言い渡しました。はすみさん以外の2人は、はすみさんの投稿をリツイートした人でした。

投稿した本人だけでなく、リツイートでも賠償命令が出たことで、驚いた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
古藤先生によると、今回の訴訟で注目すべきは、やはりリツイートについての判断とのことです。判決では、元ツイートと異なる立場であれば「批判的ないし中立的なコメントを付すことが通常」として、特段の事情が認められない限り、リツイートは「元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為」との判断が示されたようです。古藤先生は、「リツイートの性質について分析的に考えるとその通りですが、SNS上で日常的に行われていることについて重大な判断があったので少し驚きはありました。」と仰っていました。

リツイート・いいねは名誉毀損になる?法的位置づけは

そこで、改めて『リツイート』や『いいね』の法的な位置付けについても解説して頂きました。

まず、今回の判決は『名誉を毀損するツイートのリツイートは、原則として元ツイートへの賛同である』とする規範を定立したと考えられるそうです。そのため、最初に書き込んだ人だけでなくリツイートをした人も、リツイートすることで改めて自分が発信したことになり、犯罪として成立する可能性があるそうです。
さらに、元のツイートに同調するようなコメントを付けてリツイートした場合には、最初に書き込んだ人より重い罪になることも考えられるとのことです。これは、同調するコメントを付けないリツイートよりも、悪質性の高い行為になりやすいためだそうです。
「みんなに教えてあげよう」と軽い気持ちでリツイートしても犯罪になると考えた方がいいとのことでした。

名誉毀損には刑事罰があり、名誉毀損罪の罰則は、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金です。気軽にやってしまいがちな行為の罪としては重いですよね。それに加えて、民事訴訟で慰謝料を請求される可能性もあるそうです。リツイートくらい、と甘く考えてはいけないですね。

リツイートで著作権侵害の可能性も

またリツイートに関して、名誉毀損以外の注意点についても伺ったところ、リツイートしたものが著作権侵害に当たるケースもあるため、注意が必要とのことです。
例えば、著作権者に無断でリツイートされたものが拡散し、その過程で少しでも著作物が加工されれば、著作者人格権侵害になるそうです。著作者人格権侵害の場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。
リツイートするときには、本当にリツイートしていいものかどうか、自己責任でしっかりと判断することが大切ですね!

リツイートを取り消しても名誉毀損は成立する?

もし後になってリツイートを削除した場合についても伺いました。古藤先生によると、リツイートして○○時間以上経ったら犯罪が成立するということではなく、「リツイートをしたという実行行為」の時点で名誉毀損罪が成立するため、犯罪の成否という意味では後でリツイートを削除するかどうかは関係ないそうです。とはいえ、更なる被害拡大を防ぐためにも、問題があると思うリツイートがあるなら、すぐに削除してくださいとのことでした。

『いいね』でも名誉毀損になる?

また、SNSでよく使う機能として“いいね”という機能がありますが、最初に紹介した伊藤詩織さんが起こした訴訟では、リツイートだけでなく、“いいね”についても争われています。伊藤詩織さんを中傷する投稿に、当時約11万人のフォロワーがいる衆議院の杉田水脈議員が“いいね”をしたことに対する訴訟です。これは、“いいね”で好感を宣明したことが、名誉感情侵害行為にあたるという主張で、3月に判決が予定されています。
“いいね”に関しては全く裁判例が無いため、今回の裁判でどのような判断が出されるのか、注目が集まっているそうです。

古藤先生のご意見を伺ったところ、「“いいね”は“リツイート”のように、『ツイートに賛成・賛同します』という意味を示す場合だけでなく、『読みました』という意味で押す場合もあるため、通常、犯罪にはならないのではないかと思うのですが、被害者にとって望ましくないツイートが他人のタイムラインに表示されるという点では、リツイートだけでなく“いいね”の機能にも一致する部分があるため、難しいところですね。」と仰っていました。

気軽に情報や意見を発信できるSNSですが、安易に“リツイート”や“いいね”をしてしまうと、思わぬ罪に問われることになりかねません。本当にリツイートしていいのか、いいねを押していいのかをしっかりと考えて、賢く楽しく使いたいですね!


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