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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2021.8.19放送

第133回

コロナの影響!?『カスハラ』が急増中!法的責任や対処法は?

自作の俳句を書いたボードを持つ古藤由佳弁護士と笑顔の島田秀平さん

今回も、弁護士法人・響の弁護士、古藤 由佳(ことう ゆか)先生にお越しいただきました!
8月も半ばを過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きますね。
8月19日は俳句の日でしたが、古藤先生は小学生の時に毎週俳句を作っていたそうで、当時のかわいらしい俳句(写真の俳句)をご紹介いただきました!

さて、現在、消費者や客の立場を利用して、企業に対して理不尽な要求や謝罪を強要するカスタマーハラスメント、「カスハラ」が急増しています。今一番被害を受けていると言われているのが、新型コロナウイルス用ワクチンの接種予約を受け付けるコールセンター。コールセンターの中には、連日電話がつながりにくい施設もあるため、イライラした電話主が感情的になってオペレーターに暴言を浴びせることも多く、オペレーターの中には病気になったり、退職に追い込まれたりする人もいるのだとか。
そこで、第133回は「コロナの影響!?『カスハラ』が急増中!法的責任や対処法は?」をテーマに古藤先生に解説していただきました。

相手の行為と損害の発生との因果関係を立証する必要はありますが、電話主の暴言などがきっかけで精神疾患を患ったり、退職に追い込まれるなどのカスハラの被害にあった場合、民事上の不法行為として損害賠償を請求することが可能です。過去に実際に裁判になって賠償金の支払いを命じられた事例もあるそうです。
また、あまりにもひどいケースになると、逮捕されることもあり得ます。
例えば、オペレーターが謝罪しているにも関わらず、それに満足できないからと言って「怒鳴る」「わざと物音を立てて威嚇する」などして執拗に迫った場合、相手を脅して恐怖を与えたことになり、『脅迫罪』として2年以下の懲役、または30万円以下の罰金に該当する可能性があります。
「こちらの言うことを聞かないと危害を加える」というような脅迫で無理やり要求を通そうとするなど、相手にとって義務ではないことを強要した場合には、『強要罪』として3年以下の懲役に当たる可能性もあります。

カスハラの被害にあってしまった場合、精神的負担を軽減するためにも弁護士などの代理人を通して対応することが望ましいですが、資金力や、情報・証拠収集の容易性を考えると、まずは会社に相談することも大切です。
会社は従業員に対して安全配慮義務を負っており、また従業員に対する損害はひいては会社の損害にもつながるため、カスハラによって最終的に会社にも損害が生じた場合には会社が加害者に対して責任追及をする可能性は十分に考えられます。
逆に、会社に相談してもまったく動いてくれない!という場合、被害の深刻さによっては、会社に対しても損害賠償請求できる可能性があります。
カスハラに対する企業の対応が社会通念上、許容される範囲を超えており、違法であるにも関わらず何もしてくれない場合には、オペレーターに対する民事上の不法行為として、会社には損害賠償責任が発生するそうです。

とはいえ、大きな問題になるまえに対策できるといいですよね。
簡単にできる対策としては、まず「通話内容を録音すること」が有効だそう。
通話記録は犯罪行為などの証拠となりますので必須ですし、オペレーターにつなぐ前に、「この会話は録音されます」といった音声ガイドを流すことで、電話主の横暴な行為を抑制する効果も期待できます。
他にも、一定の迷惑行為があった場合には躊躇せずに「警察に通報します」と宣言すること、会社として警察の連携を面倒ごととして処理しない雰囲気づくりをすることも大切とのことです。

もちろん、カスタマーセンターに問い合わせる側も気を付けたいですよね。
電話での問い合わせは相手の顔が見えませんし、オペレーターの方がとても丁寧に対応してくださるので、つい、何を言っても許されるような気持になることもあるかもしれません。
ですが、相手も生身の人間ですから、それぞれの立場を理解して、感情的になることなく、相手を思いやった言動を心がけたいですね。