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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2022.7.28放送

第182回

個人間のお金の貸し借りはここに要注意

スイカを食べる島田秀平さんと古藤由佳弁護士

夏休みに入り、近所から子どもたちの声が聞こえてくる季節となりました。
古藤先生が子どもの頃の夏休みは、おばあ様の家に親類一同集まって従兄弟達と遊んだり、家族で色々なところに出かけたりしたそうですよ!素敵ですね!
今年の夏は、去年よりは行動の幅も広がりそうではありますが、まだまだ油断できません。せっかくの夏ですから、感染対策をしっかりとして、夏休みを楽しんで頂きたいですね。
島田さんは怪談の季節ということで、あちこちから引っ張りだこのようです。是非こちらもチェックしてくださいね!

さて、夏休み前、7月の半ば頃からコロナの感染者数が再び増加傾向に転じましたね。今のところ、大きな行動制限などは出ていませんが、経済的な不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。また、コロナの影響による収入減少で金銭的に困っている親類や知人にお金を貸したという方もいらっしゃるかもしれません。そんな時、親しさから口約束のみで、借用書を作らないという場合もあると思います。その結果、「いつか返す」とはぐらかされたり、「返す」と言いながら全く返さなかったり、最悪の場合、音信不通になってしまうということもあるようです。
そこで、第182回の放送では、お金を返してもらえない時の対処法について、古藤先生に詳しく解説して頂きました。

親類や友人にお金を貸して約束通りに返してもらえない場合、借用書がなく、証拠もないからと諦めてしまう方も少なくないのではないでしょうか。しかし、古藤先生によると、借用書の作成をしていない口約束の場合でも、金銭の貸し借りに関する契約、つまり「金銭消費貸借契約」は有効だそうです。

金銭消費貸借契約を成立させるには、2つの条件が必要とのこと。
一つは、「友人との間で、“あなたが友人にお金を貸し、友人が借りたお金を返済するという合意 ” があること」
もう一つは、「“友人にお金を交付した事実”があること」です。
この2つの条件が揃えば、口約束であったとしても、金銭消費貸借契約は成立するそうです。
ただし、書面が無いとこの2つの立証が困難であることも確かです。
借用書は、この2つを証明する書類ですから、あるに越したことはないそうですが、証拠になるのは借用書だけではないそうです。
例えば、「お金を振り込んだことがわかる明細書」や、「貸したお金について返済を求めるメール」、「友人に返済意思があることが分かるメール」なども証拠になるそうです。メールやラインであれば、相手が消したとしても、こちら側が残していれば記録として残ります。
何について請求しているのかを明確にする必要があるため、複数回に亘って貸し付けがあるような場合には、貸した日や金額などが記載されていた方がよいそうです。

また、よく顔を合わせる人が相手で、口頭でのやり取りはあるけれど、メールなどは無いという場合には、「会話の録音」も証拠になるそうです。相手が「返済を延ばしてほしい」と言った場面などを録音しておけば、相手に返済意思があったこと、お金の貸し借りについて合意があったことの証明になるそうです。

さらに、証拠が揃っていてもお金を返してもらえない場合には、今後の関係性はさておくとして、裁判することも検討せざるを得ないとのことでした。裁判に勝てば、差押えなどの方法で強制的にお金を返してもらうことができるそうです。
ですが、何度催促しても返信すらない場合には、弁護士に相談するのがよいとのこと。裁判になる前に「弁護士に相談しました」というだけで、効果がありそうですよね。
ちなみに、貸したお金を返してもらえない時に警察に相談する方もいるようですが、実は刑法上、借りたお金を返さないこと自体を処罰する規定は無いそうです。そのため、お金を返さないことを理由に逮捕・起訴されることもありません。
もちろん、法律上、借りたお金を返す義務は当然あります。お金の貸し借りは民法上の金銭消費貸借契約に該当し、借りたお金を返さないことはその契約上の義務の不履行となるため、貸主としては債務不履行責任を求めることができるそうです。
しかし、警察は「民事不介入の原則」というものがあり、民事上の債務不履行責任については、刑法上の犯罪が成立しない限り、介入してくれないと言われているそうです。

とはいえ、「絶対に返すから!」と言うから貸したのに、それを返さないのは“詐欺”だと思う方もいらっしゃると思います。古藤先生によると、「借りた当初からお金を返す意思が全くないのに、返すと偽ってお金を借りる行為」については、詐欺罪が成立するそうですが、成立のポイントは、「借りた当初から返す意思がなかった」という点だそうです。つまり「当初は返す意思があった」場合には、詐欺罪は成立しないとのこと。
「借りた当初から返す意思があったか」ということは、借りた側にしかわからないことであり、その内心を立証することは極めて難しいとのことでした。

また、自分で何とかしたい場合でも、相手からお金を無理やり取り返すことは「自力救済の禁止」というルールに抵触してしまうため、法的な貸金回収手段を考える必要があるとのこと。
例えば、「裁判所に貸金の返還を求める民事訴訟を起こし、勝訴判決をもらって強制執行する」ことなどが挙げられます。また、「支払督促や少額訴訟といった手続きを利用する」ことで、通常の訴訟より時間もかからず、かつ費用も安く貸金の回収をすることが出来るそうです。
そうはいっても、こういった手続きを素人が一人で行うのは現実的ではありませんよね。手続きによってメリット・デメリットもあるため、適切な判断は、専門家である弁護士に相談するのがベストとのことでした。

お金の貸し借りに関するトラブルや、困ったこと、わからないことがあった時には、ぜひ弁護士法人・響へご相談ください。

 

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