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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

弁護士法人・響の古藤由佳弁護士と
手相芸人の島田秀平氏が
様々なトラブルや
法律について、わかりやすく解説する番組!

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2022.5.19放送

第172回

奨学金が返還できなくなったらどうする?救済制度はある?

ボクシングの日に古藤由佳弁護士に殴られる島田秀平さん(当たってない)

放送日の5月19日は「ボクシングの日」。古藤先生はボクシングはあまり詳しくないそうですが、様々な格闘家の名前を挙げてくださいました! 島田さんと古藤先生のお人柄が滲むオープニングトークは、ぜひラジオでお楽しみくださいね!
番組はradikoのタイムフリーで聴くことができます!

さて、この春から社会人になり、今まさに新生活を満喫している方も多いと思います。しかし同時に、「奨学金」に関する不安を抱えている方も多いそうです。
大学など、学校に通うために借りる奨学金は、学費が準備できない人にとってとても助かる制度ですが、学校を卒業すれば、返還しなければなりません。奨学金の利用状況によっては、数百万円単位を背負うことになるため、返還困難な若者も多く、問題になっています。
そこで、第172回の放送では、奨学金を返還出来なくなったらどうなるのか、またどうすべきなのかを、古藤先生に詳しく解説して頂きました。

奨学金は、あくまでも奨学金と言う名前の「借金」です。
奨学金の返還を期日までにしないと、奨学金の元金と利息とは別に、延滞金が発生します。そのため、奨学金の滞納が続くと延滞金も膨らんでいき、ますます返すのが難しくなってしまうそうです。
さらに、奨学金の滞納が3ヶ月を超えると、「信用情報機関」、いわゆるブラックリストに登録されます。一度信用情報機関に情報が登録されると、数年は新たな借り入れをすることは難しくなりますから、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが出来なくなります。
その後も滞納が続けば、債権回収業務が民間の会社に委託され、奨学金残額を一括請求されます。
これを無視すると、「支払督促」という裁判所を通した手続きに移行し、更に、裁判所の手続きが確定した後も奨学金の支払いに応じないと給与や住宅などの差押えをされる可能性があるそうです。

とはいえ、新入社員の給料は高くないですから、親元を離れ一人暮らしなどをしていると、余裕がないという方も少なくないですよね。
どうしても返還が苦しい場合の救済制度についても伺いました。

奨学金の返還が苦しく、今後の支払いが難しい場合は、奨学金を借りている機関に連絡し、相談することで、次のような制度を利用できる可能性があるそうです。
それぞれ必要な提出書類などがあるそうなので、詳しくは奨学金相談センターにお問い合わせください。

本人死亡や精神・身体障害による返還免除

本人が死亡し、返還が出来なくなった場合や、精神・身体の障害により労働能力を失ったり、労働に制限がかかり、返還が出来なくなった場合、返還未済額の全部又は一部の返還を免除する制度。


返還期限猶予制度

返還する意思はあるのに出来なくなってしまった時、奨学金返還を一時的に中断することが出来る制度。例えば、日本学生支援機構の猶予制度は、最大で10年間、1回の申請で12か月まで返還を待ってもらうことが可能。


減額返還制度

返還期間を延長する代わりに、月々の返還額を減らすことが出来る制度。
月々の返還が2分の1から3分の1になり、返還期間は元の期間の2~3倍に延長できる。

また、奨学金を借りながら現在学校に通っている人は、就職先の企業による制度を検討することも一つの方法だそうです。学生の集客が難しかったり、離職率を下げ、優秀な人材を確保したい企業の中には、奨学金に関する制度を設けている企業もあります。

奨学金返還支援制度(代理返還制度)

学生の時に貸与型奨学金を利用した社員に対し、奨学金返還を支援する制度。
支援方法は大きく二つの方法がある。

①会社の規定範囲内の金額を、毎月の給与に上乗せして支給したり、代理返済してくれる。

②奨学金返済のために一定額を会社が貸し付け、勤続年数が基準に達した場合にその貸付金の返還義務がなくなる。

まだ学生の方は、就職活動の時に、奨学金に関する取り組みをしている企業から選ぶこともできるんですね。ただし、あまりそこにこだわりすぎると、就職先の幅が狭くなってしまいますし、一定の期間勤務することを条件に会社からお金を借りて奨学金を返済したにも関わらず、途中で転職や退職をすると、一括で会社に返済しなければならなくなる可能性があるなど、デメリットもあるため、注意が必要とのことでした。

もし、そういった制度が利用できなかったり、利用しても返還が厳しくなってしまった場合には、債務整理という手続きを検討する必要があります。
債務整理というと、消費者金融や銀行などからの借金を思い浮かべると思いますが、奨学金も同様に債務整理の対象となるそうです。債務整理には主に、任意整理・個人再生・自己破産の3つの種類がありますが、奨学金には保証人がついていること、貸金業者のように利率の高い貸付ではないことなどから、債務整理においても考慮が必要とのこと。どの手続きが相談者の方にとってベストなのかは、奨学金以外の借り入れ状況などによっても変わってくるとのことですので、一人で悩まず、まずは一度弁護士にご相談ください。

奨学金や借金に関して不安なことがある場合は、お早めに弁護士にご相談ください。
ご相談は、弁護士法人・響まで!