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島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2022.10.6放送

第192回

危険なコンビニワープは絶対にやめて!

紅葉狩りを楽しむ島田秀平さんと古藤由佳弁護士

10月に入り、秋の気配が少しずつ濃くなっていきますね。
古藤先生は日光東照宮に行かれて、奥宮にある徳川家康の墓に感銘を受けられたそうです。
島田さんによると、今年は徳川家康が生まれたのと同じ「壬寅」年で、徳川家康に縁の場所は開運にも良いのだとか。日光の秋は紅葉も美しいですから、機会があればぜひ秋のドライブの目的地として訪ねてみてくださいね!

さて、秋の行楽シーズンに車で出掛けるという方も少なくないと思います。
第192回の放送では、車の運転中、交差点で見かけることがある「コンビニワープ」と呼ばれる行為とその危険性について、古藤先生に詳しく解説して頂きました。

 

危険なコンビニワープ!

皆さまは、「コンビニワープ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
通常、車は目の前の信号機に従わなければならないと法律で決められています。信号機が赤なら当然停止しないといけません。しかし、信号機の直前にある角地のコンビニなどに寄る際、信号機の停止線の前であればそのままコンビニの駐車場に入ることが可能です。その後、交差点で右左折を予定していた場合は、そのまま先の道路に出ていくことができます。

「コンビニワープ」とは、コンビニに寄る目的ではなく、ショートカット目的でコンビニの駐車場を通過、右左折し、最短距離で道路に出ていくことをいうそうです。コンビニ駐車場を経由することで、信号を使用せずに右左折することが可能になります。
実は今、この「コンビニワープ」が多くの地域で社会問題となっているそうです。
コンビニに限らず、交差点の角地にあるスーパーやガソリンスタンド、ファミリーレストランなど、比較的広い駐車場や施設も、ショートカット目的で使われているとのこと。

古藤先生からは、施設にとって迷惑なのはもちろん、この「コンビニワープ」は大変危険な行為であるため、絶対にやめてくださいとの強いお言葉がありました。

コンビニワープをしようとする車は通過することだけを目的に駐車場に入るため、安全確認や減速が不十分で、歩行者や他の車に危険を及ぼす可能性があるとのこと。実際に、2020年3月には、大分県の飲食店の駐車場で3歳の女児が軽トラックに撥ねられて死亡するという痛ましい事故も起きているそうです。

 

コンビニワープで問われる違反行為

古藤先生によると、コンビニワープを「公道からコンビニ駐車場に進入する行為」と、それに続く「コンビニ駐車場から公道へ出る行為」と考えた場合に2つの点で違反に問われる可能性があるそうです。

①建造物侵入罪

駐車場は施設の私有地であるため、あくまでも“施設の利用者にだけ”駐車場への進入が許可されていると考えられるそうです。さらに、その駐車場がコンビニ店舗に隣接している場合は、駐車場も「建造物」に含まれます。
コンビニワープを目的に駐車場に入ることは、施設の意思に反する行為といえるため、「建造物侵入罪」が成立する可能性があるそうです。たとえば、コンビニ側が『コンビニ利用者以外の駐車場利用はお断りします』といった看板などで警告していた場合、建造物侵入罪が成立する可能性はより高まるということでした。
建造物侵入罪の罰則は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

②歩道等への進入時における一時停止義務違反

公道とコンビニ駐車場の間には、歩道や路側帯が設置されていることが通常です。公道から駐車場に入る場合も、逆に公道に出る場合も、道路交通法第17条2項により、「車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」と定められているそうです。
コンビニワープをする車は移動時間の短縮を図ることが目的であるため、駐車場を出入りする際に、歩道等の直前での一時停止を怠っていることが多いと考えられるとのこと。その場合、交通法第17条2項違反に当たる可能性があるということでした。
違反した場合には、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

 

コンビニワープがきっかけで事故が起きたら…!

古藤先生によると、過去の判例では、不特定多数の人や車両が自由に通行する場所であれば、そこが駐車場であっても「道路」とみなされるそうです。つまり、道路交通法の適用を受けることになります。そのため、駐車場で事故が起きた場合、人身事故であれば、過失運転致死傷罪などが適用されるそうです。
また、民事上、コンビニワープ中の事故であれば、通常起こりうる事故ではなく、被害者側も想定しえない事故のため、加害者側に重大な過失ありと判断される可能性があるそうです。

万が一、駐車場で事故に巻き込まれてしまった場合には、公道での事故と同じく、取るべき対処を取ることが大切とのこと。負傷者がいれば第一に負傷者の救護。警察への連絡。お互いの連絡先の確認。保険会社への連絡をするようにしましょう。
ただ、駐車場の事故は過失割合の判断が難しい場合もあるため、話し合いや裁判でうまく交渉・立証ができないと、もらえるはずの賠償金額が大幅に減ってしまうこともあるそうです。専門的な知識も必要になってくるため、弁護士への相談をおすすめしますとのことでした。

とはいえ、まずは事故を未然に防ぐためにも、コンビニワープは絶対にやめましょう!急がば回れという言葉もあるように、急いでいる時こそ安全で正しい交通ルールで運転することが大切ですね。

それでも万が一交通事故に巻き込まれた時には、弁護士法人・響までご相談ください。


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