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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2023.8.24放送

第238回

新たにできた撮影罪とは?

盗撮しようとする島田秀平さんにNGを出す古藤由佳弁護士

今夏も暑い日が続きますが、その暑さの中でも、即席ラーメンって無性に食べたくなる時がありますよね。世界初の即席ラーメンであるチキンラーメンをはじめ、様々な即席ラーメンがありますが、島田さんは上京した当時、先輩の家で「ポロ一食べる?」と聞かれたそうです。それが「サッポロ一番」のことだと知り感動したそうですが、それ以降、その先輩以外でそう呼ぶ人には出会ったことがないのだとか(笑)ですが、思わず言いたくなる「ぽろいち」の響きに、古藤先生も思わず笑みを零していらっしゃいましたよ。

さて、今年の夏は、大きな法改正もありました。7月13日、性犯罪に関する規定を見直す改正刑法などが施行され、性犯罪規定が厳罰化されました。強制性交罪などの名称を「不同意性交罪」に変更して処罰要件を明確化したほか、性的部位や下着を撮影する「性的姿態撮影罪」、わいせつ目的で16歳未満に金銭提供を約束するなどして手なずける「面会要求罪」が新設されています。また、性行為への同意を判断できるとみなす「性交同意年齢」は13歳から16歳へ引き上げられ、16歳未満への行為は同意の有無に関係なく処罰されることになりました。ただし、同年代の恋愛まで処罰されかねないとの懸念から、被害者が13~15歳の場合の処罰対象は被害者よりも5歳以上年上の相手とされています。
第238回の放送では、新たに設けられた「性的姿態撮影罪」について、古藤先生に詳しく解説していただきました。

盗撮を取り締まる性的姿態撮影罪とは?

古藤先生によると、これまでは「盗撮罪」という罪が存在しなかったため、盗撮の取り締まりには各都道府県の迷惑防止条例が適用されてきたそうです。しかし、スマホの普及により、盗撮件数が年々増加するなど問題が深刻化する中、全国一律で処罰する規定として「性的姿態撮影罪」(※以下「撮影罪」)が新設されたそうです。

撮影罪の対象となるのは、“人の性的姿態等を撮影する行為”だそうです。性的姿態等とは、「性器や臀部、胸部などの性的な体の部位」「性的な部位を隠すために着用している下着」「わいせつな行為や性交等がされている間の姿態」の3つを指し、例えば、電車内で下着を盗撮したり、性交中の様子を本人の同意なく撮影したりすると、撮影罪に該当するとのことでした。

撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑(従来の懲役刑又は禁固刑に該当)又は300万円以下の罰金」です。これまで盗撮は各都道府県の迷惑防止条例によって処罰されてきましたが、例えば、東京都迷惑防止条例における罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」でした。そのため、今回、撮影罪の新設により厳罰化されたといっていいそうです。

撮影罪を規定する法律には、盗撮画像を第三者に提供する「提供罪」、提供目的で保管する「保管罪」、盗撮画像だと認識した上で記録する「記録罪」といった、撮影以外の行為に対する処罰規定も設けられているそうです。罰則は次のようになっています。

「提供罪」…3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
「保管罪」…2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金
「記録罪」…3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

「提供罪」については、不特定多数の者へ提供したり、公然と陳列した場合には罰則が重くなり、「5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金又はその両方」が科せられるとのことでした。

また、撮影罪の対象は「盗撮」だけではないそうです。「盗撮罪」ではなく「撮影罪」とされているように、盗撮のように撮影された側が撮影に気付いていない場合だけでなく、撮影される側が性的な姿を撮影されたこと自体を認識していたとしても、その撮影に同意したとはいえない場合には、撮影罪として処罰されるそうです。“同意したとは言えない”状況についても具体的な状況が明文化され、「暴行・脅迫を用いる」ほか、「アルコール又は薬物を摂取させる」「拒絶するいとまを与えない」「睡眠や意識不明の状態にする」「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力を利用する」ことなどが該当するとのことでした。
もちろん、撮影される人が本人の自由な意思で撮影に同意している場合など、正当な理由があれば撮影しても処罰されることはないそうですが、撮影される人が16歳未満の場合には、たとえ撮影に同意があったとしても、撮影者が罪に問われる可能性があるそうです。13歳以上16歳未満の人の性的姿態等を撮影した場合には、相手と5歳以上年齢が離れていると処罰対象になるとのことでした。
その他、特定の行為や格好をわいせつなものではないと被害者に信じ込ませてその様子を撮影したり、「他の人には見せないから」など、嘘をついて性的姿態等を撮影した場合も処罰され、未遂であっても処罰の対象となるそうです。

大手中学受験塾「四谷大塚」の男性講師が盗撮で懲戒解雇になった事件など、盗撮に関する事件のニュースが度々報じられていますが、今回の厳罰化により、少しでも犯罪被害が減るよう願いたいですね。


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