身の回りで起こる、身近な法律問題を“ズバッと”解決!こんな事、弁護士に聴いて良いの?弁護士に頼むと高そう!などの疑問に親身になって答えるこの番組、今回も、弁護士法人・響の弁護士、澁谷 望(しぶたに のぞむ)先生にお越しいただきました!
さて、第117回のテーマは「来年4月施行を目指す少年法改正案とは?」でした。
2月19日、刑事手続き上は20歳未満を「少年」と扱いつつ、18~19歳を厳罰化することなどを柱とした少年法の改正案を閣議決定した、というニュースがありました。そこで今回は「少年法改正案」について澁谷先生に解説していただきました!
今回の改正では、大きく3つの改正ポイントがあります。
①18~19歳を「特定少年」と規定する
少年法の適用自体は20歳未満で変わらないのですが、民法の成人年齢が、来年4月より20歳から18歳に引き下がる関係で、18~19歳を「特定少年」と規定することとなりました。
②特定少年が検察官送致(逆送)される対象事件を拡大する
(全事件の家裁送致ルールは維持)
大人が刑事事件を起こした場合、検察官が起訴・不起訴を決めますが、少年事件においては家庭裁判所がそれを決めます。特定の事件のみ検察官送致(逆送)になることは変更ありませんが、特定少年が原則逆送となる事件に、殺人など「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」のほか、強盗や強制性交など「法定刑の下限が1年以上の懲役・禁錮に当たる罪」が対象事件として追加となりました。
③特定少年が起訴された場合は実名報道をすることが可能
尚、成人年齢は引き下げになりますが、20歳未満は少年という扱いは変わりません。法律によって守りたい目的・利益が違うため、例えばお酒やタバコは今まで通り20歳になってからと定められています。
今後、この少年法改正案の施行に向けては、国会の可決を経て交付、という流れとなります。
この少年法改正については凶悪犯罪の低年齢化などもあり長年議論はされてきましたが、改正反対の声も根強くあったようです。少年犯罪はメディアの報道などで取り上げられることも多く、世論調査でも7割以上の方が少年犯罪は増加の傾向にあると感じているようですが、実際は少子化ということなどもあり、少年の凶悪重大事件は減少しているんだそうです。
少年法について、まだまだ議論の余地がありそうですね。
澁谷先生は、「少年法は、少年には刑罰よりも教育のほうが再犯防止に役立つだろうという見解のもとで施行されているのにも関わらず、少年の対象の年齢が拡大されることで、対象となる少年・事件が増えます。教育よりも刑罰のほうが重要視されるため、少年の人生や人権はちゃんと守れるのでしょうか?」と意見を述べられました。
来年の4月以降、今回の法改正が少年犯罪にどんな影響を与えるのか、見守っていきたいですね。