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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2022.9.22放送

第190回

知らずに既婚者と付き合ってしまった!弁護士に相談すべき?

結婚指輪を見せる島田秀平さんと笑顔の古藤由佳弁護士

第190回の放送も、弁護士法人・響の古藤由佳先生と一緒にお届けしました。

婚活サービスの中でも、年々利用者数が増加しているマッチングアプリ。しかし中には、「相手が独身だと思って付き合ったのに実は既婚者だった」「離婚したと言っていたが実は離婚していなかった」など、意図せず不倫関係になってしまい、慰謝料を請求されてしまうケースが増えているそうです。
そこで今回は、交際相手が既婚者だと知らず、トラブルに巻き込まれた際の対処法について、古藤先生に詳しく解説して頂きました。

 

法律上“不倫”はどう扱われる?

古藤先生によると、不倫は法律上「不貞」と呼ばれ、違法だそうです。不貞の「貞」とは「貞操義務」を指し、簡単に言うと“結婚したら別の異性と性的関係を持ってはならないという義務”のこと。原則として、不倫のうちこの「不貞行為」にあたるものが「不法行為<人の権利を侵害する行為>」として慰謝料請求の対象となるそうです。(民法第709条)

極端に言えば、毎日会っていてお互いに好意があったとしても、性的関係を持たなければ法律上は“不貞”とはみなされません。逆に、お互いに好意がなく割り切った関係だったとしても、一度でも性的関係を持っていれば“不貞”とみなされ、慰謝料を請求される可能性があるそうです。

 

既婚者だと知らずに交際してしまった…対処法は?

不倫の慰謝料が発生するためには、不倫していることについての故意や過失が要求されるそうです。そのため、既婚者だとは知らず、知らないことについて過失もない場合は、慰謝料は一切発生しないとのこと。
ただ、「知らないことについて過失がない」とは、“相手に既婚者であることを匂わせる言動が全く無い”場合に限られるため、ケースとしてはほとんど無いそうです。
例えば、「指輪をしていたが結婚指輪だと思わなかった」、「携帯の待ち受けが子どもの写真だったが気に留めなかった」などの場合には、本当に結婚していることを知らなかったとしても、過失があるとされて損害賠償責任を負う可能性は十分にあるそうです。

もし、マッチングアプリで出会った相手が既婚者と知らずに付き合って、相手の配偶者から慰謝料を請求された場合、とにかく「相手が既婚者であるとは知らなかった」ということを主張・立証することが重要になるそうです。
そのための備えとして、「相手とのやり取りや、アプリ上での相手のプロフィールをスクリーンショットなどで保存しておくこと」が大切とのこと。例えば、「独身です」、「結婚相手募集中」などの記載や発言は、保存しておいた方がよいそうです。相手が既婚者だと知った時に、相手に騙されたという気持ちからLINE等のやりとりを削除してしまう人も少なくないそうですが、大切な証拠になりますから、削除せずにしっかりと保存しておきましょう。

しかし、そもそもマッチングアプリに登録している時点で、相手は未婚と認識して当然だと思う方もいらっしゃるかと思います。
古藤先生によると、例えば、登録時に独身であることを証明させるような婚活サイトなどであれば、「そこにいる人は独身であると信じることに過失はない」と言える可能性もあるそうですが、いわゆるマッチングアプリについてはそこまで厳格ではないため、万が一を考えておく必要があるということでした。

 

夫婦関係が破綻していれば不倫じゃない?

では、そもそも相手の夫婦関係がうまくいってなかった場合、慰謝料を払う必要はあるのでしょうか。
古藤先生によると、法律上、婚姻関係が破綻した後の不貞行為には、不法行為が成立しないとされているそうです。そのため、既婚者だと知っていたとしても、婚姻関係の破綻が明らかな場合、慰謝料は請求されないとのこと。
ただ、「婚姻関係の破綻」の立証は、かなりハードルが高いそうです。
仮に、一緒にいてもまったく喋らない、ご飯も寝るのも別々で、普段相手がどこで何をしているかも知らないという状況だったとしても、夫婦が同居している場合、何らかの生活家事の分担が継続していることがほとんどなのだそうです。そのため、同居している状態では婚姻関係の破綻は認められにくいとのこと。
つまり、婚姻関係の破綻が認められるためには、原則として、夫婦が別居していることが必要だそうです。別居していなくても婚姻関係の破綻が認められたというケースが全く無いわけではないそうですが、他に破綻を基礎づける様々な要素が認められる場合に限られるということでした。不貞相手が配偶者と同居している場合は、損害賠償責任を負う可能性が高いと思っておいた方が良いようですね。

 

既婚者だと騙していた相手から慰謝料を取りたい!

既婚者だということを隠していた相手から、慰謝料を取ることはできるのでしょうか。
古藤先生によると、相手に騙されていた場合、不貞相手の配偶者に支払う損害賠償金が低くなる可能性はあるそうです。
騙されていたことを理由に不貞相手から慰謝料を取る場合、例えば不貞相手と指輪を購入したり、結納を済ませたりと、結婚に向けて具体的な行動をしていた場合であれば婚約破棄されたとして損害賠償を請求できる可能性があるそうです。しかし、単に交際していたというだけの場合、損害賠償請求が認められないか、認められたとしてもそれほど高額にはならないケースが多いとのことでした。

 

不倫の慰謝料を請求されたら…!

もし不倫慰謝料を請求された場合は、まず弁護士に相談することが大切とのこと。古藤先生は、「絶対に自身で交渉するのは控えてください」と仰っていました。相手が弁護士を通して請求してきている場合、不用意な発言をすると後に不利に働き、慰謝料が高額になる危険性があるそうです。
騙されたあげく慰謝料も請求されるという最悪の状態にならないためにも、パートナー選びは慎重にすることが大切です。そして万が一の時はお早めに弁護士にご相談ください。
不倫のトラブルに巻き込まれた時のご相談も、弁護士法人・響まで。


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