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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

弁護士法人・響の古藤由佳弁護士と
手相芸人の島田秀平氏が
様々なトラブルや
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2023.6.15放送

第228回

知らないと思わぬトラブルに?落とし物に関する法律!

かおなしの真似をする島田秀平さんと千尋風な古藤由佳弁護士

放送日の6月15日は「スタジオジブリ設立の日」でした!38年前のこの日、東京の吉祥寺にて株式会社スタジオジブリが設立されたそうですよ!今も世界中で愛されているジブリ作品ですが、古藤先生も好きな作品がたくさんあるそうで、中でも「もののけ姫」は、好きすぎてセリフを書き起こした程だったとか!第一声はアシタカが「ヤックル!」と言うところから始まり、シーンの説明まで細かく書き起こされていたそうです!(笑)ちなみに島田さんは、お子さんが「となりのトトロ」にハマり、ここ半年で200回以上一緒に見られているそうです(笑)何度見ても心に刺さるシーンがたくさんありますよね!皆さまはどのジブリ作品がお好きですか?

さて、今年4月、43万円が入った財布を拾って警察に届け出たのに謝礼がないとして、大阪市に住む男性が、報労金の支払いを求めて大阪簡易裁判所に提訴したというニュースが話題となりました。落とし物を拾ってもらった時、その後の対応次第ではトラブルに発展してしまうケースがあるそうです。そこで、第228回の放送では、「落とし物に関する法律」について、古藤先生に詳しく解説していただきました。

落とし物を届けた時の謝礼の額は何割?

今回ニュースになった落とし物の訴訟事件では、原告の男性が警察署を通じて落とし主に電話番号を伝えていたにもかかわらず、お礼の連絡がなかったそうです。男性から連絡をしても「忙しい」とお礼もなく電話を切り、その後は一切の連絡に応じなかったとのこと。原告の男性は新聞社の取材に対し、「お金が欲しかったわけではなく、謝意を伝えてくれれば訴訟は起こさなかった」と説明し、落とし主の男性は「仕事が忙しくて対応できなかった。こんなことなら、早めにお礼を言えばよかった」と話したとのこと。この事件では、落とし主が報労金7万円を支払うことで和解が成立しています。

落とし物を届けた際の謝礼は拾った金額の1割、と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、古藤先生によると、「謝礼金1割」はあくまで相場であり、法律上は「1割」と定められている訳ではないそうです。落とし物を拾って、それを警察署などに届けた人には「遺失者(落とし主)に報労金を請求する権利」が発生します。この権利は、落とし主が判明した場合、落とし物の価値の5%から20%の間で遺失者からお礼を受けとることができる、と定められているのだそうです。
ただし、駅やデパート等の施設で拾った場合は、お礼は施設と拾い主両方に支払われることになるため、拾い主が受け取れる報労金は施設と折半となり、落とし物の価値の2.5%から10%になるとのことでした。

意外と知られていない?落とし物を届けた人に発生する3つの権利!

落とし物を拾い、警察署などに届けた人には、全部で次の3つの権利があるそうです。

1.謝礼をもらう権利
先述の通り、落とし主が見つかった場合に、法律に定められた範囲内で報労金を請求することができます。

2.3か月以内に遺失者(落とし主)が見つからなかった場合に、落とし物を自分のものにする権利
警察から「落とし主に返還する」という連絡がなかった場合には、拾い主が落とし物の所有権を取得するそうです。拾得物件預り書に記載されている引取期間内(2か月以内)に、警察に連絡をして受け取りに行くことができるとのこと。ただし、警察からは持ち主が見つからなかったことについての連絡はないため、自身で連絡をしなければそのまま落し物はそのまま警察署に保管され、引取期間を過ぎると、落とし物の所有権は都道府県に帰属することになるそうです。そのため、届け出た日を覚えておくことが大切とのことでした。また、法令の規定により、名義人以外の人が所持することを禁止されている物の所有権は取得できないそうです。例えば、クレジットカードや身分証明書、携帯電話機等、個人の情報が記録されているものや、そもそも法律上所持が禁止されている、刀や銃、覚せい剤などは所有権を取得することができません。

3.落とし物を届け出たり、保管するためにかかった費用を請求する権利
例えば、落とし物をタクシーで届けた場合であればタクシー代、また、落とし物が動物だった場合であれば、治療費や餌代等を、落とし主に対して請求することができるそうです。

上記の3つの権利を得るには、届け出るまでの期間にも注意が必要だそうです。外で落とし物を拾った場合は、拾った日から7日以内に警察署に届け出る必要があります。また、お店などの施設で管理者のいる場所で拾った場合は、24時間以内に施設に提出しなくてはならないそうです。期間内に落とし物を提出しなかった場合、権利が得られないとのことですから、落とし物を拾った時にはできるだけ早く届けるようにしたいですね。

落とし物を拾ってくれた人から謝礼を求められた場合、拒否はできる?

古藤先生によると、報労金を支払わなくてよいケースは、拾い主が落とし物の権利を放棄していた場合のみだそうです。落とし物を拾った時点で、拾い主には報労金を請求する権利が発生しているため、謝礼を求められた場合に拒否することはできないとのこと。また、謝礼の金額については、落とし主と拾い主の間で話し合い、落とし物の価値の5~20%の範囲内で決めることとなるそうです。拾い主が落としたものの20%以上の額を請求してきた場合は、落とし主は20%を超える部分の支払いを拒否することができるとのことでした。

とはいえ、今回話題になった事件のような結果になってしまっては、お互いに気分も晴れませんよね。落とし物を拾った・拾ってもらったの関係は気持ちよくありたいですし、無用なトラブルを避けるためにも、お礼の連絡はきちんとするようにしましょう。法律で決められた権利も大事ですが、人としてのマナーも大切にしたいですね!


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