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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2021.8.5放送

第131回

逮捕される可能性も!スポーツ観戦のマナーには要注意

外でアイスを食べる島田秀平さんと古藤由佳弁護士

今回も、弁護士法人・響の弁護士、古藤 由佳(ことう ゆか)先生にお越しいただきました!
8月に入り、連日暑い日が続いていますね。「夏らしいこと」というオープニングトークから始まりましたが、古藤先生は風鈴を出したとのことですよ(笑)

さて、今年の6月に世界最大の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」がフランスで開幕されました。その初日、集団の先頭付近を走っていた選手の一人が、沿道で女性が掲げていたプラカードにぶつかり転倒。後続の選手数十人が相次いで倒れる事故が発生しました。現地メディアによると、女性は事故後、現場から逃走しましたが、後に逮捕されるという事態になりました。そのニュースをうけて、第131回は「逮捕される可能性も!スポーツ観戦のマナーには要注意」をテーマに古藤先生に解説していただきました。

日本でも、マラソンを始め、沿道で応援するスポーツがいくつもあるため他人事ではありません。今回のツール・ド・フランスで起きたようなことが日本で起きた場合、刑事責任を問われる可能性は十分にあるとのことです。これはマラソン云々に関係なく、故意に選手や大会関係者に暴力をふるったということであれば傷害罪や暴行罪、『会場に物を投げ込んだ』など直接的でなくても意図的に競技を妨害すれば、威力業務妨害罪に該当する可能性があります。

スポーツ観戦で興奮してしまい、「自分の手が選手に当たってしまった」「思わずコースに出てしまい選手とぶつかった」のような故意ではない行為、いわゆる過失(不注意)による行為で選手に怪我をさせた場合には過失傷害罪、もし誤って死亡させてしまうと、過失致死罪に該当する可能性があります。
その際、周囲から見て明らかに犯罪と思われる行為の場合は、意図的であったかどうかにかかわらず、現行犯逮捕される可能性があります。また、その場から逃げてしまった場合は、警察から指名手配を受ける可能性もあります。

ただ、妨害行為を受けて選手の順位や成績が下がってしまった場合の精神的な被害や損害に関しては、妨害行為と精神的な損害の因果関係の証明が非常に難しく、「観客に妨害されなかったら、もっといい成績を残せた!」と誰もが認めるケースであっても、損害賠償が認められない可能性があるとのことです。

尚、主催者側であっても、妨害行為が容易にできるような不十分な管理体制だったなど、競技コースの管理に過失があった場合、主催者側は不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。
そのため、被害者である選手は、加害者と主催者側両方に損害賠償責任を求めることができる場合があります。その場合、民事上の損害賠償責任は、各行為者の行為や過失の結果への寄与度によって加害者と主催者が共同で負担するという形になります。

今年の夏はスポーツもアツいです!観戦中に興奮してしまう気持ちもわからなくはないですが、ちょっとした行為が大きな問題に発展する可能性も十分にあります。観戦中のマナーをしっかり守って応援しましょう!