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『 弁護士法人・響 Presents
島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相

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2023.4.13放送

第219回

SNSでの晒しは名誉毀損!?迷惑行為を晒すのもNG!

カフェで本を読む古藤由佳弁護士とサーブするカフェマスター島田秀平さん

放送日の4月13日は「喫茶店の日」でした。
古藤先生は、実はコーヒーが苦手なのだそう!そのため、仕事の打ち合わせで出されるコーヒーを「グッと飲む」というのが、仕事を始めて最初に身に付けたスキルだとお話しされていました(笑)一方の島田さんはコーヒーは飲めるそうですが、打ち合わせや取材が重なるとコーヒーを一日に5杯以上も飲むなんてこともあるそう。どれだけ美味しくてもそれだけ続けて飲むとなると1杯くらいは違うものを飲みたくなりそうですね!せっかく喫茶店の日ですから、みなさまも喫茶店やカフェでおいしくコーヒーを味わってみてはいかがでしょうか!

SNSで増加する迷惑行為動画…法的な問題は?

さて、ここ数年SNSでは公共の場で迷惑行為を行う人物を晒す投稿が増加していますよね。古藤先生も、SNSへの晒し投稿について取材を受けたことがあるそうですが、先日も男性が電車内で寝ている女性に痴漢行為を行う内容の動画がSNSで拡散され、物議を醸しました。その動画から男性の名前や勤務先、経歴、家族構成まで特定されたことで、ネット上では男性を非難する声だけでなく、「勤務先や家族構成まで特定するのはやりすぎ」「犯罪者にも人権はある」など賛否両論となっているようです。
第219回の放送では「SNSの晒し投稿」について古藤先生に詳しく解説していただきました。

電車内での迷惑行為を発見!撮影したら盗撮になる?

今回話題になった痴漢行為の動画のほかにも、乗客同士の喧嘩やトラブルを撮影した動画をSNS上で目にする機会は少なくないですよね。撮影対象が迷惑者とはいえ、本人の許可なく撮影することに法的問題がないのか気になるところですが、古藤先生によると、あくまで公の場であることを前提とした場合、撮影行為自体に法的な問題はないそうです。仮に顔が映っていても、公共の場で不特定多数の人が見られる状況である以上、法的にはプライバシーのない状態といえるとのことでした。

また、盗撮にも当たらないそうです。「盗撮」は各都道府県の迷惑防止条例軽犯罪法性的姿態撮影等処罰法(*2023年7月新設)などにより処罰される行為であり、問題となるのは多くの場合、“通常衣服で隠されている他人の体や下着”を撮影し又は撮影する目的でカメラを差し向けたりする行為だそうです。そのため、問題行動をしている人物を撮影する行為自体は、迷惑防止条例上の盗撮には当たらないと考えられるということでした。

無断で撮影した写真や動画をSNSに投稿!法的な問題は?

公共の場における無断撮影が盗撮に当たらないとしても、撮影した動画や写真をSNSやネットに投稿すると、違法行為に該当する場合があるそうです。

人物を正面から捉えていたり、撮影対象者の顔が分かる場合は、痴漢行為動画のように個人の特定につながる可能性があります。そのため、「プライバシー権・肖像権の侵害」が認められるケースが出てくるそうです。また、コメントでその人の名誉を毀損する内容のコメントを付け足すなどした場合は、「名誉毀損罪」に当たる可能性があり、その場合は罰則として、 3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されます。さらに、その人を蔑視するコメントを書き込んだ場合には、「侮辱罪」として1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科される可能性もあるそうです。

また、 迷惑行為の内容によっては被害者側も知られたくない場合があります。 動画や写真の公開の仕方によっては、痴漢行為の被害に遭ったことを公開されたことで二次被害を受けた、精神的苦痛を受けたとして、痴漢行為の被害者から慰謝料を請求される可能性もあるそうです。

個人情報をネットに書き込むと犯罪になる可能性も…

今回の痴漢行為の動画では、投稿された動画や写真を元に個人情報を調べられ、名前や職場などをネットに投稿されたことも大きな問題となっていました。

個人情報を晒された人に精神的損害が発生した場合、民法709条の不法行為に該当し、書き込んだ側、投稿した側には発生した損害を賠償する責任が生じる可能性があるそうです。また、それによって個人事業主や勤務先が業務妨害を受けた場合には、個人や勤務先に対する「偽計業務妨害罪」として、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるとのことです。

たとえ対象が加害者であっても、個人情報を安易にネットに書き込むと、民事、刑事共に法的責任が発生する可能性がありますから注意が必要です。

防犯カメラに映った犯罪行為!犯人特定のためなら公開してもいい?

最近は無人販売店での窃盗被害も多発しており、被害者が犯人を特定するためにスマホではなく防犯カメラの映像や画像をネット上にアップするケースも見受けられます。しかし、万引き犯であっても、顔の画像を公開すれば、プライバシー権侵害名誉毀損に当たるとのことです。
また、日本では犯罪の処罰権限は国が持っているため、私的な制裁や自力救済は禁止されています。そのため、被害者であっても、万引き犯の顔を公開して社会的な罰を与えようとすれば、逆に万引き犯に訴えられ、慰謝料を支払わされるおそれがあるとのことでした。  

古藤先生によると、モザイクを入れた上で「盗んだものを返さなければ顔を公開する」などと警告することも脅迫に当たり、「恐喝罪」や「強要罪」が成立する可能性があるそうです。防犯カメラの映像などは個人で制裁するためではなく、警察に被害届を出す際の証拠として提出したり、要注意人物として店員や警備員に周知する資料として考えるのが良いとのことでした。迷惑行為をしている人や違法行為を目撃したら、証拠として撮ろうと思うかもしれませんし、正義感でネットに投稿したくなることもあるかもしれません。ですが、投稿することで自分が加害者となってしまっては本末転倒ですよね。

もし、実際に自分が迷惑行為による被害を受けた場合は、相手の情報をネットで晒す前に、法的手段で損害賠償を求めることが適切です。まずは一度、弁護士にご相談ください。
使い方によっては便利なSNSですが、使い方を間違えないよう、冷静に利用していきたいですね。


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