戸籍謄本の読み方は?相続手続きで見るべきポイントを司法書士が解説
戸籍謄本は「こせきとうほん」と読みます。
これは戸籍に記載されている全員について、出生や死亡、結婚などの身分関係が記載されている書類です。
おもに、以下のような場面で必要になります。
戸籍謄本が必要になるおもな場面
- 相続手続き
- 生命保険の請求
- 自動車の名義変更
- パスポートの申請
- 年金の受給開始時 など
※ 2024(令和6)年3月1日以降、婚姻届を本籍地と異なる自治体に提出する場合の戸籍謄本の提出は不要となりました
戸籍の内容を示す書類には、戸籍謄本以外にも戸籍抄本、除籍謄本、除籍抄本、改製原戸籍といったものがあります。
相続手続きが発生した際には、上記の書類から、亡くなった人(被相続人)の第三親等までの血族と配偶者(法定相続人)を読み取らなくてはいけません。
まず「戸籍事項」や「身分事項」の欄を見ながら出生から死亡までのすべての戸籍を集めます。
次に「戸籍に記録されている者」の欄を見て、法定相続人を確認していきましょう。
この記事では、戸籍に関する書類の内容や、相続手続きでの戸籍謄本の読み方や集め方について詳しく解説します。
目次 [非表示]
戸籍謄本とは?抄本、附票などについても解説
そもそも戸籍(こせき)は、日本国民の出生から死亡するまでの親族関係を、登録公証するための制度です。
戸籍の情報を確認できる書類は、おもに次の4つです。
- 戸籍謄本(こせきとうほん)
- 戸籍抄本(こせきしょうほん)
- 除籍謄本(じょせきとうほん)
- 除籍抄本(じょせきしょうほん)
謄本は、戸籍内の全員についての証明で、抄本は、戸籍内の一部の人についての証明です。
除籍は、死亡などにより戸籍からすべての人が抜けた場合に、戸籍に代わってつくられます。
戸籍の基本的な考え方
現在の戸籍は、原則として一組の夫婦および夫婦と同じ氏の未婚の子を一つの単位としてつくられています。
三代戸籍禁止の原則があり、「親・子・孫」が一つの戸籍に入ることはありません。
子どもが結婚した場合、親の戸籍から抜け、夫婦いずれかが筆頭者の新しい戸籍をつくります。
子どもが婚姻などで戸籍から抜け、さらに親が2人とも亡くなって、全員が除籍になると、戸籍そのものが閉鎖されます。
戸籍が閉鎖された後に、亡くなった人との身分関係を証明する場合には、戸籍謄本の代わりに除籍謄本を取り寄せます。
戸籍の書類には、以下のようなものもあります。
- 改製原戸籍(かいせいはらこせき・かいせいげんこせき)
戸籍法の改正前の古い戸籍。戸籍謄本としては閉鎖された後、一定期間保管されている - 戸籍の附票(こせきのふひょう)
戸籍の原本と合わせて保管されている書類。戸籍がつくられてから現在に至るまでの住所が記載されている
次に、それぞれの書類に書かれている内容や、どんな場合に必要になるかを解説します。
戸籍謄本(こせきとうほん)とは
戸籍謄本とは、戸籍に記載されている全員について、出生や死亡、結婚などの身分関係が記載されている書類です。
戸籍法の改正によって戸籍がコンピュータ化された後は「戸籍全部事項証明書」と呼ばれていますが、戸籍謄本でも通じます。
戸籍謄本の概要
- 書かれていること
・本籍
・筆頭者(戸籍に最初に記載されている人)の氏名
・戸籍事項(戸籍がつくられた日など)
・戸籍に記載されている人の氏名、生年月日、父母の氏名、続柄
・戸籍に記載されている人の身分事項(出生、婚姻など)
・筆頭者以外の同じ戸籍に入っている全員の身分事項 - 使用する場面
・相続の諸手続き
・生命保険の請求
・自動車の名義変更
・パスポートの申請
・国家資格の受験・国家資格の登録 など - 取れる場所
・市区町村の役所窓口(郵送可)
・コンビニ(自治体によっては非対応)
ちなみに冒頭で述べたとおり、2024年現在、婚姻の届け出時に全部事項証明書を添付する必要はありません。
相続手続きの際に必要になる戸籍謄本については後述します。
戸籍抄本(こせきしょうほん)とは
戸籍抄本は、戸籍に記載されている人から、配偶者だけ、子どもだけなど、指定した人の身分を証明する書類です。
戸籍法の改正によって戸籍がコンピュータ化され「個人事項証明」と呼ばれていますが、戸籍抄本でも通じます。
戸籍抄本の概要
- 書かれていること
・本籍
・筆頭者(戸籍に最初に記載されている人)の氏名
・戸籍事項(戸籍がつくられた日など)
・指定した人の氏名、生年月日、父母の氏名、続柄
・指定した人の身分事項(出生、婚姻など) - 使用する場面
・生命保険の請求
・年金の受給開始時
・国家資格の受験・国家資格の登録
など - 取れる場所
・市区町村の役所窓口(郵送可)
・コンビニ(自治体によっては非対応)
戸籍抄本は、いわば戸籍謄本の一部抜粋です。
上で挙げた利用場面では、戸籍抄本はOK、戸籍謄本はNG、ということはまずありません。
しかし、必要最低限の人の情報のみを掲載できるため、提出先に見せる情報を制限できるのがメリットといえるでしょう。
なお、パスポート取得の際には抄本は使えなくなっているため注意してください。
参考:パスポートの更新がスマホで可能に 2023年3月27日からオンライン申請がスタート!
除籍謄本(じょせきとうほん)とは
除籍謄本は、死亡や結婚、転籍などで誰もいなくなった戸籍謄本のことです。
戸籍法の改正によって戸籍がコンピュータ化されている場合「除籍全部事項証明書」と呼ばれますが、除籍謄本でも通じます。
除籍謄本の概要
- 書かれていること
・本籍
・筆頭者(戸籍に最初に記載されている人)の氏名
・戸籍事項(戸籍がつくられた日、戸籍の消除日など)
・戸籍に記載されている人の氏名、生年月日、父母の氏名、続柄
・戸籍に記載されている人の身分事項(出生、婚姻、死亡)
・筆頭者以外の同じ戸籍に入っている全員の身分事項 - 使う場面
相続手続き(出生から死亡までの戸籍を求められる場合) - 取れる場所
市区町村の役所窓口(郵送可)
なお、除籍謄本はコンビニでは取得できないので注意しましょう。
除籍抄本(じょせきしょうほん)とは
除籍抄本は、除籍謄本の中の一部の人について証明したものです。
除籍抄本の概要
- 書かれていること
・本籍
・筆頭者(戸籍に最初に記載されている人)の氏名
・戸籍事項(戸籍がつくられた日、戸籍の消除日など)
・指定された人の氏名、生年月日、父母の氏名、続柄
・指定された人の身分事項(出生、婚姻、死亡) - 使う場面
相続手続き(一部) - 取れる場所
市区町村の役所窓口(郵送可)
戸籍抄本と同様、除籍謄本が使えず除籍抄本が使える場面はほとんどありません。
事情に合わせ、提出先に提示する情報を制限したい場合に使える書類といえるでしょう。
改製原戸籍(かいせいはらこせき・かいせいげんこせき)とは
改製原戸籍とは、戸籍法の改正により作り替えられる前の戸籍のことです。
正しい読み方は「かいせいげんこせき」ですが、「現戸籍=現在の戸籍」と伝わる可能性もあるため「かいせいはらこせき」と呼ぶのが一般的です。
戸籍法の改正にともなって、改製原戸籍にはおもに4種類があります(明治19年式戸籍、明治31年式戸籍、大正4年式戸籍、昭和23年式戸籍)。
それぞれ保存期間が定められており、これを過ぎると破棄されているケースもあります。
- 書かれていること
時期により異なる - 使う場面
相続手続き
(亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を求められる場合) - 取れる場所
市区町村の役所窓口(郵送可) - 保存期間
・明治19年式戸籍、明治31年式戸籍:80年
・大正4年式戸籍:50年
・昭和23年式戸籍:100年
相続手続きでは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を求められるケースが多くあります(詳しくは後述)。
よって、亡くなった人の存命中に戸籍が作り替えられた場合、改製原戸籍謄本の取得も必須です。
戸籍の改製時は、それまでの内容が丸ごと書き写されるわけではありません。
出生から死亡まですべての戸籍上の内容を確認するためには、改製をまたいですべての戸籍謄本をとらなくてはいけないのです。
ただし、上記の保存期間が過ぎた戸籍は、破棄されている可能性もあるため、注意しましょう(対処法は後述)。
改製原戸籍の内容
明治19年式戸籍〜大正4年式戸籍は、戸主を中心とした戸籍の形式でした。
さらに、同戸籍に兄弟姉妹や父母、叔父叔母、兄弟の配偶者、孫などについても一つの戸籍に記載されています。
あわせて、戸籍事項には隠居や家督相続の記載など、当時の戸籍法にのっとった内容も盛り込まれていました。
その後、昭和23年式戸籍では、一つの戸籍は、夫婦および夫婦と同じ氏の未婚の子を単位としてつくられることになりました。
戸主、および家督相続の制度などがなくなったことで、記載されている戸籍事項は現在のコンピュータ化した戸籍(平成6年式戸籍)と近しい内容となっています。
ただし、縦書きの文章で記載されているなど、形式は異なります(読み方は後述)。
なお、改製原戸籍については、抄本を発行することはできません。
戸籍の附票(ふひょう)とは
戸籍の附票とは、戸籍がつくられてから(またはその戸籍に入籍してから)、現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されたものです。
戸籍がつくられてから現在までの住所変更を明らかにする場合に使われます。
戸籍の附票の概要
- 書かれていること
・附票に記載されている人の氏名、生年月日、性別
・住所
・住定日(住所を定めた日)
※本籍と筆頭者氏名は原則表示されません。 - 使う場面
相続手続き
(住民票だけでは登記簿や車検証上の住所に住んでいたことを証明できない場合) - 取れる場所
・市区町村の役所窓口(郵送可)
・コンビニ(自治体によっては非対応)
なお、コンビニでは自分以外の戸籍の附票は取得できないので注意してください。
相続手続きで必要な戸籍謄本とは?
相続が発生すると、手続きの際に以下のような戸籍謄本が必要になります。
- 被相続人(亡くなった人)や他の相続人(遺産を受け継ぐ人)の死亡がわかる戸籍謄本
- 被相続人との関係がわかる戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
相続の手続きに戸籍謄本が必要となる理由や、どのように提出すればいいかを解説します。
相続については、以下の記事で詳しく解説しています。
被相続人や他の相続人の死亡がわかる戸籍謄本
被相続人が亡くなった後の手続きの中で、被相続人や他の相続人の死亡がわかる戸籍謄本を求められることがあります。
その理由は、
- 被相続人が死亡していること
- 他の相続人が亡くなっていて、代襲相続が起きていること
を証明するためです。
なお、被相続人の死亡については、死亡届を出してから3日〜1週間程度で死亡による除籍の事実が戸籍謄本にも反映されます。
手続き上では、死亡の証明のための書類として、死亡後に医師に書いてもらう死亡診断書でも有効な場合があります。
- 代襲相続とは
- 本来の相続人が被相続人より先に亡くなった場合、その人の子や孫などに相続権が移ること。
たとえば、被相続人の祖父母が亡くなった時点で、相続人である子(孫の親)がすでに亡くなっている場合は、被相続人の孫が相続人となります。
孫が代襲相続人であることを証明するために、相続人である子(孫の親)の死亡がわかる戸籍謄本が必要になります。
被相続人や他の相続人の死亡がわかる戸籍謄本は、相続手続きの中では、次のような場面で必要になります。
- 遺言書検認
- 相続放棄・限定承認の申立て
- 相続登記
- 相続人申告登記
- 相続税の申告
- 口座の名義変更・解約
- 自動車の名義変更
- 運転免許証やパスポートの返納 など
被相続人との関係がわかる戸籍謄本
相続の手続きの中では、被相続人と相続手続きをしている人の関係がわかる書類として、戸籍謄本の提出を求められることがあります。
その理由は、手続きをしている人が相続手続きをできる立場であること、つまり相続人であることを証明するためです。
相続手続きの際、自分が相続人であることを証明しなくてはいけない場面には、次のようなものがあります。
- 遺言書検認
- 相続放棄・限定承認の申立て
- 相続登記
- 相続人申告登記
- 口座の名義変更・解約 など
なお、もし被相続人が亡くなった時点で同じ戸籍に入っていた場合、改めて取り寄せる必要はありません。
相続人全員の現在の戸籍謄本
相続手続きをする際、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
その理由は、
- 法定相続人が生存しているかどうか
- 代襲相続が発生しているかどうか
を証明するためです。
ただし、被相続人の戸籍謄本等で法定相続人と確認できる場合は、改めて取り寄せる必要はありません。
次の手続きを行う際には、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
- 遺言書検認
- 相続放棄・限定承認の申立て
- 相続登記
- 相続人申告登記
- 口座の名義変更・解約 など
なお、相続人全員を特定するには、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」を取り寄せて、その内容を読み解く必要があります。
現在市区町村から取り寄せられる戸籍謄本のほかに、改製原戸籍を集める必要もあります。
「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」は次に解説します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。
その目的は、法定相続人を明らかにすることです。
法定相続人を証明しなくてはいけない場面、つまりこれらの戸籍謄本が必要になる場面には、次のようなものがあります。
- 相続放棄・限定承認の申立て
- 遺言書の検認
- 相続税の申告
- 遺族年金の請求
- 相続登記
- 預貯金の名義変更
- 法定相続人とは
- 法定相続人とは、被相続人の相続財産を受け継ぐ権利があると定められている人です。
法定相続人は、被相続人との関係や人数によって、相続できる財産の割合が定められています。
法定相続人については、以下の記事で詳しく解説しています。
あわせて読みたい
法定相続人とは?範囲はどこまで?相続割合を図解と具体例でわかりやすく解説法定相続人が誰かを確認するには、戸籍謄本を読まなければいけません。
被相続人が亡くなった年によっては、古い戸籍謄本(改製原戸籍)も取り寄せて、相続人を確定させる必要があります。
戸籍の読み方は後述します。
戸籍が破棄されていた場合の対処
なお、前述のとおり戸籍謄本には保存期間が定められています。
保管期間が過ぎた戸籍謄本は、すでに破棄された可能性があります。
必要とされた戸籍謄本がすでに破棄されていた場合の対処法は、市区町村から「廃棄等により、戸籍謄本を交付できない」旨の証明書を発行してもらうなどが考えられるでしょう。
必要書類は申請先の機関によって異なることもあるため、司法書士や弁護士など、法律の専門家に相談のうえで手続きを進めるとスムーズでしょう。
戸籍謄本の読み方(見方)は?相続手続きで見るポイント
相続が発生して法定相続人を確定したい場合などは、戸籍を読み解かなくてはいけません。
ここでは、
- 全部事項証明書(コンピュータ化後のもの)
- 改製原戸籍謄本
のそれぞれについて、相続手続きに必要なポイントを解説します。
戸籍謄本(全部事項証明書)の読み方
コンピュータ化された後の戸籍謄本(全部事項証明書)は、情報が見やすく整理されています。
一方で記載欄が多く、見るべき箇所がわかりづらいかもしれません。
相続の手続きでポイントになるのは、
- 「戸籍事項」で戸籍がいつのものかを見る
- 前の本籍地、転籍先を見る
- 「戸籍に記録されている者」で配偶者と血縁者を見る
という3点です。
ふせんをつけたり、メモを取ったりして必要な情報を確認しながら読み進めるといいでしょう。
ただし、戸籍謄本は手続きに使用するため、直接書き込みをするのは避けてください。
事前にコピーを取るのがおすすめです。
3点それぞれについて、次の項から説明します。
「戸籍事項」で戸籍がいつのものかを見る
戸籍事項には、その戸籍がつくられた理由とつくられた日、閉じられた理由などが書かれています。
この中で【〇〇日】という表記があったら、相続手続き時に見落とさずチェックしましょう。
たとえば【改製日】【転籍日】といったものです。
最初と最後の【〇〇日】をチェックすれば、戸籍に載っている情報の期間がいつからいつのものかわかります。
たとえば戸籍事項(除籍謄本)に以下のように書かれている場合、この戸籍は平成20年11月1日から平成28年5月1日までのものだと読み取れます。
【改製】平成20年11月1日
【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製
(中略)
【転籍日】平成28年5月1日
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡時まで連続した戸籍謄本を取得します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要な場合、生まれた日から亡くなる日までのものが取れているかをチェックしましょう。
抜けもれがあれば、前の本籍地、転籍先を見て、必要な戸籍を取得します(詳細は次で解説)。
前の本籍地、転籍先を見る
次に、戸籍全部事項証明書の【従前本籍】と【新本籍】の2つの項目を見てみましょう。
【従前本籍】は戸籍に入っている人の転籍前の本籍、【新本籍】は、転籍先の本籍です。
これらは「戸籍事項」もしくは「身分事項」の中にあります。
被相続人の戸籍を正しく把握するためにも、ていねいにチェックしましょう。
記載例
【転籍日】平成21年2月1日
【従前本籍】●●●県●●市●●町~~~
(中略)
【転籍日】平成28年5月1日
【新本籍】▲▲県▲▲市~~~
この場合、
- 転籍前の本籍:●●●県●●市●●町~~~
- 転籍先の本籍:▲▲県▲▲市~~~
であることがわかります。
「戸籍に記録されている者」で配偶者と血縁者を見る
最後に「戸籍に記録されている者」の欄を見ていくと、被相続人と同じ戸籍に入っている人や、父母(養父母)の氏名がわかります。
これによって、法定相続人を割り出せます。
以下の戸籍全部事項証明書を例にしましょう。
本籍 氏名 |
●●県●●市●●000 三葉誠 |
---|---|
戸籍事項 | (中略) |
戸籍に記録されている者 | 【名】誠 【生年月日】昭和〇年●月●日【配偶者区分】夫 【父】三葉康雄 【母】三葉和子 【続柄】長男 |
身分事項 | (中略) |
戸籍に記録されている者 | 【名】洋子 【生年月日】昭和〇年●月●日【配偶者区分】妻 【父】◎◎●彦 【母】◎◎●江 【続柄】次女 |
身分事項 | (中略) |
戸籍に記録されている者 | 【名】一郎 【生年月日】昭和〇〇年●月●日 【父】三葉誠 【母】三葉洋子 【続柄】長男 |
身分事項 | (中略) |
戸籍に記録されている者 | 【名】花子 【生年月日】昭和〇〇年●月●日 【父】三葉誠 【母】三葉洋子 【続柄】長女 |
この戸籍謄本からわかる三葉誠の法定相続人は、以下のとおりです。
- 妻:洋子
- 長男:一郎
- 長女:花子
- 父:康雄(長男・長女がともに相続放棄した場合に相続人になる)
- 母:和子(同上)
なお、調査は一つの戸籍の確認だけで終わらせず、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を見る必要があります。
なぜなら、この戸籍をつくる前に配偶者や子どもがいた場合、この戸籍だけではすべての法定相続人は把握できないからです。
改製原戸籍謄本の読み方
コンピュータ化前の戸籍謄本(改製原戸籍謄本)は、出生や婚姻、転籍などの情報が文章で書かれています。
相続の手続きでポイントになるのは、
- 戸籍がつくられた日と閉じられた日を見る
- 「入籍」と「除籍」の情報を見る
という2点です。
慣れないと読みづらいですが、知りたいことに的を絞って、文章を読み解きましょう。
また、昭和32年の改製以前の戸籍は「戸主」との関係を読む必要が生じ、より煩雑になります。
肉筆で書かれ、かすれていることもあるため、読みにくい場合は市区町村の役所の戸籍課に相談してみましょう。
次にポイントとなる2点と、昭和32年の改製以前の戸籍について説明します。
戸籍がつくられた日と閉じられた日を見る
まずは、戸籍がつくられた日と閉じられた日を見てみましょう。
改製原戸籍謄本では、
- 戸籍の冒頭
- 筆頭者や戸主(戸籍の頭に書かれている人物。現在の筆頭者)の情報が書かれている部分
のいずれかに記載されていることが多いようです。
これにより、戸籍がいつの期間のものかがわかります。
つくられた日の文例
昭和三拾弐年法務省令第二十七号により昭和参拾三年九月三拾日改製につき昭和四拾年八月二拾八日本戸籍編製
昭和32年法務省令第27号による改製によって、昭和40年8月28日にこの戸籍がつくられたことがわかります。
なお、この改製により、戸籍は夫婦とその未婚の子を単位とする戸籍に書き換えられました。
閉じられた日の文例
平成六年法務省令第五一号附則第二条第一項による改製につき平成拾弐年拾月弐拾八日消除
平成6年の改製で戸籍がコンピュータ化されたことによって、この戸籍が平成12年10月28日に消除(閉鎖)されたことを意味します。
「入籍」と「除籍」の情報を見る
改製原戸籍謄本では、すでにある戸籍に入った人(入籍)や、戸籍から除かれた人(除籍)について、文章で書かれています。
入籍と除籍について
入籍とは、出生、婚姻、養子縁組などで、すでにある戸籍に入ることを指します。
除籍とは、婚姻、死亡などで、今入っている戸籍から除かれたことを指します。
手書きの部分がほとんどで、漢字も多いため読むのが困難かもしれませんが「入籍」「除籍」の文字を目印に、読み解きましょう。
これにより、被相続人の戸籍をたどることができます。
戸籍をたどることによって、被相続人の配偶者や子が知らなかった婚外子、養子などが判明することもあります。
入籍の文例
昭和参拾年参月壱日三葉誠と婚姻届出横浜市中区元浜町壱番地戸籍より同日入籍
上記からわかることは以下のとおりです。
- 入籍したとき:昭和30年3月1日
- 転籍元の本籍地:横浜市中区元浜町1番地
つまり、この人物の転籍前の情報を探す場合は、横浜市中区元浜町1番地を本籍地として、昭和30年3月1日以前のものを探せばいいことになります。
除籍の文例
昭和五拾年参月弐拾壱日高橋響次と婚姻届出東京都新宿区西新宿参拾番地に新戸籍編製につき除籍
上記からわかることは以下のとおりです。
- 転籍したとき:昭和50年3月21日
- 転籍先の本籍地:東京都新宿区西新宿30番地
よって、この人物の転出後の情報を探す場合は、東京都新宿区西新宿30番地を本籍地として、昭和50年3月21日以降のものを探せばいいことになります。
昭和23年式より前の戸籍はより煩雑
昭和23年の戸籍法改正以前は、一家の長である戸主を中心に戸籍がつくられていて、祖父や祖母、孫なども一つの戸籍に入っていました。
そのため、法定相続人を確定させるには、まず、戸籍に入っているそれぞれの人と戸主の関係を整理し、被相続人との関係を割り出す必要があります。
よりまぎらわしいので、被相続人と戸主の関係や、世代を注意深く確認しながら家系図に表して、整理することをおすすめします。
戸籍謄本の取り方は?
戸籍謄本は、次の方法で取ることができます。
取得場所・方法 | 料金(手数料) | 取得に必要なもの |
---|---|---|
市区町村の役所窓口 (※1) |
1通450円 | ・交付申請書 ・顔写真付き本人確認書類(免許証・マイナンバーカード) |
本籍地の役所窓口(郵送可) | 1通450円(※3) | ・交付申請書(各自治体のWebページでダウンロード可能) (代理人が申請する場合) ・委任状 (郵送の場合) ・手数料分の定額小為替 ・返信用封筒と切手 |
コンビニ(※2) | 1通300〜400円程度 (自治体により異なる) |
・マイナンバーカード |
※1 「戸籍証明書等の広域交付制度」によって、本籍地以外でも本人、配偶者、直系尊属、直系卑属の戸籍謄本は取得可能になった
※2 対応していない自治体もある。また、除籍謄本、改製原戸籍謄本は取得不可
※3 郵送申請の場合、定額小為替発行手数料や、返信用切手代が必要
戸籍証明書等の広域交付制度について
2024(令和6)年3月1日から、戸籍証明書等の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村の窓口で、
- 戸籍全部事項証明書
- 改製原戸籍謄本(コンピュータ化されていない一部をのぞく)
- 除籍謄本(コンピュータ化されていない一部をのぞく)
を請求できるようになりました。
広域交付制度で戸籍証明書等を請求できるのは、
- 本人
- 配偶者
- 父母、祖父母など(直系尊属)
- 子、孫など(直系卑属)
です。戸籍証明書等を請求できる本人が、市区町村の窓口で請求します。
郵送や、代理人による請求はできません。
戸籍謄本以外の戸籍の書類の取得方法は以下のとおりです。
書類名 | 取得場所・方法 | 料金(手数料) | 取得に必要なもの |
---|---|---|---|
戸籍抄本 | 本籍地の市区町村の役所窓口(郵送可) | 1通450円(※2) | ・交付申請書(各自治体のWebページでダウンロード可能) (代理人が申請する場合) ・委任状 (郵送の場合) ・手数料分の定額小為替 ・返信用封筒と切手 |
コンビニ(※1) | 1通300〜400円程度 (自治体により異なる) |
・マイナンバーカード | |
除籍謄本 除籍抄本 改製原戸籍 |
市区町村の窓口(郵送可) | 1通750円(※2) | ・交付申請書(各自治体のWebページでダウンロード可能) (代理人が申請する場合) ・委任状 (郵送の場合) ・手数料分の定額小為替 ・返信用封筒と切手 |
戸籍の附票 | 市区町村の窓口(郵送可) | 1通200〜400円程度(※2) (自治体により異なる) |
・交付申請書(各自治体のWebページでダウンロード可能) (代理人が申請する場合) ・委任状 (郵送の場合) ・手数料分の定額小為替 ・返信用封筒と切手 |
コンビニ(※1) | ・マイナンバーカード |
※1 対応していない自治体もある
※2 郵送申請の場合、定額小為替発行手数料や、返信用切手代が必要
戸籍謄本の取得方法については、以下の記事で詳しく解説しています。