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相続の基礎知識

死亡後の手続きとは?葬儀後にやることの順番と期限がわかるチェックリスト

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親や妻・夫など、近しい人の死は大変悲しい出来事です。

しかし、死亡診断書の受け取りから、年金や保険などの手続き、遺産分割、相続税の申告と支払い、各種財産の名義変更まで、近しい人の死にともなって行うべき手続きは多数あります。

期限が設けられている手続きも多いため、流れを把握し、スムーズに進めましょう

この記事では、死後の手続きの流れと注意点を解説します。

手続きの期限、窓口などをまとめたチェックリストもダウンロード可能なので、ご活用ください。

目次 [非表示]

【PDFダウンロード可能】死亡後の手続きチェックリストと全体の流れ

死亡後の手続きは多岐にわたります。大まかに、以下のような流れで進めていくとスムーズです。

  1. まず葬儀に関する手続きを処理しながら、空いた時間に年金・保険の手続きに着手(同じ窓口での手続きはまとめて済ませる)
  2. 葬儀が落ち着いたら、相続の手続きに手をつける
  3. 遺産調査などにめどがついたら、故人名義の契約解約などに取りかかる

個々の手続きを整理すると、以下のようになります。下でPDFのダウンロードも可能です。

死亡後の手続きチェックリスト 死亡後の手続きチェックリスト 死亡後の手続きチェックリスト 死亡後の手続きチェックリスト 死亡後の手続きチェックリスト

各手続きについては、大きく以下4つに分け、それぞれの内容を解説します。

相続については、以下の記事で詳しく解説しています。

葬儀に関する手続き

人が亡くなってすぐ必要となるのが葬儀です。

その際、以下のような流れで手続きが発生します。

  • 死亡当日:死亡診断書(または死体検案書)の受け取り
  • 2日以内(目安):葬儀会社との打ち合わせ、通夜
  • 葬儀まで:死亡届・死体の埋火葬許可申請の提出
  • 3〜5日以内(目安):葬儀

以下、詳しく見ていきましょう。

当日:死亡診断書・死体検案書の受け取り

肉親などが亡くなったら、故人の氏名、死亡日時、死亡原因などが記された「死亡診断書」か「死体検案書」を受け取ります。

死亡後の手続きで必要となりますので、必ずコピーを数枚取っておきましょう

  • 手続き場所・依頼先
    死亡診断書は病院の担当医師、死体検案書は警察医

  • 期限
    ・死亡診断書の受け取り:亡くなった当日(翌日の場合もある)
    ・死体検案書の受け取り:数日後

病院で亡くなった場合など、事件性がなく死因もはっきりしていれば、担当医師が「死亡診断書」を作成します。

一方、事故死や突然死など、死因が不明な場合などは、警察の検視後に警察医が作成するのが「死体検案書」です。

なお、葬儀会社が代理で受け取りなどを済ませてくれることもあります。

2日以内:葬儀会社との打ち合わせ・通夜

死亡後、すみやかに葬儀会社に連絡をとり、葬儀の打ち合わせをします

故人の希望があった場合や、話し合いで事前に決めていた場合はその会社に連絡しましょう。

決めていない場合、病院から紹介を受けるか、自分で探さなくてはいけません。

  • 手続き場所・依頼先
    葬儀会社

  • 期限
    亡くなった日、もしくはその翌日

  • 持参物
    印鑑(ゴム印は避ける)、遺影用の写真、宗教や宗派がわかるもの

なお、一般的に、故人が亡くなった日の翌日には通夜を行います。

親しい人への訃報の連絡も並行して行いましょう

葬儀まで:死亡届・死体の埋火葬許可申請の提出

家族の死亡後に医師から受け取る「死亡診断書(死体検案書)」は「死亡届」がセットになっています。

死亡届は届出人が記入し、あわせて役所にある「埋火葬許可申請書」も記入したうえで、葬儀前(死亡から7日以内)に役所に提出します。

ただし、提出などは葬儀会社が代行するのが一般的です。

  • 手続き場所・依頼先
    故人の本籍地または死亡地、届出人の居住地の市区町村の役所

  • 手続き場所・依頼先
    故人の本籍地または死亡地、届出人の居住地の市区町村の役所

  • 期限
    葬儀まで(死亡の事実を知ってから7日以内)

  • 提出書類
    死亡届、埋火葬許可申請書

  • ポイント

死亡届を提出する際に、あわせて以下の書類(故人名義のもの)も提出、返納しておくと、死亡後の公的手続きを効率的に済ませることができます。

  • 印鑑登録証
  • 個人番号カード(マイナンバーカード)、通知カード
  • 住民基本台帳カード
  • 健康保険証(社会保険に加入している場合は勤務先に提出する。健康保険脱退については後述
  • 世帯主変更届、世帯に入っている人の本人確認書類(手続き不要なケースもあり。世帯主変更については後述

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参考:法務省:死亡届

生活保護受給者の死亡時は受給者証返納と葬祭扶助申請

生活保護を受けていた人が亡くなった場合、役所に受給者証の返納をします。

また、親族も生活保護を受けているなど、葬儀費用を支払えない状況であれば「葬儀扶助」を申請することができます。

これらの手続きは同時に行うのがいいでしょう。

    【受給者証の返納】

  • 手続き場所・依頼先
    故人が保護費を受けていた市区町村の役所の福祉課

  • 期限
    なし(生活保護費が多く給付された場合は返還義務が生じるため、早めに)

  • 提出書類
    生活保護受給者証


  • 【葬祭扶助申請】

  • 手続き場所・依頼先
    申請人の住民票がある市区町村の役所、故人が保護費を受けていた市区町村の役所の福祉課や福祉事務所

  • 期限
    葬儀を行う前まで

  • 提出書類
    葬祭扶助申請書

葬儀扶助とは

生活保護法(18条)に基づき、葬儀費用が払えない人に対して、要件に該当すれば、最低限の葬儀費用を支給する制度です。

支給額は各自治体によって異なりますが、上限額は20万円程度。

基本的には遺体搬送、安置、火葬(埋葬)を行うことができる程度の費用となります。

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3〜5日以内:葬儀

葬儀の依頼先となる葬儀会社を決めたら、遺体を自宅か斎場へ搬送します。

その後打ち合わせを行い、斎場などの都合を見ながら日程を決め、葬儀を執り行いましょう。

葬儀の内容や形式は、宗教・宗派や故人、遺族の意向などにより異なります。

  • 手続き場所・依頼先
    寺、神社、教会、斎場など

  • 期限
    3〜5日以内が目安

年金・保険などの手続き

親や配偶者が亡くなった場合、年金・保険などの手続きも進めていきましょう。

亡くなった人の加入・受給している保険や年金によって必要な手続きは異なります。

手続きの期限を過ぎると、年金や保険金を受け取れなくなってしまう可能性もあるため注意してください。

必要な可能性のある手続きを時系列で示すと、以下のとおりです。

  • 5日以内
    ・社会保険の資格喪失手続き
    (会社員・公務員死亡の場合)

  • 10日または14日以内
    ・年金受給権者の死亡届の提出(省略可)

  • 14日以内
    ・国民健康保険の脱退・保険証の返納
    ・介護保険資格喪失届の提出
    ・世帯主変更届の提出
    ・国民健康保険への切り替え
    ・国民年金種別変更届の提出

  • 1ヶ月以内
    ・雇用保険受給資格者証の返還

  • 2ヶ月以内
    ・団体信用生命保険の請求

  • 2年以内
    ・国民健康保険の葬儀費用請求
    ・国民年金の死亡一時金請求

  • 3年以内
    ・生命保険の死亡保険金請求

  • 5年以内
    ・遺族基礎年金の請求
    ・遺族厚生年金の請求
    ・未支給年金の請求

多くの手続きは郵送での処理も可能ですが、期限となる日程が近いものも少なくありません。

不安があれば窓口で担当者に確認しながら手続きを進めると安心です。

その際は、同じ窓口で済ませられる手続きは、まとめて行うとスムーズでしょう(以下の表参照)。

【窓口別手続き一覧】

窓口 手続き(期限)
故人の勤務先 ・社会保険の資格喪失手続き(5日以内)
市区町村の役所 ・国民健康保険の脱退・保険証の返納(14日以内)
・介護保険資格喪失届(14日以内)
・世帯主変更届の提出(14日以内)
・国民健康保険への切り替え(14日以内)
・国民年金種別変更届の提出(14日以内)
・国民健康保険の葬儀費用請求(2年以内)
・国民年金の死亡一時金請求(2年以内 ※)
年金事務所・街角の年金相談センター ・年金受給権者の死亡届の提出(10〜14日以内、省略可)
・遺族厚生年金の請求(5年以内)
・未支給年金の請求(5年以内)
ハローワーク ・雇用保険受給資格者証の返還(1ヶ月以内)
各保険会社 ・団体信用保険の請求(2ヶ月以内)
・生命保険の死亡保険金請求(3年以内)

※ 年金事務所・街角の年金相談センターでも手続き可能

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以下、時系列順に各手続きの内容を詳しく見ていきましょう。

5日以内:社会保険の資格喪失の手続き(会社員・公務員が亡くなった場合)

亡くなった人が社会保険加入者(会社員、公務員)であった場合、死亡後5日以内に「健康保険」の資格喪失の手続きを行い、保険証を返納します。

ただし、社会保険の資格喪失手続きは、勤務先の会社が行ってくれるケースが一般的です。

会社員、公務員が亡くなったら、すぐに勤務先に連絡をとりましょう。

死亡による退職手続きと並行して社会保険の手続きを行うことが多いため、保険証とあわせ、提出を求められた書類を準備して渡すようにしてください。

  • 提出書類
    ・健康保険被保険者証(故人と扶養されていた家族のもの)
    ・死亡による退職届など、提出を求められたもの

  • 期限
    死後5日以内

  • 提出先
    故人の勤務先

  • 郵送などでの手続き
    可能なことが多い

なお手続き後は、勤務先から「社会保険の資格喪失証明書」を受け取ってください。

亡くなった人の扶養に入っていた家族は、この書類を利用し、新たに国民健康保険に加入する手続きが必要となります(詳しくは後述)。

また、世帯主が亡くなった場合、世帯主変更の手続きもあわせて手続きを行います(詳しくは後述)。

14日以内:国民健康保険の脱退・保険証の返納(会社員・公務員は不要)

亡くなった人が国民健康保険(75歳以上は後期高齢者医療制度)に加入していた場合、死亡後14日以内に資格喪失の手続きをして、保険証を返納しなくてはいけません。

国民健康保険の世帯主が亡くなった場合は、世帯主を変更した健康保険証を再発行する必要があるため、同時に手続きを行います。

なお、亡くなった人が会社員・公務員の場合は社会保険に入っているため、この手続きは不要です。

  • 提出書類
    ・国民健康保険資格喪失届(または後期高齢者資格喪失届)
    ・死亡の事実を確認できる書類(死亡診断書や死体検案書のコピー、死亡記載のある戸籍抄本など)
    ・国民健康保険被保険者証、または後期高齢者医療被保険者証
    ・世帯全員の国民健康保険被保険者証(故人が世帯主の場合) など

  • 期限
    死亡後14日以内

  • 提出先
    故人の住所地がある市区町村の役所

  • 郵送などでの手続き
    可能

参考:国民健康保険脱退の届出 | 世田谷区ホームページ従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構

10日または14日以内:年金受給権者の死亡届の提出(省略可)

年金を受けている方が亡くなると、「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要となります。

ただし、個人番号(マイナンバー)が日本年金機構に登録されている場合、原則として手続きは不要となります。

役所に死亡届を提出することで、情報を年金事務所も共有できるからです。

  • 提出書類
    ・受給権者死亡届
    ・死亡の事実を確認できる書類(住民票除票、戸籍抄本、死亡診断書や死体検案書のコピー、死亡届の記載事項証明書のいずれか)

  • 期限
    ・死後10日以内(厚生年金を受給していた場合)
    ・死後14日以内(国民年金を受給していた場合)

  • 提出先
    最寄りの年金事務所、街角の年金相談センター

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

死亡の届けが遅れ、亡くなった日の翌日以降に受け取った年金は、返還しなくてはなりません。

ただし、厚生年金の受給停止手続きをすれば、同時に国民年金も受給停止となるため、2種類の手続きは不要です。

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参考:年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。年金を受けている方が亡くなったとき

14日以内:介護保険資格喪失届の提出(省略可)

亡くなった人が要介護、要支援認定を受けていた場合、原則として介護保険の資格喪失の手続きが必要となります。

しかし、資格喪失届を提出しなくても死亡届を提出した時点で手続きが完了する場合や、介護保険被保険者証の返却が不要な市区町村もあります。

事前に故人の住所地の市区町村に確認するといいでしょう。

  • 提出書類
    ・介護保険被保険者証
    ・介護保険資格喪失届(役所窓口で受け取るか役所のサイトからダウンロード)

  • 期限
    死後14日以内

  • 提出先
    故人の住所地がある市区町村の役所

  • 郵送などでの手続き
    可能

参考:介護保険 資格取得・喪失届:練馬区公式ホームページ

14日以内:世帯主変更届の提出

3人以上の世帯で世帯主が亡くなった場合、「世帯主変更届」を提出する必要があります。

死亡にともない、住民票に登録されている世帯主が変わるためです。

提出が遅れると5万円以下の過料(義務違反に対する金銭の徴収)が発生する場合があります。

なお、死亡届を提出した時点で住民登録は抹消されるため、亡くなった人を住民票から抹消するためだけの手続き(住民票の抹消)は、通常不要です。

  • 提出書類
    ・世帯主変更届
    ・届出人の本人確認書類
    ・印鑑
    ・委任状(新たな世帯主もしくは同一世帯の世帯員以外が手続きを行う場合)など

  • 期限
    死後14日以内

  • 提出先
    故人の住所地がある市区町村の役所

  • 郵送などでの手続き
    不可

  • ポイント

以下のケースでは世帯主変更の届出が不要です。

  • 死亡した世帯主以外に世帯員がいない
  • 死亡した世帯主以外に世帯員が1人のみ
  • 死亡した世帯主以外の世帯員のうち、1人を除いて全員15歳未満

よって、一人暮らしや夫婦だけの世帯だった場合は、届出は必要ありません。

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参考:「住民基本台帳制度に基づく各種届出」

14日以内:国民健康保険への切り替え(会社員、公務員が亡くなった場合)

公務員・会社員が亡くなった場合、その扶養に入っていた家族は国民健康保険に加入し直す必要があります。

社会保険の被保険者本人が亡くなった日の翌日には、その扶養に入っている家族にも、被保険者としての資格がなくなるためです。

  • 提出書類
    ・社会保険の資格喪失証明書(故人の勤務先から受け取る)
    ・届出人の本人確認書類
    ・国民健康保険証(すでに家族の中に国民保険の加入者がいる場合)

  • 期限
    死後14日以内

  • 提出先
    申立人の住所地の市区町村の役所

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

国民健康保険の被保険者は、社会保険の被保険者(被扶養者)と異なり、自分で保険料を支払う必要があります

納付に関する通知書などを見落とさないように注意してください。

もし家計がひっ迫して保険料を納められない場合、市区町村の役所で相談してみましょう。
所得などの条件を満たした場合、保険料の減免や分割納付が可能になるかもしれません。

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なお、子どもなど他の家族が社会保険に入っている場合、条件を満たせばその人の扶養に入ることも可能です。

14日以内:国民年金の切り替え(会社員、公務員が亡くなった場合)

会社員や公務員が亡くなり、その扶養を受けていた配偶者(第3号被保険者)がいた場合、その人は国民年金の第1号被保険者に切り替える手続きをしなくてはいけません。

  • 提出書類
    ・第1号被保険者への種別変更届
    ・届出人の本人確認書類
    ・年金手帳、基礎年金番号通知書

  • 期限
    死後14日以内

  • 提出先
    届出人の住所地の市区町村の役所

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

国民年金の第1号被保険者となったあとは、自分で年金を納める必要があります。

年金の未納が続くと、老後に受け取る年金が少なくなったり、年金の受給自体ができなくなったりするケースもあるため、注意しましょう。

事情があって納付が難しい場合、最寄りの年金事務所か住所地の市区町村の役所への相談をおすすめします。

条件を満たせば、国民年金保険料の免除制度・納付猶予の制度が使えるかもしれません。

参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

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第3号被保険者とは

国民年金は、原則20歳以上60歳以下のすベての国民が加入する年金ですが、以下、3種類の被保険者がいます。

  • 第1号被保険者:自営業者、農業者、学生および無職の人とその配偶者
  • 第2号被保険者:厚生年金保険や共済組合などに加入している会社員や公務員
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されており、厚生年金に加入していない配偶者

第3号被保険者は、自分では年金を支払っていない状態です。

扶養から外れた場合は年金を自分で支払う立場、つまり第1号被保険者への切り替えの手続きが必要になるのです。

参考:第3号被保険者」とは何ですか。|日本年金機構

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1ヶ月以内:雇用保険受給資格者証の返還

亡くなった人が雇用保険を受給していた場合、死亡から1ヶ月以内に「雇用保険受給資格者証」の返還が必要となります。

雇用保険受給資格者証とは、失業手当の受給資格があることを証明するものです。

  • 提出書類
    ・雇用保険受給資格者証
    ・死亡の事実を確認できる書類(死亡診断書や死体検案書のコピー、死亡記載のある戸籍謄本など)
    ・住民票

  • 期限
    死後1ヶ月以内

  • 提出先
    故人が雇用保険を受給していたハローワーク

  • 郵送などでの手続き
    可能

参考:雇用保険被保険者資格喪失届

2ヶ月以内:団体信用生命保険の請求

亡くなった人が団体信用生命保険(団信)に加入していた場合、団信からの保険金の請求を行います。

団信は、住宅ローンの返済中にローン契約者が死亡または高度障害などになった場合、住宅ローンの借入残高をゼロにする保険です。

契約者の死亡後、早めにローンの申込先の金融機関に連絡を入れましょう。

  • 提出書類
    ・団信弁済届(連絡後、金融機関から受け取る)
    ・死亡診断書(死体検案書)
    ・被保険者の除籍謄本
    ・受取人の印鑑証明
    ・受取人の戸籍抄本
    ・相続関係説明図など

  • 期限
    死後2ヶ月以内(約款による)

  • 提出先
    借入先の金融機関

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

団信の請求後は審査が行われ、保険金の支払いまでは1〜2ヶ月を要します。

その間は住宅ローンの支払いが発生しますが、後日、払い戻されます。

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参考:機構団信債務弁済の手続

【注意】住宅ローン完済後は抵当権抹消登記の手続きも行う

団体信用生命保険の保険金により、住宅ローンが完済となったら、抵当権抹消登記の手続きをする必要があります。

住宅ローンの完済時点で抵当権の効力は消滅しますが、抵当権抹消登記の申請をしないと、登記簿上は抵当権が付いたままとなってしまいます。

抵当権を抹消しておかないと、新規の住宅ローンの借入審査に通らない、不動産の売却が難しいといったリスクが生じるのです。

  • 提出書類
    ・登記申請書(法務局の窓口、Webサイトよりダウンロード)
    ・抵当権設定契約証書(抵当権設定時に金融機関などが保管)
    ・抵当権解除証書(金融機関が発行)
    ・登記済権利証、登記識別情報(抵当権設定時に金融機関などが保管)
    ・代理権限証明情報(委任状)など

  • 期限
    なし(できるだけ速やかに)

  • 提出先
    不動産の所在地を所轄する法務局

  • 郵送などでの手続き
    可能

抵当権とは

お金を借りる人(債務者)が購入する土地と建物を、お金を貸す(債権者)金融機関や保証会社が担保とする権利のことです。

住宅ローンを契約する際に設定されます。

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2年以内:国民年金の死亡一時金請求

国民年金の死亡一時金を受け取ることができる遺族がいる場合、その請求をします。

  • 提出書類
    ・故人の基礎年金番号通知書、年金手帳などの基礎年金番号が確認できる書類
    ・戸籍謄本、法定相続情報一覧図
    ・世帯全員の住民票(マイナンバー記入で添付を省略可能)
    ・故人の住民票の除票
    ・受取先金融機関の通帳 など

  • 期限
    死亡日の翌日から2年以内

  • 提出先
    市区町村の役所(故人の住所地)、最寄りの年金事務所、街角の年金相談センター

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

死亡一時金とは、死亡日の前日において

  • 国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料を36月(3年)以上納めていた人が、
  • 老齢基礎年金、障害基礎年金を受給することなく亡くなった場合、
  • その故人と生計を同じくしていた遺族に

支給される給付金です。

遺族は(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹の中で、順位の高い親族が優先して受け取ります。

死亡一時金の金額は、保険料を納めた月数に応じて12万〜32万円です。

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参考:死亡一時金|日本年金機構死亡一時金を受けるとき|日本年金機構

2年以内:国民健康保険の葬儀費用請求

国民健康保険の被保険者が亡くなって葬儀を行った場合、葬儀費用の一部が喪主に支給されます。

支給額は1〜7万円程度です。

  • 提出書類
    ・国民健康保険証(返却済みであれば不要)
    ・葬祭を行った人の本人確認書類と預金通帳(口座情報がわかるもの)
    ・葬儀を行ったことがわかる資料(会場礼状、葬祭の領収書など)
    ・委任状(代理人が申請する場合) など

  • 期限
    葬祭を行った日の翌日から2年以内

  • 提出先
    被保険者の住所地のある市区町村の役所

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

この葬儀費用は、以下の場合支給されません。

  • 社会保険(健康保険)など他の保険から葬祭費や埋葬料が支給された場合
  • 第三者(死亡要因となる事故の加害者)から葬儀費用について賠償を受けた場合

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参考:国民健康保険では、葬祭費の申請はどのようにすればいいですか。

3年以内:生命保険の死亡保険金請求

亡くなった人が死亡保険金が支給される生命保険に入っていた場合、受取人となっている遺族は死亡保険金の請求を行います。

まず、契約している保険会社のサービスセンター、コールセンター、担当者などに連絡しましょう。

  • 提出書類
    ・請求書
    ・被保険者の住民票
    ・受取人の戸籍抄本
    ・受取人の印鑑証明
    ・死亡診断書(死体検案書)
    ・保険証券 など

  • 期限
    死亡日の翌日から3年以内

  • 提出先
    保険会社

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

死亡保険金の請求後、請求書とあわせて必要な添付書類の案内が保険会社から送られてきますので、基本的にはそれに従いましょう。

請求手続き後、生命保険会社が保険金の支払い可否判断を行った後、保険金や給付金を受け取ります。

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参考:死亡保険金はどのようにして受け取る?

5年以内:遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求

亡くなった人が、国民年金または厚生年金の被保険者もしくはかつて被保険者だった場合、遺族が一定の条件を満たしていれば、遺族年金を請求できます。

遺族年金には、

  • 遺族基礎年金:国民年金の被保険者であった人の遺族が受け取る給付金
  • 遺族厚生年金:厚生年金の被保険者であった人の遺族が受け取る給付金

があります。

    【遺族基礎年金の場合】

  • 提出書類
    ・基礎年金番号が確認できる書類(書類年金請求書、基礎年金番号通知書、年金手帳など)
    ・戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図
    ・世帯全員の住民票(※1)
    ・故人の住民票の除票
    ・請求者の収入および子の収入(※2)が確認できる書類(※1)
    ・死亡診断書(死体検案書)のコピー、死亡届の記載事項証明書
    ・受取人の金融機関の通帳 など
    (※1)マイナンバーを記入することで添付は省略できる
    (※2)子が義務教育終了以前は不要、高等学校在学中の場合は在学証明書または学生証のコピー

  • 期限
    5年以内

  • 提出先
    市区町村の役所(故人の住所地)
    (死亡日が国民年金第3号被保険者期間中の場合、年金事務所または街角の年金相談センター)

  • 郵送などでの手続き
    可能


  • 【遺族厚生年金の場合】

  • 提出書類
    ・年金請求書
    ・基礎年金番号が確認できる書類(書類年金請求書、基礎年金番号通知書、年金手帳など)
    ・故人の住民票の除票
    ・戸籍謄本(故人の死亡日以降、提出日から6ヶ月以内に交付されたもの)または法定相続情報一覧
    ・死亡診断書(死体検案書)のコピー、死亡届の記載事項証明書
    ・受取人の金融機関の通帳 など

  • 期限
    5年以内

  • 提出先
    最寄りの年金事務所、街角の年金相談センター

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

遺族基礎年金は、被保険者に生計を維持されていた子のある配偶者、または子に支給されます。

たとえば

  • 配偶者が68歳以下
  • 子が1人いる

場合、105万800円(令和6年4月分以降)の年金を、子が18歳となる年度の年度末に達するまで受け取ることができます。

遺族厚生年金は、被保険者に生計を維持されていた配偶者や子など、遺族の中で先順位者が受け取ります。

年金額は原則、亡くなった被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。

また、遺族基礎年金の併給も可能です。

続きを読む

参考:遺族基礎年金を受けられるとき遺族厚生年金を受けられるとき

遺族年金の受給については、以下の記事で詳しく解説しています。

5年以内:未支給年金の請求

亡くなった人が年金受給者である場合、遺族は未支給年金の請求を行うことができます。

年金は基本的に偶数月の15日に前月と前々月分が支給されるため、年金受給者が亡くなると、一般に「死亡月までの年金=未支給年金」となります。

たとえば、受給者が10月5日に亡くなった場合、受給の権利は10月分までありますが、実際に振り込まれるのは12月15日なので、死亡した本人は受け取ることができません。これが未支給年金です。

  • 提出書類
    ・未支給年金請求書
    ・故人の年金証書
    ・戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し
    ・故人の住民票の除票(※)
    ・請求する人の世帯全員の住民票の写し(※)
    ・受取人の金融機関の通帳 など
    (※)マイナンバーを請求書に記入することで省略可能

  • 期限
    故人の年金支払日の翌月初日から5年以内

  • 提出先
    最寄りの年金事務所、街角の年金相談センター

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

未支給年金は、生計を同じくしていた配偶者や子など、3親等内の親族のうち、優先順位の高い人が受け取ります。

優先順位は以下のとおりです。

1番目:配偶者
2番目:子
3番目:父母
4番目:孫
5番目:祖父母
6番目:兄弟姉妹
7番目:上記の者以外の3親等内の親族

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参考:年金を受けている方が亡くなったとき10 基礎編講義 未支給年金

相続手続き

相続人となると、遺産を引き継ぐかどうかの判断、それにともなう税金の支払いや名義変更といった手続きが発生します。

多くの手続きには期限があるため、できるだけ早めに手をつけましょう

具体的には、以下のような手続きが想定されます。

  • 1ヶ月以内(目安) : 遺言書の有無を確認
  • 2ヶ月以内(目安): 財産と相続人の調査
  • 3ヶ月以内 : 単純承認・相続放棄・限定承認の選択と手続き
  • 4ヶ月以内 : 準確定申告・納税
  • 10ヶ月以内 : 遺産分割協議・協議書の作成
  • 10ヶ月以内 : 相続税申告と納付
  • 10ヶ月以内(目安) : 株式(有価証券)の名義変更・解約
  • 10ヶ月以内(目安) : 銀行口座の名義変更・解約
  • 相続決定後15日以内:自動車の名義変更
  • 相続決定後3年以内 : 相続登記(不動産の名義変更)

なお、これらの手続きは、葬儀や年金の手続きと並行して進めることになります。

仕事や家事に追われている場合や他に分担できる人がいない場合、大変な作業となってしまうでしょう。

司法書士などの法律の専門家に代行を依頼することも選択肢になるでしょう。

手続きの内容を解説します。

相続については、以下の記事で詳しく解説しています。

1ヶ月以内:遺言書の有無を確認

親などの身近な人が亡くなり、相続が発生したら、1ヶ月以内を目安にまずは遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書があれば、基本的にはその内容に基づいて相続が進みます。

結果的に遺言書どおりの遺産分割となれば、遺産分割協議書の作成も不要になります。

  • ​​探す方法
    (1)自宅の遺品の中を探す
    (2)法務局で遺言書保管事実証明書の交付請求をする
    (3)公証役場で遺言検索システムを利用する

  • 期限
    1ヶ月以内(目安)

遺言書については、以下の記事で詳しく解説しています。

自宅で遺言書が見つかったら検認手続きが必要

遺言書が故人の自宅で見つかった場合、発見者は開封せず、家庭裁判所に提出して「検認」という手続きを行う必要があります。

これは

  • 遺言書が存在することと、その内容を相続人に知らせる
  • 遺言書の偽造、隠蔽、紛失を防止する

ことを目的に、家庭裁判所が遺言書を開封し、内容を確認するものです。

発見しても検認をしなかった場合や、勝手に開封してしまった場合、5万円以下の過料が科せられる場合もあります。

  • 提出書類
    ・遺言書
    ・申立書
    ・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
    ・相続人全員の戸籍謄本
    ・収入印紙800円と連絡用郵便切手 など

  • 期限
    1ヶ月以内(目安)

  • 提出先
    故人の住所地を管轄する家庭裁判所

  • 郵送での手続き
    可能(申立人は検認当日に出廷の義務あり)

参考:遺言書検認

2ヶ月以内:財産と相続人の調査

遺言書の探索と並行して、故人名義の財産と相続人の調査を開始しましょう。

遺言書がなかった場合、財産を洗い出し、どう分けるかを法定相続人全員で話し合います(法定相続の場合は不要。詳しくは後述)。

法定相続人とは

民法で被相続人(亡くなった人)の相続財産を受け継ぐ権利があると定められている人のこと。具体的には下記のとおりです。

  • 配偶者:常に相続人となる
  • 子ども、孫:第一順位
  • 親、祖父母:第二順位(第一順位の相続人が不在、または相続放棄をした際に法定相続人になる)
  • 兄弟姉妹、甥姪:第三順位(第一順位、第二順位の相続人が不在、または相続放棄をした際に法定相続人になる)

法定相続人の範囲と順位

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遺言書がある場合も、記載されている財産がすべてとはかぎりません。この調査は飛ばさずに行いましょう。

    【財産調査】

  • 調査方法
    ・遺言書の財産目録を確認する
    ・自宅内に保管されている通帳や金融商品の取引明細書、金融機関からの郵便物を確認する
    ・金融機関で残高証明書や取引明細を発行して確認する
    ・信用情報機関に情報開示請求を行う

  • 期限
    2ヶ月以内(目安)


  • 【相続人調査】

  • 調査方法
    故人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、血族関係を確認する

  • 戸籍謄本の取得場所
    最寄りの市区町村の役所(本庁)

  • 取得時の持参物
    ・顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
    ・印鑑(認め印可)
    ※ 配偶者、両親、祖父母、子、孫の戸籍を取る場合。それ以外の関係性の場合、故人の本籍地の役所に請求する。転籍があった場合、転籍元の役所に問い合わせて取り寄せる

  • 期限
    2ヶ月以内(目安)

法定相続人については、以下の記事で詳しく解説しています。

3ヶ月以内:単純承認・相続放棄・限定承認の選択と手続き

相続財産の調査結果をもとに、相続の方法について単純承認・相続放棄・限定承認のどれにするかを決定します。

預貯金などのプラスの価値がある財産より、借金などマイナスの財産(負債)の方が多かった場合、相続放棄か限定承認も選択肢となるでしょう。

単純承認とは

財産のすべてを引き継ぐ相続方法。
借金などの負債がある場合も、無制限に相続することになります。
この方法を選ぶ場合、特別な手続きは不要です。

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相続放棄とは

相続人としての立場・権利を放棄する制度。
初めから相続人ではなかったと見なされ、一切の資産も負債も引き継ぎません。
手続きは一人でも可能です。

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限定承認とは

プラスの財産を限度に、マイナスの財産も引き継ぐ相続方法。
相続財産として、

  • 評価額が500万円の不動産
  • 金融機関からの借入が800万円

あった場合、家を手元に残して、プラスの財産500万円を上限に借金も相続する(返済する)ことになります。
残り300万円の借金は相続しません。
手続きの際は相続人全員の同意が必要です。

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    【相続放棄または限定承認】

  • 提出書類
    (相続放棄の場合)
    ・相続放棄の申述書
    ・故人の住民票除票または戸籍の附票
    ・相続放棄をする相続人の戸籍謄本
    ・故人の出生時から死亡時までのすべて戸籍謄本 など

    (限定承認の場合)
    ・限定承認の申述書
    ・故人の住民票除票または戸籍の附票
    ・故人の出生時から死亡時までのすべて戸籍謄本
    ・法定相続人全員の戸籍謄本 など
    ※ 相続放棄、限定承認ともに故人と申述人(申立人)との関係によって必要書類が一部異なる

  • 期限
    相続人となった事実を知った日から3ヶ月以内
    (手続きが終わらない場合、期間伸長の申立てをすることで3〜6ヶ月程度延長可能)

  • 提出先
    故人の住所地を管轄する家庭裁判所

  • 郵送での手続き
    可能

相続放棄については、以下の記事で詳しく解説しています。

4ヶ月以内:準確定申告・納税

準確定申告とは、故人に所得があった場合に行う確定申告のことです。

亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得金額と所得税額を相続人が計算し、税務署に申告しなくてはいけません。

申告義務があるにもかかわらず、申告期限が過ぎても放置したままの場合、無申告加算税、延滞税が発生します

準確定申告が必要かどうかは、早めに確認しておきましょう。

  • 提出書類
    死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表

  • 期限
    相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内

  • 提出先
    故人の住所地を管轄する税務署

  • ポイント

準確定申告が必要となる場合は、具体的には以下のとおりです。

  • 故人に事業所得、不動産所得があった
  • 故人に2,000万円超の給与所得があった
  • 故人が2ヶ所以上から給与所得を得ていた
  • 故人の年金受給額が400万円を超えていた
  • 故人の副収入が20万円を超えていた

また、準確定申告が不要でも、以下のケースでは、申告することで還付が受けられます。

  • 医療費控除、配偶者控除、生命保険料控除などを受ける場合
  • 年末調整が行われていない場合

なお、一般の確定申告では、1〜3月までの所得に関しては、その翌年に確定申告を行います。

しかし、準確定申告では、翌年にすべき確定申告も準確定申告の期限内に行わなければならないので、注意が必要です。

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参考:国税庁:納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

10ヶ月以内:遺産分割協議・協議書の作成

以下のようなケースでは、相続人全員で遺産分割協議(遺産の分割方法や割合に関する話し合い)を行う必要があります。

  • 有効な遺言書がない
  • 相続人が複数人いる
  • 法定相続とは違う分割をする

遺産分割協議書は、この協議で合意に達したことを示すものであり、相続税の申告や各種名義変更、相続登記などの手続きの際に使用されます。

相続人全員分作成し、原本を一人1通ずつ保管しましょう。

法定相続とは

法定相続人の間で、民法で定められたとおりの割合で遺産を分けること。
具体的な割合は以下の図のとおりです。

法定相続人と法定相続分

法定相続の場合、手続き時に遺産分割協議および遺産分割協議書の作成は不要となります。
ただし、遺産に家などがある場合は相続人全員の共有物となってしまい、売却時などにトラブルに発展するケースもあるため注意が必要です。

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  • 依頼先
    相続人全員

  • 期限
    相続発生の翌日から10ヶ月以内(相続税の申告期限)

  • 持参物
    ・実印
    ・印鑑証明

遺産分割協議書

遺産分割協議書のつくりかたは以下の記事で詳しく解説しています。

10ヶ月以内:相続税申告と納付

遺産の総額が以下の基礎控除額を超え、相続税が発生した場合、相続税申告と納付を行わなければなりません。

相続税の基礎控除

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

納付期限を過ぎると延滞税、無申告加算税が発生するため、早めに準備を始めましょう。

  • 提出書類
    ・被相続人の戸籍謄本
    ・被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
    ・相続人全員の戸籍謄本
    ・相続人全員の住民票
    ・遺言書、遺産分割協議書
    ・登記簿謄本(全部事項証明書)、固定資産評価証明書
    ・残高証明書、通帳の写しまたは預金取引履歴、手元にある現金 など

  • 期限
    相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内

  • 提出先
    故人の住所地を管轄する税務署

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

期限内に遺産分割協議が終わらなかった場合、いったん法定相続による遺産分割を行い、財産を得たものとして、相続税の申告、納税を行います。

その後に、遺産分割協議を行い、

  • 協議で決まった割合に基づいて計算した税
  • 当初申告した税

上2つの額が異なる場合は、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告(税金を少なく申告していた場合)、または更生の請求(税金が過大な場合)を行います。

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参考:(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類

10ヶ月以内:株式(有価証券)の名義変更・解約

故人が株式を保有していれば、遺産分割協議などの結果に応じて名義変更が必要となります。

保有する株式が上場しているか非上場かで、名義変更の手続きが異なります。

  • 提出書類
    (上場株式の場合)
    ・株式名義書換請求書
    ・取引口座引き継ぎの念書
    ・相続人全員の同意書
    ・相続人全員の印鑑証明
    ・故人の出生から死亡までの戸籍謄本
    ・相続人の戸籍謄本 など

    (非上場株式の場合)
    ・相続人全員の同意書 など

  • 期限
    相続が発生した日の翌日から10ヶ月以内が目安(相続税の申告期限)

  • 提出先
    ・上場株式の場合:故人が口座開設している証券会社
    ・非上場株式の場合:非上場株式の企業

  • 郵送などでの手続き
    可能なことが多い

  • 上場株式の場合のポイント

名義変更された上場株式は、故人と同じ証券会社の、相続人名義の口座で保有する形となります。

相続した株式を解約(売却)し現金化したい場合は、名義変更後に好きなタイミングで売却をします。

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  • 非上場株式の場合のポイント

非上場株式の名義変更は、企業によって手続きが異なります。

また、上場価額がないため、価格の算定が難しいことも問題です。

非上場株式が相続財産に含まれている場合、司法書士や弁護士に相談してみるのも一つの選択肢となります。

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10ヶ月以内:銀行口座の名義変更・解約

遺産の分割方法が決まったら、銀行口座の名義変更もしくは払い戻しを行います。

ただし、口座名義人の死亡を知らせると、預金口座は凍結されます。その間、入出金はできません。

定期的に引き落としがある場合は、事前に連絡して、その利用を停止しておくのがいいでしょう。

  • 提出書類
    ・名義変更や払い戻しの申請書
    ・故人の出生から死亡までの戸籍謄本
    ・相続人の戸籍謄本
    ・相続人の印鑑証明
    ・遺産分割協議書(遺産分割協議を行った場合
    ・遺言書(故人が作成していれば提出。ただし自筆証書遺言は検認が必要
    ・故人の預金通帳、銀行印、キャッシュカード など(各社に要確認)

  • 期限
    相続が発生した日の翌日から10ヶ月以内が目安(相続税の申告期限)

  • 提出先
    預金先の金融機関

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

預金口座を解約した場合、入っていたお金は相続人に払い戻されます。

書類提出の2〜3週間後に、払い戻しまたは名義変更が実施され、口座の凍結も解除されます。

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相続決定後15日以内:自動車の名義変更

遺産分割協議などで自分が自動車を相続することが決定したら、まずは名義変更を行います。

自動車の名義変更の期限は、法律によって自動車を誰が相続するか確定してから15日以内と定められています(道路運送車両法13条)。

  • 提出書類
    ・故人の除籍謄本
    ・相続人の実印および印鑑登録証明書
    ・遺産分割協議書または遺言書
    ・車検証
    ・自動車税申告書
    ・新所有者の車庫証明書 など

  • 期限
    相続することが決まってから15日以内

  • 提出先
    ・普通自動車:故人の住所地を管轄する運輸支局
    ・軽自動車:故人の住所地を管轄する軽自動車検査協会

  • 郵送での手続き
    可能

  • ポイント

名義変更を期限内に行わなかった場合

  • 50万円以下の罰金が発生する
  • 法的に自分の自動車だと証明できないため、売却や処分ができない
  • その自動車で事故を起こすと、多大な費用を自己負担することになる

といったリスクがあるため、期限を守って速やかに手続きをしましょう。

もし自動車を処分をしたい場合、名義変更後に自動車の売却か廃車を行います。処分に期限はないため、落ち着いてから検討しましょう。

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参考:[Q]クルマの持ち主が死亡した場合、どういう手続きが必要ですか?

相続決定後3年以内:相続登記(不動産の名義変更)

遺産に実家などの不動産がある場合、その不動産を相続することが決まってから3年以内に相続登記が必要となります。

相続登記は、故人が所有していた不動産の名義を、新しい所有者(相続人)の名義に変更する法的手続きです。

  • 提出書類
    ・故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
    ・故人の住民票の除票
    ・相続人全員の戸籍謄本
    ・固定資産評価証明書
    ・登記事項証明書(登記簿謄本)
    ・不動産を取得する人の住民票
    ・登記申請書
    ・収入印紙800円と連絡用郵便切手 など
    ※ 遺産分割協議成立前の場合、相続人全員分の合意書面が必要

  • 期限
    相続することが決まって3年以内

  • 提出先
    不動産のある住所を管轄する法務局

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

不動産登記法改正により、2024年4月1日より相続登記は義務化され、「相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内」に行うことが定められました。

正当な理由なく、申請をしなかったときは、10万円以下の過料が科される可能性があります。

なお、相続登記のためには、登録免許税の計算など複雑な過程が発生します。登記内容を変更する手続きにも、必要書類から申請書の書き方まで、法律で細かいルールが決められています。

自分で相続登記を行うと、想像以上に手間がかかり、手続きが長引くことも多いようです。司法書士など、法律の専門家に依頼するのも一つの方法です。

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相続登記については以下の記事で詳しく解説しています。

その他の手続き

人が亡くなると、日常生活に関わる契約を処理していく必要があります。

ここでは、以下の契約について、契約者の死後の手続きについて、注意点もまじえて解説していきます。

  • 賃貸借契約の解除・退去
  • 公共料金(水道・ガス・電気・インターネット・固定電話・NHK受信契約)の名義変更・解約
  • 携帯電話、スマートフォンの名義変更・解約
  • クレジットカードの利用停止
  • パスポートの失効手続き
  • 運転免許証の返納(省略可)
  • サブスクサービスなどの名義変更・解約

これらのうち、法律などで期限が定められている手続きはありません。

しかし、契約者の死後もサービスの利用料は発生し続けるため、他の後処理などとの兼ね合いを留意しながら、時間を見て手続きを進めましょう。

注意点

相続放棄の手続きをする、あるいはその可能性がある場合、亡くなった人の名義変更や解約の手続きには着手しない、関わらないようにしましょう。

手続きを行うと、「単純承認」の意思がある行為と見なされ、相続放棄の手続きが受理されない可能性が生じます。

つまり、希望していない借金を受け継いでしまう事態になりかねないのです。

賃貸借契約の解除・退去

家の賃貸借契約は入居者の死亡後も有効で、家賃は発生し続けます。

相続人に家賃の支払い義務が発生するため、退去日や契約の解約予定日を賃貸住宅の管理側と取り決めましょう。

ただし、退去日を直近にしてしまうと遺品整理が十分にできない可能性があります。

大切な遺品をすべて捨てて後悔するケースもあるため、遺品整理などの日程もふまえて退去日を決めるようにしましょう。

  • 提出書類
    ・退去届(解約通知書) など
    ※ 遺産分割協議成立前の場合、相続人全員分の合意書面が必要

  • 期限
    なし(遺品整理なども考慮したうえでできるだけ速やかに)

  • 提出先
    賃貸物件の管理会社、大家

  • 郵送などでの手続き
    可能なことが多い

公共料金(水道・ガス・電気・インターネット・固定電話・NHK受信契約など)の名義変更・解約

亡くなった人の名義で契約している水道光熱費などの公共料金がある場合、なるべく早めに名義変更、または解約をします。

解約しないと、料金は発生し続けてしまうので注意しましょう。

ただし、水道やガスは、故人の家の掃除、片付けや遺品整理の際に必要になるかもしれません。

故人名義の家に住まない場合も、一通り済んでから解約した方がいいでしょう。

  • 提出書類
    ・契約者の死亡の事実が確認できる書類(死亡診断書のコピーなど)
    ・契約者と届出た人との関係がわかる書類(戸籍謄本など)
    ・退会届など、各種届出書 など(各会社に確認)

  • 期限
    なし(できるだけ速やかに)

  • 提出先
    サービスを提供している各社、水道局など

  • 郵送などでの手続き
    可能

携帯電話、スマートフォンの名義変更・解約

携帯電話、スマートフォンの解約については、契約している通信キャリア(携帯電話会社、通信事業者)に連絡をします。

電話番号などを残しておきたい場合は、解約ではなく、権利を引き継ぐ「承継」(名義変更)とすることも可能です。

スマートフォンの利用料金は引き続き発生してしまうものの、特別な事情がなければ解約はあまり急ぐべきではないかもしれません。

故人の友人、知人からの連絡が電話やSMSで送られてくる可能性もあります。遺品、その他の調査、整理が落ち着いてからでもいいでしょう。

また、必要であれば、それまでにデータのバックアップ、データ移行をしておくこともできます。

  • 提出書類
    ・契約者の死亡の事実が確認できる書類(死亡診断書のコピーなど)
    ・契約者と届出た人との関係がわかる書類(戸籍謄本など)
    ・退会届など各種届出書 など(各会社に確認)

  • 期限
    なし(手続きや連絡が落ち着いてから)

  • 提出先
    契約している携帯キャリア各社

  • 郵送などでの手続き
    可能

クレジットカードの利用停止

亡くなった人のクレジットカードは相続人、遺族が引き継いで利用することができません。必ず解約します。

契約者が亡くなっても、解約しないかぎりカードの年会費の請求は続きます。

不正利用を防ぐためにも、早めに手続きを行いましょう。

  • 提出書類
    ・契約者の死亡の事実が確認できる書類(死亡診断書のコピーなど)
    ・契約者と届け出た人との関係がわかる書類(戸籍謄本など)
    ・退会届など各種届出書 など(各会社に確認)

  • 期限
    なし(できるだけ速やかに)

  • 提出先
    契約しているカード会社

  • 郵送などでの手続き
    可能

  • ポイント

クレジットカードは多くの人が複数枚所有しています。したがって、見落としているカードがないか、探す作業も重要です。

以下のようなものをチェックしましょう。

  • 故人の財布やカードホルダー
  • 契約書
  • 明細書
  • 預金口座からの引き落とし履歴
  • オンライン取引の履歴
  • カード会社や金融機関からの郵便物 など

利用の履歴はあるもののカード本体が見当たらない場合、信用情報機関に個人情報の開示請求を行うことで、契約していたカード会社や利用残高を確認することができます。

また、未払い料金がある場合は、相続人が故人に代わって支払います。ただし、相続放棄をしているのであれば、支払う必要はありません。

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サブスクサービスなどの名義変更・解約

亡くなった人がサブスクリプションサービスを利用していた場合、速やかに解約しましょう。

解約をしないと利用料は定期的に発生し続けてしまうためです。

各サービスの解約方法に沿って手続きを進めてください。

手続きは、Web上または郵送が基本です。

  • ポイント

故人が利用していたサービスは、以下のものから確認しておくといいでしょう。

  • 通帳の引き落とし履歴
  • クレジットカードの利用履歴
  • 利用額のお知らせ通知(メール、ハガキ)

支払い方法となっているクレジットカードを解約することで、未払いの通知からサービスの利用がわかるケースもあります。

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パスポートの失効手続き

亡くなった人がパスポート(旅券)を所有していた場合、失効手続きを行います。

  • 手続き場所・依頼先
    全国都道府県の旅券事務所(パスポートセンター)

  • 期限
    なし(できるだけ速やかに)

  • 提出書類
    ・故人の死亡がわかる書類(戸籍抄本、戸籍謄本、除籍抄本、除籍謄本や死亡診断書、死体検案書、埋火葬許可証のいずれか)
    ・有効なパスポート
    ・返納届
    ・届出人の本人確認書類(運転免許証、保険証など)

  • 郵送などでの手続き
    不可

  • ポイント

故人の思い出として、パスポートを手元に置いておくことも可能です。

手続き後、旅券事務所で無効処置をしてもらいましょう。

続きを読む

参考:パスポートの名義人が死亡した場合は? - 福岡県庁ホームページ

運転免許証の返納(省略可)

亡くなった人の運転免許証を、遺族などが返納する義務はありません。

運転免許証の有効期限が満了していない場合、運転免許証更新連絡書等の通知が届き、更新をしなければそのまま失効となるためです。

しかし、免許が有効なままだと紛失や盗難に遭い、悪用される可能性もあります。

可能であれば、速やかに返納しましょう。

  • 提出書類
    ・免許証返納届(窓口にある)
    ・免許証
    ・死亡診断書(死体検案書)のコピー
    ・死亡した人の戸籍謄本
    ・申請者の身分証明書
    ・申請者の認印

  • 期限
    なし(できるだけ速やかに)

  • 提出先
    最寄りの警察署、運転免許(更新)センター、運転免許試験場のいずれか

  • 郵送などでの手続き
    不可

参考:亡くなられた方の運転免許証について 警視庁

相続に関する相談は司法書士法人みつ葉グループへ

人が亡くなると、親族は葬儀に関わる手続き、作業であっという間に忙しくなります。

近年、葬儀は簡略化の傾向にありますが、逆に、

  • 親族が全員遠方に住んでいる
  • 全員が仕事や介護に追われていて手続きの時間がとれない

といったケースも増えているのが実情です。

相続に関わる書類集めや財産調査など、とても手が回らない
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この記事の監修者
宮城 誠
司法書士会所属
東京司法書士会 第8897号 、簡裁認定司法書士番号 第1229026号
経歴
2011年九州大学経済学部卒業。2012年司法書士試験合格。
大手司法書士事務所で約6年経験を積み、2018年みつ葉グループ入社。
コメント
「お客様のお悩みやご不安なことが一つでも多く解決できますよう、誠実かつ丁寧に対応させていただきます。お気軽にご相談ください!」

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