養育費が払えないときの対処法は?免除や減額する条件や手順を解説

養育費が払えない

再婚、子どもの誕生、転職、給料の低下など、人生なんて何が起きるかわからないものです。

「親権を失っても、親子であることには変わりない」。そんな思いから、がんばって養育費を支払ってきたものの、支払いが難しくなることもあるでしょう。

何かしらの生活の変化により養育費が払えない場合、どうすればいいのでしょうか?

原則、養育費の支払いは親の義務なので、免れることはできません。
ただし、条件によっては減額や免除が認められる可能性もあります

この記事では「養育費が払えない」と悩む方に、その解決策を紹介します。

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養育費を払えない状況になっても支払い義務は消えない

離婚したとしても親には子どもを養う義務があります。民法877条1項目にも「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と記されています。

したがって、養育費を免除してもらうことは難しいのが現実です。

養育費の支払いの免除が認められる例外的ケース3つ

ただしわずかですが、例外的に養育費の免除が認められるケースもあります。
具体的には以下のような条件に当てはまる場合です。

1.養育費の免除に相手が合意した

離婚の養育費は、基本的には両者の合意次第です
そのため養育費は相手が許可すれば、免除してもらうことは可能です。もし、親権者である元パートナーに十分な収入があるなら検討すべきでしょう。

もし話し合いによって相手の合意が得られた場合は、後でトラブルにならないように、合意内容を公正証書など法的効力のある書面で作成しておくことをおすすめします。

2.生活保護を受けていたり、病気で働けない

一般的に支払うべき養育費の金額は、子供の人数・年齢と元夫婦の収入に基づいて算出されます。
もし、あなたが重病などで無職になり無収入状態であれば、支払いが免除できる可能性もあります
しかしたとえ無職であっても、働ける状態であれば認められません。

3.相手が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をした

元パートナーの再婚により、再婚相手と子どもが養子縁組を結んだ場合も免除できる可能性があります
離婚してから元パートナーに一切連絡を取っていない、といった状態であれば、知らぬ間に相手が再婚していたケースも考えられるので、確認してみるとよいかもしれません。
ただし、「養育費の免除は再婚相手に十分な収入があること」と「相手が同意すること」が条件です。

借金や自己破産でも養育費の免除は認められない

もしかしたら、養育費を支払うために借金をしてしまった、さらには養育費に加えて、膨らんだ借金が払えず自己破産を検討している方もいるかもしれません。

自己破産は裁判所に許可を得て借金をゼロにする手続きですが、養育費は免除の対象にはなりません。自己破産に関する規定を定めた破産法にも「養育費は対象外」とされているため、まず認められないでしょう。

そもそも、先ほどもお話ししたとおり、養育費の金額は元夫婦の収入によって決まるもので、借金の有無は関係ありません。そのため借金があるからといって、養育費が免除される可能性はほぼないといっていいでしょう。

養育費が払えないときの対処法…減額は可能!

ここまでお話ししてきたとおり、例外はありますが、養育費を免除してもらうのはかなり難しいといわざるをえません。
ただし、やむをえない理由であれば「減額」は可能です。

養育費は長期間にわたって支払い続けるものなので、生活や経済状況が変化する可能性は十分に考えられます。
そうした場合でも「養育費の変更が認められない」というのは支払う側にとってはあまりに不公平とされているからです。

話し合いで交渉するときも、免除よりも減額であれば認められやすくなるはずです。 さらにいえば、話し合いで解決できないときは「減額調停」を裁判所に申立てることもできます

養育費の減額が認められる条件と目安の金額

養育費の減額が認められるのは以下のようなケースです。

【支払う側】

  • 再婚相手との間に子供ができるなど、扶養家族が増えた
  • 収入が大幅に減った

【受け取る側】

  • 子どもの親権が再婚相手に移行した
  • 就職などによって収入が増えた

先ほどもお話ししましたが、養育費の金額は「元夫婦の収入」と「子どもの人数・年齢」によって決まります。

養育費を決めるときに役に立つのが東京・大阪の裁判所が公表した「養育費算定表」です。
自身と相手の年収をもとに計算をしてみて、今支払っている養育費が明らかに高額であれば減額できる可能性があります。

養育費算定表の見方についてはこちらで詳しく紹介しています。

養育費を減額する手続きの流れ

では、養育費を減額したい場合はどのようにすればいいのでしょうか?
ここからは養育費の減額請求するための流れについて紹介していきます。

1.まずは元パートナーと話し合い
まずは、元の配偶者と話し合いをしましょう。
収入が減ったなどの事情があるなら、源泉徴収票など証明できるものを用意して、話し合いに望めば、理解をしてくれる可能性はあります。

養育費の減額や変更日について合意できれば、必ず「公正証書」を作成しましょう。口約束で終わらせてしまうと後になってトラブルになる可能性もあるからです。

2.解決できない場合は調停へ
「相手が減額に応じてくれない」「そもそも話し合いを拒否された」といった場合は家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
相手が現在住んでいる家庭裁判所に申立をし、当事者と調停員会または裁判官と話し合い、解決策を探ります。

3.それでも解決できない場合は審判へ
調停でも話がまとまらない場合は、自動的に審判となります。
審判は裁判官が審問や資料に基づき、最終的な判断を下します。

養育費の減額についてはこちらの記事でさらに詳しく紹介しています。

養育費の減額は正当な理由があっても、相手が納得するとは限りません。
できるだけトラブルは避けたいものですが、自身で対応するのにも限界はあります。

もし、話し合いで解決できないようであれば、弁護士に相談しましょう

養育費を無断で支払わないと最悪の場合に資産が差し押さえられる

養育費が払えないからといって、無断で支払いをやめるのはおすすめできません。

なぜなら、無断で支払いをストップすると大事な資産を差し押さえられる事態に陥ることになるからです。

無断で養育費に関する取り決めに違反した場合、履行勧告や履行命令、最悪の場合は強制執行が行われます。

【履行勧告】
養育費を支払わない場合、家庭裁判所から義務を実行するように勧告されます。
送付する側にとっては複雑な手続きがなく、費用もかかりませんが、法的拘束力はありません。
【履行命令】
家庭裁判所から支払いの義務を命令する制度です。
正当な理由がない状態で命令に従わない場合、10万円以下の罰金を支払わなければなりません。
ただ、こちらも強制執行に比べて支払いへの法的な強制力が少ないです。
【強制執行】
離婚相手が裁判所に申立てることで、養育費の支払いを強制的に実行させる制度です。
主に差し押さえられるのは給与で、執行されると毎月の給与から一定の金額が差し引かれるだけでなく、会社にも知られてしまうリスクがあります。

また、差し押さえられるのは給与だけではありません。

所有している住宅などの不動産や車などの動産なども対象となります。こうした事態を避けるためにも、養育費は滞納すべきではありません。

養育費が支払えなくて減額できる可能性はあるので弁護士に相談

強制執行で資産を差し押さえられないためにも、養育費の未払いは回避すべきです。
しかし、どうしても支払えないという方は少なくないでしょう。

養育費が支払えない時の対処法は理由や取り決めに応じて変わってきます。
正当な理由があれば減額できる可能性が残されています

しかし、理由によっては減額できる可能性はかなり低くなってしまうことでしょう。
減額できないかもしれないと悩んでいる方は、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚や養育費に関する法的な知識をもつ弁護士であれば、減額を実現するための解決策を見つけ出すことができます。
悩んでいるうちにも強制執行はどんどん近付いていくので、早めに弁護士へ相談してみましょう。

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