弁護士コラム

10年間の感謝と、次の未来に向けて

弁護士法人・響、代表弁護士の西川研一です。

弁護士法人・響は、この2024年4月で設立から満10年となりました。
10年もの間、この法人を続けてこられたのは、クライアントのみなさま、響を支えてくださっている所外のみなさま、そして事務所の弁護士・事務員といったメンバーのおかげです。
まずは、この場を借りて感謝申し上げます。

弁護士法人・響の前身である響総合法律事務所を独立して立ち上げたのは、2013年でした。築40年以上でありながらも、いい感じのビルにあった小さな一室を借り、自分と事務局1名で個人事務所としてスタートしました。
その後、1年も経たないうちにご縁をいただいて、広告展開をしていくこととなり、しっかりとした体制を整える必要が出てきました。そこで、翌2014年4月にそれまでよりも大きなところを借り、メンバーも増やして、弁護士法人・響を設立しました。設立時は弁護士4名、事務局6名程度だったと記憶しています。


(当時の大阪オフィス)

その後、同期が経営していた東京の弁護士法人を吸収合併し、東京と大阪の2拠点体制となり、今日に至るまで、福岡、名古屋(現在は閉鎖)、立川、那覇、高松、豊岡、札幌と支店を展開してきました。現在は、弁護士、事務局合わせて300名を超える規模感となっています。

そして基幹業務として取り扱う分野も交通事故から始まり、債務整理部門も加えて大きく成長しています。また、近年ではアスベストやサイバーセキュリティの部門も設立しました。企業案件に注力する企業法務部門も先日立ち上げました。
これからもスピードを緩めることなく、成長を続けていきます。


(現在の西新宿オフィスエントランス)

設立当時を振り返ると、まず思い出すのは、この法律事務所は、またこの法人は、何をすべき存在なのだろうか、ということを考えていたことです。せっかく独立し、法人を設立したのだから、この法人の目的を明確にしたいという思いがありました。

考えた末に行き着いた答えは、まずは、日常の業務、また弁護団事件などを通じて、基本的人権や平和主義、国民主権といった憲法的価値を実現する役割をこの法人も担うべきであること。また、この法人が、そういった憲法的価値を実現したいと考えている意欲ある次世代の若手弁護士の受け皿になる、そのために持続可能な経営を実現することというものでした。このことは、自分を独立できるまでに育ててくれた法曹界への恩返しでもあります。
この目的は、弁護士法人・響の原点であり、いまに続く理念です。これを元に、人権型ローファームコンセプトが出来上がっていきました。
ただ、人権型ローファームコンセプトについては、この10周年の節目に、より詳しく、わかりやすいものとして、新たに再構築しました。
弁護士法人・響がこの世界で果たすべき役割は、先人が切り拓いた人権擁護活動の歴史を紡いで、基本的人権や平和主義、国民主権が実現されるように世界を変えていくこと。具体的には、先人が切り開いた人権擁護のスピリットを受け継ぎ、さらにITを使いこなし、より多くの人々の幸福を実現していく。そして、自らも次世代のために新たな分野を切り拓いて歴史を紡ぎ、さらに多くの人々が幸福になるために世界を変えていく、というものです。債務整理をはじめとする基幹業務も元々は偉大なる先人の弁護士たちが、被害者を守る人権擁護活動として闘ってきたものであり、その結果、救済の枠組みをつくってくれたもの。そのスピリットを受け継いで多くの人々を救済する。さらには、今度は自分たちが先人となるべく、次の世代のために新たな人権救済分野を切り拓いていく。そういった内容です。
この再構築された理念はまだ所内でも発表したばかりですが、順次ホームページなどにも掲載していきます。
人権擁護のバトンを受け継ぎ、次の世代につないでいく。そういう法人でありたいと考えています。


次に、設立当時に考えていたことは、組織のあり方です。

法律事務所によっては、事務員は弁護士のお手伝いをする程度の位置付けとされているところもあります。
しかし、事務員の能力はそんな程度のものでしょうか。逆に弁護士は全てのことをうまくこなせるのでしょうか。例えば、機械式の腕時計を作って売ることを考えてみると、たしかに腕時計を設計し、組み上げる時計職人は絶対に必要です。でも、それを世界中の人々に手にしてもらうためには、広告を展開したり、世界中の都市に腕時計を届けたりする必要があります。小売店も必要です。そういったことは時計職人1人ではできません。時計を作る以外のことをしてくれる多くの人たちが必要不可欠です。
法律事務所も同じだと思います。たしかに法律事務を行うには弁護士は必要不可欠ですし、法律上も事務員の監督を弁護士が行う必要があります。しかし、弁護士よりも事務員の方がうまくできる業務はありますし、事務員の力を借りて、弁護士が自分にしかできない業務に集中することもできます。

弁護士と事務員は、それぞれの能力やできることを役割分担する関係であり、基本的には対等なパートナーである、そんな風に考えました。それは今も変わりません。
ですので、弁護士法人・響では、弁護士は事務員の監督を行いつつも、弁護士と事務員とは対等なパートナーとして、役割分担しながらそれぞれの業務に携わる。事務員であったとしても、その能力が評価できれば重要なポジションも任せる。そのような仕事観に基づいて業務フローを定めています。


また、組織としてどのようなカルチャーを育んでいくべきかについても設立当時から考えていました。
それは、規律を守りつつも、自由闊達にコミュニケーションができるようなカルチャーです。
法律事務所の中には、業務上必要最小限のことしか話してはならないようなところもあると聞いたことがあります。たしかに、職場である以上、最低限の規律は必要です。しかし、より良い顧客対応や業務の効率化などに向けてのアイデアは所長だけが気づくものではありません。むしろ、現場の最先端でやってくれている弁護士や事務員の方がよく気づいているはずです。そういったことを業務に活かしていくためには、普段から自由闊達なコミュニケーションの中で挙げてもらうことが必要です。弁護士だからといって万能ではない、事務員と力を合わせて事務所を良くしていこう、そういうカルチャーを根付かせたいと考えていました。
これまでも、そしてこれからも、このカルチャーを根付かせ、より良い弁護士法人にしていきます。

このようなことを設立当時から考えながら、10年間を走ってきました。
振り返ってみると、ずっと新たな挑戦をし続けてきたのだと思います。設立当時から、このようなインターネット広告を展開する法律事務所もしくは弁護士法人で、人権型ローファームコンセプトのような目的を明示的に掲げるところは他に見当たりませんでした。どこかのやり方を真似するようなこともできません。この目的を実現することは、新たな道を切り拓いていくことでしたし、常に未知の答えのない課題との格闘でした。
それでもなんとか10年間やることができたのは、冒頭にも触れたように、クライアントのみなさま、支えてくださっている所外のみなさま、そして事務所のメンバーのおかげです。

次の10年においても、新たな人権擁護分野での成果、新たな業務分野の開拓、AIの効果的利用、職場における多様性の実現、そして何よりもよりクライアントのみなさまに満足していただけるリーガルサービスの向上といった課題が目白押しです。


これらの課題を実現し、基本的人権の尊重や平和や国民主権といった憲法の中心的価値が実現される社会をつくりあげていくために、次の10年、さらにその先の未来に向けて、新たな挑戦を続けていきます。

引き続き、弁護士法人・響をよろしくお願いいたします。

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