債務整理とは
西新宿第2オフィス 西島 弘起
1.はじめに
債務整理とは、借金の返済負担を軽くするための交渉、手続きのことです。
債務整理を行うと、借金の利息や元金の減額・支払い免除や猶予をしてもらえる可能性があります。
以下で、債務整理の方法である、「任意整理」「個人再生」「自己破産」をメリットやデメリットの異なる部分と合わせてご紹介します。
2.任意整理
任意整理とは、借金を無理なく返済できるように裁判所を介さずに債権者と直接交渉することです。
多くの場合、これから払う利息(将来利息)のカットをしたうえで、原則3〜5年程度での分割返済が可能となります。
任意整理には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
◎メリット
- 将来利息をカットしたうえで、毎月の返済額が下がることが多い
- 家計収入や支出、資産などの資料準備が必ずしも必要ではなく、後述する個人再生や自己破産に比べてご依頼者様のご負担は軽い
- 後述する個人再生、自己破産に比べて周囲に知られづらい
- ギャンブルや投資といった借入原因には関係なく和解できることが多い
- 交渉する債権者を選ぶことで財産(車や住宅など)や保証人への影響を抑えられる
◎デメリット
- 元金は基本的に減らせない ※過払い金などが発生しない限り
- 将来利息のカットが難しい債権者も存在する
- 取引期間が短すぎる、長期的に滞納している等の場合、和解自体ができない可能性もある
- 信用情報機関に情報登録され、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが完済から5年ほどできなくなる
継続的な収入があり、利息で借金の返済が難しくなっている場合、最初に検討する方法になるでしょう。すべての債務整理の手続きの中で、もっとも多くの方にご依頼いただいている手続きになります。
3.個人再生
個人再生とは、裁判所に申立てをして、再生計画の認可決定を受けることで、住宅などの財産を維持したまま、大幅に減額された借金を3年(原則)から5年で返済していく手続きです。
個人再生には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
◎メリット
- 任意整理とは異なり、債務自体の減額ができる
- 「住宅資金特別条項」を利用することで住宅ローン返済中の家も残すことができる
- ギャンブルや投資など自己破産が難しいような借入原因であったとしても手続きが認められる
- 債権者の強制執行(給料差し押さえ等)を止めることができる
◎デメリット
- 一部の債権者を除外して手続きをすることはできない(債権者平等の原則)
保証人がいる場合は一括請求がいく - 手続きに時間と手間がかかる
- 手続き上、同居の家族に内緒で進めることは難しい
- 信用情報機関に情報登録され、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが5年~7年ほどできなくなる
- 住所氏名が「官報」に掲載される
※官報とは、国の広報誌です。官報には、手続きの申立人の氏名と住所が掲載されます。
継続的な収入があり、借金が多額な場合、適している可能性のある方法といえるでしょう。
4.自己破産
自己破産とは、裁判所に返済不能を申し立て、原則すべての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。
自己破産には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
◎メリット
- 免責決定を得られれば、税金などの非免責債権以外のすべての債務を免除してもらえる
- 債権者の強制執行(給料差し押さえ等)を止めることができる
◎デメリット
- 一定以上の価値がある財産は回収・清算される
- 一部の債権者を除外して手続きをすることはできない(債権者平等の原則)
保証人がいる場合は一括請求がいく - 手続きに時間と手間がかかる
- 手続き上、同居の家族に内緒で進めることは難しい
- 信用情報機関に情報登録され、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが5年~7年ほどできなくなる
- 住所氏名が「官報」に掲載される
- ギャンブルや投資による借金など、免責を認められないケースもある(免責不許可事由)
- 警備員や保険外交員など、手続き中は一部就けない職業がある
収入が十分でなく、借金の返済ができなくなっている場合、適している可能性のある方法といえます。
5.まとめ
債務整理について、以上のとおり述べてきましたが、債務整理を考えましたら、まずは弁護士など法律の専門家に相談するとよいでしょう。
そもそも債務整理をすべき状態なのか、どの債務整理の方法をどう進めるか、的確なアドバイスを受けることができます。
弁護士法人・響では、いつでもご相談をお待ちしております。