弁護士コラム

交通事故に遭われた方へ-解決までの流れと弁護士依頼のメリット-

西新宿オフィスの弁護士 青塚です。

弁護士法人・響では、交通事故に遭われた方々から多くのお問い合わせをいただいています。
その中には、初めて交通事故に遭われ、解決までの流れや弁護士に依頼をするメリットがわからないという方も多くいらっしゃいます。

そこで、今回は、交通事故に遭われて怪我をされた方を念頭に、交通事故に遭われてから解決までの流れ弁護士に依頼をするメリットについて解説していきたいと思います。

交通事故発生から解決までの流れ

1 事故発生から完治又は症状固定まで

交通事故に遭われて怪我をした場合、怪我が完治又は症状固定となるまでの間は、通院をして治療を受けることになります。治療期間は怪我の内容・程度にもよりますが、いわゆるむち打ち症の場合は、完治又は症状固定までに6か月程度かかることもあります。

症状固定とは、治療を続けてもそれ以上の症状の改善を望めない状態をいいます。よく怪我が完全に治るまで治療を続けたい、その場合の治療費は加害者側に請求したいというご希望をお聞きします。しかし、症状固定を迎えた以降の治療費は、基本的に加害者側に請求することはできなくなります。
なお、症状固定後も健康保険を利用して通院を継続することはできますが、プライベートでの怪我や慢性疾患と同じように「私傷病」扱いとなるため、自費負担分を加害者側に請求することはできません。

2 完治又は症状固定後

怪我が完治した場合には、事故発生から怪我が完治するまでに発生した損害(治療関係費、休業損害、慰謝料等)の賠償を求めて、加害者側(通常は加害者が加入する任意保険会社)と示談交渉を行います。

これに対し、症状固定時に症状が残ってしまった場合には、加害者の自賠責保険に対して、残存症状が後遺障害に該当するかどうか調査して欲しいという申請を出すことができます。これを一般に後遺障害申請といいます。後遺障害申請は、被害者側が直接加害者の自賠責保険に申請をする方法(これを「被害者請求」、「16条請求」といいます。)と、加害者が加入する任意保険会社を介して行う方法(これを「事前認定」といいます。)の2つがあります。

この2つの方法のメリット、デメリットは、以下のとおりです。

被害者請求
メリットデメリット
・申請書類を事前に確認することができる。これにより不利な記載を訂正、有利な記載を追記したりできる。
・有用な資料を取り付けて申請書類に加えることができる。
・等級認定が下りた場合、被害者の指定口座に自賠責保険金が支払われる。
・被害者側で申請書類を揃えるので手間と時間がかかる。
事前認定
メリットデメリット
・申請書類は任意保険会社が揃えるので被害者側の手続的負担が少ない。・申請書類を事前に確認することができないので、不利な記載がされたまま申請手続が進んでしまう場合がある。
・等級認定が下りた場合でも、被害者に自賠責保険金が支払われない。

後遺障害申請をしてから結果が出るまでには、概ね1~3か月程度かかります。後遺障害申請をして納得のいく結果が出た場合は、その認定結果を踏まえて加害者側と示談交渉を行います。これに対し、納得のいく結果が出なかった場合は、加害者の自賠責保険に対し、判断の見直しを求める手続を行うことができます。これを一般に異議申立てといいます。異議申立てをして納得のいく結果がでた場合は、その認定結果を踏まえて加害者側と示談交渉を行うことになりますが、納得のいく結果が出なかった場合は、再度異議申立てを行うことも可能です。なお、異議申立ての他にも、①一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構に対する審査(調停)申立て、②加害者に対して民事訴訟を提起するという方法もあります。

3 示談交渉後、事件解決まで

加害者側との示談交渉がまとまった場合、免責証書や示談書等の書面を取り交わした後、加害者側から賠償金が支払われるのが通常です。交通事故の場合、示談交渉がまとまり事件が終了となることが多いです。

これに対し、加害者側との示談交渉がまとまらない場合も一定数あります。この場合、①交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターといったADR(裁判外紛争解決手続)、②民事調停、③民事訴訟という手続を行うことになります。
①ADR及び②民事調停は、和解あっせん担当の弁護士や調停委員といった第三者を交えて話し合いによる解決を目指す手続です。もし話し合いがまとまった場合、示談交渉の時と同じように書面を取り交わした後、加害者側から賠償金が支払われるのが通常です。他方、③民事訴訟は、当事者の主張や証拠に基づき、損害額、過失割合、後遺障害等について、裁判所が中立的な立場で判断をします。ただ、実際は、判決を下す前に裁判所から和解案が提示され、双方の互譲の下、和解で解決すること多いです。

4 まとめ

以上が、交通事故が発生してから解決までの流れになりますが、これをフローチャートでまとめると概要は以下のとおりとなります。


弁護士依頼のメリット

1 加害者側とのやり取りを弁護士に任せられる

加害者が任意保険会社に加入している場合、任意保険会社から連絡が来てその対応をしなければなりません。しかし、仕事や家事・育児が忙しく連絡が取りづらかったり、任意保険会社とのやり取りに精神的苦痛を感じてしまったりすることも多いと思います。

弁護士に依頼をした場合、任意保険会社とのやり取りを弁護士に任せることができるので、自分自身で対応するよりも負担を減らすことができる点でメリットがあります。
もっとも、療期間中に弁護士に依頼をする場合は、若干の注意が必要です。治療期間中に弁護士に依頼をしたことを加害者の任意保険会社に伝えることで、治療費の支払を打ち切ってくることがあるからです。おかしな話に聞こえるかもしれませんが、実は任意保険会社が医療機関に直接治療費を支払っているのはあくまで任意のサービスに過ぎません。そのため、そのサービスをいつ終了にするかは、任意保険会社が自由に決めることができます。後述するとおり、弁護士に依頼することで示談金が高くなることが多いのですが、任意保険会社はあくまで営利企業ですから支出はなるべく抑えたいと考えるでしょう。このような思惑があるからか、弁護士に依頼をしたことを伝えた途端、治療費の支払を打ち切ってくるケースは少なからずあります。

そこで、弁護士法人・響では、治療期間中にご依頼をいただいた場合でも、依頼を受けた旨の通知(受任通知)を任意保険会社に送付しないという方法を採ることもできます。これにより弁護士介入による早期打ち切りリスクを回避しつつ、治療期間中も弁護士に相談できる体制を作っておくことができます。
特に治療中の方については、治療期間中に弁護士に依頼をした方が良いのか悩まれるかもしれませんが、弁護士法人・響では相談者の置かれた状況や希望をお聞きし、最も合った方針を一緒に決めていきますのでご安心ください。

2 適切なアドバイスを受けられる

治療期間が短い場合、通院日数が少ない場合、主治医に自覚症状がうまく伝わっていない場合、必要な検査を受けていない場合等は、適正な後遺障害認定を受けられないことがあります。また、通院日数が少ない場合、慰謝料が通常よりも低く認定されてしまうこともあります。しかし、弁護士に依頼をした場合は、これらについて適切なアドバイスを適宜受けられるので、適正な後遺障害認定や賠償金を受けやすくなります。

また、被害者に過失が付いてしまう場合の治療の受け方についても、適切なアドバイスを受けられます。例えば、過失が付いてしまう場合、過失の割合に応じて一定金額が減額されてしまいますが、健康保険や労災を利用して治療を受けていれば、任意保険会社に直接治療費を支払ってもらう場合と比較して減額される金額を少なくでき、その結果、最終的に受領できる金額が多くなる場合があります。弁護士に依頼をした場合、任意保険会社に直接治療費を支払ってもらったままで良いのか、健康保険や労災を利用した方が良いのかについて、適切にアドバイスを受けられるので、適正な賠償金を受けやすくなります。

3 適正な後遺障害認定を受けやすくなる

後遺障害申請には、被害者請求と事前認定という2つの方法があり、被害者請求の場合は、申請書類を事前に確認することで不利な記載を訂正したり有利な記載を追記したりできる、有用な資料を取り付けて申請書類に加えることができる、というメリットがあることは前述したとおりです。
一度結果が出てしまうとそれを覆すハードルは高くなりますし、異議申立て等の方法があるとしても、1回で納得のいく結果が出た場合と比較して解決に至るまでの期間は長くなってしまうので、最初から万全を期して後遺障害申請をするに越したことはありません。

弁護士法人・響では、適正な後遺障害認定を受けられるように、後遺障害申請は被害者請求で行うことが多いです。その上で、①主治医に後遺障害診断書を記入していただく際、怪我の内容に応じた記入例をお送りすることで適切な後遺障害診断書を作成してもらう、②後遺障害診断書に不利な記載がある場合は訂正を依頼したり、有利な記載が漏れている場合は追記を依頼したりする、③有用な資料を収集し申請書類に加える等、少しでも適正な後遺障害認定を受けられるように様々な工夫をしています。

4 被害者本人で示談交渉をした場合と比較して賠償金額が高くなる可能性がある

弁護士に依頼をした場合、被害者本人で示談交渉をした場合と比較して、最終的に受領できる賠償金額が高くなる可能性があります。

例えば、慰謝料を計算する基準には、一般に、①自賠責基準、②任意保険会社基準、③裁判基準(弁護士基準)という3つがあると言われているところ、このうち最も高額になる可能性があるのは、③裁判基準(弁護士基準)になります。
弁護士に示談交渉を依頼した場合、③裁判基準(弁護士基準)により算出した高い金額で請求できる一方、被害者本人で示談交渉をする場合、任意保険会社は、①自賠責基準又は②任意保険会社基準のいずれかで算出した低い金額でしか基本的に提示してこないため、結果として受領できる賠償金額に大きな差が出てくることがあります。

また、専業主婦は休業損害が発生しないと考えている方もいらっしゃいますが、実際は主婦としての休業損害を請求できるケースも多いです。弁護士に示談交渉を依頼した場合、任意保険会社から適切な案内がなかったために休業損害を受領できずに示談してしまう事態を防ぐことができ、結果として適正な賠償金額を受け取ることができます。

その他にも、必要な立証資料を収集するなどして被害者本人が示談交渉をする場合よりも多くの賠償金を受領できることもあります。

最後に

弁護士法人・響は、交通事故を多く扱っている経験豊富な弁護士が在籍しています。
今後どう進んでいくのかわからない、有利に進めていくために何をすればいいのかわからない、弁護士に依頼するメリットがわからないという方は、ぜひ一度、弁護士法人・響にご相談いただければと思います。

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