弁護士コラム

若手弁護士の軌跡

1 自己紹介

債務整理事業部に所属しております、弁護士の石中と申します。修習期は74期で、2022年5月に弁護士登録、現時点で、登録2年目になります。
弁護士登録と同時に弁護士法人・響に入所し、当初、東京のオフィスで勤務していましたが、2024年1月より、北海道・札幌オフィスの所長を務めております。

今回は、私が入所以降取り組んできた業務等をご紹介させていただきますので、当事務所の若手弁護士の働き方のひとつとして、ご参考になればと思います。

2 就職活動時点での希望・事務所選びのポイント

私は、弁護士として、広く一般民事事件に対応できるゼネラリストになることを目指して事務所選びをしていたため、一般民事事件を扱っている事務所で、取り扱い分野が広いという点に着目して就職活動をしていました。
この点、弁護士法人・響は、基幹業務の債務整理・交通事故の他に様々な一般民事事件に対応している点で私の希望に合致していましたし、面接時の先輩弁護士の人柄に惹かれて、入所を決意しました。
もちろん、弁護士法人・響が、「人権型ローファーム」コンセプトを掲げ、様々な弁護団事件に取り組んでいることは、HPや事務所説明会を通して知っていましたが、率直に言って、具体的に興味のある人権活動があるわけではありませんでした。

3 入所後・基幹業務への取り組み

入所後は、約1か月間の座学やロールプレイなどの研修を経て、債務整理事業部に配属されました。
研修があるとはいえ、実際の事件対応が始まると、債権者名が分からない、手続き選択に迷いが生じるといった、ロールプレイでは出てこなかった場面に遭遇し、悩みは尽きませんでした。破産や個人再生など法的整理については、特に苦労して、倒産法との格闘が続きました。
しかし、先輩の丁寧な指導や、同期との勉強会を通して、少しずつ一人で対応できる場面が増え、事件の対応数が増えていくにつれて少しずつ力がついていく実感が湧いてきました。今振り返ると、とりあえず、なんでも一回やってみる姿勢が大切だと思います。

入所後に少し驚いた点として、基幹業務については、毎月部門に所属する弁護士それぞれに達成すべき数値目標が定められるということです。目標を達成するのは、楽なことではありませんが、毎月の基幹業務の業務量の目安が明確になり、基幹業務以外の業務に割り当てる時間配分がやりやすいため、私には合った制度だと感じています。
案件をじっくり検討しつつ、一定程度効率化を考えながら業務に向き合うことが、結果的に、より多くの経験値の蓄積につながっているように思います。

4 基幹業務以外の事件への取り組み

債務整理と向き合っていた中、一つの転機が訪れます。それは、初めて担当した刑事事件です。

入所して3か月目の2022年7月に配点がきました。依頼者は、執行猶予期間中の80代後半の認知症の方でした。何度も接見をし、時間をかけて話を聞いても、認めなのか否認なのかも分からない、訴訟能力を争うのか、故意、責任能力を争うのか分からない、初めての刑事事件にしては、骨のある事件だったと思います。裁判官、検察官と協議を交えながら、期日間で後見の申立てをし、なんとかグループホームへの入居の合意を取り付けました。期日中も依頼者が何を話しているのかわからなくなると、休廷を申し出て、できるだけ依頼者の意思や状態を裁判官に分かってもらえるよう工夫しました。結局、期日を5回重ねてようやく、再度の執行猶予という結果で終わることができました。当時、とにかく自分がしっかりしていないせいで依頼者の身柄解放が遅くなっていると思うと、悔しくて、不甲斐なさを感じる日々でした。

その経験もあって、もっと刑事弁護に精通したいと考えるようになり、基幹業務もやりながら、先輩から刑事事件の当番日を譲ってもらうなどして、刑事弁護は2か月に1件は受任するようにしていました。半分以上が準抗告が認められて終了となったため、公判経験はあまり多くないので、これからも、刑事事件には積極的に取り組み、経験を積んでいこうと考えています。

また、基幹業務である債務整理事件の対応に慣れてきた頃、弁護士法人・響のもうひとつの基幹業務である交通事故事件についても勉強したくなり、他事業部に所属している先輩に直談判して、案件を共同受任させていただきました。
このように1年目から基幹業務だけでなく、刑事事件、他事業部の業務をバランスよく経験させていただきました。

そして、最近では、事務所の顧問先がかかわる弁護団事件に参加させていただいており、行政訴訟等、これまで取り組んだことのない新たな分野に挑戦しています。

5 支店長への立候補

2023年7月、弁護士法人・響が全国への支店展開を進めるべく、所属弁護士に対して支店長の募集がありました。
74期についても対象となっていましたが、ひとりでやっていけるのかもちろん不安でしたし、事務員の方々を含め東京のオフィスの雰囲気はとても好きだったので、率直に言って、立候補するかはかなり迷いました。
しかし、いつでもあるチャンスではありませんし、むしろひとりでなんでも対応できる力を養う良い機会だと考えて、立候補に至りました。縁もゆかりもない札幌に決まった時には少し驚きましたが、いよいよ2024年1月に開所しましたので、今後は、支店業務に専念しつつ、徐々に所外活動にも力を入れていきたいと考えています。

6 ワークライフバランスや待遇面について

入所してから、ワークライフバランスを考えたことはあまりありませんが、自分ですべてスケジューリングができるので、常に充実しており、プライベートの時間も確保できています。
年収も事務所からいただける分だけでも入所時と比較して2倍以上には上がりました。これは運や周りの支えがあったからだとは思いますが、やればやるだけ評価される仕組みになっています。

7 最後に

当事務所は、自分のやりたいことを見つけることができて、多くのチャレンジができる事務所だと思っています。まだまだ整備しきれていない部分もある事務所ではありますが、所員全員で良い方向にもっていけるように考え、実行している点も魅力であると思います。当事務所に少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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