交通事故の示談書の書き方は?自分で作成する時に注意すべきポイント
「交通事故の示談書ってどう書けばいいのかわからない...」
「示談書の作成にはお金はかかるの?」
交通事故示談では、「示談書」がとても大きな意味を持ちます。
示談書は事故の当事者が交わす合意書であるため、一度作成してしまうと取り返しがつかないものです。
そのため、きちんと納得できるまで交渉して、内容を確実に書面で残しておきましょう。
ただし、実際に示談書を作成したりチェックしたりしようとしても、 「何を盛り込めばいいのか分からない」 「気をつけるべきポイントが判断できない」 と迷ってしまう場合もあります。
この記事では示談書の作成方法や注意点について、詳しく解説していきます。
※この記事では「加害者=過失の割合が大きい交通事故の当事者」「被害者=過失の割合が小さい交通事故の当事者」としています。
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目次
交通事故の示談書の内容と書き方
交通事故の示談書は、基本的には相手方の保険会社が作成するものです。
しかし「相手方が信用できない」などの理由があるときには、自分で作成できます。
いずれの場合でも、示談書の内容に不備が出るのを避けるには、書面に記載すべき項目を押さえておく必要があります。
示談書に盛り込む内容は、以下の6つです。
- 加害者と被害者の氏名・住所
- 事故の詳細(事故が発生した日時・場所・内容・車のナンバーなど)
- 示談条件(示談金・支払い方法・支払い期日)
- 示談金の支払いが遅れたときの取り決め
- 清算条項(示談書で決めた条件以外で金銭などを双方が請求できない)
- 後遺障害が発生したときの留保事項
それぞれの項目で注目すべきポイントについて見ていきましょう。
1.当事者
まずは、事故の加害者と被害者について明記しておかなければなりません。
住所や氏名が正しく記載されているのかをチェックしましょう。
2.事故の詳細
事故が発生した当時の状況を示談書には詳しく記載しておく必要があります。
具体的には事故が発生した日時や事故が起こった場所、どのような状況で事故が起こったのかが正確に書かれていることが重要です。
事故を起こした車を特定するために、車の所有者やナンバーも明記します。
3.事故の過失割合と示談条件
事故の状況によって特定された過失割合は、示談金にも影響を与えるものであり、加害者と被害者が負うべき割合を「10:0」「8:2」のように記載します。
当事者双方に過失がある場合には、一般的にそれぞれが加入している保険担当者間でのやりとりで過失割合が決まる仕組みです。
示談条件には示談の金額や支払い方法、支払い期日を漏れなく記載します。
数字にかかわる部分なので、金額や日付に間違いがないかを入念にチェックしましょう。
示談金は治療費・休業損害・通院交通費などのほかに、通院慰謝料・後遺障害認定に基づく慰謝料・逸失利益を含む損害賠償金などを合計した金額を算出します。
示談書を取りまとめる前に支払われた金額と、これから支払われる金額を分けて記載するのがポイントです。
また、事故によって発生した車の損害については、修理代・レッカー代・代車料金などを明記して物損に対する補償も確定させます。
支払い方法は銀行の支店名や口座番号を記載し、支払い期日に間違いがないかを確認しましょう。
4.期日通りに支払われなかったときの記述
示談書を作成したとしても、相手方から期日通りに示談金の支払いが行われないケースもあります。
支払いが滞った場合に備えて、示談金とは別に違約金についても書面に盛り込んでおきましょう。
支払いの督促やケースによっては弁護士に相談する必要もあるため、相手方の住所・氏名などに漏れがないかを確認しておくことも大切です。
5.清算条項
示談書には清算条項と呼ばれるものを記載するのが一般的です。
清算条項とは示談書で取り決めた条件以外で、双方が金銭などの請求をしないことを決めた項目を指します。
つまり、「事故にかかわる交渉はこれで終わり」と意味を持ちます。
清算条項を明記することによって、示談書を交わした後に金銭トラブルなどが発生するのを防ぐことが可能です。
6.後遺障害が生じたときの「留保事項」
示談書を作成した時点では想定できなかった後遺障害・後遺症が発生する場合に備えて、あらかじめ留保事項を明記しておくことが大切です。
仮に示談書の締結後に後遺障害が発生したときに、「改めて協議をする」のか「協議をせずに示談書の取り決めに従う」のかを記載する必要があります。
事故の状況によっては、後遺障害が重くなるケースもあるので慎重に判断しましょう。
そもそも交通事故の示談書が必要なわけ
交通事故の示談書を作成する意味は、書面に書かれた内容で当事者が合意したことを示す点にあります。
単に口約束で取り決めを行ってしまっては、後から言った言わないのトラブルに発展してしまう恐れもあるため、書面で残しておく必要があるのです。
示談書の作成は相手方の保険会社が行うのが一般的ですが、内容に納得がいかない場合には自分で作成可能です。 当事者が署名・捺印を行うことで成立します。
サインをしてから示談書の内容について交渉することは基本的にできません。
そのため、相手方の保険会社から送られてきた示談書の内容をよく読まずにサインすることは避けましょう。
ただし、示談書はサインをしただけでは法的な拘束力としては弱いので、「公正証書」として作成しておくほうが無難です。
そして、示談書は「治療で完治したタイミング」もしくは「後遺障害の等級認定が行われたタイミング」に作成します。
後遺障害の等級認定は、症状固定(治療を続けても症状の改善が見込めない状態)となってから手続きを行います。
症状固定前の治療費と、症状固定後の慰謝料・損害賠償金を区分けして金額を算出する必要がある点を押さえておきましょう。
示談書は無効にできるのか?
示談書は基本的に、多少の不備がある程度では無効にはできません。
しかし、当事者の意思を反映していない示談は、仮に示談書の作成後であっても無効となる可能性があります。
たとえば、示談交渉を任せていない親族などの代理人が勝手に示談を取りまとめてしまったケースなどがあてはまります。
また、相手方から脅されたり、だまされたりした場合にも無効となるのです。
交通事故示談書の作成・確認で注意すべきポイント
交通事故の示談書を作成して、チェックをする段階では書面の内容だけではなく、作成方法にも意識を向けておくことが大切です。
どのような形式やタイミングで作成すべきかを注意点を含めて見ていきましょう。
口約束で終わらせない
交通事故の示談交渉を口約束だけで終わらせてしまうと、後からトラブルの原因になってしまう恐れがあります。
示談を取りまとめた段階では想定できなかった後遺障害が発生したり、約束した示談金が支払われなかったりする可能性があるのです。
また、口約束の示談交渉で金銭のやりとりがあると、裁判になった場合に不利になってしまうケースもあります。
必ず示談書を作成して、トラブルの発生を未然に防ぐことが重要です。
慰謝料や治療費などすべての損害賠償額が確定してから作成する
示談書には示談金の項目を盛り込みますが、被害額のすべてを洗い出してから作成するのがポイントとなります。
特に症状固定前に後遺障害の等級認定手続きを行うと、相手方の保険会社から治療費の支払いを打ち切られてしまう場合もあるので注意が必要です。
なお、症状固定にいたっていなければ、打ち切り後も治療費の請求ができます。
いずれの場合でも、治療を継続する必要性をきちんと主張して、費用の請求を行いましょう。
治療費や物損の修理費、後遺障害に伴う慰謝料や損害賠償金などの被害内容を金額として算出して、示談書に明記することが大切です。
公正証書を作成する
示談書はそのままの状態では、法律では「私文書」と見なされるので、弱い法的な拘束力しか持ちません。
そのため、加害者が示談金の支払いを行わないときには、裁判の手続きをとらなければならず負担が大きくなってしまう恐れもあります。
裁判の負担を避けるためにも、あらかじめ「公正証書」を作成しておくとよいでしょう。
公正証書とは、公証人法などを根拠として作成された公的な文書を指します。
示談書を公正証書化することで、示談金の未払いといったトラブルが起こった場合には、裁判を行わなくても強制執行などの法的な手続きをとれるのです。
また、公正証書の作成では弁護士など法律の専門家が示談書の内容を細かくチェックしてくれるので、内容の不備が発生するのも防げます。
まとめ
交通事故の示談では、被害額を細かく洗い出していくことが重要です。
そのうえで示談書を作成して、法的な拘束力のある公正証書にしておきましょう。
示談書は当事者間で作成することも可能ですが、記載内容に不備が出てしまわないためにも専門家のサポートを受けることも大切です。
一人で交渉する不安を解消し、納得のいく示談書を取りまとめるためにも弁護士に相談することも検討してみましょう。
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