2017.4.25 2021.11.25

交通事故の慰謝料相場はいくら?入通院日数ごとの相場や事例を紹介

交通事故は、ある日突然起きてしまいます。

ケガの治療のために入院・通院することになれば治療費がかかりますし、痛みや不自由な暮らしなどの精神的な苦痛も伴います。

精神的な苦痛に対する補償として「慰謝料」を請求することができます。

軽いケガだと思っていても、後から症状が出てしまう場合もあるため、相手に対してきちんと慰謝料を請求しましょう。

しかし実際に慰謝料を請求しようとしても「どうやって請求すればいのだろう」「いくらぐらいが相場なのかな…」と悩みは尽きないものですね。

納得できる慰謝料額を受け取るには、弁護士のサポートを受けることが重要です。

この記事では、交通事故に遭ってしまった場合の慰謝料相場と計算のしかた、弁護士に相談をするメリットを詳しく解説します。

※この記事では「加害者=過失の割合が大きい交通事故の当事者」「被害者=過失の割合が小さい交通事故の被害者」としています。

目次

交通事故の慰謝料とは?

交通事故における「慰謝料」とは、事故によって受けた精神的な苦痛に対する補償を指します。

病院の治療費や車両の修理代などとは別に受け取れる「示談金」の一部です。被害者の年齢や職業の有無にかかわらず請求できます。

治療期間の長さや計算基準によって慰謝料の金額は異なります。

そのため「症状固定」となって損害額が確定してから請求を行います。

症状固定となる前に相手側と示談をしてしまうと、正確な金額を請求できなくなる恐れがあるので気をつけましょう。

「症状固定」とは
ケガの治療を続けても、症状の改善がそれ以上見られない状態を指します。保険会社ではなく、医師が判断するので継続的な治療を受けることが大切です。

慰謝料は示談金の一部

慰謝料額は加害者側との「示談交渉」によって決まります。

しかし「慰謝料=示談金(損害賠償金)」ではありません。交通事故の慰謝料はあくまで示談金の一部であり、図で示すと以下のように表せます。

慰謝料は示談金の一部

慰謝料のほかにも、上記のように請求できる項目は多くあります。

注意点としては、事故直後に加害者との示談に応じてはいけません。一度、示談がまとまれば後から新たな損害が見つかっても、再交渉は難しいからです。

適正な補償を受けるために、交通事故の損害額をきちんと確定させてから請求を行うことが大切です。

交通事故で請求できる損害賠償の項目

交通事故で加害者側に請求できる損害賠償金の項目は、慰謝料以外にもさまざまなものがあります。

おもな種類を取り上げると、次のとおりです。

損害賠償金の種類 内容
慰謝料交通事故による精神的な損害に対して支払われる補償。
入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類がある
治療関係費 治療にかかる費用
通院交通費 通院のための交通費
車両損害 車両の修理にかかった費用
※レッカー代や代車等の費用も含む
付添看護費 入通院で付き添いが必要になった際の費用
器具等購入費 車椅子・松葉つえなど
家屋等改造費 後遺症が残ることによってかかる自宅のバリアフリー化などの費用
物損費用 交通事故が原因で破損したものの費用
葬儀関係費 葬儀に関する費用
休業損害 休まずに働いていれば、得られた現在の収入の減少に対する損害賠償
逸失利益 交通事故がなければ、将来得られたはずの利益

治療費が請求できることは理解していても、通院のためにかかった交通費も請求できる点は見落としているケースがあります。

バスや電車などの公共交通機関を利用したときにかかった交通費は、経路や金額をきちんとメモに残しておきましょう。

また、会社員や自営業者の場合は、交通事故によって仕事を休まざるをえないこともあります。

その場合は仕事を休んだことを証明する書類をそろえることで、慰謝料とは別に「休業損害」を請求できます。

交通事故の状況やケガの程度によって、請求できる項目は変わってくるので、どのような項目が自分に当てはまるかを把握しておく必要があります。

交通事故の慰謝料は3種類|それぞれの相場を紹介

交通事故の慰謝料は、状況に応じて以下の3種類が請求できます。

慰謝料の内役

上記の慰謝料は、どれか1つしか請求できないわけではありません。

たとえば、ケガの治療のために入通院慰謝料を請求したとしても、その後に「後遺障害」と認定されれば「後遺障害慰謝料」を別に請求できます。

「後遺障害」とは
交通事故によって生じたケガを治療しても、後遺症が残ってしまうことがあります。
「自賠責保険基準(後述)」の等級に該当するものであれば、後遺障害の等級認定を受けることで「後遺障害慰謝料」などの補償を受けられます。

1. 入通院慰謝料=通院1ヶ月あたり13.3~28万円

「入通院慰謝料」は、交通事故が原因でケガ(打撲・骨折・むちうちなど)を負ってしまい、入院・通院したときに請求できる慰謝料です。

入通院期間をもとに金額を計算するため、期間が長いほど金額は高くなります。

そのため、「症状固定」となるまで治療を継続することが大切です。

「症状固定」とは
治療を継続しても、それ以上症状の改善が見られない状態のことです。

入通院慰謝料を請求するためには、病院での診察が必要なので「大したケガではない」と思い込まずにきちんと受診しましょう。

金額の目安としては、通院1ヶ月あたり12.6~28万円程度です

入通院慰謝料の計算には、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つの基準があり、用いる基準によって金額が異なります。

2. 後遺障害慰謝料=32万円~2,800万円

「後遺障害慰謝料」は、交通事故で負ってしまったケガを治療しても治らず、後遺障害が残ってしまったときに請求できます

単に後遺症が残ってしまっただけでは請求できず、後遺障害の「等級認定」を受ける必要があるので注意が必要です。

後遺障害には等級が14~1級まであり、慰謝料額は32万円~2,800万円となっています。後遺障害の等級が上がるほど、請求できる慰謝料額も多くなります

後遺障害慰謝料においても、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つの基準を用います。

後遺障害が残れば、事故後の生活に大きな影響が出てしまうので、入通院慰謝料と別に請求できる点を押さえておきましょう。

後遺障害等級認定を受けた際にもらえる慰謝料の相場と請求方法について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

3.死亡慰謝料=950万円~3,000万円

「死亡慰謝料」は、交通事故によって被害者が死亡してしまった場合に請求できます。

被害者の遺族が請求するものであり、金額の目安としては950万円*~3,000万円です

*自賠責保険の補償(本人400万円+遺族1名分550万円で計算)

被害者に家族がいる場合は、家庭内での属性(一家を支える役割など)や家族の人数によって請求額は異なります。死亡慰謝料においても自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つの基準を用います。

死亡慰謝料の相場や請求方法について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

交通事故の慰謝料計算には3つの基準がある

交通事故の慰謝料額を計算するときには、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)のいずれか1つを使います。それぞれの特徴と関係性を図で表すと以下のとおりです。

慰謝料計算の基準

3つの基準の中では、「弁護士基準(裁判基準)」が最も高く、自賠責保険基準と比べて慰謝料額が2倍近くになるケースがあります。

ただし、慰謝料の計算はさまざまな要素が絡んでくるので、専門家に相談をすることが大切です

3つの基準について、以下で詳しく説明します。

自賠責保険基準=通院3ヶ月で34万4,000円

「自賠責保険」は、交通事故の被害者が最低限の補償を受ける仕組みであり、支払い限度額は120万円までとなっています。

治療費や通院交通費、慰謝料などすべてを含めた金額で、人身事故の場合のみ適用されます

自賠責保険基準による入通院慰謝料の計算例は、以下のとおりです。

1日あたり4,300円 (2020年3月31日以前は日額4,200円)

「治療期間」もしくは「通院日数×2」のどちらか短いほうに日額を掛け合わせたものが、受け取れる慰謝料額です

たとえば、「入院なし・治療期間3ヶ月(90日)・通院日数40日」の場合は、「通院日数40日」が適用されます。

この場合の慰謝料額は、以下のようになります。

4,300円×40日×2=34万4,000円

任意保険基準=通院3ヶ月で37万8,000円

「任意保険基準」は、加害者側の保険会社から提示される金額であり、保険会社によって金額が異なります

以前は、保険会社間で統一された基準が用いられていました。これを「旧任意保険支払基準」といいます。

今でも旧任意保険支払基準をベースとしている保険会社もあるので、一定の目安となります

入院なし・通院3ヶ月の場合、支払われる入通院慰謝料の目安は37万8,000円で、自賠責保険基準とそれほど差がありません。

通院期間別に任意保険基準での慰謝料額の違いを表でにすると、以下のようになります。

〈任意保険基準における通院慰謝料〉
通院期間 慰謝料額
1ヶ月 12.6万円
2ヶ月 25.2万円
3ヶ月 37.8万円
4ヶ月 47.9万円
5ヶ月 56.7万円
6ヶ月 64.3万円
7ヶ月 70.6万円
8ヶ月 76.9万円
9ヶ月 81.9万円
10ヶ月 86.9万円
11ヶ月 90.7万円
12ヶ月 93.2万円

弁護士基準=通院3ヶ月で最大73万円

「弁護士基準(裁判基準)」は、過去の判例などをもとに弁護士会が定めている基準です。

弁護士に依頼をしたり、裁判になったりすることで適用される基準であり、3つの基準のなかでは最も高額になることが特徴です。

受け取れる慰謝料額は、軽傷(打撲やむちうち)と重傷(複雑骨折や脊髄損傷)によって異なります。

たとえば、入院なし・通院3ヶ月・重傷のケースであれば、受け取れる慰謝料額は最大73万円です。

ほかのケースでは軽傷・重傷のそれぞれで以下のようになります。

〈通院慰謝料・軽傷の場合〉
通院期間 慰謝料額
1ヶ月 19万円
2ヶ月 36万円
3ヶ月 53万円
4ヶ月 67万円
5ヶ月 79万円
6ヶ月 89万円
7ヶ月 97万円
8ヶ月 103万円
9ヶ月 109万円
10ヶ月 113万円
11ヶ月 117万円
12ヶ月 119万円

〈通院慰謝料・重傷の場合〉
通院期間 慰謝料額
1ヶ月 28万円
2ヶ月 52万円
3ヶ月 73万円
4ヶ月 90万円
5ヶ月 105万円
6ヶ月 116万円
7ヶ月 124万円
8ヶ月 132万円
9ヶ月 139万円
10ヶ月 145万円
11ヶ月 150万円
12ヶ月 154万円

弁護士基準について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

交通事故の慰謝料は実際にいくらもらえる?

慰謝料には計算基準が3種類あり、実際にいくら受け取れるのかわかりにくいといえます。

ここでは、3つの慰謝料(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料)と3つの基準(自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準))に基づいて、おおよそいくら受け取れるのかを紹介します。

【入通院慰謝料】任意保険基準12.6万円・弁護士基準28万円

自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
8.6万円 12.6万円 28万円

同じケガであっても、計算する基準によって大きく金額が異なるのがわかります。通院期間別に、金額の違いをさらに見ていくと以下のとおりです。

通院期間 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
軽傷 重傷
1ヶ月 8.6万円 12.6万円 19万円 28万円
2ヶ月 17.2万円 25.2万円 36万円 52万円
3ヶ月 25.8万円 37.8万円 53万円 73万円
4ヶ月 34.4万円 47.9万円 67万円 90万円
5ヶ月 43万円 56.7万円 79万円 105万円
6ヶ月 51.6万円 64.3万円 89万円 116万円
7ヶ月 60.2万円 70.6万円 97万円 124万円
8ヶ月 68.8万円 76.9万円 103万円 132万円
9ヶ月 77.4万円 81.9万円 109万円 139万円
10ヶ月 86万円 86.9万円 113万円 145万円
11ヶ月 94.6万円 90.7万円 117万円 150万円
12ヶ月 103.2万円 93.2万円 119万円 154万円

※自賠責保険基準は日額4,300円で計算

後遺障害慰謝料=任意保険基準40万円・弁護士基準110万円(14級の場合)

後遺障害慰謝料(14級)を3つの基準で比較すると、以下のようになります。

自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
32万円 40万円程度 110万円

任意保険基準は保険会社によって異なるのであくまで目安ですが、自賠責保険基準とそれほど変わりません。

しかし、弁護士基準(裁判基準)と比べると大きく金額に違いがあることがわかります。

また、後遺障害の等級別に見ていくと以下のようになります。

〈後遺障害等級ごとの慰謝料の目安〉(かっこ内は「介護を要する後遺障害」)
等級 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準
(裁判基準)
第14級 32万円 40万円 110万円
第13級 57万円 60万円 180万円
第12級 94万円 100万円 290万円
第11級 136万円 150万円 420万円
第10級 190万円 200万円 550万円
第9級 249万円 300万円 690万円
第8級 331万円 400万円 830万円
第7級 419万円 500万円 1,000万円
第6級 512万円 600万円 1,180万円
第5級 618万円 750万円 1,400万円
第4級 737万円 900万円 1,670万円
第3級 861万円 1,100万円 1,990万円
第2級 998万円
(1,203万円)
1,300万円 2,370万円
第1級 1,150万円
(1,650万円)
1,600万円 2,800万円

※参考:自賠責保険基準と弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター 東京支部「損害賠償額算定基準(2020年版)(通称・赤い本)」
※任意保険基準は保険会社ごとに異なるので、あくまで推定です。
※身体の他部位に後遺症が見られた場合などは、さらに慰謝料額が高くなる可能性もあります。

後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級認定を得ることで請求できます

「症状固定」となった段階で医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、等級認定の申請を行います。

「後遺障害診断書」とは
後遺障害の症状を客観的に記載(証明)した書類です。後遺障害診断書を作成するのは整形外科などの医師になります。接骨院や整骨院の先生には依頼できないので注意が必要です。

上記の表のいずれかの等級に当てはまれば、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料を請求することが可能です

また、等級認定を受けることで「逸失利益(交通事故にあっていなければ、将来得られたはずの収入に対する補償)」も請求できます。

死亡慰謝料は任意保険基準1,500万円・弁護士基準最大2,800万円

「死亡慰謝料」は交通事故が原因で、被害者が亡くなった場合にその遺族が請求を行います

3つの基準から比較をすると、以下のように金額が異なります。

〈一家の支柱が死亡した場合〉
自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
上限3,000万円 1,500万円程度 2,800万円

自賠責保険基準においては、まず被害者本人の死亡慰謝料が400万円(2020年4月1日以降)です。

そして、近親者(配偶者・子・父母)固有の死亡慰謝料が家族の人数分加算されますが、上限額は3,000万円までとなっています。

任意保険基準は保険会社によって金額が異なるものの、自賠責保険基準に近い金額となります。

そして、弁護士基準(裁判基準)では一家の支柱である被害者が死亡した場合は2,800万円となりますが、本人の慰謝料と近親者固有の慰謝料を合算した金額です。

実際の慰謝料の事例はこちらの記事でご紹介しています。

交通事故の慰謝料は増額になるケースもある

交通事故における慰謝料の相場は、基準ごとにある程度決まっています。

しかし、事故状況によってはさらに上乗せして請求できる場合があるので押さえておきましょう。

どのような場合に、慰謝料が増額となるのかを紹介します。

加害者側に重過失がある

交通事故において重過失とは、具体的に酒酔い運転・居眠り運転・無免許運転・一般道で30km以上のスピード違反などのことを指します。

非常に危険な運転を加害者が行っていた場合には、通常よりも慰謝料額を多く請求できます

■裁判の判例(千葉地裁判決・平成16年3月24日)
加害者は事故直前に500mlの缶ビールを3缶飲んだ状態で運転しており、さらに40kmのスピード違反を犯した事案。入通院慰謝料220万円、後遺障害慰謝料450万円の支払いが命じられる。通常の相場よりも、慰謝料額はそれぞれ57万円、50万円程度が増額されました。

加害者側の対応が不誠実

交通事故が起こった後に、加害者の対応が不誠実な場合にも慰謝料が増額となる可能性があります。

「謝罪がない」「見舞いに来ない」といったレベルのものではなく、証拠を隠滅していたり、被害者に暴言を浴びせたりする悪質なものを指します。

■裁判の判例(千葉地裁松戸支部判決・平成11年5月25日
被害者の車が赤信号で停車していたところに、後方を走っていた加害者の車が速度を落とさずに衝突した事案。加害者は事故の翌日に被害者に電話を入れたり、治療費を支払ったりはしたものの、裁判所には一度も出頭しなかったため、入通院慰謝料以外の精神的苦痛に対する慰謝料として、10万円の増額が認められました。

算定の難しい後遺障害が残った

交通事故の影響によって後遺症が残った場合には、後遺障害の等級認定を受けることで、後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害診断書は医師に作成してもらいますが、後遺障害かどうかの判断は医師が行うわけではありません。

保険会社を通じて、「損害保険料率算出機構」が審査を行うため、実際の症状と認定される等級に違いが出てしまうことがあります。

後遺障害の等級は一段階違うだけでも金額が大幅に異なってくるので、正しく認定を受けることが大切です

■法律事務所に依頼して増額した事例
信号待ちの停車中に後方から追突された事故で、頚椎捻挫などで1ヶ月の入院と7ヶ月半の通院となり後遺障害12級5号に認定されましたが、保険会社から提示された金額は46万円でした。納得いかず弁護士に依頼しました。その結果慰謝料を900万円まで増額できました。

子どもだからといって増額はしない

慰謝料は子どもや専業主婦(主夫)、学生だからといって増額はありません。
年齢や性別、職業といったものは関係がなく、金額に差が出てしまうことはないのです。
※ただし死亡慰謝料は、被害者の家庭内の役割に応じて異なる場合があります。

交通事故における慰謝料はあくまで、ケガの程度や入通院期間によって計算される点を押さえておきましょう。

ただし、慰謝料以外の休業損害や逸失利益の請求については、年齢や職業が関係してくるので注意が必要です

交通事故の慰謝料金額の増額を保険会社と交渉する方法については、下記のの関連記事をご覧ください。

交通事故の慰謝料は減額する場合もある

交通事故の慰謝料は増額するケースばかりでなく、場合によっては減額となるケースもあります。どのような場合に減額するのかを紹介します。

過失相殺

交通事故はもらい事故のように、被害者側に過失がないケースもあるものの、多くの交通事故では双方に過失が生じます。

交通事故が起こった原因について、双方の責任の度合いを表したものを「過失割合」といいます。

過失相殺とは

そして、交通事故による損害の負担を公平にするために、損害賠償金から被害者の責任分を差し引くことを「過失相殺」(民法第722条2項)と呼びます。

過失相殺によって、被害者が受け取る損害賠償金は減額するため、過失割合を巡っては被害者と加害者の間で揉めてしまう原因になりやすいです

【民法第722条2項】
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

過失割合が慰謝料に与える影響について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

損益相殺

「損益相殺」は交通事故が起こったことで、被害者が金銭的な利益を何らかの形で得た場合に、損害賠償金から減額されることを指します。

具体的には、労災保険金・厚生年金給付金などであり、同じ理由で二重の補償を受けることは自賠法の趣旨などに反するからです。

特に労災保険を申請する場合は、自賠法による補償と重なる部分が多いので、二重の補償は受けられない点を押さえておきましょう。

素因減額(身体的要因・心因的要因)

「素因減額」は、被害者が交通事故にあう前から患っていた症状に関するもので、事故によって症状が悪化した部分と切り離して、一定割合を減額するものです。

素因減額には、身体的要因・心因的要因の2つがあげられます

  • 身体的要因
    頸椎ヘルニアを事故以前に患っており、事故によってむちうちの治療が長引いたケースなど
  • 心因的要因
    事故にあう前から、うつ病を患っており、事故の影響によって治療が長引いたケースなど

交通事故が起きてから慰謝料請求までの流れ

交通事故の被害にあってしまった場合、適正な補償を受けるためには、慰謝料を請求するまでの流れを押さえておく必要があります。

全体的な流れをまとめると、以下のようになります。

事故発生から解決までの流れ
交通事故発生~解決までの流れ
①交通事故発生
(警察と保険会社に連絡・病院で受診・加害者の連絡先を確認)
②治療開始
(整形外科など医療機関で治療を行う)
③症状固定
(ケガが完治もしくは症状固定となるまで治療を継続する)
④後遺障害の等級認定
(症状固定となっても後遺症が残る場合は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、等級認定を申請する)
⑤示談交渉
(すべての損害額が明らかになってから示談交渉を行う)
⑥調停や裁判
(示談交渉がまとまらない場合は、調停や裁判を行なう)
⑦慰謝料を含めた損害賠償金の受け取り
\ 示談交渉のポイント /

交通事故の示談交渉の大事なポイントは、すべての損害額が明らかになるまで示談交渉を進めない点です。

「症状固定」となる前に加害者側の保険会社から示談交渉を勧められることもありますが、きちんと治療を継続して後遺障害の等級認定などが確定してから交渉を行いましょう

示談交渉について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

慰謝料はいつもらえる?

交通事故の慰謝料やその他の損害賠償金の受け取りは、一般的に示談が成立してから約1~2週間後*です。

示談交渉がまとまらなければ、裁判所を通じて和解もしくは判決を得てからとなります。
*あくまでも目安です、賠償金額が高額の場合は時間がかかるときもあります。

示談が成立すると、保険会社から示談書が送られてくるので、内容をよく確認してから署名・押印をします。

手続きが完了した後に、慰謝料を含めた損害賠償金が支払われる流れとなります。

事故状況によっては過失割合を巡って争ってしまい、思うように示談交渉がまとまらないこともあります。

しかし、安易に妥協して示談を成立させてしまえば後から覆すのが困難となるので、納得できる形で示談を取りまとめることが重要です

慰謝料には時効もあるので注意

交通事故の被害にあってから、慰謝料が請求できる期間には「時効」があるので注意が必要です。

加害者側との示談が成立しないまま時効を迎えてしまうと、被害者は損害賠償請求権を失ってしまい、それ以降の請求ができなくなってしまう恐れがあります

時効は事故の種類によって異なり、以下のように法律で決められています。

事故の種類 起算日 時効までの期間
物損事故 事故発生日 3年
人身事故 事故発生日 5年
人身事故(後遺障害) 症状固定日 5年
死亡事故 死亡した日 5年

2020年4月1日に改正された民法により、人身事故の損害賠償請求権の時効は5年となりました

改正が行われる前が起算日の事故であっても、2020年4月1日で示談が成立していないものは、改正後の民法のルールが適用されます。

交通事故の示談交渉において、加害者側との話し合いがまとまらないまま数年経過してしまうことも珍しくありません。

しかし示談成立を急いでしまうあまり、不利な交渉を進めるのは避けましょう

交通事故の慰謝料をしっかりもらうためには

示談交渉は当事者同士の話し合いで進めることが可能ですが、慣れないやりとりに心身共に疲れてしまうこともあります。

慰謝料の計算はさまざまな方法がありますし、損害賠償請求ができる項目は多岐にわたります。

いくら相手側に責任があると思っていても、相手方の保険会社と交渉を一人で進めるのは不安が付きまとうものです。

示談交渉や後遺障害の等級認定は、専門的な知識や経験が必要であり、一般の人には難しく感じてしまいます。

一方で、安易に妥協をしてしまっては、本来請求できるはずだったものが受け取れず、妥当な金額は支払われない可能性があります。

納得のできる形で示談交渉を進めるためには、交通事故示談に詳しい弁護士に依頼してサポートを受けることが大切です

弁護士に依頼するおもな3つのメリットを、ご紹介します。

1. 弁護士基準の慰謝料を算出してくれる

弁護士に依頼をするメリットとして、慰謝料を含めた損害賠償請求を「弁護士基準(裁判基準)」で行える点があげられます

自賠責保険基準や任意保険基準と比べて、受け取れる損害賠償金が増える可能性があるため、納得のいく形で示談交渉をまとめられます。

ケガの程度が重かったり、後遺障害が残ったりすれば、事故後の生活を立て直すのが大変です。

弁護士基準(裁判基準)で損害賠償金を算出することで、1日も早く生活を立て直す経済的な道筋をつけやすくなります。

2.加害者側との交渉をすべて任せられる

交通事故示談に詳しい弁護士に依頼をすれば、示談交渉だけでなく、後遺障害の等級認定手続などのサポートを受けられます。すべての交渉を任せられます。

加害者側と直接やりとりをせずに済むため、時間的・心理的な負担を軽減できます

交通事故の被害者となってしまうと、ケガの治療を行いながら、加害者側との話し合いを進める必要があります。不慣れな手続きに戸惑ってしまうことも多く、心身への負担が大きくなってしまう恐れがあるので注意が必要です。

弁護士に依頼することで、不安や疑問がある場合もすぐに相談できる味方がいることになり安心です。

ケガの治療に専念して、有利に交渉を進めるためにも弁護士に相談するメリットは大きいはずです

3. 慰謝料だけでなくすべての損害賠償を請求できる

交通事故における損害賠償請求では、慰謝料のほかにも様々な項目があります。

損害賠償請求で請求できる項目
  • 治療費
  • 付添看護費
  • 休業損害
  • 逸失利益

ケガの程度や事故状況などによって請求できる項目は異なりますが、どの項目を請求できるのかを自分で判断するのは難しいです。

交通事故示談に実績がある弁護士であれば、過去の解決事例からさまざまなケースに対応できます。

事故によって受けた損害を漏れなく補償してもらうには、専門知識と経験が豊富な弁護士に依頼をすることが大切です

弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

弁護士費用はいくらかかる?安くあげるには?

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼したいと考えても、いくらかかるのか気になってしまうものです。

「弁護士費用特約」を活用すれば依頼者にとって費用負担がないケースが大半のため弁護士にご依頼を検討される方が多いです。

弁護士費用をできるだけ抑えるために、どのような方法があるのかを紹介します。

弁護士費用は保険の特約でまかなえる場合がある

任意保険に加入をしている場合、「弁護士費用特約」によって弁護士費用をまかなえるケースがあります

弁護士特約とは

一般的な保険では1事故あたり300万円を上限として設定されています。

弁護士への報酬だけでなく、法律相談(上限10万円の場合が多い)などもカバーできるので自己負担を軽減しつつ、気軽に弁護士に相談できる仕組みです。

弁護士費用特約がない場合は、以下のようなさまざまな費用の負担が必要になります。

費用の種類 費用の目安
報酬金 回収額の10%+20万円
(税込=11%+22万円)

費用の総額は事故内容にもよりますが、一般的には30万~100万円程度でおさまる方大半です。

弁護士費用特約がなければ自己負担となってしまいますが、特約があればほとんどのケースで費用をカバーできます

初回の法律相談を無料としている法律事務所も多いので、まずは気軽に相談をしてみることが大切です。

弁護士特約について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故相談センターは、弁護士が中立な立場で相談に乗ってくれて、面談や示談のあっ旋なども行ってくれます。

全国どこからでも無料で相談(平日のみ・通話料は有料)ができます。

加害者側とどのように交渉すればよいかわからなかったり、加害者が任意保険に入っていなくて示談交渉に困ったりした場合に活用できます。

相談を行う前に、交通事故に関する資料(交通事故証明書・診断書・収入証明書など)を用意しておくとスムーズです。

ただし、日弁連交通事故相談センターでは弁護士を選ぶことができないため、必ずしも自分と相性の良い弁護士に相談に乗ってもらえるとはかぎりません。

また示談のあっせんは行ってくれても、加害者側が同意しなければ話し合いがまとまらないというデメリットがあります。

交通事故紛争処理センター

公益財団法人交通事故紛争処理センター」は、弁護士が自動車事故に関する紛争処理を手伝ってくれる機関です。

法律相談や和解のあっせんなどに対応してもらえて、無料で利用できます。全国11ヶ所に相談センターがあり、事前に電話予約を行うことで相談に乗ってもらえます。

ただし、被害者の住所地や事故地にある相談センターのみの対応となっている点に注意が必要です。事故が起こった場所によっては、利用に不便さを感じてしまう場合もあります。

交通事故紛争処理センターについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

法テラス

日本司法支援センター(法テラス)」は、無料の法律相談を行っています。交通事故だけでなく、法律に関する幅広い相談に対応しているので、「何から手をつけていいかわからない」という場合に気軽に利用可能です。

トラブル解決のための情報を得たり、弁護士費用の立て替えを行ってもらったりもできます。

窓口での対応だけでなく、電話やメールでの相談にも対応しているので全国どこからでも利用できるメリットがあります。

ただし、利用する条件として収入や資産額が一定以下の人を対象としている点に注意しましょう。

また、法律相談を幅広く取り扱っている反面、交通事故示談のように専門性が問われる相談に適切な対応をしてもらえない場合がある点を押さえておきましょう。

【まとめ】交通事故の慰謝料には3つの計算基準があり相場が違う。弁護士基準だと高額になる

交通事故の被害者となってしまうと、ケガの治療や事故後の対応が大変であり、時間的・心理的にも負担が大きくなってしまいがちです。

慰謝料の算出方法は3つあり、損害賠償請求できる項目は慰謝料以外にさまざまなものがあります

また、後遺障害の等級認定手続は専門的な知識やノウハウが必要で、一般の方には難しいものです。

しかし、事故による損害額をきちんと算出しなければ、必要な補償が受けられずに適正な金額が受け散れない結果につながります。

一人で悩んでしまう前に、交通事故示談に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。弁護士に依頼をすることで、「弁護士基準(裁判基準)」での慰謝料請求が可能です。

費用が心配な場合でも、弁護士費用特約などを使えば費用の負担を気にせずに気軽に相談できます。

1日も早く生活を立て直すために、弁護士のサポートを受けることは大切です。

まずは初回相談無料の弁護士事務所へ、相談してみてはいかがでしょうか

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慰謝料計算機

以下のツールで交通事故の慰謝料と、休業損害、後遺障害逸失利益の金額が計算できます。

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