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後遺障害の異議申し立て成功確率は15%|認定されるためには?

書類

交通事故で負ったケガが完治せずに後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害の等級認定手続きを行うことが重要です。
しかし等級認定手続きを行ったにもかかわらず、後遺障害と認定されないケースもあります。

認定結果に納得ができないときは「異議申立て」をすることができます。 異議申立てによって後遺障害と認定されたり、等級が上がったりする可能性があります。

異議申立ては専門的な知識が必要であるため、準備を入念に整えることが大切です。
この記事では、後遺障害の異議申立てによって後遺障害の認定率を高めるためのポイントを解説します。

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目次

後遺障害の異議申し立てが成功する確率は?

「後遺障害」として認定されることは、相手側の保険会社へ請求する慰謝料などにも関わってくるので重要なポイントです。

後遺障害の等級は症状に合わせて1級~14級までに分類されており、等級が1つ違うだけでも補償は大きく変わってきます。

そのため、後遺症があるにもかかわらず後遺障害と認定されなかったり、実際の症状よりも低い等級となったりした場合には「異議申立て」を行うことができます

異議申立ては、認定結果に納得できないときに再審査を求める行為であり、定められた期間内なら何度でも行えます。

しかし、異議申立てを成功させるには症状を裏付ける新たな資料などを提出する必要があります。

準備を整えないまま異議申立てを行っても、成功する確率は低くなってしまうので注意が必要です。

後遺障害の異議申し立ての成功率は15%

後遺障害の認定を行う機関である損害保険料率算出機構が公表している「自動車保険の概況」(2020年度版)によれば、異議申立ての成功率が低いことがわかります。

出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況(2020年度版)」

異議申立ての全体的な件数が1万1,585件であるのに対して、等級の変更が認められたのは1,747件となっており、約15%の確率となっています

成功率が低くなっている原因としては、認定結果を覆すための新たな資料(検査データなど)を提出できなかった点などがあげられます。

等級認定が成功しない理由
  • 客観的なデータに基づく資料が不足している
  • 診断書に記載漏れがある など

単に異議申立てだけを行っても認定が覆る可能性は低く、客観的なデータに基づいた資料をそろえる必要があるのです。

特に「事前認定」(加害者請求)の場合は、相手側の任意保険会社に手続きを任せてしまうため、書類に誤りがあっても気づきづらい部分があります。

異議申立てを行うときは、最初に提出した書類に不備がなかったかをチェックすることも重要です。

後遺障害の認定と再審査を行う機関は違う

後遺障害の等級認定や異議申立てによる再審査は、「損害保険料率算出機構」が行います。

「損害保険料率算出機構」とは
全国に自賠責損害調査事務所を設置しており、保険金の支払いが適切に行われるように損害調査を行う機関です。会員である保険会社から収集したデータを基に、統計資料の作成や情報提供などを行っています。 損害保険料率算出機構

異議申立ての場合も等級認定手続きと同様に、「事前認定」と「被害者請求」の2種類があります。

  • 事前認定の場合
    相手側の任意保険会社を通じて、異議申立書と添付書類を提出します。
  • ・被害者請求の場合
    相手側の自賠責保険会社に異議申立書と添付書類を出して、再審査の結果を待ちます。

一方、異議申立てを行わずに「紛争処理機構」(自賠責保険・共済紛争処理機構)を通じて、認定結果の不服を申し立てることも可能です。

「自賠責保険・共済紛争処理機構」とは
自賠責保険や共済から支払われる保険金・共済金に関する紛争を解決するための第三者機関です。紛争の調停や相談を受け付けています。一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構

紛争処理委員と呼ばれる専門家が、提出された書類を基に無料で審査を行ってくれます

しかし異議申立てとは異なり、一度しか利用できない点に注意が必要です。

一度目は異議申立てを行い、二度目は紛争処理機構を利用するといった使い方もできるので検討してみましょう。

後遺障害の異議申し立てに必要な期間と費用

後遺障害の異議申立ては、保険会社を経由して損害保険料率算出機構が審査を行うため、結果が出るまでそれなりに時間がかかります。

異議申立ての内容にもよりますが、数ヶ月~半年程度の時間がかかります。

また、異議申立てそのものは無料で行えますが、新たな資料を提出するために検査費用なども必要になります。

ここでは、異議申立ての基本的な流れと期間、費用について見ていきましょう。

異議申し立ての流れと期間

異議申立ては1回目の申請と同じように、「事前認定」と「被害者請求」の2種類の方法があります。

事前認定は相手側の任意保険会社、被害者請求は相手側の自賠責保険会社にそれぞれ必要書類を提出します。

異議申立ての方法を比較すると、次のとおりです。

異議申立ての流れ(事前認定)
1.異議申立書を相手側の任意保険会社に提出
2.任意保険会社が異議申立書とその他の書類を損害保険料率算出機構に提出
3.自賠責損害調査事務所による審査
4.結果が任意保険会社を通じて申立人に伝えられます
異議申立ての流れ(被害者請求)
1.異議申立書とその他の書類を相手側の自賠責保険会社に提出
2.自賠責保険会社が書類を損害保険料率算出機構に提出
3.自賠責損害調査事務所による審査
4.結果が自賠責保険会社を通じて申立人に伝えられます。
※被害者請求では等級に変更があった場合、結果の通知と同時に等級に応じた保険金が支払われます。

事前認定は異議申立書を提出するだけなので手続きは簡単ですが、その他の書類を保険会社に任せてしまうため、等級が変更される可能性は低いといえます。

一方、被害者請求は以下のように異議申立書以外の書類を集める必要があるので、異議申立てを行うまでに時間がかかってしまうのが特徴です。

被害者請求で必要な書類
  • 新たな後遺障害診断書
  • 各種検査データ
  • 担当医師の意見書
  • カルテ
  • 医療照会の回答書
  • 本人が症状を記載した陳述書 など

しかし、納得がいくまで書類をそろえて異議申立てを行うため、被害者請求のほうが有利な面があります。

また、異議申立ては専門家による再審査が行われるので、結果が出るまでに数ヶ月~半年程度の時間がかかります

書類に不備がないようにしっかりと準備を整えてから、手続きを行いましょう。

初回の後遺障害申請とは違う?異議申し立ての特徴

認定された等級に納得できないときに行う異議申立ては、初めに後遺障害の等級認定手続きを行ったときと、申請方法に違いはありません。

相手側の任意保険会社もしくは、自賠責保険会社を通じて手続きを行います。

しかし、提出しなければならない書類として、異議申立書のほかにもたくさんあるので戸惑ってしまう場面もあるでしょう。

異議申立ては、前回の認定結果が正しくないことを証明する必要があるため、さまざまな資料をそろえなければなりません。

つまり、初回の申請時よりも準備のためのハードルが上がってしまうので、1人で取り組むのは大変でもあります。

<弁護士のここがポイント>
異議申立てを行うときは、異議申立書のほかにも多くの書類を準備する必要があります。専門的な知識が必要となる面が多く、準備を整えるだけでも大変です。交通事故案件に詳しい弁護士なら、後遺障害の異議申立てについてもサポートできますので、お気軽にご相談ください。

異議申し立てにかかる費用

異議申立てを行うこと自体は無料ですが、必要な書類をそろえるのに実費がかかります。

例えば、新たに後遺障害診断書を作成してもらえば、5,000~1万円程度の費用が発生します。

また、追加の検査を行えばその分の費用がかかりますし、弁護士に手続きを依頼すれば弁護士費用もかかります。

ただし、弁護士費用については加入する保険に付いている「弁護士特約」(弁護士費用特約)を利用できれば、300万円まで保険会社が負担してくれるので、費用を気にせずに依頼することが可能です。

加入する保険会社に問い合わせて、弁護士特約の利用ができるのかを確認しておきましょう。

後遺障害の異議申し立ての書類の書き方

「異議申立書」には決まった書式はありませんが、記載すべき内容はある程度決まっています。

保険会社から等級認定の結果通知と一緒に、異議申立書の書式も送られてくることがあるので、それを使用することも可能です。

異議申立書に記載すべき項目としては、以下の点があげられます。

異議申立書に記載すべき項目
  • 宛先(保険会社の名前)
  • 日付(申立書の作成日)
  • 申立人(被害者本人もしくは代理人)
  • 住所、連絡先
  • 証明書番号(交通事故証明書に記載されているものと同じ)
  • 被害者の氏名
  • 事故発生年月日
  • 添付資料(新たに添付する書類の種類)
  • 異議申立てを行う趣旨(等級認定結果の変更を求める旨を記載する)
  • 異議申立ての理由

異議申立てを行う際は、検査データなどの医学的資料が大きな意味を持ちます。

特に、交通事故の症状として多く見られる「むちうち」(後遺障害12級・14級)の場合、外見からは判断ができないので症状を裏付ける資料の提出が欠かせません。

初回の等級認定手続きの際に不足していた資料が何かをよく見極めたうえで、異議申立て書類を準備しましょう。

<弁護士のここがポイント>
異議申立てを行う際に必要となる添付書類は、症状や認定を求める等級によって異なります。初回申請時にどのような情報が不足していたかを精査して、必要な資料を集めることが大切です。弁護士であれば、資料の収集や読み込みなどをサポートできますので、異議申立てをスムーズに行えます。

後遺障害の異議申し立ての成功率を上げるためには弁護士に相談

異議申立てを行う際は、初回の申請時以上に念入りな準備が必要になります。

単に異議申立書を提出するだけでは認定結果を覆すのが難しいため、医学的資料など客観的な事実を示す書類をそろえることが大切です。

しかし、初めて異議申立てを行うときは書類の収集方法や作成の仕方がわからずに、戸惑ってしまいがちです。

交通事故案件に精通した弁護士であれば、異議申立書を作成するコツを熟知しているので、1人で悩んでしまう前に相談をしてみましょう

異議申立書の作成代行や収集すべき資料のアドバイスなどを受けられるので、順序よく異議申立ての準備を整えられます。

後遺障害等級の異議申し立ては弁護士法人・響へ

後遺障害の等級認定について納得できないときは、異議申立てを検討することが大切です。

しかし、作成・収集すべき書類が多く、専門的な内容でもあるので困ったときは弁護士に相談をしてみましょう。

異議申立てに必要な書類が準備できるだけでなく、相手方との示談交渉も任せられます。

後遺障害と認定されれば後遺障害慰謝料の請求が可能ですが、等級によって慰謝料額は以下のように異なります。

等級 弁護士基準(裁判基準)
14級 110万円
13級 180万円
12級 290万円
11級 420万円
10級 550万円
9級 690万円
8級 830万円
7級 1,000万円
6級 1,180万円
5級 1,400万円
4級 1,670万円
3級 1,990万円
2級 2,370万円
1級 2,800万円

※慰謝料額はあくまで目安であり、実際は相手や保険会社の対応によって異なります。

弁護士に依頼をすると弁護士基準をベースに請求することになるため、適正な補償を受けられる可能性が高まります。

弁護士法人・響では、交通事故や後遺障害について詳しい弁護士が在籍しておりますので、個別の事情に合わせてていねいに対応させていただきます。

弁護士依頼するメリットについて、詳しくはこちらの記事もご参照ください。

【まとめ】後遺障害の異議申し立ては入念な準備が必要。弁護士に相談してみよう

交通事故が原因でケガを負ってしまった場合、完治せずに後遺症が残る可能性があります。

後遺障害の等級に当てはまる症状であれば、必要な補償を受けられるので等級認定手続きをしっかり行いましょう。

しかし、せっかく申請したにもかかわらず実際の症状よりも低く認定されたり、認定されないケースもあります。

認定結果に納得できないときは、異議申立てを行うことが大切です。

しかし異議申立てには多くの書類が必要となり、ご自身だけでは対応が難しい場合は交通事故案件に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

弁護士法人・響では、後遺障害に関するさまざまなご相談に真摯に対応いたします。

実際に等級変更となった事例もございますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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