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物損のみの交通事故で慰謝料はもらえる?物損事故の注意点も確認

交通事故に遭ったら、相手に慰謝料を請求できるかが気になりますよね。 原則として、身体にケガがなく車や所持品などに損害が出た物損事故では、相手に慰謝料を請求することはできません。 交通事故に遭って車や所持品が壊れてしまったら、相手にどれだけの補償をしてもらえるのでしょうか。 そこでこの記事では、

  • 物損事故で慰謝料を請求できない理由
  • 物損事故の被害で受けられる補償内容
  • あとからケガが判明した場合の対応

などについて解説します。

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この記事の監修者
西川 研一
弁護士
西川 研一Kenichi Nishikawa
所属団体
第二東京弁護士会所属 第36318号
役職
弁護士法人・響 代表弁護士/西新宿オフィス所長

目次

物損だけでは交通事故の慰謝料はもらえない

交通事故に遭ったとき、車や所持品などに損害が出た物損だけの状況では、原則として相手に慰謝料を請求することはできません。

なぜ物損事故では慰謝料を請求できないのかについて、人身事故と比較しながら解説します。

物損事故と人身事故の違い

交通事故は「人身事故」と「物損事故(物件事故)」に分けられます。

※ケガのない事故は一般的に「物損事故」といわれますが警察では「物件事故」と呼び、交通事故証明書にも「物件事故」と表記されます。

おもに以下のような違いがあります。

  • 「人身事故」人体に死傷などの損害が発生した事故
  • 「物損事故」人体への損害がなく自動車や建物などの物にのみに損害を発生させた事故

死傷者がいる事故が人身事故、死傷者がいない事故が物損事故となります。

また人身事故の場合、加害者(過失割合の多い方)は刑事罰に問われる可能性がありますが、物損事故については、原則として加害者は刑事罰に問われないといえます。

交通事故による慰謝料とは

交通事故に遭って慰謝料を請求できるのは、通常はケガを伴う人身事故のケースに限られます

ケガをしたことで仕事を休んだり、日常生活に支障をきたしたりすると、経済的な損害だけではなく精神的にもつらい思いをします。

慰謝料はそうした「精神的苦痛」に対する補償として請求できるものです。

交通事故で請求できる慰謝料には、次のようなものがあります。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料(近親者慰謝料)

つまり、交通事故のケガが原因で、入院・通院をしたり、後遺障害が残ったり、最悪の場合亡くなってしまったりした場合に支払われるものです。

これに対して、物損事故の場合は当事者がケガを負っていません。

物損事故の場合、財産的損害の賠償によって同時に精神的苦痛も慰謝されることになると考えられているため、別途慰謝料が認められることにはならないというのが一般的な見解です。

しかし、物品の修理費を補償をしてもらったところで、必ずしも精神的苦痛が収まらないと考える人もいます。

精神的苦痛を感じる物損事故に遭っても、慰謝料を請求できないのでしょうか。

交通事故の物損被害は相手の任意保険で補償される

交通事故で被った損害は、交通事故の相手が補償することになります

交通事故に遭った場合は、まず相手の自賠責保険から補償され、足りない分を相手が加入している任意保険の保険会社から支払われるものです。

しかし、物損事故の場合は自賠責保険では補償されず、任意保険の補償のみとなります。

ここからは、物損事故のときに相手にどのような補償をしてもらえるのかを、10件の判例を用いながら解説します。

思い入れのある車や積載物にも慰謝料は発生しない

人によっては、交通事故で壊れてしまった車や積載物に対して特別な思い入れがあり、同等の価値の物品や損害賠償金による補償だけでは精神的苦痛が癒やされないと感じることもあります。

よくある例として次のようなものがあります。

  • 愛着のある車
  • 家族の形見である装飾品
  • 長年使い続けきた腕時計
  • 骨董品
  • ペット

しかし、このような物損事故であっても基本的に慰謝料は発生しません。

これらはすべて法律上「物」として扱われ、あくまでその「物」の市場価値で損害額が決められるのが原則だからです。

弁護士の〈ここがポイント〉
物損被害の場合は、損害を受けた物品の補償さえされれば精神的苦痛も収まるとの考えから慰謝料の請求はできません。
大切なペットが交通事故に遭った場合などは納得のできなことも多いでしょうが、慰謝料は発生しないケースが一般的なのです。

例外的に慰謝料が認められる物損事故もある

例外的に、物損事故であっても慰謝料が認められるケースもあります

交通事故による被害が、被害者の感情や平穏な生活を強く害する場合などに認められます。

たとえば次のようなケースだと、物損事故でも慰謝料を請求できる可能性があります。

  • 家屋に車両が突っ込んで玄関が損壊した
  • 墓石が倒されて骨壺が露出した

こうした感情を強く害する交通事故では、慰謝料が認められることがあります

ただし物損事故で慰謝料が認められるのはあくまで例外的な事例です。
基本的に物損事故で慰謝料を請求できることはまれなケースと理解しておきましょう。

【裁判例】物損事故で請求できる損害賠償金

物損事故では慰謝料は請求できませんが、車の修理代などの損害賠償金は請求することができます。
請求できるおもな項目は次のようなものです。

  • 修理費
  • 評価損
  • 買替差額
  • 買替諸費用
  • 代車使用料
  • 休車損
  • 保管料
  • 時価査定料・見積費用 など

以下で、裁判例を用いながらくわしく説明します。

車を修理できる場合に請求できる損害賠償金

交通事故に遭った車が、修理して再び使用できる状態に戻せる場合は、車の修理費と評価損の請求ができます。

●修理費
修理費は、交通事故に遭った車を修理するための費用です。
ただし修理費には、以下の裁判例のように、請求が全面的に認められたケースと、一部しか認められないケースがあります。

裁判例1:修理費が認められたケース

初度登録から約12年経過したトヨタ・スープラの修理費に関する裁判例。
相手は、修理費を車の評価額である24万5,000円程度に留まると主張した。
しかし車両は交通事故の約8ヶ月前に70万円で購入され、走行距離も3万kmと極端に少なかったため、修理費57万2,250円が認められた(名古屋地裁判例・平成15年2月28日)

裁判例2:修理費が一部認められなかったケース

購入から約2年が経過したキャデラックの修理費に関する裁判例。
車両を全塗装すると219万7,082円の修理費となるが、すでに色褪せが生じていた。
全塗装をすると交通事故直前の状態に戻すこと以上の利益が生じるとして、部分塗装174万7,590円が修理費として認められた(東京地裁判例・平成7年2月14日)

●評価損
評価損とは、修理しても残ってしまう外観上の欠陥や事故歴などにより、商品価値が下がると見込まれる場合に請求できる損害賠償です。

裁判例3:評価損が認められたケース

トヨタ・アルファードの評価損算定に関する裁判例。
時価がかなり高く、また事故による損傷が基本的構造部分にも及んでおり修理費も高額であるため、修理代の約1割である約19万2,800円が認められた(名古屋地裁判例・平成22年7月9日)

裁判例4:評価損が一部認められなかったケース

トヨタ・セルシオの評価損算定に関する裁判例。
日本自動車査定協会の査定では交通事故による減価額は51万5,000円だったが、その評価過程が明らかではないため、修理費約166万円の2割相当である約33万円が評価損として認められた(東京地裁判例・平成10年10月14日)

このように、日本自動車査定協会の評価が必ずしも裁判にそのまま反映されるとは限りません。

交通事故に遭った人の主張がどの程度通るかは、車の状態によってケースバイケースです

車を修理できない場合の損害賠償金

交通事故による損傷があまりに激しいと、車を修理できない、あるいは新しく買い替えたほうが安く済むケースがあります。

そのような場合、次のような項目を請求できます。

●買替差額
事故による損傷が激しく、修理するよりも買い替えたほうが社会通念上相当と認められる場合、車両の実際の売却額と、同車種・同程度の使用状態の車の市場価格との差額が補償されます。

裁判例5:買替差額が一部認められなかったケース

交通事故後、安全性への不安からベンツS600を修理せずに新車に買い替え、買替差額722万8,000円を請求。しかし安全性への不安は主観的な問題であるとの判断から、修理費約509万円が車両損害として相当とされた(東京地裁判例・平成11年9月13日)

●代車使用料
事故車両の修理期間または買替期間中、代車としてレンタカー使用などに要した費用が補償されます。

裁判例6:代車使用料が認められたケース

交通事故の当事者は、事故車両を通勤用として使用しており、レンタカー使用料日額6,000円(1ヶ月15万円)と、知人から日額3,000円で借りた乗用車26日間分の使用料の合計額の補償が認められた(横浜地裁判例・平成元年6月27日)

裁判例7:代車使用料が認められなかったケース

事故車両の他にも2台の外国製自動車を所有していたことから、代車使用の必要性は認められなかった(東京地裁判例・平成25年3月6日)

●休車損
営業車の修理期間中、または買替期間中の損害金が補償されます。

裁判例8:休車損が一部認められなかったケース

タクシー1台の交通事故により休車中であっても、他の車両が配車されることで売上の8割がカバーされるとして、休車損の一部しか認められなかった(高松高裁判例・平成9年4月22日)

●保管料
事故車両を修理業者に預け、修理するか廃車にするかの判断をするまでに要する期間の車両保管料が補償されます。

裁判例9:保管料が認められたケース

保険会社が長期間交渉を放置したこともあり、修理か買い替えかの判断に要した3ヶ月分の車両保管料17万2,900円が認められた(東京地裁判例・平成13年5月29日)

●時価査定料・見積費用
事故車両を修理すべきか、廃車にして買い替えるべきかを判断するのに必要な時価査定料や見積費用が補償されます。

裁判例10:時価査定料が認められたケース

ポルシェ・ボクスターの修理が可能かどうかの判断にかかった時価査定料1万500円が認められた(東京地裁判例・平成14年8月30日)

弁護士の〈ここがポイント〉
その他、レッカー代や廃車にかかる費用なども請求可能です。
補償が認められるかどうかわからない費用であっても、領収書や明細書などを保管しておくと、あとから請求できる可能性があります
念のため保管しておくようにしましょう。

車のほかに損害を受けた場合の損害賠償金

交通事故で損壊した車以外の損害に対しても、相手の任意保険で補償してもらえるものがあります。

代表的な賠償例として次のようなものがあります。

  • スマートフォン、パソコン、カメラ
  • 衣類、腕時計、装飾品
  • 家屋や店舗などの損壊

車両以外のものについて損害賠償を請求するとき、原則として事故時点での市場価格で損害額が計算されます。

定価や購入したときの金額ではないので注意が必要です。

また、補償されるのはあくまでも交通事故が原因で損害を受けた物品に限ります

損害の原因が交通事故であると証明できるように、写真や修理見積書など、事故直後の証拠資料を用意しておくようにしましょう。

物損事故に遭ったときの注意点

物損事故に遭ってしまったら、いくつか注意しておくべきポイントがあります。 損害賠償をいくら請求できるかに関わってくるので、しっかりと押さえておきましょう。

過失割合によってもらえる金額が変わる

交通事故に遭うと、過失割合が算定されます。

過失割合とは、事故の責任が誰にどれだけあるかを示すものです。
自分では完全に相手が悪いと思っていても、0対10にはならないケースもあります。

たとえば過失割合が1対9で、相手の車両にも損害がある場合、次のような計算方法で補償金額が算定されます。

自分 相手
過失割合 1 9
損害総額 500万円 50万円
請求額 500万円×0.9=450万円 50万円×0.1=5万円
受取額 450万円-5万円=445万円 0円

少なからずご自身に過失があると、相手への請求額から相殺で差し引かれ、受け取れる金額が小さくなります。

上記のケースでは、自分にまったく過失のない0対10の過失割合であれば損害総額500万円のまま請求できたものが、過失割合が1対9になったことで445万円に減額されてしまいました。

自動車どうしの交通事故では、停車中に後ろから衝突されるなどの完全なもらい事故でないかぎり、過失割合が0対10にならないことが多いので注意が必要です。

交通事故相手の過失を自分で証明する必要がある

交通事故が起きると、警察官による実況見分が行われます。
ただし、実況見分は人身事故の場合にのみ行われるのが通例です。

物損事故の場合、あとからケガが判明して人身事故に変わりそうな場合や当事者たちが望む場合を除くと、実況見分は通常行われません

交通事故の損害賠償請求では過失割合が重要なポイントとなることは前章でふれたとおりです。

実況見分調書は警察官が作成する書類なので、過失割合を判断するうえで重要な資料になります。

物損事故だからといって実況見分調書が作成されないと、過失割合に関する当事者どうしの主張が食い違い、あとからもめてしまうこともあるでしょう。

たとえケガがなく物損事故として処理されそうな場合でも、交通事故に遭ってしまったら、できるだけ警察官に実況見分をしてもらうか、次のような証拠を自分で残しておく必要があります。

  • 現場や損害を受けた車両などの写真
  • 事故車両などの修理見積書や領収書
  • 事故現場の見取り図や状況の記録

事故直後には混乱してしまい、落ち着いて証拠を残せる状況にはないかもしれません。
そうした場合でも、タイヤ痕や車両の傷の写真など、後日でも集められる証拠資料はあります。

事故から時間が経過すると記憶があいまいになり、重要な資料も手に入らなくなってしまう可能性があるため、できるだけ早く証拠をそろえるようにしましょう。

相手が任意保険に未加入だと補償が受けられない可能性がある

事故の相手が任意保険に加入していない場合、物損事故では十分な補償が受けられない可能性があります。

任意保険に加入していない人は自賠責保険を使用することになりますが、自賠責保険で補償されるのは対人賠償のみであり、対物賠償は行われません。

相手に直接請求することは可能ですが、相手に支払い能力がなければ十分な補償は期待できないでしょう。

そのような人が交通事故の相手になってしまったら、損害を受けた分はどうやって補償してもらえるのでしょうか。

自分が加入している車両保険で補償してもらう

相手が任意保険に加入していなかった場合、自分が加入している車両保険で修理代を支払うことが可能です。

すぐに修理が必要なのにもかかわらず相手が支払えないときは、まず自分の保険で修理をして、事故の相手には、自分が立て替えた分を請求します。

ただし、自分が加入している車両保険を使う場合には次の点に注意しましょう。

  • 翌年の保険料が上がる可能性がある
  • 交通事故証明書が必要になる
  • 補償の対象外となる交通事故がある

注意したいのが、車両保険の使用によって等級が下がり、翌年からの保険料が上がることです。

保険を利用しあことで、翌年からの保険料が高くなってしまう場合もあるのです。

さほど負担にならない金額であれば、保険を使わずに自費で修理することも検討しましょう。

また、事故の相手をしっかりと把握しておくことも重要です。

事故の相手がわからないと、車両保険は適用されないのが一般的です。

交通事故の被害に遭ったら、必ず相手の身分証明書で名前や連絡先の確認をし、警察へ通報して事故の届け出を行いましょう

交通事故によるケガがあれば慰謝料を請求できる

物損事故では慰謝料を請求できませんが、ケガをしていれば人身事故として扱われるので慰謝料を請求できるようになります。

交通事故に遭ってしまったご自身にとって、人身事故か物損事故かは損害賠償請求の条件が変わる重要な要素です。

少しでもケガをしている場合は、人身事故として扱ってもらうようにしましょう。

ケガがあれば人身事故に切り替えられる

交通事故に遭った時点では興奮や緊張でケガに気づかなかったり、多少の痛みなら治療は不要だろうとの思い込みで我慢したりして、物損事故で済ませてしまうケースもあるでしょう。

しかし、交通事故後しばらくたってからケガに気づくこともあります。
そういう場合は、あとから人身事故に切り替えることが可能です。

人身事故に切り替えることで、物損事故では請求できなかった慰謝料も請求できるようになります

物損事故から人身事故に切り替えると警察による実況見分が行われるので、できるだけ時間を空けずに速やかに届け出をしましょう。

一般的には、物損事故から人身事故への切り替えは、交通事故から数週間以内でするのが望ましいです。

通院3ヶ月の慰謝料の相場

慰謝料の請求するときには、金額の目安として以下の3つの基準が使われます。

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判基準)

最低限度の補償である自賠責保険基準が最も低く、弁護士基準(裁判基準)が最も高い金額となる可能性があります。

たとえば、交通事故で軽傷を負い、3ヶ月間通院治療をしていた人が請求できる慰謝料は以下のとおりです。

自賠責保険基準の場合

自賠責保険基準では、原則として慰謝料の対象となる日数×4,300円で算出します。(2020年3月31日以前の事故は4,200円)
「慰謝料の対象となる日数」とは「治療期間」と「実通院日数×2」の少ない方の日数です。

通院期間3ヶ月(90日)(実通院日数30日)の場合は
90日<30日×2=60日となり
より少ない方の60日が対象日数となります。

ですので慰謝料は
4,300円×60日=25万8,000円
となります。

弁護士基準(裁判基準)の場合

弁護士基準は裁判基準とも呼ばれており、過去の判例をもとにした目安の金額があらかじめ決められています。

入院がなく通院3ヶ月のみの場合は、53万円が慰謝料の基準額となります。

このように軽傷で3ヶ月の通院をした場合の慰謝料は、自賠責保険基準の最大値であっても弁護士基準(裁判基準)の7割程度に過ぎません。

実際の通院日数はもっと少なくなるケースもありますので、弁護士基準(裁判基準)で請求できる慰謝料がいかに高いかがわかるでしょう。

人身事故で慰謝料を請求したいときは弁護士に相談

人身事故に遭い「弁護士基準(裁判基準)」で慰謝料の請求をしたい場合は、弁護士に相談しましょう。

慰謝料の算定基準で最も高くなる可能性のある弁護士基準(裁判基準)での交渉は、弁護士に依頼しなければ困難です

物損事故の依頼は受け付けていない弁護士事務所が多いですが、人身事故であれば依頼は可能です。

弁護士に相談をすると、最も高い算定基準で請求できること以外にも次のようなメリットがあります。

\ 弁護士に相談するメリット/
  • 納得のいく損害賠償を請求できる
  • 複雑な手続きを代行してくれる
  • 過失割合を的確に判断してくれる

弁護士は過去の判例と照らし合わせながら慰謝料の適正な金額を判断してくれるので、納得のいく内容での解決がしやすくなります。

また、慰謝料請求のための複雑な手続きを代行してもらえるので、時間や労力の負担軽減にもつながります。

弁護士費用を心配して二の足を踏んでしまう方も多いようですが、弁護士基準(裁判基準)で慰謝料の請求額を増額できると、依頼費用を上回ることもあります。

ご自身が加入している保険に弁護士費用特約(弁護士特約)が付いていれば弁護士費用を補償してもらえるので、弁護士費用の自己負担はほぼ不要になる可能性が高いです。

弁護士費用特約がなくても依頼できる場合もあるので、まずは弁護士事務所へ相談してみることをおすすめします。

弁護士費用特約がなくても、状況を相談してから依頼を決められます。
まずは相談してみることをおすすめします。

物損事故に関するQ&A

物損事故のことでよくある質問と、その回答についてまとめました。

Q1:年代物のクラシックカーが損害を受けたので慰謝料を請求できる?

中古市場にも出回らない貴重な車なので精神的苦痛を受けていますが、慰謝料の請求は認められますか?

A1:原則として認められません。
クラシックカーの価値は一部愛好者の主観的価値と捉えられ、原則として修理業者などの評価額で算定されます。
ただし、販売台数が限られているなどの理由で、客観的・経済的価値が存在する場合は、実際の車両購入額以上の時価額が算定されても、時価額の請求が認められることはあります。
とはいえ、いずれの場合でも慰謝料の請求は認められていません。

Q2:交通事故で愛犬が死んでしまったので慰謝料を請求できる?

家族同然にかわいがっていたので耐えがたい精神的苦痛を被っていますが、慰謝料は認められますか?

A2:原則として認められません。
ペットは法律上、金銭で売買できる「物」として扱われるため、ペットの市場価格を目安とした損害額が算定されます。
ただし近年では、たとえば子のない夫婦がわが子同然にペットをかわいがるといった飼い主は多く、その精神的苦痛に対して慰謝料が認められるケースが増えています。
裁判官の考えや個別のケースで判断は異なるため、まずは弁護士に相談してください。

Q3:盲導犬が交通事故で死んでしまったので慰謝料請求できる?

視覚障害のある自分にとって盲導犬は生活におけるパートナーですが、精神的苦痛の代償として慰謝料を請求できますか?

A3:請求できる場合があります。
盲導犬の場合、一般のペットとは違ってトレーニングに相当の時間と労力がかけられていることが考慮されます。
1982年には、飼い主を事故から守ったシェパードのニュースがきっかけとなり、「盲導犬は視覚障害者の身体の一部」という認識が広まって、盲導犬への慰謝料が求められる場合があります。

慰謝料の仕組みや金額の詳細について詳しくはこちらの記事をご参照ください。 ​

【まとめ】交通事故で物損のみでは慰謝料は請求できない|ケガがあれば人身事故として弁護士に相談を

交通事故でもケガのない物損事故の場合は、慰謝料がもらえません。

また、相手の自賠責保険では補償されないなどの注意点もあります。

事故に遭ったときは焦って物損事故として済ませてしまっていても、ケガをしていればあとから人身事故に切り替えられます。

人身事故であれば、慰謝料の請求も可能です。

慰謝料の算定には3つの基準があり、最も高い金額になる可能性のあとなる「弁護士基準(裁判基準)」で請求するためには弁護士に依頼する必要があります

交通事故案件を多数解決してきた弁護士法人・響では、交通事故のさまざまなお困りごとに対応いたします。

ご自身やご家族が加入されている保険の弁護士費用特約が利用できる場合は、弁護士費用の自己負担はほぼ不要になる可能性が高いので、まずはお気軽にご相談ください。

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