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交通事故慰謝料の任意保険基準とは?保険会社が提示する慰謝料のしくみと相場

「任意保険基準」とは、保険会社が独自に設定している慰謝料を計算する際の計算基準のことです。

交通事故に遭ってケガを負った場合の慰謝料は、相手側の保険会社が提示してきますが、その額は任意保険基準で計算されたものです。

しかし任意保険基準で計算された慰謝料には、十分に納得できない場合もあります。

この記事では、任意保険基準のしくみや、適正な慰謝料の請求の方法などをわかりやすく解説します。

弁護士法人・響では、交通事故のご相談を24時間365日受付けしています。

弁護士費用特約がない場合は、相談料・着手金は原則無料ですので、お気軽にご相談ください。

交通事故の慰謝料については下記記事で詳しく解説しています。

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この記事の監修者
西川 研一
弁護士
西川 研一Kenichi Nishikawa
所属団体
第二東京弁護士会所属 第36318号
役職
弁護士法人・響 代表弁護士/西新宿オフィス所長

目次

この記事は弁護士法人・響のPRを含みます

任意保険基準とは慰謝料の計算基準の1つ

交通事故の相手側の保険会社が慰謝料を提示する場合は、「任意保険基準」と呼ばれる計算基準で算出してくることがあります。

任意保険基準とは何か、その特徴について説明していきます。

任意保険とは任意で加入する自動車保険

自動車保険には

  • 自賠責保険(車・バイクの所有者が加入する強制保険)
  • 任意保険(任意で加入する自動車保険)

の2つがあります。

自賠責保険は強制加入ですが、対人事故によって生じた損害に対する補償の上限金額が120万円までと決められています。

また、自賠責保険は、対物事故については補償の対象外です。

交通事故に遭ってケガを負ったとき、自賠責保険基準では120万円までしか補償されないうえに、車の修理費用などは請求できません

自賠責保険・任意保険の関係

そこで、120万円を超える治療費や慰謝料などについては、相手の任意保険から補償してもらうことになります。

その際、いくら慰謝料を払ってもらえるかは、相手が加入している保険会社が独自に設定している「任意保険基準」に準じます。

車の修理代なども、相手が加入している任意保険から支払われるのが通常です。

自賠責保険については下記記事で詳しく解説しています。

任意保険基準は保険会社が独自に設定している

「任意保険基準」とは
それぞれの保険会社が独自に設定している「慰謝料を計算する算定基準」のこと

保険会社によってその金額は異なりますが、概ね自賠責保険基準と同程度といわれています。

前述したとおり、自賠責保険の傷害分の支払い上限額は120万円です。

たとえば治療費などで200万円かかった場合、自賠責保険から120万円、任意保険から80万円支払ってもらうことになります。

しかし相手の任意保険会社は、自賠責保険の限度額を超えた分の支払いを渋ったり、低い金額を提示してくる場合があります。

相手が任意保険に加入していない場合は?

交通事故の慰謝料を任意保険基準で計算してもらうためには、相手が任意保険に加入していることが前提です。

しかし相手が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険基準の120万円までしか慰謝料をもらえない可能性があります

不足分の補償については、交通事故の相手に直接請求することになります。その場合は相手と直接交渉することになります。

金額に承諾してくれないこともありますし、支払い自体に応じてくれない可能性もあります。

だからといって、泣き寝入りするのは正しい選択とはいえません。

個人での交渉は難しくても、弁護士を介入させることで適切な慰謝料の支払いを求めることができます。

保険未加入者との事故については下記記事で詳しく解説しています。

任意保険基準の慰謝料相場

ここでは、参考までに任意保険基準の慰謝料相場を見ていきましょう。

実際の金額は保険会社によって異なりますので、自賠責保険基準を参考に掲載しています。

たとえば、軽い打撲などで1ヶ月通院した場合の慰謝料相場は8万6,000円程度、むちうちなどで3ヶ月間通院した場合は25万8,000円程度と想定されます。

〈自賠責保険基準による慰謝料額の目安〉
1ヶ月通院したときの慰謝料相場 8.6万円程度*1
3ヶ月通院したときの慰謝料相場 25.8万円程度*2

*1 治療期間30日、通院10日として計算

*2 治療期間60日、通院35日として計算

※慰謝料額は目安です。必ずこの金額になるわけではありません。

慰謝料には3つの計算基準がある

慰謝料の算出基準には、前述した任意保険基準以外にも「自賠責保険基準」と「弁護士基準(裁判基準)」と呼ばれる基準があります。

弁護士基準(裁判基準)とは、過去の裁判例をもとにした基準のことです。

3つの計算基準のうち自賠責保険基準が最低限の補償額となり、任意保険基準もほぼ同程度の水準となります。

そのためこの記事では、任意保険基準の慰謝料額は自賠責保険基準の金額を掲載しています。

「弁護士基準(裁判基準)」とは
「弁護士基準(裁判基準)」とは、過去の裁判例をもとに設定される基準です。3つの支払基準の中で最も高額になる可能性があります。

ケガによる精神的苦痛をお金に換算することはむずかしいですが、適正な慰謝料を受け取ることは、その後の生活をするうえでも大切なことです。

では、計算基準によってどう違いが出るのか見ていきましょう。

弁護士基準については下記記事で詳しく解説しています。

慰謝料基準の違いによる入通院慰謝料比較

ここでは、それぞれの基準による入通院慰謝料を比較していきます。

どのように違いがあるか比較しやすいよう、表でまとめてみました。

前述したように、任意保険基準は自賠責保険基準と同程度の金額と想定されます。

交通事故のケガによる慰謝料を計算する上では、完治までに要する期間が重要な要素です

弁護士基準では「通院」か「入院」かでも異なります

1ヶ月通院した場合の慰謝料相場
自賠責保険基準* 弁護士基準(裁判基準)
(軽傷の場合)
8.6万円 19万円程度

*自賠責保険基準は慰謝料算定の対象となる日数を20日として計算
※実際の金額と異なる場合があります。

入通院慰謝料の相場(通院の場合)
自賠責保険基準* 弁護士基準
(軽傷)
弁護士基準
(重傷)
1ヶ月 8.6万円 19万円程度 28万円程度
2ヶ月 17.2万円 36万円程度 52万円程度
3ヶ月 25.8万円 53万円程度 73万円程度
4ヶ月 34.4万円 67万円程度 90万円程度
5ヶ月 43万円 79万円程度 105万円程度
6ヶ月 51.6万円 89万円程度 116万円程度
7ヶ月 60.2万円 97万円程度 124万円程度
8ヶ月 68.8万円 103万円程度 132万円程度
9ヶ月 77.4万円 109万円程度 139万円程度
10ヶ月 86万円 113万円程度 145万円程度
11ヶ月 94.6万円 117万円程度 150万円程度
12ヶ月 103.2万円 119万円程度 154万円程度

*自賠責保険基準は慰謝料算定の対象となる日数を1ヶ月あたり20日として計算
※慰謝料額は、実際の金額と異なる場合があります。

慰謝料の計算については下記記事で詳しく解説しています。

後遺障害慰謝料を慰謝料基準で比較

「後遺障害」とは
ケガが完治せず症状が残ってしまった場合は、「後遺障害」の等級認定を受けることで、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」の請求が可能です。
「後遺症」と「後遺障害」は意味が異なるので注意が必要です。

交通事故でケガを負った際、状況によってはその後も何らかの症状が残ることがあります。

後遺障害慰謝料を請求するためには、症状固定となった後で後遺障害等級認定を受けなければなりません

「症状固定」とは
ケガの治療を続けてもそれ以上症状の改善が見込まれない状態のことをいいます。

いつ症状固定になったかは保険会社ではなく、基本的には医師が判断することになります。保険会社との間で症状固定の時期が争点になった場合には最終的には裁判所が医師の診断などのさまざまな事情を考慮しながら判断することになります。

交通事故のケガで多いものにむちうちがありますが、むちうちの後遺障害等級は14級または12級に該当する場合があります。

むちうちになった場合は、後遺障害の等級認定を受けられるか医師に確認してみましょう。

後遺障害慰謝料の目安(14級~12級)を、比較してみます。

後遺障害慰謝料の相場
自賠責保険基準* 弁護士基準
(裁判基準)
14等級 32万円程度 110万円程度
13等級 57万円程度 180万円程度
12等級 94万円程度 290万円程度

*自賠責保険基準と弁護士基準は日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 2025年版(通称赤い本)」から引用

後遺障害慰謝料については下記記事で詳しく解説しています。

死亡慰謝料(近親者慰謝料)をそれぞれの基準で比較

家族が交通事故で亡くなったとき、それが家計を支える者であった場合は残された家族はその後の生活が立ち行かなくなる可能性があります。

死亡慰謝料(近親者慰謝料)にも相場があり、それぞれの基準で異なります

自賠責保険基準の死亡慰謝料(近親者慰謝料)は400万円(本人分・2020年4月1日以降発生の事故)です。

そのほか遺族の慰謝料最大750万円、扶養されている方がいる場合にはさらに200万円が加算され、上限は1,350万円となります。

弁護士基準では、2,800万円程度が目安になります。

実際の金額は、亡くなった方の家庭内での立場や扶養家族の人数で変わりますが、計算される基準で大きな差が出ます

死亡慰謝料(近親者慰謝料)の相場
自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
上限1,350万円*1 2,800万円程度*2

*1被害者本人の慰謝料400万円(2020年4月1日以降発生の事故)、遺族の慰謝料最大750万円、扶養されている方がいる場合にはさらに200万円が加算

*2 遺族固有の慰謝料額も含む

死亡慰謝料については下記記事で詳しく解説しています。

任意保険基準より慰謝料が高額な弁護士基準(裁判基準)とは?

慰謝料には、任意保険基準よりも高額になる可能性が高い弁護士基準(裁判基準)があります。

弁護士基準(裁判基準(は過去の裁判例をもとに設定されているもので、適正な金額を受け取ることが可能になります。

弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を請求するためには、示談交渉を弁護士に依頼する必要があります。

弁護士に依頼することで、保険会社独自の基準よりも高額の慰謝料を請求できる可能性のある弁護士基準で交渉を進めてもらうことができます。

弁護士基準については下記記事で詳しく解説しています。

弁護士に依頼するメリットとは?

弁護士に依頼すると、弁護士基準で慰謝料を請求できるというメリットがあります。

何より、相手の保険会社との交渉をはじめ、必要なやりとりをほとんど代理してくれるのは大きなメリットです。

交通事故でケガをしたとき、弁護士は法律にもとづいて交渉や請求を代わりに行ってくれる心強い存在になります。では、具体的なメリットを紹介していきます。

弁護士に依頼するメリットについては下記記事で詳しく解説しています。

慰謝料を増額できる

弁護士に依頼すると慰謝料が増額できる

任意保険基準の慰謝料では、十分な補償を受けられないこともあるでしょう。症状によっては仕事を休業する場合もありますし、交通費など細かい出費もあります。

前述したとおり、弁護士に依頼することで、慰謝料を自賠責保険基準や任意保険基準より高額になる可能性の高い「弁護士基準」で請求することができます。

また慰謝料以外の治療費、休業損害、逸失利益などのすべての損害賠償金も漏れなく請求してもらえることも、弁護士に依頼するメリットです。

ケガが完治せず症状が残った場合は、後遺障害等級認定の申請手続きもサポートしてもらえます。

弁護士に依頼をすることですべての損害賠償金を計算して、納得のいく金額で請求することが期待できます。

慰謝料の増額については下記記事で詳しく解説しています。

保険会社とのやりとりを代理してくれる

弁護士は示談交渉を代理してくれる

慰謝料の示談交渉は、交通事故の相手が加入する保険会社とのやりとりが中心になります。

保険会社の担当者は示談交渉に慣れているといえます。場合によっては配慮に欠けた対応をされて、精神的につらくなってしまうこともあるでしょう。

弁護士に依頼すると、ほとんどの交渉を任せることができます。

保険会社と交渉するストレスから解放され、治療に専念できるのです。

保険会社とのやりとりが負担になったり不安を感じたときは、弁護士に相談してみましょう。

弁護士の〈ここがポイント〉
保険会社の対応には違いがありますが、高圧的に接してくる、早くサインをするように急かされるなど態度がよくないと感じるケースは多いのではないでしょうか。弁護士に依頼することで交渉をお任せできます。

示談交渉については下記記事で詳しく解説しています。

弁護士費用特約に入っていれば保険会社が負担してくれる

弁護士に相談したいと考えていても、費用の面が気になることは多いものです。

中には、費用を気にしてなかなか決断できない方もいるでしょう。

加入している自動車保険に弁護士特約(弁護士費用特約)がついている場合、一般的に300万円程度までの弁護士費用を保険会社が補償してくれます。

弁護士特約とは

まず、ご自身やご家族が加入している任意保険に弁護士費用特約がついているかご確認ください。

弁護士費用特約については下記記事で詳しく解説しています。

【弁護士法人・響】の弁護士費用

弁護士法人・響は、弁護士費用特約が使えない場合は相談料と着手金は原則無料ですので、お気軽にご相談ください。

相談をすることで具体的にどのぐらいの慰謝料が請求できるのかなどがわかる場合もあります。

報酬金も原則として後払いが可能ですので、費用の面で心配は少ないといえるかもしれません。

相談料 0円〈弁護士特約なしの場合〉
着手金 0円〈弁護士特約なしの場合〉
報酬金 220,000円+経済的利益の11%(税込) ※後払い可能です。

※弁護士費用特約が付いている方は、最大300万円+相談料10万円程度の弁護士費用を保険会社が負担してくれます。

交通事故の慰謝料は弁護士基準での請求も検討してみよう

交通事故の慰謝料の計算基準は3つあります。

相手の保険会社から示談交渉を受けたときは、任意保険基準で計算された慰謝料を提示されることになります。

納得のいく慰謝料を受け取るなら、弁護士基準(裁判基準)での請求を検討することも重要です。

交通事故の示談交渉を依頼する場合は、交通事故案件の解決実績が豊富な弁護士であることが大切です。

弁護士法人・響では、交通事故のご相談を24時間365日受付けしています。

弁護士費用特約がない場合は、相談料・着手金は原則無料ですので、お気軽にご相談ください。

【交通事故の慰謝料についてはこちらで詳しく解説しています】
交通事故の慰謝料の相場は?計算機で通院期間別にシミュレーション

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この記事の監修者
西川 研一
弁護士
西川 研一Kenichi Nishikawa
所属団体
第二東京弁護士会所属 第36318号
役職
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