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交通事故示談で相手側の弁護士が出てきたらどうなる?リスクと対処法

交通事故に遭ってケガを治療した後で、突然相手側の弁護士から受任通知が届いたというケースもあります。

このようなときは「この後どうなるのだろう」と不安になることも多いでしょう。

慌てることなく、正しい対応をしていきたいところです。

この記事では、交通事故の示談交渉中に相手の弁護士が出てきて不安を感じている方に以下のような内容を解説します。

  • 相手の弁護士から交通事故の受任通知が届いたときに行うこと
  • 相手側の弁護士が出てくる理由
  • 交通事故の示談で相手側の弁護士が出てきた場合の対処法
  • 弁護士に依頼するときの費用や方法について
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弁護士法人・響に示談交渉を頼むメリット
  1. 慰謝料を増額できる可能性がある
  2. 保険会社との交渉を徹底サポート
  3. 24時間365日全国どこでも相談受付中
この記事の監修者
西川 研一
弁護士
西川 研一Kenichi Nishikawa
所属団体
第二東京弁護士会所属 第36318号
役職
弁護士法人・響 代表弁護士/西新宿オフィス所長

目次

交通事故の相手の弁護士から受任通知が届いたらどうなる?

突然弁護士から『受任通知』が届きました…これからどうなるのでしょうか
受任通知とは、相手方が弁護士をつけたことをお知らせする書類です。法的な措置が行われるわけではありませんが、今後は弁護士を通じて連絡をとることを理解しておきましょう

相手側の弁護士から受任通知が届いたとき、どのように対処すればよいのでしょうか?

ここからは、相手側の弁護士から受任通知が届いたときの注意点について、以下の内容を詳しく解説します。

  • 受任通知とは弁護士が代理人になった通知
  • 受任通知が届くと原則相手方との連絡はとれない
  • 【要注意】一方的な示談内容を提示される場合も

受任通知とは弁護士が代理人になった通知

「受任通知」とは、弁護士が依頼者から依頼を受けて代理人になったことを相手側に伝えるものです。

弁護士が代理人になった場合、電話などで連絡をするのではなく、まず書面にて委任関係を伝えます。受任通知は、内容証明郵便で送られるケースが多くなっています。

相手側の弁護士から突然、内容証明郵便が届くと驚くかもしれません。

しかし受任通知は、弁護士が代理人になった事実を正確に当事者に伝える手段になります。

法的な拘束力などがあるわけではないので、慌てず冷静に対処することが大切です。

受任通知が届くと原則として相手との連絡はとれない

受任通知が届いた後は、原則として相手や相手側の保険会社と連絡をとることはできなくなります。

受任通知には「今後は弁護士が対応を行います」といった内容が記載されているでしょう。つまり、「今後の交渉窓口は弁護士に一本化する」ということを伝えているのです。

そのため受任通知を受け取った後に、相手方の保険会社に連絡しても「弁護士を通してください」と言われて、話に応じてくれません。また、事故の相手に直接連絡しても、対応してくれないことが多いでしょう。

しかし、受任通知を受け取ったからといって、相手方の提示する示談内容にすぐ応じなければならないということはありません。対応を焦る必要はないので安心してください。

一方的な示談内容を提示される場合もある

交通事故の相手側が弁護士をつけたことで、一方的に示談内容を提示され困ってしまう場合もあります。

実際に起こったケースを紹介します。

【事例】相手の弁護士が出てきて困った体験談(男性・34歳(事故当時)神奈川県)

自転車で走行中、左折してきたワゴン車に接触し転倒。手首を骨折するケガを負う。
相手の車はそのまま走り去ってしまったが、警察に通報したことで相手が判明。
後日、相手側の弁護士が出てきて「事故はなかった」と主張。さらに「保険金詐欺なの?」などと高圧的に言ってきた。
最終的に裁判で争ったものの、ご自身は弁護士をつけなかったために慰謝料をもらうことはできなかった。

このように相手側に弁護士がつくことで、不利な状況になってしまうケースもあります。

交通事故で相手の弁護士と示談交渉を行う場合は、このようなケースもあることを理解しておきましょう。

弁護士の〈ここがポイント〉
交通事故の示談交渉で相手方に弁護士がついたときに、注意したいケースを紹介します。

  • 「提示内容に納得できなかったら裁判をしてください」と言われて放置される
  • 時効を狙い示談交渉を引き延ばされる

相手側の弁護士は、依頼者に有利になる形で示談を進めるべく対応するため、一般の方では交渉が難しい場合が多いといえます。

相手側の弁護士が出てくるケースとは?

そもそもなぜ相手側は、弁護士を立てるのでしょうか? 相手側の弁護士が出てくるのは、おもに以下のようなケースがあげられます。

  • 大きなケガを負う事故で慰謝料額が高額になる場合
  • 被害者側が保険会社の要求になかなか応じない場合
  • 通院期間が長い場合
  • 相手が刑事処分の対象になっている場合

以下で詳しく見ていきましょう。

大きなケガを負う事故で慰謝料額が高額になる場合

大きなケガを負うような交通事故の場合は、相手側の支払う慰謝料(損害賠償金)が高額になることがあります。

大きな後遺症が残った場合は、さらに高額の後遺障害慰謝料も必要になるなど、数百万~数千万円単位の慰謝料(損害賠償金)になる場合もあるでしょう。

このような場合に、相手側の保険会社が弁護士をつけてくる可能性があります。

相手側は弁護士をつけることで「加害者側の過失割合を減らすなどして支払う賠償額を少しでも減額したい」という目的があるといえます。

被害者側が保険会社の要求になかなか応じない場合

事故の被害者が保険会社では対処できない迷惑な相手だと判断された時は、弁護士をつけられるケースがあります。

たとえば以下のようなケースがあげられます。

  • クレーマーや当たり屋だと思われたケース
    「交通事故の被害に見合わない、高額な慰謝料を請求してきたのではないか」
    「慰謝料欲しさで、言いがかりをつけているのではないか」
    などと思われるケースです。相手方の保険会社にクレーマーや当たり屋だと思われることで、弁護士をつけられることもあるでしょう。
  • 態度が悪く対処できないと思われたケース
    保険会社からの連絡に応じない、どう喝するなど態度が悪く対処できないと思われるケースもあります。このような対応をきっかけに弁護士をつけられる可能性もあります。

相手方が弁護士をつける理由には、事故の当事者の態度なども影響してくることを理解しておきましょう。

通院期間が長い場合

交通事故で負ったケガがひどく通院期間が長い場合に、相手側の保険会社は下記のような印象を抱くこともあります。

  • なかなか示談交渉が始められず困る
  • 通院期間が長引く分、慰謝料が高額になる
  • 「本当に治療が必要なのか?」と疑問に思う

通院期間が長引くことで、相手側の保険会社は示談交渉がなかなか進められず不信感を抱くケースもあるでしょう。

早く示談交渉を終わらせるために、弁護士に依頼するケースも少なくありません。

相手が刑事処分の対象になっている

相手が刑事処分の対象になっている場合、弁護士を立てるケースがあります。

相手方は、刑事処分になると裁判で有罪判決を下される可能性もありますが、有罪判決はどうにか避けたいと思うこともあるでしょう。

そのため弁護士を立てることで円満に示談交渉を成立させて、被害届を取り下げてもらうことで不起訴で終わらせたいという場合もあります。

民事処分 交通事故で被害に遭われた方へ損害賠償を支払う義務が発生することを指しています。
治療費や慰謝料、休業損害、逸失利益などの人身損害や、自動車の修理費などの物的損害への賠償がこれに該当します。
刑事処分 過失による交通事故で人にケガをさせてしまった場合など、法律違反となることで科される罰金や懲役を指しています。
刑事処分の例には、自動車運転死傷処罰法第5条の「過失運転致死傷罪」などがあげられます。

相手方が現行犯逮捕されたら、当番弁護士がつくことがあります。

「当番弁護士」とは
逮捕された方に、弁護士が一回無料で面会できる制度です。当番弁護士は、警察官の立ち会いがなくても面会することができます。当番弁護士との面会により、保障される権利や今後の流れなど、逮捕された人の疑問を解消できます。

なお、当番弁護士への依頼は、逮捕された人やその家族が行います。

逮捕・勾留されているときは、基本的に相手方(被害者側)と直接やりとりができません。このような場合は、当番弁護士とやりとりをすることになります。

また、被疑者が貧困などを理由に私選弁護人を選任できない場合、裁判官に対して国選弁護人の選任を請求できる「被疑者国選弁護制度」を利用するケースもあります。

このような場合は、ご自身も早めに弁護士に相談しましょう。

「被疑者国選弁護制度」とは
勾留状が発せられている被疑者が、貧困による資力不足や精神上の障害などを理由に、私選弁護人を選任できない場合に、裁判官に国選弁護人の選任を請求できる制度です。

被疑者国選弁護人の請求には、資力申告書の提出が必要です。書類の提出や審査を経て、私選弁護人の選任が困難であると裁判所に認められると、被疑者に国選弁護人が選任されます。

相手側の弁護士が出てきた場合の対処法

相手方が弁護士をつけてきた場合、まず何をすればよいのでしょうか?
自分の手に負えないと感じたら、ご自身も弁護士に相談をしましょう。相談だけであれば無料で対応してくれるところもあります

相手側の弁護士が出てきても慌てる必要はありません。交渉の相手が弁護士に変わっただけなので、まずはじっくり相手の話を聞いてみましょう。

相手の弁護士が強気の交渉をしてくるなど自分の手に負えないと感じたら、以下のような対処法を検討しましょう。

  • ご自身が加入する保険会社に相談する
  • 交通事故紛争処理センターに相談する
  • 自分も弁護士に相談する

以下で詳しく解説します。

ご自身が加入する保険会社に相談する

まずは、ご自身が加入する保険会社に相談してみましょう。

弁護士費用特約(弁護士特約)が付帯している場合は、保険会社で弁護士を紹介してくれる場合があるので聞いてみましょう。

保険会社が相談に応じられる項目には、以下のような内容があります。

  • 示談について
  • 病院の治療費や慰謝料について
  • 損害賠償金請求に関する書類の申請方法・手続きなど

交通事故紛争処理センターに相談する

「とりあえず弁護士に相談してみたい」場合は、下記のような機関に頼ってみましょう。

公益財団法人 交通事故紛争処理センターは、交通事故に遭われた方を対象に、中立で公正な立場から救済を図るために損害賠償請求をサポートする機関です。

交通事故に関する相談を、弁護士が無料で行なっています。弁護士に依頼することで、納得のいく慰謝料(損害賠償金)を請求できるようになります。

交通事故紛争処理センターの問い合わせ先を以下に記載しました。

全国の問い合わせ先一覧 所在地 問い合わせ電話番号
札幌支部 札幌市中央区北1条西10丁目 札幌弁護士会館4階 011-281-3241
仙台支部 仙台市青葉区一番町4-6-1 仙台第一生命タワービルディング11階 022-263-7231
さいたま相談室 さいたま市大宮区下町1-8-1 大宮下町1丁目ビル7階 048-650-5271
東京本部 新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリスビル25階 03-3346-1756
静岡相談室 静岡市葵区黒金町11-7 大樹生命(旧三井生命)静岡駅前ビル4階 054-255-5528
名古屋支部 名古屋市中村区名駅南2-14-19 住友生命名古屋ビル24階 052-581-9491
金沢相談室 金沢市本町2-11-7 金沢フコク生命駅前ビル12階 076-234-6650
大阪支部 大阪市中央区北浜2-5-23 小寺プラザビル4階南側 06-6227-0277
広島支部 広島市中区立町1-20 NREG広島立町ビル5階 082-249-5421
高松支部 高松市丸の内2-22 香川県弁護士会館3階 087-822-5005
福岡支部 福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル10階 092-721-0881

弁護士に相談・依頼する

交通事故の相手側の弁護士が出てきた場合は、事故の当事者であるご自身も、弁護士に相談するとよいでしょう。

一般の方が弁護士を相手に示談交渉を行うのは、納得できない条件で示談が成立してしまう可能性もあります。

弁護士どうしで交渉してもらうことで、納得のいく結果になりやすいといえます。

事故の当事者が弁護士に依頼することで得られるメリットを、以下に記載しました。

  • 相手側の弁護士と対等な交渉ができる
  • 納得のいく損害賠償金を請求できる
  • 裁判になった場合も対応できる

ここからは、弁護士に依頼するメリットを詳しく紹介します。

相手側の弁護士と対等な交渉ができる

相手方の弁護士と対等に交渉できるのは、事故の当事者にとって大きなメリットになるでしょう。

前述したように相手方が弁護士をつけると、一般の方は不利な状況に追い込まれることもありえます。

弁護士に依頼することで、安心して示談交渉を任せられます。

法律の知識や交通事故の示談交渉の経験が豊富な弁護士なら、相手の弁護士と対等な立場で交渉ができるのです。

納得のいく慰謝料を請求できる

弁護士に依頼することで、納得のいく慰謝料(損害賠償金)を請求できるようになります。

「相手方が提示した過失割合が適切なものかどうか」、「請求できる損害賠償金額はいくらか」などを弁護士が判断・提示してくれます。

また慰謝料を「弁護士基準(裁判基準)」で算出してくれることも大きなメリットです。

弁護士基準(裁判基準)は、交通事故の慰謝料を算出する基準の中で、最も高額になる可能性のある計算基準となっています。

弁護士に依頼することで、自身で示談交渉をするより高い金額の慰謝料が支払われる可能性が高くなるのです。

交通事故慰謝料の弁護士基準について、詳しくはこちらをご覧ください。
『交通事故慰謝料の弁護士基準とは?納得のいく慰謝料を請求する方法』

裁判になった場合も対応できる

交通事故の相手方がまともな示談交渉をしないまま裁判を起こしてきたら、どう対応すればいいのかわからず、困惑してしまうでしょう。

このような場合でも、弁護士がいれば安心できます。

弁護士に依頼すれば、裁判時の対応や書類での手続きなどを任せることができます。

法律の知識を持つ弁護士に依頼することで、万一裁判になっても安心して進められるでしょう。

弁護士に依頼するには?費用や方法について

弁護士に依頼するのは費用が高額になりそうで不安です
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用はほぼかからないので、相談してみてください

弁護士に依頼をしたいと考えていても「費用が高いのではないか…」と心配になるかもしれません。

しかし弁護士費用特約を使えば、費用を自己負担しなくてよい場合もあります。

ここからは、弁護士に依頼する場合の費用や、依頼方法などを詳しく紹介します。

弁護士費用特約を使えば費用負担はほぼない

ご自身やご家族の保険に弁護士費用特約(弁護士特約)が付帯していれば、弁護士への依頼費用は保険会社が補償してくれるため、費用はほとんど負担しなくて済む場合が多いです。

弁護士費用特約とは、弁護士への依頼費用や相談費用などを補償する保険の特約です。

自動車保険だけでなく、火災保険や生命保険などにも付帯している場合があります。

ご契約している保険の内容をくまなく確認してみましょう。

弁護士法人・響の弁護士費用の料金体系

弁護士法人・響でも、弁護士費用特約は使えます。

弁護士費用特約が使えない場合でも、以下の料金体系でご依頼をお引き受けしております。

相談は無料なのでお気軽にご相談ください。

費用の種類 料金(弁護士費用特約が使えない場合)
相談料 0円
着手金 0円
報酬金 経済的利益の11%+22万円(税込)

弁護士に依頼するメリットについて、詳しくはこちらをご覧ください。
「無料相談可|交通事故で弁護士に依頼するには?メリットと注意点」

【まとめ】

交通事故の示談交渉中に受任通知が届き、相手側の弁護士が出てきた場合は、慌てずに冷静に対処することが大切です。

特に治療が長引き、なかなか示談交渉が進められないケースや、大きな事故で慰謝料額が大きい場合などは、相手方が弁護士をつける可能性もあります。

対処法として、ご自身も弁護士に相談する、交通事故紛争処理センターに相談してみるといった方法があります。

弁護士費用特約を使えば、弁護士の依頼費用は自己負担してよいことも多いです。

弁護士法人・響では弁護士費用特約に加入していない場合も、相談料・着手金0円で承っております。

まずは、お気軽に弁護士法人・響へご相談ください。

※本メディアは弁護士法人・響が運営しています

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弁護士法人・響に示談交渉を頼むメリット
  1. 慰謝料を増額できる可能性がある
  2. 保険会社との交渉を徹底サポート
  3. 24時間365日全国どこでも相談受付中
この記事の監修者
西川 研一
弁護士
西川 研一Kenichi Nishikawa
所属団体
第二東京弁護士会所属 第36318号
役職
弁護士法人・響 代表弁護士/西新宿オフィス所長

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