無職では交通事故の慰謝料はもらえない?休業損害などを請求するには
主婦(主夫)やフリーターなど無職の方が交通事故に遭った場合「慰謝料をもらえるだろうか」と不安ではないでしょうか。
結論からいえば、無職の方でも当然慰謝料はもらえます。
状況によっては「休業損害」や「逸失利益」などの損害賠償金も請求できる場合があるのです。
この記事では、無職の方が交通事故に遭った場合に請求できる慰謝料や休業損害の詳細や、納得のいく解決を図るための方法について解説します。
無職の方でも請求できる損害賠償金をくわしく説明します
- 慰謝料を増額できる可能性がある
- 保険会社との交渉を徹底サポート
- 24時間365日全国どこでも相談受付中
目次
無職で交通事故に遭っても慰謝料はもらえる
「慰謝料」は、交通事故に遭ってケガを負ってしまった精神的苦痛に対して支払われるもので、収入に関係なく誰でも請求できます。
交通事故によってケガをした場合には、痛みや症状に対する苦痛ばかりでなく、治療中に強いられる不便なども伴います。
一日も早く日常生活を取り戻すために、交通事故の相手に慰謝料を請求することは、誰でも持っている当然の権利といえるでしょう。
交通事故によって負傷・死傷した場合に、相手にもらえる慰謝料は以下のようなものがあります。
- 傷害慰謝料(入通院慰謝料)
入通院慰謝料とは、交通事故によるケガの治療で入通院を強いられて受けた精神的苦痛に対して請求できる損害賠償金です。
金額は、入院・通院の期間や症状の軽重によって異なります。
- 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、交通事故のケガで後遺障害が残った場合の精神的苦痛に対して請求できるものです。
後遺障害慰謝料の金額は、損害保険料率算出機構の審査を受けて認定された後遺障害等級によって異なります。
- 死亡慰謝料(近親者慰謝料)
死亡慰謝料(近親者慰謝料)とは、交通事故で死亡した本人および遺族の精神的苦痛に対して請求できる損害賠償金です。
本人に対する慰謝料は遺族の相続人が請求し、受け取ります。
慰謝料のほかに無職の方がもらえる損害賠償金は?
交通事故に遭ってしまったとき、相手側にもらえる損害賠償金は慰謝料だけではありません。
損害賠償金とは、交通事故が原因となって発生した治療費や車・携行品の損害などに対して請求できるもので、慰謝料も損害賠償金に含まれます。
具体的には、人身損害に関する費用として治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、物件損害に関する費用として車両の修理費などがあります。
交通事故でケガをした場合、無職であっても以下の損害賠償金を請求できます。
- 治療費関係費・通院交通費・器具等購入費
入通院に関わる費用や通院にかかった交通費、車いすや松葉づえなど治療に必要な器具の購入費なども損害賠償金として請求できます。
- 車両損害費用、積載物や携行品の損害費用
車両損害費用については、車両の修理価格と交通事故発生時の時価のうち、金額が低い方を請求できます。
レッカー代、代車費用なども、領収書や見積書があれば損害賠償請求が可能です。
- その他の費用
ケガをしたために必要となった付添看護費や介護費、なども請求できる場合があります。
後遺症が残った場合など、必要に応じて自宅をバリアフリーに改造した費用なども損害賠償請求が可能です。
弁護士の〈ここがポイント〉
主婦(主夫)が交通事故のケガで家事ができなくなったために、相手に相当な家事代行サービス費用を請求する場合、家事に対する休業損害は請求できません。
家事代行サービス費用の請求と、家事に対する休業損害請求は、どちらも家事労働の損失に対するもので二重請求となってしまうからです。
慰謝料以外の損害賠償金の中には無職の方がもらえないものも
損害賠償金は下記のように、無職の方ではもらえないものがあります。
損害賠償金の種類 | 無職でももらえるか |
---|---|
慰謝料 | もらえる |
治療費・入院費 | もらえる |
通院交通費 | もらえる |
物損に関するもの | もらえる |
休業損害 | 状況による |
逸失利益 | 状況による |
「休業損害」や「逸失利益」は、交通事故に遭わなければ得られるはずだった現在および将来の金銭的損失(収入の減少)として請求できるものです。
事故に遭ったときの収入の有無が判断のポイントになるので、交通事故に遭ったときに仕事をしていない無職の方は、少なくとも休業損害については原則として請求ができません。
ただし、必ずしももらえない、わけではありません。
では、この休業損害や逸失利益について、「どういったケースでもらえないのか?」について詳しく見ていきましょう。
仕事ができなくなったことで生じる「休業損害」
休業損害とは、交通事故によるケガで仕事ができなくなり、本来得られるはずの収入の減少に対する損害です。
休業損害は収入の実態に基づいて算出するのが妥当とされていて、以下の計算式で求められます。
休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入は、事故前3か月間の収入の金額の平均額をとることが一般的です。
つまり、実態に基づいた休業損害は、交通事故に遭った時期の職業や収入によって金額が変わってくるということです。
●休業損害を請求できるケース
定職に就いていない人でも休業損害をもらえる可能性があるのは、
- 主婦(主夫)など家事従事者
- 収入があるフリーターやアルバイトの人
- 収入がある大学生・高校生
- 求職中の人
などです。
ただし、求職中の人については、交通事故に遭った時点で就職先から内定をもらっていたなど、交通事故に遭っていなければ現在は働いていた可能性が高いと判断できる根拠が必要です。
そのため、証拠によって具体的な就労の予定が明らかにされない限り、求職者の休業損害は否定されることが多いです。
●休業損害を請求できないケース
一方休業損害の請求ができないのは、交通事故によるケガを負っても収入が減らない人です。
たとえば、
- 年金や生活保護の受給者
- 家賃収入や配当金だけで生活している不労所得者
などは原則として休業損害をもらえません。
交通事故によって将来得られなくなる収入の減少「逸失利益」
「逸失利益」とは、交通事故によるケガが原因で後遺障害が残ったり死亡したりした場合、将来的に得られなくなる利益(収入の減少)です。
交通事故に遭わなければ将来得られたはずの収入を失ったとして、損害賠償を請求できます。
逸失利益の計算式は以下のとおりです。
後遺障害による逸失利益
1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×後遺障害により就労能力を失った期間に対するライプニッツ係数
死亡による逸失利益
1年あたりの基礎収入×(1ー生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
- 「ライプニッツ係数」とは
- ある一定の年額の金銭をある時点から継続的に得るとした場合に、それをある時点で一時金でもらうとしたらいくらに換算するのが適当かという観点で算出された係数である。
【逸失利益を請求できるケース】
主婦(主夫)やフリーターが交通事故でケガをして後遺障害が残ったり死亡したりした場合、家事や仕事をできなくなったことによる将来的な損害として逸失利益を請求できます。
事故により死亡した人が、保険料を拠出していた年金を受給していた場合も、将来的に受給予定だった年金を受け取れなくなる損害が発生するため、逸失利益の請求が可能です。
また、中学生以下の子どもや大学生・高校生も、将来は就労して収入を得る可能性が高いため、交通事故による後遺障害や死亡に際して逸失利益を請求できます。
ただし、就労開始年齢までの年数は逸失利益に含まれません。
求職中で将来は就労していた可能性が高いと判断された人も、逸失利益の請求が可能です。
【逸失利益を請求できないケース】
本人の労働による収入がない不労所得者の場合は、将来的に失われる利益もないため逸失利益の請求はできません。
家賃収入などがあっても本人の労働による収入と認められない場合、逸失利益の請求は困難です。
「休業損害」「逸失利益」の請求を判断する3つの条件
無職の方が、休業損害補償や逸失利益を請求できるか知りたい場合は、以下の3つをポイントを基に判断するようにしましょう。
- 就労する意思がある
- 就労する能力がある
- 就労する見込みがある(蓋然性ががある)
休業損害を請求する場合、上の3つのポイントを証明しなければなりません。
慰謝料請求以外にも弁護士に依頼するメリット
交通事故による慰謝料を相手に請求したいときは、弁護士に相談するとおもに以下の4つのメリットがあります。
- 適正な休業損害・逸失利益の請求をお任せできる
- 慰謝料を増額できる可能性が高まる
- 難航する交渉を代行してもらえる
- 弁護士費用特約があれば費用はほぼかからない
それぞれ詳しく解説します。
適正な休業損害・逸失利益の計算をお任せできる
休業損害や逸失利益を算出するためには、複雑な計算をしなければなりません。
自分では休業損害や逸失利益が請求できないと思っていても、主婦(主夫)のように損害賠償を請求できるケースもあります。
ただし、請求が認められる金額を算定するには法律的な専門知識が不可欠です。
交通事故の損害賠償請求は、経験が豊富な弁護士に相談してみましょう。
慰謝料を増額できる可能性が高まる
慰謝料の相場を決める算定基準には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3つがあります。
任意保険基準は保険会社ごとに定められていて公表はされていませんが、自賠責保険基準とほぼ同程度か少し高い程度とされています。
通常、一般の方が個人で保険会社と交渉する場合は「自賠責保険基準」や「任意保険基準」で慰謝料を算定されることになります。
そこで裁判した場合に使われる「裁判基準」を用いて弁護士が交渉することにより、交通事故で受けた精神的苦痛の保障を適切に請求することが可能となります。
保険会社の提示額に疑問がある場合でも、法律的な根拠をもって、納得のいく額を提示することが可能です。
弁護士に依頼すれば、納得できる金額の慰謝料を受け取れる可能性が増します。
難航する交渉を代行してもらえる
慰謝料をめぐる示談交渉では、相手ともめることも珍しくありません。
保険会社も営利企業である以上、自社の利益確保をある程度は優先したうえで、慰謝料などの損害賠償金を提示してきます。
保険会社が出した金額が妥当かどうかを判断するには、交通事故の損害賠償金請求に関する専門的な知識が必要です。
交通事故の賠償金請求に強い弁護士が交渉を代行すれば、豊富な経験を活かして、適切な金額を判断できます。
弁護士費用特約があれば費用はほぼかからない
「弁護士費用特約(弁護士特約)」とは、自動車保険やバイク保険、医療保険、火災保険などにオプションで付けられる付帯保険です。
弁護士費用特約は、弁護士に支払う費用を保険会社が一定額まで(法律相談は10万円程度、弁護士費用は300万円程度)補償してくれるものです。
弁護士費用特約を使える場合は、弁護士費用の自己負担がほぼ不要になる可能性が高いといえます。
弁護士に依頼したいけれど費用が心配な人は、自分や家族が加入している保険やクレジットカードに弁護士費用特約が付いていないか確認してみましょう。
弁護士法人響では、弁護士費用特約に加入していない場合は、相談料と着手金は無料となっているので、お気軽にご相談ください。
慰謝料の仕組みや金額の詳細について詳しくはこちらの記事をご参照ください。
【まとめ】無職の方が交通事故に遭っても慰謝料は請求できる|休業損害や逸失利益の請求は弁護士に相談を
交通事故の慰謝料や治療費などの損害賠償金は、無職の方でも請求できます。
主婦のような家事従事者やアルバイトをしている大学生・高校生などは、状況に応じて休業損害や逸失利益の請求も可能です。
ただし慰謝料請求の手続きはもめる可能性もあり、相手との交渉は難航するケースも少なくありません。
そこで、交通事故案件を多数解決してきた弁護士に依頼することもご検討ください。
弁護士費用特約に加入している場合は、弁護士費用の負担がかからないケースも多いので活用しましょう。
弁護士費用特約が使えない場合は、相談料と着手金は原則無料です。
※弁護士費用特約が付いている方は、最大300万円+相談料10万円程度の弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
ご職業やご年齢などに関係なく、交通事故に遭ってお困りの方はお気軽にご相談ください。
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