2021.10.21 2021.11.9

当て逃げ・ひき逃げされた…泣き寝入りしない対処方法とは

当て逃げされた…修理代は請求できる?
交通事故は突然起こってしまうものですが、駐車中に「当て逃げ」をされると、面倒なことになってしまいますね。

当て逃げの場合は物損事故として取り扱われるため、原則として相手が見つからなければ、損害賠償を請求できません。

また「ひき逃げ」のケースで事故によってケガを負ってしまった場合は、人身事故として取り扱われます。

この記事では、当て逃げやひき逃げにおいて泣き寝入りをしてしまわないために、事故後の対応や損害賠償請求について解説します。

当て逃げとひき逃げの違いとは?補償はどうなる?

「当て逃げ」と「ひき逃げ」では、事故の取り扱われ方が違ってきます。

当て逃げは「物損事故」として処理されますが、ひき逃げは「人身事故」として処理される点を押さえておきましょう。

どのような事故であれ、警察に報告を行う必要がありますが、ケガをした人がいるのに救助も行わずにそのまま走り去った場合は、ひき逃げと見なされます

当て逃げよりもひき逃げのほうがより悪質であると見なされるため、刑事上の罪は重くなる傾向があります。

また、事故相手がわからない事故の場合は、ご自身が加入する保険から補償を受けることになるので速やかに保険会社に連絡をしましょう

以下では、当て逃げとひき逃げの違いについて説明します。

当て逃げとは物損事故のみの場合

「当て逃げ」は、他の車にぶつかったり、電柱に衝突してそのまま立ち去るなど、物損事故のみの場合が当てはまります。

駐車場に停めていた車に、いつの間にか傷をつけられた場合なども当て逃げとして処理されます。

道路交通法第72条では人身事故や物損事故を問わず、危険防止措置義務と警察への報告をドライバーに課しています。

そのため、路上に散らばった危険物の除去や警察への通報を怠ったときは、当て逃げをしたと見なされ以下の罰則が科されます。

当て逃げをしたと見なされた場合の罰則
  • 1年以下の懲役または10万円以下の罰金(危険防止等措置義務違反)
  • 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(報告義務違反)

民法上の責任については事故相手に損害賠償を求めることになりますが、当て逃げのケースでは相手が不明ということも多く、損害賠償の請求が難しい場合があります。

当て逃げをされて車に傷をつけられた場合は、ご自身が加入する保険(車両保険など)から補償を受ける必要があります

ひき逃げと人身事故

ひき逃げ事件 発生件数・検挙率の推移

※警察庁交通局の統計による。
※重傷は負傷の治療を要する期間が1ヶ月以上もの。軽症は1ヶ月未満のものをいう。
出典:法務省「犯罪白書 平成30年版 第4編」

道路交通法第72条において、交通事故が発生して死傷者がいる場合、ドライバーは救護を行わなければなりません。

警察に通報したうえで、相手のケガの有無を確認し、必要に応じて救急車を手配するなどの処置をとる必要があります。

必要な救護措置をとらずに現場から立ち去ってしまった場合には、「ひき逃げ」として以下の罰則が科されることになります。

ひき逃げの罰則
  • 10年以下の懲役または100万円以下の罰金(救護措置義務違反)

また、ひき逃げ事件の検挙率は死亡事件に限ったものだと、おおむね90%程度で推移しています。

「検挙」とは
検察官・警察官などが、認知した犯罪行為について被疑者を取り調べること。一般には、容疑者を関係官署に引致する場合を指すことが多い。
コトバンクより

ひき逃げは人身事故であるため、当て逃げのときよりも民事上の責任も重くなり、損害賠償金は大きくなる傾向にあります。

当て逃げを保険会社に補償してもらうためには

当て逃げ事故では、事故相手が不明なときはご自身の自動車保険を利用して補償を受けられますが、等級が下がってしまう点に注意が必要です。

まずは、防犯カメラやドライブレコーダー(ドラレコ)に記録が残っていないかチェックしたうえで、目撃者の有無を確認しましょう。

事故相手を特定できたとしても、当て逃げしたことを認めない場合もあるため、地道に証拠集めをすることが肝心です。

確かな証拠が多いほど、責任の有無や過失の割合などを客観的に証明することができ、損害賠償請求もスムーズになるはずです。

事故の相手が判明すれば、相手側の保険会社に補償を行ってもらえるので、粘り強く取り組みましょう。

当て逃げの補償のためにするべき4つのこと

当て逃げやひき逃げをされてしまったときは、冷静に対処することが必要です。

事故直後にすべきことをしていなければ、損害賠償請求などにおいて不利になってしまう可能性もあるので、落ち着いて取り組みましょう。

当て逃げ、ひき逃げの被害に遭ったときは次の点を押さえることが重要です。

当て逃げ、ひき逃げの被害に遭ったときのポイント
  • 事故発生直後に警察に通報して、交通事故証明書を発行してもらう。
  • 事故当日に必要な証拠をできるだけ集めておく。
  • ケガを負ってしまった場合は速やかに病院で受診し、診断書を発行してもらう。
  • 事故相手を特定したら、示談交渉を行う。

上記の点について、さらに詳しく見ていきましょう。

その場で警察に連絡をする

当て逃げやひき逃げの被害に遭ったときは、速やかに警察へ通報することが大切です。

警察に実況見分を行ってもらい、事故当時の状況についてできるだけ詳しく説明をしましょう

警察への通報は事故相手の特定につなげるだけでなく、交通事故証明書を作成してもらうことにも関係しています。

交通事故証明書がなければ、事故と損害の関係が不明確になってしまい、損害賠償請求や自動車保険の利用に支障が出てしまう恐れがあります。

事故当日の発行が難しくても、後日でも構いませんので交通事故証明書を必ず発行してもらいましょう。

その日のうちに証拠集めをする

事故の証拠集めは、できるだけその日のうちに行うほうがよいです。

時間が経過してしまえば現場状況の確認が難しくなり、目撃者を探すのも難しくなってしまいます。

事故当日が証拠集めは一番行いやすいので、警察の協力も仰ぎながら進めみましょう。

当て逃げなどの場合は、目撃情報などから

  • 車のナンバー・ナンバーの色
  • 車の、メーカーや車種名・ボディカラ-
  • その他特徴(ルーフキャリアを付けていた、社外製アルミホイールをつけていたなど)

などをわかる範囲で調べてみましょう。

また、ドライブレコーダーの記録を確認したり、現場状況をカメラで撮影したりしておくことも大切です。

目撃者がいるときは詳しく話を聞いて、事故相手の特定につながる情報がないかを確認してみてください。

そして、駐車場で起こった事故の場合は防犯カメラに映像が残っていることがあります。

警察に立ち会ってもらったうえで駐車場の管理会社に連絡をし、証拠となる映像や目撃情報がないかを確認しましょう

ケガがあるなら病院で診察して診断書をもらう

交通事故によってケガを負ってしまったときは、事故とケガとの因果関係をハッキリとさせるために、病院で診察を受けることが大切です。

目立った自覚症状がなかったとしても、事故当時に車内にいたり、ひき逃げをされたりした場合は医師の診察を受けましょう。

病院で診察を受けることで診断書を作成してもらえるので、客観的な証拠となります。

ケガを負った場合は物損事故ではなく、人身事故として取り扱われるので、相手に対して慰謝料などを請求することが可能です

実況見分では物損事故として処理されても、後日診断書を警察へ提出すれば人身事故に切り替えてもらえます。

<弁護士のここがポイント>
交通事故の被害に遭ったときは、速やかに病院で診察を受けることが大切です。自分では大丈夫だと思っても、後から症状が表れてしまうこともあるので、自己判断をせずに医師の診察を受けましょう。診断書を作成してもらうことで、損害賠償請求や保険の利用がスムーズになります。

相手と示談交渉し損害賠償を請求する

事故相手を特定したら、事故で被った損害を補償してもらうために示談交渉を進めます。

示談交渉では、相手側の保険会社とやりとりを行うことになるため、どのような補償を受けられるのかを把握しておくことが大事です。

当て逃げとひき逃げのケースに分けて、損害賠償として請求できる項目を見ていきましょう。

当て逃げのケース(物損事故)
請求できる項目 ポイント
車両の損害費用 車両の修理価格もしくは時価額の低いほうの金額が支払いされます。
レッカー、代車代の費用も支払いされるので、見積書や領収書などをきちんと保管しておきましょう。
積載物の損傷費用 交通事故が原因で壊れてしまった物に対する補償です。
ひき逃げのケース(人身事故)
請求できる項目 ポイント
慰謝料 交通事故による精神的な苦痛に対して支払われる補償のことです。「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類に分けられます。
治療費・入院費用 治療にかかる費用であり、通常は相手方の保険会社から病院側に直接支払われます。入院時に必要な入院雑費なども含まれます。
通院交通費 通院のために公共交通機関などを利用したときにかかった交通費のことです。電車やバスの利用が基本であり、タクシーの利用は医師の判断によります。
休業損害 休まずに働いていれば得られた、現在の収入の減少に対する補償を指します。会社員なら勤務先の証明書、自営業者なら確定申告書などが必要です。

上記のように、ケガを負ってしまったときは慰謝料など、複数の項目にわたって損害賠償請求が行えます。

しかし、ひとつひとつの項目について具体的な計算を行うのは大変でもあり、専門的な知識が必要です。

弁護士法人・響では、交通事故案件に精通した弁護士が在籍しておりますので、人身事故における損害賠償請求についてサポートが可能です

まずは、ご自身がどのような項目で補償を受けられるのかを把握するためにも、お気軽にお問い合わせください。

※物損のみのケースや加害者の方のご相談には対応しておりませんので、ご容赦ください。

人身事故の場合に請求できる慰謝料について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

【よくある質問】Q.ひき逃げ・当て逃げの運転者はどうなる?

道路交通法第72条では、事故発生時に運転者や同乗者が行わなければならない義務について次のように定められており、違反した場合は罰則が設けられています。

  • 報告義務
    最寄りの警察署に事故を報告する義務です。怠ると3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。
  • 危険防止措置等義務
    他の車両や歩行者に二次災害が発生しないように必要な措置を行わなければなりません。違反をすると、1年以下の懲役または10万円以下の罰金となります。
  • 救護措置義務
    負傷者の救護が必要な場合、救急車の手配などを行う必要があります。救護措置をとらないまま現場を立ち去った場合は救護措置義務違反となり、ひき逃げと判断されます。罰則は10年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

また、上記の刑事上の責任に加えて、行政上の処分も行われます。

通常の物損事故であれば運転免許の点数に影響はありませんが、当て逃げをしたときは7点(安全運転義務違反2点・危険防止等措置義務違反5点)となります

前歴がないケースであっても、7点が加算されると30日間の免許停止処分として取り扱われます。

ひき逃げのケースでは、救護措置義務違反として35点が加算されるため、前歴がなかったとしても免許取消処分となります

さらに、当て逃げ・ひき逃げのどちらの場合も民事上の賠償責任が伴います。

損害賠償請求においては過失の割合が重要なカギとなるので、できるだけ証拠を集めて事故相手の特定につなげることが必要です。

Q.当て逃げの時効は?

当て逃げの事案は、民法第724条において時効期間が3年間とされています。

しかし、注意しておきたいのは事故発生から3年間という意味ではない点です。

つまり、事故相手が特定できないうちは時効期間としてカウントされません

損害賠償請求権は事故が発生してから20年間とされているので、粘り強く取り組んでいくことが大切です。

Q.当て逃げされたことに後日気づいた場合は?

当て逃げされたことに後日気づいた場合であっても、速やかに警察署に出向いて事故を報告しましょう。

運転者には事故の報告義務が課されているので、事故から数日経過して気づくことになったとしても連絡をする必要があります。

警察に事故を報告しなければ、交通事故証明書の発行を受けられないため、保険金の請求などに支障が出てしまいます。

また、事故発生から時間が経ち過ぎてしまうと、事故と損害との因果関係を疑われてしまう恐れもあるので注意しましょう。

そして、当て逃げされたときに付着した塗料などは重要な証拠となるので、車の修理を行う前に写真に撮って記録しておくことも大切です。

【まとめ】当て逃げ・ひき逃げは速やかに警察に通報して証拠集めを行おう

交通事故には、当て逃げやひき逃げなど悪質なケースも存在します。

被害に遭って泣き寝入りをしてしまわないためにも、すぐに警察へ連絡をして実況見分を行ってもらうことが大切です。

そして、事故現場において証拠集めをしたり、病院に行って医師の診察を受けたりして必要な対応を忘れずに行いましょう。

事故相手が特定できれば、相手側の保険会社に対して損害賠償請求が可能となります。

適正な補償を受けるためにも、被った損害についてひとつひとつ洗い出すことが重要です。

弁護士法人・響では、人身事故の損害賠償請求でお困りのときに、どんな小さなことでもご相談いただけます。

交通事故案件に詳しい弁護士が対応いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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