債務整理ドキュメンタリーシリーズ①|Dさん(43歳・男性)の場合

この記事は弁護士法人・響のPRを含みます
この記事の監修者
時光 祥大
この記事の監修者
時光 祥大弁護士
弁護士会所属
東京弁護士会(第52547号)
出身地
広島県
出身大学

立命館大学法学部

立命館大学法科大学院

専門分野
借金問題・債務整理・遺産相続・債権回収
この企画の趣旨

世の中には、債務整理に対して「最後の手段」といったイメージが強くあります。
しかし債務整理は「終わり」ではなく、平穏な日々を取り戻す「再生の始まり」です。

この企画は、債務整理を経験した方々にお話をうかがい、どういった経緯で借金をするようになったのか、そして「そんな生活をいかに再建し、現在はどんな生活をしているのか」という部分にもフォーカスしたドキュメンタリーです。

※本企画は、債務整理をより多角的に理解してもらうことを目的としています。特定の手続き・成果を保証するものではありません

プロローグ

債務整理に至った人たちの「借金をした理由」はさまざまですが、「浪費」というのは典型的なケースといっていいでしょう。

本企画『債務整理ドキュメンタリーシリーズ』の第1回は、若い頃に浪費によって債務整理を経験した、とある男性の物語を紹介します。

目次

20代の頃、浪費を続け任意整理を経験。しかしあの経験が「自分にとって本当に必要なもの」を気づかせてくれた

経験したこと:任意整理
債務整理をした時期:約15年前
借金の総額:約200万円

※以下のコンテンツは、債務整理を経験した方に実際のエピソードをお聞きし「ご本人が語っている文体」として編集部が執筆したものです

登山のイラスト

現在の私の趣味は、登山と読書です。

登山といっても本格的なものではなく、日帰りで帰ってこられる低山が中心ですが「住んでいる県内の低山はほとんど登ったのではないか?」というほどハマっています。登った山についてはアプリに記録して、思い出が増えていくのを楽しんでいます。

読書に関しては推理小説やサスペンスものが好きですが、特にそれだけに限定しているわけではなく、何でも読みます。

現在、仕事と趣味で充実した生活を送ることができていて、物欲というのもあまりありません。今の暮らしに十分満足しているので、不足を感じないんです。

…しかし実は、そんな私にも債務整理をした経験があります。

クレジットカードでショッピングや遊興費などに浪費し、借金でその場をしのぐような生活を続け、どうしようもなくなって弁護士に相談したのは今から15年ほど前のこと。28歳の頃でした。

これから、そんな私の債務整理体験談をお話します。

ブランドもののファッションと人付き合いで浪費し続けた日々

私が人生で初めてクレジットカードを持ったのは、おそらく20歳ごろだったと思います。服屋の店員に「クレジットカードを作ると、この服がちょっとお安くなりますよ」といったことを言われて、じゃあ作ってみるかというのがきっかけでした。

当時の私には、好きなファッションブランドがあったんです。いわゆるDCブランドというやつで、Tシャツでも5,000~6,000円くらいはするような価格帯だったと思います。当時は今のようなファストファッションなどもなかったし、デザインがいいものは、やっぱりそれなりにいい値段がしました。

クレジットカードを持った最初の頃は、使うのがちょっと怖いところもあったのですが…。当時の私の周囲には分割払いで高額なものを買う友人が多かったんです。そういうのを見ていたら影響されて…そのうち私も分割払いをするようになりました。1万円の服を3回払いで買う、といった感じです。

以前は「分割払いなんて恥ずかしい」という思いもあったのですが、実際に月々3,000円で高額な服が買える生活を知ると、恥ずかしさや罪悪感はすっかりなくなっていました。
私の友人の中には「1回あたりの支払い額が5万円」という状態の分割払いをしている人もいて、そういうのを見ていると「自分は全然大丈夫じゃん」という思いすらありました。

当時の仕事はボーナスもちゃんと出ていたし、分割払いで購入しても支払いに問題はなかったんです。

しかし…。転職を期に、支払いに問題が出てくるようになりました。

当時の私は、趣味でとある楽器をやっていたのですが、仕事が土日休みではなかったため「楽団に所属して演奏会をする」というのは難しい状況でした。しかしどうしても楽団に所属したかったので転職して、土日休みのライフスタイルに切り替えようと思ったのです。

実はこの転職によって収入がかなり減ってしまったのですが、ひとまず土日が休みになったことで楽団に所属することができ、演奏会を楽しめるようになりました。それ自体は良かったのかもしれませんが…。

一方で、楽団に所属したことで楽器の購入費、交通費などの出費は増えていきました。演奏会の後には飲み会などもありましたし、交際費も増えました。

それなのに生活水準は落とせず、好きなブランドの服は以前のように買い続けていたんです。そうした生活を続けるうちに、気づいたらクレジットカードのキャッシングに手を出すようになっていて…。

クレジットカード使用のイメージイラスト

結局のところ、カードを3~4枚くらい持って、それぞれ限度額までキャッシングをしているような状況になってしまっていました。それでもまだ出費を削るようなことはせず、銀行のカードローンでも借金をするようになってしまって。

やはり、見栄のようなものがあったと思います。交友関係は広がったけれど、お金がないというのは隠したかったし、付き合いも断れなかった。どんどん借金が膨らんでいくことに不安はありましたが、見栄の方が勝ってしまいました。

気づけば、借金返済で給料がほとんど残らない状態。「もうだめだ」と思い弁護士に相談

結局、借金がどんどん膨らんで、給料のほとんどを返済に充てるような状態になりました。そんな状態になっても、借金で借金を返すような生活を2年くらいは続けてしまったと思います。

「もうだめだ」と思ったのは、とある日のことでした。

それまでもずっと返済日の前にはヤバい状態で、ひとまずこっちを返してこっちから借りて…という自転車操業のような状態になっていたのですが、それがとうとう限界になったことに気づきました。

当時の借金の総額は200万円を超えており、もう自分ではどうしようもないところまで来てしまっていたんです。ある返済日の1週間前、お金を用意できないかと考えていたのですが「どうやってもこの日には払えるお金がない」ということを確信しました。

すべての金策が尽きたことで諦めがつき、弁護士事務所に電話をしました。

なぜその事務所のことを知ったのか詳しくは覚えていないのですが、当時は配達の仕事をしていたので、ラジオCMで知ったような気がします。

電話に出た人に事情を説明したら「すぐにでも来てください」と言われて。会社には嘘をついて平日に休みを取り、東京の事務所まで行きました。

弁護士との面談では、今の生活費の内訳を聞かれたと記憶しています。楽器をローンで購入していたことも伝えたら「手放した方がいい」と言われたんですけど、「これだけはダメなんです!」と何度か押し問答をしたら理解してもらえました。

そして結局、楽器のローンだけはちゃんと払い続けることになり、その他の借金については任意整理をすることになりました。おかげで毎月の返済額がかなり減ったのがありがたかったですね。

それまでは毎月十数万円くらいは返済に充てており、給料からそれを差し引くともう、手元には1~2万しか残らないような生活だったのですが、それが毎月3万円くらいの支払いで済むようになったのですから。

といっても、任意整理を始めてからしばらくの間は借金を返済しているわけではなくて、弁護士さんに支払う費用を分割で支払っている状態です。それを払い終えたら、借金の返済に充てていきましょうという感じで。完済するまでに5年ほどかかりました。

編集部のワンポイント解説

任意整理をする人の多くが、まず弁護士や司法書士への費用を分割で支払い、それを払い終えたあとに借金を返済していく方法で完済しています。

任意整理をすると将来利息をカットすることができるため借金総額が減り、月々の支払いがラクになる可能性があります。

詳しくは以下の記事で解説しています。

誰にもバレずに借金を完済したが…困った思い出も

債務整理をしていることは、周りには絶対にバレたくないという思いがありました。特に親には絶対にバレたくないし、友人にも言えませんでした。

弁護士事務所に相談に行くまでは「いつかどこかでバレてしまうのではないか」というのがとても怖かったんですが、結局、誰にもバレることなく借金を返済し終えました。

弁護士さんと直接会ったのは相談に行ったときの1回だけで、あとは電話と郵便物のやり取りだけ。郵便物は局留めで送ってもらうなどの対策はしましたが、それ以外でバレないように苦労したことは特になかったと思います。

友人と一緒に飲食店を利用したときは普通に現金で払っていましたし、それほど大きな問題は感じませんでした。

借金を完済した後もブラックリストの期間があるのでしばらくクレジットカードは持てませんが、私はその期間もずっと現金払いで問題ありませんでしたね。今だったらペイペイとかに現金でチャージできますし、そこまで問題はないのかなと思います。

編集部のワンポイント解説

債務整理をすると、いわゆるブラックリストに載る状態になるため、一定期間クレジットカード発行が難しくなります。

ただ、実生活での支払いの場面においては、デビットカードやプリペイドカード、スマホ決済など代替手段もあります。

詳しくは以下の記事でも解説しています。

ただ…。とても困った思い出が一つだけありました。

それは、クレジットカード会社に務める友人に「カードを作ってくれないか」と相談されたこと。あのときはどうしようかと思いました。協力してあげたい気持ちはあるけど、ブラックリストに載っている期間なので審査に通らないのは明らかです。

ですから「俺はカードは持たない主義なんだ、現金派なんだ」などと言ってどうにか逃げたのですが…あのときは本当に困りましたね。

あと「毎月の返済額が減った」とはいっても、車検などの大きな出費が出るときはやっぱりキツかった。知人の冠婚葬祭が3ヶ月連続したこともあって、そのときは本当に苦しかったことを覚えています。

そんなときはできる限り出費を切り詰め、オークションで売れるものを売ったり、ダブルワークをしたりしてどうにか乗り切りました。

そんな苦しいこともありましたが、借金については毎月着実に減っていくので達成感がありましたね。特に、残りの借金が10万円を切った頃には、まだ完済はしていませんがすでに大きな達成感がありました。「ああ、ようやくこれで終わるんだ…」という解放感とともに「もう二度と借金はしないぞ」という決意をしました。

私は、債務整理をきっかけに人生が変わったと思っているんです。

そして訪れた平穏な日々。債務整理を経験したことで人生に対する考え方が変わった

読書のイラスト

現在の私はブラックリストの期間も終わっているのでクレジットカードを持っていますが、以前と変わらず現金中心の生活を心がけています。カードを申し込むときには、キャッシング枠なし、限度額も最低の10万円にしました。

カードでの買い物については「1万円以上のものはカードでは買わない」「カードを使っていいのは月に5万円まで」とルールを決めています。使いすぎてしまうとまた「借金で補填しよう」という発想になってしまいそうな怖さがあるし、そこはちゃんとルールを決めて、あくまでも現金中心の生活を続けています。

浪費を繰り返していた過去の自分とは大違いですよね。

なぜそんな生活が続けられているのかというと…今はかつてのような物欲がすっかりなくなったから。決して我慢しているわけではなく、興味がなくなったんです。

今着ている服はファストファッションが中心ですし、安くても素敵な服はいっぱいあります。それにそもそも「見栄を張る必要なんてない」という気持ちになれました。

音楽に関してもそうで、楽器を演奏したい気持ちもすっかりなくなりました。債務整理の相談をしたとき、弁護士さんに「これだけは手放せないんです!」と言って譲らなかった楽器も、結局は完済後に手放してしまいましたし…。

趣味というのはやはり、お金があってこその「娯楽」だと思うんです。娯楽のために生活が成り立たなくなってしまってはいけませんよね。そう考えると、楽器は自分にとって本当に必要なものではなかったことに気づいたというか。借金を完済したことで自分の中にいろいろな変化があって、今はもう演奏したいという気持ちもまったくありません。

現在の趣味は登山や読書ですが、これらは大してお金もかからないんです。登山といっても低山なので日帰りができますし、登山靴くらいしかお金はかからない。本だって図書館で無料で借りられるわけですし。大してお金をかけなくても、十分に楽しい生活を送ることができるんですよね。

豊かな生活を送るために、実はそこまで大きなお金は必要ない。

そういうことに気づけたのは、債務整理を経験したからです。債務整理をして本当に良かったと思いますし、もしもあのときに決断してなかったら今頃どうなっていたかわかりません。

ですからもしも今、借金に悩んでいる人がいたら、すぐに弁護士や司法書士に相談することを薦めたいですね。借金の悩みは解決できるし、私のように「人生に対する考え方を変える」こともできるわけですから。

取材後記

債務整理をしたのが今から15年ほど前ということで、「いわゆるブラックリスト」の期間も明けているDさん。

現在は、債務整理以前のようにクレジットカードを持つ生活を送ることができていますが、かつてのような浪費をすることがないどころか、むしろ「あまり物欲がない」と語っていたのが印象的でした。決して「我慢している」わけではなく、債務整理を経験したことで考え方が変わり、物欲そのものがなくなったそうです。

現在の登山と読書という趣味はDさんにとって最適のようで「豊かな生活を送るために、それほど大きなお金は必要ない」ということを確信しているようでした。

今回お話をうかがってみて、Dさんが再び浪費をすることはないだろうなと強く感じました。Dさんにとって債務整理は「本来の自分」を見つける機会だったのかもしれません。

この記事の監修者
時光 祥大
この記事の監修者
時光 祥大弁護士
弁護士会所属
東京弁護士会(第52547号)
出身地
広島県
出身大学

立命館大学法学部

立命館大学法科大学院

専門分野
借金問題・債務整理・遺産相続・債権回収
  • 80万件の問合せ・相談実績あり
  • 弁護士 約40(2024年7月時点)
  • 8拠点(東京・北海道・大阪・兵庫・香川・沖縄)
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