「任意整理にはどんなデメリットがあるの?」
「任意整理」は、借金問題を正当に解決する「債務整理」の方法の一つですが、以下のようなデメリットがあります。
- 信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆる「ブラックリスト」に載った状態)
- 安定した収入がないとできない場合が多い
- 原則として「元金」自体は減額されない
- 必ず和解できるとはかぎらない
- 連帯保証人や保証人に請求が及ぶことがある
- 口座が一時的に凍結されることがある
一方で「任意整理歴は戸籍に残る」など、デメリットが誤解されているケースも少なくありません。
この記事では任意整理のデメリットとその対処法とあわせ、メリットやよくある誤解、気になる周囲への影響についても紹介するので、参考にしてください。
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目次
任意整理のデメリットとは?
任意整理は、裁判所を介さずにそれ以降の借金返済方法について債権者(お金を貸した側)と交渉する債務整理の方法です。
任意整理は裁判所を通した交渉ではないため、「自己破産」「個人再生」といった他の債務整理と比べ、財産などへの影響は比較的小さいといえます。
しかし、任意整理は最初に結んだ貸金契約を変更する交渉であり、デメリットも生じます。
おもなものは、以下のとおりです。
- 信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリストに載る)
- 安定した収入がないとできない場合が多い
- 原則として「元金」自体は減額されない
- 必ず和解できるとはかぎらない
- 連帯保証人や保証人に請求が及ぶことがある
- 銀行口座が一時的に凍結されることがある
次の項から、それぞれの対処法と一緒に詳しく見ていきましょう。
任意整理については以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理後、信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト掲載)
任意整理のデメリットとしてまず挙げられるのが、信用情報機関に事故情報が登録されることです(いわゆるブラックリストに載った状態)。
ただし、どの信用情報機関に載るのかは、利用した金融機関によって異なっています。(下の表参照)

銀行、消費者金融、おもに割賦販売や消費者ローンなどのクレジット事業を営む企業を会員とする情報機関です。
個人ごとにクレジットカードやローンの利用状況を管理することでその信用力を把握し、過剰な貸付けなどを未然に防ぐことを目的としています。
日本には、CIC、JICC、KSCの3つの個人信用情報機関があります。
これら3つの機関はお互いに情報を共有し、利用者が適切な範囲で利用できるよう、努めています。
各信用情報機関では、事故情報の登録期間を決めています。
任意整理の場合、事故情報が消去されるまでの期間の目安は、借金の和解成立日あるいは完済日から約5年です。
この期間を過ぎれば、事故情報による影響はなくなるケースが多いでしょう。
個人信用情報機関の概要は、以下のとおりです。
信用情報機関 | 機関の概要 | 任意整理による事故情報登録・登録期間 |
---|---|---|
CIC | おもにクレジットカード(信販)会社が加盟 | × ただし滞納、代位弁済で登録される |
JICC (日本信用情報機構) |
おもに消費者金融が加盟 | 〇 ・契約日が2019年10月1日以降 →契約継続中および契約終了後5年以内(債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内) ・契約日が2019年9月30日以前 →当該事実の発生日から5年を超えない期間 |
KSC (全国銀行個人信用情報センター) |
おもに銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟 | × ただし滞納、代位弁済で登録される |
ブラックリストについては以下の記事で詳しく解説しています。
CIC、KSCは任意整理で事故情報は登録されませんが、滞納、代位弁済で登録が行われます。
毎月の返済が難しくなっていた場合、任意整理をする前からすべての信用情報機関で事故情報が登録されているケースも少なくないでしょう。

代位弁済とは、借金した人に代わって第三者が返済することをいいます。
その第三者になるのは、保証会社、保証人や連帯保証人などです。
代位弁済については以下の記事で詳しく解説しています。
登録期間中に影響が出る可能性がある事項は、以下のとおりです。
対処法とあわせて、それぞれ解説します。
- 任意整理したクレジットカードは使えなくなる
- ローンの新規契約、新規での借入れはできなくなる
- 車を手元に残すことは可能だが、ローンでの購入はできなくなる可能性が高い
- 携帯・スマートフォン端末の分割購入が難しくなる
- 新規の賃貸契約時は注意が必要
任意整理後の生活への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理の対象にしたクレジットカードは使えなくなる
任意整理の対象となったクレジットカードは、手続きと同時に強制解約されることになります。
任意整理の対象としていないカードは当面は使用できることも多いようです。
ただし「途上与信」の段階で利用できなくなる(解約される)可能性があります。
「カードが使えなくなったら、新しいカードを作ればいい」と考えるかもしれませんが、新たに契約することも難しくなってしまいます。
契約審査時、クレジットカード会社に信用情報機関の事故情報を照会されてしまうためです。

消費者信用におけるリスクマネジメントの一つであり、一定期間貸し出した後、利用者の利用状況や返済状況を審査することをいいます。
途上与信を行う目的は、貸出額の変更や、滞納することを未然に防ぐことなどです。
なお、任意整理の対象にしたクレジットカード会社やその系列のカード会社では、事故情報の登録期間終了後も審査に通らない場合があります。
いわゆる「社内ブラック」といって、自社で独自に管理しているデータは半永久的に残ることもあるからです。
任意整理をしてから現金以外の決済を利用したいときには、以下のような対処法があるでしょう。
- デビットカードやプリペイドカード、キャリア決済を利用する
- 家族が本会員のクレジットカードの家族カードを使う
- QRコード決済サービスなどのスマホ決済を使う
任意整理後のクレジットカードへの影響は以下の記事で詳しく解説しています。
ローンの新規契約、新規での借入れはできない
任意整理をして事故情報が掲載されている期間中は、基本的にローン審査は通りません。
ローンを契約して新たに家を買ったり、借入れをしたりするときには、信用情報機関に照会が行われ、事故情報が確認されてしまうためです。
家族名義で申し込めば、審査に通る可能性はあります。
なお、住宅ローンなどを返済中の場合は、任意整理の対象から外せば影響はありません。
事故情報の掲載期間中に借入れができるところは、法外な利息で貸付けを行う“ヤミ金”と呼ばれる業者であることも多いので、注意が必要です。
任意整理後に一時的に収入が減るなど、経済的に厳しくなったときには、以下のような対処法が考えられます。
- 「緊急小口資金」など、公的な貸付制度を利用する
- 追加介入をして毎月の返済額をさらに減らす
公的な貸付制度は低利息で借入れができますが、利用するには条件、審査があります。
審査には時間がかかるため、必要があれば要項を確認し、早めに申し込むのがよいでしょう。
緊急小口資金のご案内-東京都福祉保健局
追加介入とは、和解済みの任意整理について、改めて弁護士に依頼することです。
おもに最初の任意整理で対象外にしていた債務がある場合、選択肢となるでしょう。
任意整理によるローンへの影響は以下の記事で詳しく解説しています。
車を手元に残すことは可能だが、ローンでの購入はできなくなる
現在返済が残っている自動車ローンは、任意整理の対象にすると原則として車を引き揚げられてしまいます。
ただし、任意整理の対象から外すことで、手元に残すことは可能になります。
なお、新たにローンを組んで購入する場合には、信用情報機関の情報が照会されるため、契約することは難しくなります。
基本的に事故情報は5年経過すると掲載期間は終了しますが、完済から5年たって事故情報の掲載が終わっても、必ずしも審査を通過できるとはかぎりません。
任意整理の対象にした金融機関やグループ会社の自動車ローンを申し込んでいるときには社内に情報が残っており、審査に通らない可能性があるからです。
任意整理後、車の購入をしたい場合は以下のような方法が考えられます。
- 家族名義で自動車ローンを組む
- 中古車などの一括支払いでの購入を検討する
住宅ローンと同様に、債務整理をしていない家族名義であれば、審査に通る可能性はあります。
ローンの契約が必要ないものであれば、購入に支障は出ません。
携帯・スマートフォン端末の分割購入が難しくなる
携帯電話やスマートフォンの端末を分割購入する場合は、審査に通らない可能性が高くなります。
分割購入はローン契約の扱いとなり、契約時に信用情報機関の情報を照会されるケースが多いためです。
任意整理後、新たにスマートフォン端末などを購入したいときの対処法としては、以下のようなものが考えられます。
- 一括支払いで購入する
- 家族名義で家族に契約してもらう
- 10万円以下の機種を選ぶ
ローン契約が必要なければ、購入に影響は出ません。
債務整理をしていない家族の名義であれば、審査に通る可能性はあります。
10万円以下のものは「少額店頭販売品」として扱われるため、購入できることもあるようです。
任意整理中のスマホの支払いについては以下の記事で詳しく解説しています。
新規の賃貸契約時は注意が必要
任意整理後の賃貸契約で以下のような賃貸保証会社への加入が条件になっているときには、賃貸契約ができない可能性があります。
上記の会社は、信用情報機関に加盟している「信販系」と呼ばれる賃貸保証会社であり、おもにクレジットカード関連の会社です。
契約時に信用情報の照会を行うため、保証を断られてしまう可能性が高くなります。
上記の他に、「独立系」と呼ばれる賃貸保証会社もあります。
独立系の会社は独自のデータベースなどで審査を行うため、信用情報機関への情報照会はありません。
ただし、独立系の賃貸保証会社でも家賃滞納歴などがあると、契約に支障が出るケースもあります。
任意整理後の賃貸契約に際しては、以下のような方法が考えられるでしょう。
- 家賃の滞納歴がなければ、独立系の賃貸保証会社を利用している物件を探す
- 連帯保証人で対応可能な物件を選び、連帯保証人を立てる
- URや公営住宅を選ぶ
任意整理では借金の「元金」自体は減額されない
任意整理では、原則として元金(もとの借入金)を減らすことはできないのもデメリットといえるでしょう。
多くの場合、任意整理でカットできる可能性があるのは、将来利息や遅延損害金(※)です。
※債権者によってはカットできない可能性があります。

現在残っている借金に対して発生し、完済まで支払い続けていく予定の利息のことです。

借金を滞納している期間に課される損害賠償金のことです。
一般的に、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者などでは、年利15~20%に定めていることが多いです。
遅延損害金については以下の記事で詳しく解説しています。
借金の元金自体が高額となっており、返済できないような金額のときには以下のような対処法が考えられます。
- 「個人再生」「自己破産」など他の債務整理方法をとる
- 過払い金で借金の元金と相殺できる可能性があるか確認する
現在抱えている借金が利息制限法を超えた金利での借入れだった場合、「過払い金」が発生しており、借金の元金と相殺できる可能性があります。(詳細は後述します)
債務整理の他の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理は安定した収入がないとできないことが多い
任意整理は、和解後も一定額で借金返済が続きます。
そのため、以下のような条件が必要です。
- 3〜5年で完済できる資力(収入)がある
- 借金返済を続ける意欲がある
ただし、職業や雇用形態に制限はありません。
以下のような人でも、任意整理ができる可能性は十分あるでしょう。
- 安定した収入が見込めるパート、アルバイトでの被雇用者
- 配偶者の収入から借金返済が可能な専業主婦(主夫)
任意整理後も返済を続けられるか不安な場合は、弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談するとよいでしょう。
任意整理が現実的かどうか、判断してもらえます。
収入が一切ないなど、借金の返済が全く見込めない場合は「自己破産」などを検討した方がよいケースもあるかもしれません。
任意整理を相談する弁護士の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理で必ず和解できるとはかぎらない
任意整理は、あくまでも債権者との交渉です。
そのため、交渉の結果、和解にならないケースもあります。
特に以下のようなケースの場合には、和解が難しいことがあるようです。
- 借入期間が短い
- 自分で任意整理の手続きを行った
- 2回以上任意整理を行った
- 債権に担保が付いている
- 金融業者が和解交渉に応じない
そもそも借入期間が短い場合は、債権者は利息の回収もできないため利益が少なくなります。
さらに借入れからすぐに任意整理を行うと、債務者(借りた側)の印象も悪くなります。「任意整理することを前提に借り入れたのでは」と思われるのです。
これらのことから、任意整理に応じてもらえる可能性が低くなってしまうでしょう。
取引期間が短い借金を任意整理できるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
弁護士や司法書士など専門家に依頼しなくても任意整理の手続きは可能です。
ただし、個人からの交渉には応じないと社内規定で決まっている金融機関も存在します。
任意整理を自分でする方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
債権者に2回目の任意整理を申し入れた場合も、応じてもらえない可能性があります。
債権者から「また返済できなくなるのではないか」と疑われるケースも少なくないためです。
また、返済期間をさらに延長したところで借入先にメリットはほとんどないでしょう。
たとえば住宅ローンで住宅が担保に設定されている場合、任意整理に応じるより、住宅を競売にかけて売却する方が、返済額を取り戻せる可能性が高くなってしまいます。
債権者が和解に応じるメリットは、薄れることになります。
「訴訟を起こして借金を回収する方がよい」と考える金融業者の場合は、任意整理に応じる可能性が低くなります。
任意整理の失敗のリスクへの対処法は、以下のとおりです。
- 弁護士や司法書士などの専門家に依頼する
- 「任意整理」以外の債務整理方法を検討する
専門家に依頼した場合は、任意整理ができるか判断したうえで、粘り強く交渉してもらえるでしょう。
「無理な条件で和解してしまい、結局返済できなくなる」といったリスクも低減できるでしょう。
任意整理で和解が難しそうな場合は、「自己破産」や「個人再生」など、他の債務整理の方法を検討するのがよいこともあるでしょう。
任意整理の和解について、詳しくは以下の記事で解説しています。
任意整理後、連帯保証人や保証人に一括返済の請求がいくことがある
連帯保証人や保証人を立てて借りている借金を任意整理すると、保証人が一括返済を迫られるというのも任意整理のデメリットといえます。
これは、任意整理をすると債務者(お金を借りた側)が「期限の利益」を喪失するためです。(民法第137条)

債務者には、借金返済において「期日までに分割して返済する」という権利があり、これを「期限の利益」といいます。
返済滞納や債務整理などによってその権利が失われることを「期限の利益の喪失」と呼びます。
期限の利益については以下の記事で詳しく解説しています。
連帯保証人や保証人を立てた借金がある際の対処法は、以下のとおりです。
- 連帯保証人や保証人を立てた借金を任意整理の対象から外す
- 主債務者と連帯保証人や保証人が連名で任意整理する
任意整理では対象にする借金を選べるため、保証人を立てた借金を対象にしなければ迷惑はかからないでしょう。
連名で任意整理を行えば、債権者は借金全額を保証人に請求できなくなります。
ただし、保証人・連帯保証人も信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)などのデメリットがあります。
事前に事情を説明し、理解を得ておく必要があるでしょう。
任意整理をする際の保証人への影響について、詳しくは以下の記事で解説しています。
任意整理をすると銀行口座が一時的に凍結されることがある
任意整理の手続きを進めると、銀行は預金残高と借金を相殺するため、口座を凍結することがあります。
以下のケースでは注意した方がよいでしょう。
- 任意整理の対象としている金融機関の口座を利用している
- 任意整理の対象としている消費者金融と同系列の銀行の口座を利用している
利用している銀行のカードローンを任意整理の対象としたときには、その銀行口座は、ほぼ確実に凍結されます。
この凍結は、他の支店の口座にも影響するため、事前に対策することが必要です。
消費者金融のカードローンを任意整理の対象とした際、その消費者金融と同系列の銀行からも借入れをしていると、銀行の口座が凍結されることがあります。
これは、銀行のカードローンの保証会社が同系列の消費者金融である場合が多いためです。保証会社は債務者が返済できなくなった場合に代わりに返済する役割を負っています。
そのため、消費者金融のみを任意整理の対象にしたとしても、同系列の銀行口座が凍結されるリスクがあります。
上記に当てはまる場合は、凍結の可能性がある口座について、以下のような対策が必要です。
- 残額をすべて引き出しておく
- 給与、年金などの振込口座となっている場合は変更しておく
- 対象口座から引き落としになっている料金の支払い方法を変えておく
任意整理すると家族や会社にどんな影響がある?
借金を整理するにあたって、家族や会社への影響は気になるところです。
- 任意整理の家族への影響は比較的小さい
- 任意整理が会社にバレる可能性は低い
上記の通り、任意整理は周囲への影響が比較的小さい債務整理方法ですが、注意点もあります。
それぞれのケースは以下で詳しく解説しています。
任意整理の家族への影響は比較的小さい
任意整理をしても、家族への影響は小さいといえます。
子どもの結婚や進学にもまず影響することはないでしょう。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 家族が保証人になっている場合は請求がくる
前述のとおり、保証人は返済義務があるため、請求されます。 - まれにカード作成や更新に影響がでる
任意整理をしたことで家族が「ブラックリストに載る」状態にはなりません。
しかし、ごくまれに家族がクレジットカード作成やローン契約ができなくなるケースがあります。
住所や電話番号などの申し込み情報から同居している家族の事故情報が判明し、家族の任意整理からさほど時間がたっていないときなどに、カード会社が慎重になるケースがあります。 - 子どもの奨学金の保証人になれない
任意整理をすると、保証人になれない場合もあります。ただし、任意整理をしていない他の家族なら保証人になることは可能です。 - 家族カードの主契約者が任意整理をした場合、家族カードも使えなくなる
主契約者のカードはもちろん、家族カードも利用できなくなります。
任意整理は家族にも比較的バレにくい方法ですが、上記のように直接影響が出たケースとあわせて、以下のような場合には知られてしまう可能性が高まります。
- 弁護士、司法書士などの専門家に依頼せず自分で解決する場合
債権者と書類のやり取りや電話交渉が必要になるため、家族にバレる恐れがあります。 - 弁護士などの専門家との連絡方法に注意を払っていない場合
弁護士など専門家の名前が入った書類が自宅に届いたり、自宅の固定電話に連絡があったりすると、バレてしまう可能性が高くなります。 - 任意整理後の返済を滞納した場合
任意整理後の返済を2回滞納してしまうと、金融業者から自宅宛てに一括返済を迫る督促の通知が届きバレてしまう可能性があります。
再度の和解なども必要になるので、滞納には十分気をつけましょう。
任意整理の家族への影響について、詳細は以下の記事で解説しています。
任意整理が会社にバレる可能性は低い
任意整理は勤務先の会社にバレたり、仕事に影響を与えたりしにくいといえます。理由は以下のとおりです。
- 裁判所を介さないので必要書類を会社に申請する必要がない
裁判所に提出する書類がなく、会社に書類を依頼する必要がないため、バレにくいです。 - 債権者が勤務先の会社に直接連絡することはない
任意整理を依頼すると、債権者は債務者などへ直接催促することや取り立てができなくなるからです。
ただし、以下の場合はバレてしまうかもしれません。
返済を滞納してしまったときや、自ら任意整理したことを話してしまった場合がほとんどでしょう。
- 返済が滞り、債権者からの連絡を無視したケース
返済が滞っているにもかかわらず、債権者からの連絡を無視してしまうと、債権者からの催促の電話や督促状などが届くためバレてしまいます。 - 借金を放置し続けた結果、給与が差し押さえられたケース
借金を放置し続けると、強制執行という手続きが取られることがあります。この場合は、差押えの連絡が会社へいくために、バレてしまいます。 - 会社の従業員貸付などを任意整理の対象とするケース
任意整理をする借金の債権者が会社となるので、バレてしまいます。
会社との関係性に影響が出ることも考えられます。 - SNSなどに借金をしていることを書き込んだケース
自分でSNSなどに書き込んでしまうと、会社の人がアカウントを知っていれば、バレてしまいます。 - 任意整理の対象とした銀行給与振込口座が凍結されたケース
振込口座が凍結された場合には、そこから任意整理したことがバレてしまう可能性があります。
バレずに任意整理をしたいなら、弁護士や司法書士に相談して、アドバイスに従って完済を目指すのも一つの方法です。
任意整理の会社へのバレにくさについて、詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理のデメリットに関する「4つの誤解」
任意整理のデメリットについては誤解されているケースも少なくありません。
ここではよくある誤解について4つ解説します。
- 任意整理をしたことが公表される
- 住宅や自動車は回収される
- 戸籍に任意整理歴が残る
- 年金が支給されない
-誤解1- 任意整理をしたことが公表される
「
任意整理をしたことが何らかの方法で世間に公表されてしまうのでは… 」と思われているケースも少なくないようですが、それは誤解です。
後で述べる「個人再生」や「自己破産」を行った場合は、名前や住所などの個人情報が「官報」に掲載されてしまいます。
しかし、
任意整理をしたことは官報に掲載されることはなく、世間に公表されることはありません。
任意整理は債権者との交渉で、裁判所などの公的機関を通した借金の解決方法ではないからです。

「裁判所公告」として、自己破産や個人再生を行った人の住所や名前が掲載される。
任意整理で官報への掲載については以下の記事で詳しく解説しています。
-誤解2- 住宅や自動車は回収される
「任意整理をすると所有する住宅や自動車などの資産が回収されてしまう 」というのも誤解です。
一般的に住宅ローンは任意整理の対象から外して、それ以外の借金を任意整理の対象にして交渉していくことが多いといえます。
任意整理の対象から外したうえで住宅ローンを今までどおり返済していければ、住宅は手放さなくて済むのです。
しかし、自動車ローンの残債がある車を任意整理の対象にした場合は、その車は引き揚げられる可能性があります。
このような事態は、自動車ローンを任意整理の対象から外すことで回避することができます。
なお、後で述べる「個人再生」「自己破産」を行った場合、自動車ローンが残っているとその車が引き揚げられてしまう可能性があります。
ただし住宅に関しては、個人再生の「住宅ローン特則」を利用することで、住宅を手放さずに住み続けられる可能性があります。

個人再生の住宅ローン特則については以下の記事で詳しく解説しています。
「自己破産」を行った場合は、保有している資産を清算する必要があるので、原則として住宅や自動車などは処分されて債権者への返済に充てられます。
-誤解3-戸籍に任意整理歴が残る
「 任意整理をすると戸籍や住民票に任意整理をした記録が残る 」というのも誤解です。
前述のとおり、任意整理をすると事故情報が信用情報機関に一定期間登録されますが、
戸籍や住民票には任意整理をした記録は残りません。
任意整理は官報にも載らないため、公的記録にはまず残らないといえます。
なお、個人再生や自己破産を行ったときでも、戸籍や住民票にはその情報は載りません。情報が掲載されるのは官報のみです。
-誤解4-年金が支給されない
「任意整理をすると年金が支給されなくなったり、年金額が減ったりする」 というのも誤解です。
まず、公的年金(国民年金、厚生年金)の受給は憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」により保障されているものです。
債権者との直接交渉である任意整理によって影響は出ません。
また、個人年金(個人年金保険)はあくまでも保険です。任意整理で保険に影響が出ることはまずありません。
なお後述の「個人再生」「自己破産」をしても、差押禁止財産として国民年金法第24条などの各法律にも明記されているため、受給額に影響はありません。
ただし、個人年金については個人再生、自己破産を行うと解約しなければならないことがあるため、注意が必要です。
自己破産時の年金の扱いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理の4つのメリット
ここまで任意整理のデメリットや、よくある誤解について解説してきました。
それに対して、任意整理のメリットは以下4つです。
- 将来利息を減額できる
- 支払総額や毎月の返済額が減額する
- 債権者からの返済の督促がなくなる
- 減らす借金を選べる
それぞれについて見ていきましょう。
-メリット1- 将来利息を減額できる
任意整理で債権者と交渉し合意を得られれば、和解してから完済までの間にかかる
「将来利息」を減額できる可能性があります。
残金は、原則
3〜5年程度で分割返済できます。
任意整理の和解内容によりますが、返済期間が3年になれば3年分の将来利息、5年になれば5年分の将来利息が減額できる可能性があるのです。
※利息が免除されない場合もあります。必ず減額できるわけではありません。
任意整理で減額できる利息については以下の記事で詳しく解説しています。
-メリット2- 支払総額や毎月の返済額が減る
任意整理を行うことで将来利息だけではなく遅延損害金や経過利息も減額できる可能性があります。
※債権者によっては減額に応じてくれない場合もあります。

最後に借金を返済した日の翌日から一定の日(和解日、和解提案日、取引履歴開示日など)までに発生する利息のこと。
任意整理で月々の返済額については以下の記事で詳しく解説しています。
さらに、以下の条件に当てはまる場合、「過払い金」が発生する場合があります。
過払い金が発生した場合は、過払い金返還請求を行い、借金と相殺したり、返済に充当したりすることも可能です。
- 2010年以前に消費者金融、クレジットカード会社から借入れていたこと
- 過払い金の時効「完済後10年」を過ぎていないこと
過払い金は、過去に適用されていた高い金利を現在の利息制限法の上限の金利に改めて計算する「引き直し計算」をすることで算出できます。
このような理由から、任意整理を行うことで借金の支払総額や毎月の返済額を減額できる可能性が高まるのです。
過払い金については、以下の記事で詳しく解説しています。
-メリット3- 債権者からの返済の督促がなくなる
任意整理で和解できれば滞納が解消されるため、債権者からの取り立て、督促はなくなります。
また、
弁護士・司法書士などの法律の専門家に任意整理を依頼した場合、依頼からまもなく督促を止めることが可能です。
正式に弁護士・司法書士に債務整理を依頼して委任契約を結んだ時点で、弁護士・司法書士は債権者に対し「受任通知」を送付します。
受任通知の送付後は、債権者からの返済の督促が止まり、原則として連絡は来なくなります。
これは貸金業法第21条に、弁護士・司法書士と委任契約を結んだ債務者に対する取り立て行為の規制が定められているからです。
貸金業法
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
出典:貸金業法|e-Gov法令検索
受任通知については以下の記事で詳しく解説しています。
ーメリット4ー減らす借金を選べる
任意整理をする借金としない借金を選べるのも、メリットの一つです。
たとえば「ローン支払い中の車を手元に残したい」という場合は、
自動車ローンを任意整理から外せば、車を手放さずに済みます。
上手に借金を選んで減らすことができれば、生活への影響を小さくしやすいといえるでしょう。
任意整理以外の債務整理のデメリットは?
任意整理のほかにも債務整理には「個人再生」と「自己破産」といった借金の解決方法があります。
ここからは、個人再生と自己破産のデメリットについて紹介します。
任意整理とも比較してみましょう。
個人再生= 一般の人には手続きが難しく、時間を要することも
「個人再生」とは、借金が返済不能であることを裁判所に申し立てて再生計画の認可決定を受け、借金を減額してもらう解決方法です。
個人再生をすれば、
借金の額を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性があります。
個人再生には、おもに以下のデメリットがあります。
- 一般の人にとっては書類の準備・提出など手続きが難しく、手続きに1年から1年半程度の期間を要することもある
- 5~10年程度はクレジットカードの新規発行や銀行・消費者金融で新規契約はできない
- 官報に個人再生をした事実と名前・住所が掲載される
- 安定した収入が必要
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産= 住宅や自動車は処分される。職業・資格の制限を受ける
「自己破産」とは、裁判所を通じて一部の債務を除きすべての債務の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。
自己破産をした場合、残っている借金は
原則として全額免責されます。
自己破産には、おもに以下のデメリットがあります。
- 保有している資産を清算する必要があり、住宅や自動車などは原則として処分されて債権者(貸した側)への返済に充てられる
- 5~10年程度はクレジットカードの新規発行や銀行・消費者金融で新規契約はできない
- 官報に自己破産をした事実と名前・住所が掲載される
- 自己破産をした人は手続き開始から免責が確定するまでの間、旅行業者、警備業者、宅地建物取引士、証券外務員などの職業につけない
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理・個人再生・自己破産のデメリットの比較
任意整理と個人再生・自己破産のデメリットを、比較しやすいよう表にまとめました。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
事故情報の登録(ブラックリストに載る) | ◯ | ◯ | ◯ |
事故情報の登録期間 (ローン、クレジットカードなどを新規契約できない期間) |
5年程度 | 5~10年程度 | 5~10年程度 |
安定した収入の必要性 | ◯ | ◯ | ✕ |
元金の減額 | △ 原則できない |
◯ 5分の1~10分の1程度に減額 |
◯ ほぼ全額免除 |
住宅の回収 | ✕ ローンを対象から外すことで回避可 |
△ 住宅ローン特則の利用で回避可 |
◯ ほとんどの場合で住宅は回収される |
自動車の回収 | ✕ 対象から外すことで回避可 |
△ ローン残債があると引き揚げられることも |
◯ 回収される |
官報に名前や住所が載る | ✕ | ◯ | ◯ |
家族や会社にバレる可能性 | 低 | 中 | 高 |
事故情報の登録がされる(ブラックリストに載る)状態になるというデメリットは、任意整理・個人再生・自己破産のすべてに共通しています。
個人再生や自己破産と比べて任意整理の大きなデメリットといえるのは、原則として元金が減額できないことでしょう。
しかし全体的に見てみると、個人再生や自己破産と比べて、
任意整理はデメリットが少ないといえそうです。
任意整理、自己破産、個人再生の違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理を検討したら、弁護士・司法書士に相談を
デメリットとメリットを比較して任意整理をするか迷ったら、弁護士・司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
専門家に依頼するメリットには次のようなものがあります。
- 懸念を伝えることで、状況に合った債務整理方法を提案してもらえる
- 金融業者との交渉に長けている
- 任意整理の手続きを任せられる
- 受任通知の送付で督促・取り立てが原則ストップする
任意整理を依頼できるのは、弁護士と司法書士です。
それぞれの取り扱い内容には細かな違いがあります。
- 弁護士
弁護士は、債務整理全般の業務を取り扱うことができます。
債務額の制限はないため、借金額が多い場合も代理人として対応できます。
また債務整理方法を検討した結果、個人再生や自己破産に手続きを切り替える場合も、手続きのほとんどを任せられます。 - 司法書士
司法書士の場合も任意整理を取り扱うことは可能です。
ただし、債権者1社につき140万円を超える場合は対応できません。
自己破産や個人再生を行う場合は、書類作成など一部の業務に限定されます。
債務整理の方法に迷っている場合や、借金額が140万円を超える場合は、弁護士への相談がよいケースが多いでしょう。
- 任意整理には、以下のようなデメリットがあります。
・個人信用情報機関に事故情報が登録される(「ブラックリストに載る」状態)
・安定した収入がないとできないケースが多い
・借金の「元金」自体は原則として減らない
・必ず和解になるとはかぎらない
・連帯保証人や保証人に請求が及ぶことがある
・銀行口座が一時的に凍結されることがある - しかし、任意整理は、個人再生や自己破産といった他の債務整理の方法と比べて 「家族や会社にバレにくい」「生活に不自由が出にくい」といえます。デメリットは比較的少ないといえるでしょう。
- 任意整理を行おうか迷ったら、まずは弁護士・司法書士へ相談してみるとよいでしょう。現状や懸念点を伝えることで、自分に合った提案をしてもらえる可能性があります。
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