自己破産するデメリットとは?生活するうえでの影響と、回避・軽減する方法

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自己破産をすると、どんなデメリットがあるの?

自己破産は、原則的に一部を除いたすべての借金を免責してもらえます。しかし、その一方で、以下のようなデメリットが生じます。

自己破産のデメリット
  • 車や家などの財産を手放す必要がある
  • 5~7年間ブラックリストに載る(信用情報機関に事故情報が登録される)
  • 保証人・連帯保証人が一括請求を受ける
  • 配偶者など家族にバレる
  • 手続き期間中は職業・資格に制限がかかる
  • 手続き期間中は引っ越し・海外旅行といった移動に制限がかかる
  • 官報に掲載(公告)される

とはいえ、自己破産をすることで生活のすべてを失うわけではありません
職場を強制解雇されたり、結婚が制限されたりすることはないのです。

この記事では、自己破産によって生じるデメリットを具体的に解説します。デメリットに関して、世間で誤解されていることについても触れておりますので、参考にしてください。

自己破産のデメリットについて不安がある方は、弁護士法人・響にご相談ください。生活への影響などを踏まえて、借金の解決に向けた最適な方法についてお伝えさせていただきます。

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目次

【自己破産のデメリット1】車や家などの財産が回収される

自己破産をすると、債務者(お金を借りた側)の所有する価値のある財産は回収され、借金の返済に充てられます。

回収される財産は以下のとおりです。

自己破産によって回収される財産
  • 持ち家や土地などの不動産
  • 自動車
  • アクセサリーなど貴金属
  • 99万円を超える現金
  • 20万円を超える価値の財産(預貯金、生命保険の解約返戻金、退職金の原則8分の1相当分、有価証券など)

ただし、債務者が生活を立て直すにあたって最低限必要な財産は「自由財産」と見なされ、例外的に回収されません。

回収されないのは、家具や家電といった生活必需品、99万円以下の現金などです。

車は条件によって手元に残せる場合も

上述したとおり、自己破産をすると20万円を超える財産は回収されます。車は基本的に20万円を超える財産であるため、回収対象となることがほとんどです。

ただし、条件次第では手元に残せる場合があります。

車を手元に残せる条件は、以下のとおりです。

車を手元に残せる条件
  • 車のローン返済が終わり、時価が20万円以下であること
  • 第三者にローンの残りを支払ってもらうこと
  • 自由財産の拡張が認められること

自由財産とは、前述のとおり、自己破産をしても処分されない財産のことです。

次のようなケースでは、裁判所の判断で自由財産の拡張が認められ、車を残せる可能性があります。

自由財産の拡張が認められるケース
  • 仕事にどうしても必要
  • 高齢で車が生活に必要
  • 身体に障がいがあり、移動に必要
  • 親の介護に必要
  • 病気の治療や通院に必要 など

自己破産後も車が利用できるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。

低所得者向けの公営住宅もある

マイホームまで失っては、生活を再建できない」と心配する人もいるかもしれませんが、賃貸住宅に移り住むことはできます(一部条件がありますので、後述します)。

また、低所得者向けの公営住宅を格安で利用できる可能性もあります。

そもそも、公営住宅は経済的に困窮している人に住むところを安く提供するという理念で運営されています。

自己破産で財産を失ったからといって、公営住宅を利用できる資格が失われることはありません。

ただし、公営住宅への入居は抽選制であり、当選しなければ入居できません。また、入居には一定の収入基準が設けられています。

入居できるかどうかは、以下でシミュレーションすることができます。

(参考:入居資格判定シミュレーション

【自己破産のデメリット2】5〜7年間ブラックリストに載る

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が5〜7年間登録されます(いわゆるブラックリストに載る状態)。

信用情報機関とは、クレジットカード・ローンなどの契約内容や、支払い状況(残高や滞納情報を含む)などの信用情報を、登録・管理している機関です。

以下の3つの機関があり、それぞれ「加盟している業種」「事故情報の登録期間」が異なります。

信用情報機関 加盟している業種 自己破産後の
事故情報の登録期間
シー・アイ・シー(CIC) ・クレジットカード
・信販会社
5年間程度
日本信用情報機構(JICC) ・消費者金融 5年間程度
全国銀行個人信用情報センター(KSC) ・銀行
・信用金庫
・信用保証協会
7年間程度

ブラックリストに載ると、次のような影響があります。

ブラックリストの影響
  • クレジットカードが利用できない
  • 引っ越しの際、物件によっては賃貸契約の審査に通りにくくなる
  • スマートフォンの分割購入ができない
  • 住宅ローンや自動車ローン、キャッシングを含め、新たな借り入れができない
  • 子の奨学金やローン等の保証人になれない

以下で、それぞれの影響について、対処法とともに解説します。

ブラックリストの影響については、以下の記事でも解説しています。

クレジットカードが利用できない

信用情報機関に事故情報が登録されている5〜7年間は、新規にクレジットカードを作成することができません。

これは、信用状況に問題がある、つまり「返済能力が低い」と見なされるため、審査に通らないためです。

また、自己破産を申し立てると、裁判所から、申立人の債権者であるクレジットカード会社に対して破産手続きを開始する旨が通知されます。

その時点で、当該カード会社との契約に基づき、持っているだけで利用していないカードも含めて、すべてのクレジットカードが強制的に解約されます。

つまり、自己破産に係る手続開始後、ブラックリストに載っている期間中は、クレジットカードが一切利用できなくなるということです。

とはいえ、クレジットカードの代替手段は用意されています。
以下で、具体的に解説します。

通販はコンビニ支払いや代金引換を利用する

クレジットカードが使えないと不便になるのが、ネットショッピングや通販の支払いです。それまでクレジットカード決済をしていた人が多いことでしょう。

ただし、クレジットカードが使えなくなったからといって、ネットショッピングができなくなるわけではありません。

コンビニ支払いや代金引換など、現金による支払いに切り替えましょう。

買い物にはデビットカードを利用する

ブラックリストに載っていても、デビットカードなら作成できます。

デビットカードは、利用分が銀行口座から即時に代金が引き落とされる方式の決済手段。利用と同時に代金が引き落とされます。そのため、クレジットカードを作成するときのような審査も不要です。

見た目も使い勝手もクレジットカードに似ているため、それほどストレスなく利用できるでしょう。

ただし、デビットカードは銀行口座に預金残高がないと利用できません。また、支払いは一括払いのみであり、分割払いはできないことにも注意が必要です。

公共料金や契約中のスマホ料金は口座振替にする

公共料金やスマホ料金などの支払いは、口座振替に変更する必要があります

ただし、格安スマホだと口座振替に対応していないサービスもあるため、注意が必要です。

口座振替が可能な格安SIMブランドの例
  • 楽天モバイル
  • ahamo
  • ワイモバイル
  • LINEMO
  • UQモバイル
  • mineo
  • OCN モバイル ONE
  • BIGLOBEモバイル

また、口座振替を利用するためには、いくつかの条件があります。詳細は、各サービスのHPで確認しましょう。

ETCパーソナルカードや家族用ETCカードを利用する

自己破産をすると、ETC機能が付帯しているクレジットカードも強制解約となります。車を利用している方は、不便に感じることでしょう。

前述したように、自己破産後、ブラックリストに載っている期間中は、クレジットカードを発行することはできません。

しかし、クレジットカード付帯のETCカードでなければ、発行できる可能性はあります。

利用できるETCカードの例
  • ETCパーソナルカード
  • 家族カード用のETCカード
  • ETC法人カード/ETCコーポレートカード

自己破産後のクレジットカードの代替手段については、以下の記事で詳しく解説しています。

引っ越しの際、賃貸借契約の審査に通らないケースがある

自己破産をしたとしても、賃貸借契約は可能です。ただし、一部のケースで、賃貸住宅に入居できないことがあります。

具体的には、賃貸住宅の保証会社が信販会社の場合です。

信販会社は賃借人となろうとする人に対する審査の一環として信用情報を照会するため、事故情報を考慮して、「家賃の支払い能力に問題があり得る」と判断されれば、賃貸契約の審査に通らない可能性があるのです。

おもな信販系の保証会社
  • 株式会社アプラス
  • 株式会社エポスカード
  • 株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)
  • 株式会社ジャックス
  • 株式会社クレディセゾン
  • SMBCファイナンスサービス株式会社(旧株式会社セディナ)
  • ライフカード株式会社
  • SBIギャランティ株式会社

なお、自己破産を理由に、今住んでいる賃貸住宅を追い出される心配はありません。

賃貸引っ越しの際は保証会社が「信販系」の物件を避ける

上記の理由から、賃貸住宅への引っ越しの際は保証会社が「信販系」の物件は避けましょう。また、管理会社または貸主(大家)による審査であれば、通る可能性があります

ただし、家賃を滞納した過去があると「支払い能力が低い」と判断されるため、審査に通過するのは難しくなります。

また、電話での本人確認で「自己破産している」と告白してしまうと、審査落ちしてしまう可能性が高くなりますので、注意しましょう。

自己破産後の賃貸契約については、以下の記事で詳しく解説しています。

スマートフォンの分割購入はできない

自己破産をしたからといって、使用中の携帯電話やスマートフォンの通信契約が解約されることはありません。

しかし自己破産後は、分割払いによる携帯端末の購入ができなくなります

携帯端末の分割購入をするには、車などのローン契約と同様に、信用情報に係る審査を受ける必要があります。

その際に信用情報が照会され、自己破産した事実が知られてしまえば、基本的に審査に通りません。

中古端末や型落ちモデルを一括払いで購入する

スマホの分割購入ができない場合は、基本的に「一括払い」で購入する必要があります。

とはいえ最新機種は、一括購入するには高価です。

その場合は、格安で販売されている「型落ち」機種(最新機種が登場したことで古くなった機種)や、中古の端末の購入を検討しましょう。

自己破産後のスマホ契約については、以下の記事で詳しく解説しています。

住宅ローンやキャッシングを含め、新たな借り入れができない

自己破産をすると、住宅ローンやキャッシングなどを含めて、新たな借り入れができません。

ローンの審査時に、信用情報が照会されるためです。信用情報機関に事故情報が登録されている5〜7年間は、その状態が続きます。

利用できなくなるローンの例
  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 教育ローン、学資ローン
  • カードローン

住宅ローンは家族名義であれば通る可能性がある

自己破産をした本人ではなく、その家族名義であれば、住宅ローンの審査に通る可能性はあります。
これは、信用情報機関に事故情報が登録されるのは、自己破産した本人のみであり、家族は影響を受けないためです。

もっとも、自己破産した本人でないからといって、100%審査に通るとはかぎりません。
住宅ローンの審査では、完済時年齢や年収、健康状態など、信用情報以外の要素も加味されるからです。

自己破産後、住宅ローンを利用する際のポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。

子どもの奨学金やローン等の保証人になれない

自己破産をすると、子どもの奨学金やローン等の保証人(※)になることができません。
※連帯保証人を含む(以下同様)

保証人になるための審査でも信用情報が照会され、「支払い能力」がチェックされるからです。

奨学金は親族や機関保証制度を利用する

奨学金は、原則として保証人をつけなければ借りられません。

自己破産した本人が子どもの奨学金の保証人になれない場合は、配偶者や兄弟・親戚などの親族に頼めないか、検討しましょう。

破産した本人以外が保証人になるなら、奨学金を借りられる可能性はあります。

親族から保証人が見つからないときは「機関保証制度」を利用しましょう。

一定の保証料が発生するかわりに、特定の機関が保証人のかわりになってくれる制度です。
たとえば、日本学生支援機構の保証機関は、公益財団法人日本国際教育支援協会です。

機関保証制度の利用については、以下のページを参照してください。

(参考:日本学生支援機構「保証制度について」

【自己破産のデメリット3】保証人・連帯保証人が一括請求を受ける

自己破産をすると、保証人や連帯保証人が一括請求を受けることになります。

自己破産によって借金(債務)が免責されるのは本人だけであり、保証人や連帯保証人は免責されません。

自己破産の手続きをすると、債務者は、「期限の利益」を喪失します。

用語集 期限の利益とは?

契約によって定められた期日が到来するまでの間、債務(借金の返済や代金の支払いなど)を履行しなくてよいとする債務者側の利益。

期限の利益を喪失すると、保証人・連帯保証人であっても、債権者から一括返済を求められたときに断ることができません。

債権者はそのことを知っていますので、期限の利益が喪失された時点で、一括請求を行う可能性が高いといえます。

しかし、保証人がつくほどの借金は高額であるケースが大半であり、一括での返済は現実的に困難です。

保証人・連帯保証人にその支払い能力がない場合は、保証人・連帯保証人まで自己破産などの債務整理をしなければならないこともあります。

保証人・連帯保証人が分割交渉できる余地はある

基本的に、保証人・連帯保証人が一括請求を受けることは免れません。ただし、保証人側で債権者に対し分割払いの交渉をすることは可能です。

債権者が納得のいく返済計画や条件を提示できれば、分割払いに応じてもらえるかもしれません。

自己破産による保証人・連帯保証人への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。

【自己破産のデメリット4】配偶者など家族にバレる

配偶者などの家族と同居している場合、自己破産をすることで、その事実が知られる可能性は大きいといえます。

家族の所有する財産が、債務者の収入や借金から得たものである場合は、実質的に債務者の財産だと見なされて、回収の対象になることがあります。

ふだんの暮らしで必要なものが処分されるとなれば、借金があることを知られるだけでなく、少なからず負担をかけることになるでしょう。

また、自己破産をする場合は、裁判所にさまざまな書類を提出する必要があります。

その一つが「家計収支表」です。家計収支表とは、自己破産をする債務者本人と、家計を同一にする家族の収入を書いたもので、生活状況を財政面から明らかにするのに必要となります。

債務者本人だけではなく、世帯全体の収入を記入しなければなりません。
家族に書類の手配を頼む必要があるため、自己破産の手続きをしようとしていることが知られる可能性があるでしょう。

【自己破産のデメリット5】手続き期間中は職業・資格に制限がかかる

自己破産をすると、一部の職業や資格が制限を受けます。そのような仕事を「制限職種」といいます。

また、自己破産をすることで会社の地位を失ったり、罷免になったりする職業もあります。

制限を受ける職業一覧

弁護士、司法書士、弁理士、公証人、公認会計士、税理士、証券会社外務員、旅行業者、宅地建物取引業者、建設業者、不動産鑑定士、土地家屋調査士、生命保険募集人、商品取引所会員、有価証券投資顧問業者、警備業者、風俗営業、質屋など

現在これらの職についている場合も、自己破産の手続きが始まると業務ができなくなります。

ただし、自己破産の手続きが終わると、資格や職業に関する制限も解除されます。

ほとんどの場合は自己破産の申立てから4〜6ヶ月程度で、もとどおり仕事ができるようになります。

このように、自由に仕事に就く権利が回復することを「復権」といいます。

自己破産によって制限を受ける職業・資格については、以下の記事で詳しく解説しています。

【自己破産のデメリット6】手続き期間中は引っ越し・海外旅行に制限がかかる

自己破産の手続き中は、引っ越しをするにも、海外に渡航するにも、裁判所の許可を取る必要がある場合があります。この場合は宿泊を伴う国内旅行であっても同様です。

自己破産の手続きの中でも、債務者に一定の財産がある場合は「管財事件」として扱われます。

管財事件では、残債の調査・処分、破産を認めるかどうかの調査が行われるため、その間はいつでも連絡が取れる場所にいなければなりません。そのため、連絡が取れなくなる恐れのある引っ越しや旅行に関しては、裁判所の許可が必要とされているのです。

ただし、引っ越しも旅行も「禁止」されているわけではなく、裁判所の許可が出れば可能です。

自己破産後の引っ越し・海外旅行については、それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。

同時廃止事件の場合や手続き完了後は移動の制限が解除される

自己破産をしても、みるべき財産が特になく、また破産が認められない事情も見当たらない場合には、「同時廃止事件」として扱われ、その場合は、破産手続きの開始決定と同時に手続きが終わります。

このような場合には移動の制限もありません。これは、管財事件とは違い、残債の調査や財産の処分、破産を認めるかどうかの調査が行われないためです。

また、管財事件であっても、自己破産の手続き終了後は移動の制限が解除されます。

管財事件 同時廃止事件
適用されるケース ・一定以上の財産を所有している
・免責不許可事由の疑いがある
一定以上の財産がないことが明らかである
破産管財人 選任される 選任されない
免責までの期間 半年~1年程度 3~6ヶ月
引越し・海外旅行の制限 制限を受ける(破産手続き中) 制限を受けない(破産手続きの開始決定とともに終了となるため)

管財事件と同時廃止事件の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【自己破産のデメリット7】官報に掲載(公告)される

自己破産をすると、、破産者の氏名や住所が「官報」に掲載(正式には「公告」)されます。

官報とは、内閣府が発行している国の機関紙のことです。法令などの政府情報を国民に伝える新聞として、行政機関の休日を除き毎日発行されています。

官報は誰でも自由に閲覧できるものであり、その情報は半永久的に残ります。

そのため、官報を日常的に閲覧する業種の関係者には、自己破産の事実が知られてしまう恐れがあります。たとえば、金融機関、警備会社、公務員、旧国営系会社(JR、日本郵政など)などです。

裏を返せば、官報を日常的に目にする機会のない一般の人に知られることはまずありません。普通に生活しているかぎり、官報に情報が公告されたからといって影響はないでしょう。

自己破産後、官報に公告されるタイミングや掲載期間については、以下の記事で詳しく解説しています。

誤解されている自己破産のデメリットの例

ここまで紹介したように、自己破産にはさまざまなデメリットがあります。

しかし実は、自己破産のデメリットには誤解されているものも多いのです。

ここでは、自己破産のデメリットにまつわる誤解について、解説します。

自己破産のデメリットの誤解
  • 職場や友人に知れ渡る
  • 会社を強制解雇される
  • 戸籍に影響が出る
  • 結婚が制限される
  • 子どもに影響が出る
  • 親に影響が出る

職場や友人に知られてしまうのでは?

自己破産をしても、その事実が直接のお金の貸し借りがない相手に知られることは、まずないといえます。

前述のとおり自己破産をした事実は「官報」に掲載されますが、官報を目にするのは金融機関など一握りの職種だけ。

職場の同僚や友人がわざわざ官報を見るという可能性は小さいでしょう。

会社をクビになってしまうのでは?

自己破産を理由に会社を解雇されることはありません。

労働契約法上、雇用者が労働者を解雇する場合、それが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、権利濫用として無効とする旨の定めがあり(労働契約法16条)、自己破産のような、通常労働者の能力や資質等とは関わりのない理由で解雇するのは、不当な解雇として無効になることとなります。

また自己破産したという情報が、会社に知らされることも基本的にありません。

ただし、前述のとおり、一部の国家公務員は自己破産によって失職・罷免されることがあります。また、自己破産後一定期間は業務につけない職業もあります。

自己破産で解雇されない理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

戸籍に影響があるのでは?

自己破産をすると、官報に氏名と住所が記載されますが、戸籍や住民票に自己破産の事実が載ることはありません

戸籍や住民票を見た人に自己破産が知られるかもしれない、という心配も不要です。

結婚に制限がかかるのでは?

自己破産が将来の結婚を制限することはありません。

民法では婚姻の要件として婚姻適齢や重婚の禁止、近親者間の婚姻の禁止などを規定していますが、破産者の結婚を禁止していません。すなわち、自己破産をしても法律上は問題なく結婚できるということです。

しかし、一定期間はローンが組めず大きな買い物ができないなど、自己破産によるデメリットが、結婚生活に支障をきたすことは十分に考えられます。

したがって、配偶者になる方とはきちんとコミュニケーションを取り、自己破産の事実を打ち明け、どのような影響が生活に出て、どんな対処をするのか等、話し合うことが大切でしょう。

自己破産による結婚生活への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。

子どもに影響が出るのでは?

自己破産をしたら、子どもにも迷惑をかけてしまうのではないか」と、不安に思う方もいるでしょう。

しかし、破産者の子どもに直接影響が及ぶことは、基本的にはありません。子どもの進学や就職の妨げになる可能性も小さいといっていいでしょう。

もっとも、持ち家が回収され転居を余儀なくされるなど、子どもの生活に変化が生じることはありえます。

また、自己破産した本人は、子供の奨学金の保証人にはなれないため、子どもが奨学金を借りる場合は、配偶者や親族などに保証人になってもらうか、期間保証制度を利用する必要があります。

親に影響が出るのでは?

自己破産をしても、保証人や連帯保証人になっていないかぎり、破産者の親の不利益になることは基本的にはありません

ブラックリストに載るのも、官報に掲載されるのも本人の情報のみです。

回収される財産も本人名義のものであり、親名義の財産が回収されることはありません。

同居せず生計も別であれば、自己破産の事実を親に知られることもないでしょう。

【アンケート調査結果】自己破産をして困ったことは?

これまで自己破産によるデメリットについて解説してきましたが、実際どのようなことに困るのか、体験者のリアルな声が気になる方もいるでしょう。

そこで当サイトでは、自己破産をした方100名にアンケートを実施し、「自己破産をして困ったこと」を調査しました。

※過去10年以内に自己破産を経験者した方100名が対象(2021年10月調査)
※重複回答あり

結果は以下のとおりです。

自己破産をして困ったこと

ブラックリストに載ることで、「クレジットカードやローンが利用できないこと」がもっとも大きな問題点として挙げられました。

以下は、体験者の方の具体的な声です。

37歳・会社員

当時は自己破産後、ローンを組めなくなることなどはそこまで深く考えていなかった。しかし、車の購入など高価な買い物をしないといけなくなったときに、信用がないことで購入できず、不便さを感じた。

39歳・主婦

カードが使えなくなったので、あらゆる支払いが滞り、変更手続きをしなくてはならなくなり大変だった。
あとは新しくクレジットカードを作れなくなったので不便に感じる。(自己破産前のように)クレジットカードで自由に買い物できないのが苦痛でならない。

自己破産後に思わぬことで困らないように、デメリットを事前に把握し、対策を考えておくことが大切だといえます。

自己破産の体験談は、以下の記事で詳しく紹介しています。

借金を解決する方法は自己破産だけではない

自己破産は、「債務整理」と呼ばれる借金を減額あるいは免除する法的な手続きの一つです。

債務整理には、自己破産のほかに

  • 個人再生
  • 任意整理

といった方法があります。

借金総額や、収入、財産の状況などによっては、自己破産ではなく、個人再生や任意整理を選ぶべきケースもあります。

個人再生

個人再生とは、裁判所に申立てを行うことで、借金を1/5~1/10程度(最低100万円まで)に減額してもらえる可能性のある手続きです。

個人再生のイメージ

原則的にすべての借金が免責される自己破産とは異なり、減額して残った借金は原則として3年(最長5年)かけて返済する必要があります。

しかし、個人再生には「財産を残せる」というメリットがあります。たとえばマイホームも、「住宅ローン特則」を利用し、ローンの返済を続けていくことで、手放さずに済むのです。

借金の返済を続けられるだけの収入があり、一部の財産を残したい人は、個人再生を検討する価値があります。

【個人再生のメリット・デメリット】
メリット ・持ち家等の財産を基本的に残せる
デメリット ・ブラックリストに載る
・借金は減額されるが、免除にはならない
・保証人や連帯保証人に請求がいく

個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。

任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することで、将来利息や遅延損害金をカット(※)してもらい、毎月の返済額の減額や、返済期限の延長などを行う解決方法です。
(※金融機関によってはカットできないこともあります)

債権者と和解契約を結んだ後は、3~5年での完済を目指します。

任意整理のイメージ(手数料をカット)

任意整理の場合、原則的にすべての財産が回収される自己破産と違い、債務整理の対象となる借金を「選べる」というメリットがあります。

住宅ローンや自動車ローンを対象から外せば、家と車を回収されずに済みます。
また、保証人に迷惑をかけたくない場合は、保証人つきの借金を対象から外すことで、保証人が一括請求を受けることを回避できます。

さらに、官報に名前や住所が掲載されないため、家族や会社にバレる可能性はさらに小さくなります。

和解契約後も返済は続きますが、返済能力と返済する意思があり、債務整理の対象から外したい債務がある場合は、任意整理を検討するとよいでしょう。

【任意整理のメリット・デメリット】
メリット ・周囲に知られるリスクが低い
・保証人に迷惑がかかることを避けられる
デメリット ・ブラックリストに載る
・借金の元金は減額されず、返済を続ける必要がある

任意整理については、以下の記事で詳しく解説しています。

自己破産するか迷う場合は弁護士法人・響に相談を

自分には自己破産が向いているのか、それとも任意整理や個人再生の方がいいのか、迷うケースもあるでしょう。

そのようなときは、弁護士法人・響にご相談ください。

借金問題の解決法は、一つではありません。弁護士法人・響は、現在の借金総額や、収入、財産の状況などに応じて、借金問題の最適な解決法を提案いたします。

たとえば、まだ借金を返済する能力が残っているなら、財産を失わずに済む任意整理や個人再生を選んだ方が、生活の再建に向けた近道になるかもしれないのです。

弁護士法人・響は、債務整理の相談実績が43万件以上あります。

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監修者情報
監修者:弁護士法人・響弁護士
宮澤 謙太
弁護士会所属
第二東京弁護士会所属(第60942号)
出身地
埼玉県
出身大学
一橋大学法科大学院
保有資格
弁護士
コメント

[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
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