2022.05.09
「個人再生でどのくらい借金は減る?デメリットもあるの?」
「個人再生と自己破産は、なにが違うの?」
借金解決の方法に「個人再生」という方法があります。
個人再生は、裁判所に認可してもらい借金を減額できる債務整理の一つです。
個人再生には「借金を5分の1~10分の1程度に減額できる」などのメリットがあります。
一方で以下のようなデメリットや注意点があります。
- 定期的な収入がないと個人再生は難しい
- ブラックリストに載る
- 官報に載る
- 税金・養育費・罰金などは減額できない
- 手続が複雑で期間も長い
個人再生は自己破産と混同されることが多いようですが「住宅や自動車を残せる」という特長があります。
個人再生のメリット・デメリット、自己破産との違いについて具体的に解説します。
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目次
個人再生とは?借金をどのくらい減額できる?
「個人再生」は正当な手段である「債務整理」の一つで、借金を大幅に減額できる可能性があります。
では、個人再生の手続きを行えば、借金をどのくらい減額できるのでしょうか?
具体的にわかりやすく解説します。
個人再生とは裁判所を介して借金を大幅に減額できる手続
「個人再生」とは、借金返済が不能であることを裁判所に申立てて、認可決定を受けることで借金を減額してもらう、債務整理の一つです。


借金を減額したり、借金の返済を猶予したりするなど、借金を正当に解決するための手続の総称をいいます。
個人再生には、主に以下のメリットがあります。
- 借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がある。原則3年(最長5年)での分割返済が可能
- 住宅ローンが残っている住宅の場合「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」を利用することで住宅を手放すことなく住み続けられる
これから詳しく紹介していきます。
借金の減額幅は5分の1~10分の1程度
個人再生の手続を行うと、借金総額に応じて5分の1~10分の1程度に減額できる可能性があります。
減額した金額は原則3年、最長5年で分割返済することになっています。
個人再生では、借金(債務)を抱える申立人が返済しなければならない最低限の金額として「最低弁済額」の基準が定められています。
最低弁済額は下の表のとおりです。借金総額に応じて異なります。
借金(債務)総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金総額全部 (減額なし) |
100万円以上 500万円以下 |
100万円 |
500万円超 1,500万円以下 |
借金総額の5分の1 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
300万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
借金総額の10分の1 |
※借金総額からは住宅ローンを除く
借金総額別で借金減額後の残額はどう違ってくるのか、下の表にまとめてみました。
借金(債務)総額 | 借金減額後の残額 |
---|---|
100万円 | 100万円(減額なし) |
200万円 | 100万円 |
300万円 | 100万円 |
700万円 | 140万円 (700万円の5分の1) |
1,000万円 | 200万円 (1,000万円の5分の1) |
1,600万円 | 300万円 (1,500万円超3,000万円以下) |
例えば、借金総額が700万円の場合に個人再生をすると、700万円の5分の1である140万円を返済すればよいことになります。

140万円を3年で分割返済することになれば、月々の返済額は約3万8,800円(140万円÷36回となります。
住宅ローン特則で住宅を残すこともできる
個人再生では「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」を利用すれば、所有する住宅を残すことが可能です。

住宅ローンを従来どおり返済し続けることで自宅を処分されないようにし、住宅ローンを除く借金は個人再生を行うことで減額できる制度をいいます。
個人再生には2つの手続がある
個人再生には以下の2つの手続があります。
- 小規模個人再生手続
- 給与所得者等再生手続
個人再生は原則として「小規模個人再生手続」で行われます。
「給与所得者等再生」は、小規模個人再生手続の「特則」という位置づけになっています。
一般的には、小規模個人再生手続を選択するケースが多いです。
裁判所の調査(令和元年分)によると、
- 小規模個人再生手続の新規受付件数 1万2,764件
- 給与所得者等再生手続の新規受付件数 830件
となっています。
小規模個人再生手続:主に個人事業者向けの個人再生
「小規模個人再生手続」は、主に個人商店主や小規模の事業を営んでいる人などを対象とした手続です。ただし、会社員でも利用は可能です。
小規模個人再生手続を利用するには、次の条件を満たす必要があります。
- 借金総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下であること
- 返済の見込みがあること
小規模個人再生手続では、借金の減額に同意しない債権者(貸した側)が過半数である場合、または同意しない債権者が持つ債権額が借金総額の2分の1を超える場合は、認可されないこともあります。
給与所得者等再生手続:主に会社員向けの個人再生
「給与所得者等再生手続」は、主に会社員を対象とした手続です。
給与所得者等再生手続を利用するには、次の条件を満たす必要があります。
- 借金総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下であること
- 返済の見込みがあること
- 継続的な収入を得ていて、その収入が給与で安定していて変動が小さいこと
給与所得者等再生手続では「可処分所得の2年分の金額」を最低限返済しなければならないという条件もあります。

可処分所得は、自分で自由に使えるお金のことです。一般的には、収入から税金(所得税・住民税など)や社会保険料(健康保険料、介護保険料、年金保険など)を差し引いた手取り収入をいいます。
可処分所得を算出するには、法令に基づく複雑な計算をしなければなりません。
以上のような条件があるため、会社員であっても小規模個人再生手続を選択するケースが多いようです。
なお給与所得者等再生手続は、借金の減額に同意しない債権者がいても認可されます。
個人再生のデメリットや注意点とは?
以上に述べたように個人再生にはメリットがありますが、デメリットや注意点もあります。
個人再生にどのようなデメリットや注意点があるのか、生活にどのような影響を与えるのか、わかりやすく解説していきます。
定期的・継続的な収入がないと個人再生の利用は難しい
個人再生を利用できる条件の一つに「返済の見込みがあること」が挙げられます。
つまり将来、定期的かつ継続的な収入が見込めないと、個人再生の利用は難しくなります。
もし多額の借金があって、定期的かつ継続的な収入が見込めない場合は、債務整理の一つである「自己破産」を検討する必要が出てくるかもしれません。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産とは?
ブラックリストに載り新たに借入れができない
個人再生の手続を行うと、信用情報機関の信用情報に「事故情報」が登録されます。
いわゆる「ブラックリストに載る」状態になります。

クレジットカードやローンなどの利用者の信用情報を取り扱う機関です。
過剰な貸し付けを行わないよう、クレジットカード会社や金融機関、消費者金融などが利用者の信用情報を信用情報機関でチェックをしています。
信用情報機関は、
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
の3つがあります。

クレジットカードやローンなどの利用者に関する情報(申込内容や契約内容、支払状況、借入残高など)です。

クレジットカードやローンの返済や携帯電話・スマホ料金の支払いを滞納したり、債務整理の手続をしたなど「事故」が生じた場合に登録される情報です。
信用情報機関に事故情報が登録されると、使用中のクレジットカードやローンの利用が停止されます。
事故情報が登録されている間は、原則としてクレジットカードやローンの新規契約・利用ができません。
個人再生の場合、事故情報の登録期間は5~10年です。
国の広報誌である「官報」に載る
官報とは、いわゆる「国の広報誌」です。
個人再生をすると、国の広報誌である官報に
- 再生手続開始決定後
- 書面の決議による旨の決定後
- 再生計画の認可決定後
の合計3回、個人再生をした事実と名前・住所などが掲載されます。
官報に掲載されることにより、借金があったことや個人再生をしたことが周囲にバレる可能性もあります。
ただし一般の人が官報を見ている可能性は、あまりないといえるでしょう。
債務者から保証人に返済義務が移る
個人再生では、特定の借金だけを選んで手続を行うことができません。住宅ローンを除いたすべての借金が個人再生の対象となります。
保証人がいる借金の場合は、個人再生をすることで申立人(債務者)から保証人に返済義務が移ります。
債権者(貸した側)は減額した分の借金を保証人に一括返済するよう請求することができます。
つまり個人再生をした債務者は借金が減額できても、保証人が返済を肩代わりすることになるのです。
個人再生を行うと、保証人に大きな影響を与える可能性が高くなります。
税金・養育費・罰金などは減額できない
個人再生の場合、借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がありますが、税金や養育費、罰金などは減額の対象外です。
個人再生をしても税金・養育費・罰金などは支払義務が残ることは注意しておきたいところです。
「清算価値保障の原則」により返済額が上がる可能性もある
「清算価値」とは、債務者が保有する財産をすべて処分・清算したときに得られる総額をいいます。
「清算価値保障の原則」とは、清算価値を最低限、債権者に支払わなければならないというルールをいいます。
先に述べた「個人再生における借金の最低弁済額」または「可処分所得の2年分の金額」と比べて精算価値が高額である場合は、最低弁済額ではなく、清算価値を債権者に返済しなければならないというわけです。
そのため、清算価値が「最低弁済額」または「可処分所得の2年分の金額」を上回る場合は、清算価値を債権者に返済するため、返済額が上がる可能性があるのです。
例えば小規模個人再生手続を行う場合借金総額が300万円あると、最低弁済額は100万円になります。
一方で、債務者が所有する財産の総額(清算価値)は、自動車の時価100万円+生命保険の解約返戻金50万円=150万円とします。
この場合、
となるので、債権者に返済しなければならない金額は清算価値の150万円となるのです。
手続が複雑で期間も長い
個人再生の場合、準備・提出すべき必要書類が数多くあり手続が複雑です。
個人で手続きを行うことは難しく、弁護士や司法書士に依頼することが一般的です。
また手続に要する期間は、1年~1年半程度になることもあります。
借金の解決に1年~1年半以上も待てないという場合は、もう少し早く解決できる「任意整理(手続期間3~6ヶ月程度)」や、「自己破産(手続期間6ヶ月~1年程度)」など、別の債務整理の方法も検討する必要があるかもしれません。
個人再生と自己破産・任意整理とは何が違う?
債務整理には個人再生のほかに「自己破産」や「任意整理」があります。
個人再生と比べて、自己破産や任意整理とは何が違うのでしょうか?
それぞれを比較してわかりやすく解説します。
自己破産=借金のほぼ全額の返済を免除してもらえる
「自己破産」とは、裁判所を介して一部の債務を除きすべての借金の支払いを免除(免責)してもらう、債務整理の一つです。

自己破産には主に3つのメリットがあります。
- 残っている借金は税金や養育費など非免責債権を除いて、全額減額できる
- 免責後に得た収入や財産は原則として自己破産を申し出た本人が自由に使える
- 手続を開始すると、債権者は給料・財産を差押さえるなどの強制執行ができなくなる
自己破産と個人再生の違い=「借金の減額幅」と「住宅・自動車を残せるか」に注目
自己破産と個人再生は何が違うのか、下の表で比較してみました。
個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|
借金の減額 | ◯ 5分の1~10分の1程度に減額可 |
◯ ほぼ全額減額可 |
住宅の処分 | △ 「住宅ローン特則」を利用することで回避可 |
◯ 処分される |
自動車の処分 | △ 自動車ローンを完済していれば残せる |
◯ 処分される |
手続の期間 | 1年~1年半程度 | 6ヶ月~1年程度 |
かかる費用の総額 | 50万~60万円程度 | 50万円以上 |
家族や会社にバレる | △ バレる可能性もある |
◯ バレる可能性は高い |
ブラックリストに載る | ◯ 載る |
◯ 載る |
クレジットカードや ローンが 新規契約できない期間 |
5~10年程度 手続の開始が決定した日から |
5~10年程度 免責の許可が確定した日から |
保証人への影響 | ◯ 保証人は借金の一括返済を求められる |
◯ 保証人は借金の一括返済を求められる |
官報に 名前や住所が載る |
◯ 載る |
◯ 載る |
個人再生と自己破産との主な違いを見てみると、まず注目したいのは「借金の減額幅」です。
自己破産ではほぼ全額が減額されますが、個人再生では借金が5分の1~10分の1程度の減額にとどまります。
「住宅・自動車の処分」でも、個人再生と自己破産では違いがあります。
自己破産では原則として住宅は処分しなければなりませんが、個人再生であれば「住宅ローン特則」を利用することで住宅を残すことが可能です。
自動車は、自己破産では原則として処分しなければなりませんが、個人再生では自動車ローンが完済していれば車を残すことができます。
※自動車ローンが残っていれば、車は引き上げられる可能性があります。
自己破産についての詳細は以下の記事もご参照ください。
自己破産とは?
任意整理=債権者と交渉して借金の減額を図る
「任意整理」とは、裁判所を通さずに貸金業者・金融機関など債権者と直接交渉することで借金の減額を図る、債務整理の一つです。

任意整理をすると、本来支払わなければならない将来利息、経過利息、遅延損害金を減額できる可能性があります。
- 将来利息:通常通り返済を続けていく場合に本来払うはずの利息
- 経過利息:最後に借金を返済した日から一定の日(和解日、和解提案日、取引履歴開示日など)まで発生する利息
- 遅延損害金:借金の返済を滞納している間に発生する損害賠償金の一種
任意整理と個人再生の違い=「借金の減額」と「期間の短さ」に注目
任意整理と個人再生とでは何が違うのか、下の表で比較してみました。
個人再生 | 任意整理 | |
---|---|---|
借金の減額 | ◯ 5分の1~10分の1程度に減額可 |
△ 原則元金は減額できない |
住宅の処分 | △ 「住宅ローン特則」を利用することで回避可 |
✕ 住宅ローンを対象から 外すことで回避可 |
自動車の処分 | △ 自動車ローンを完済していれば残せる |
✕ 自動車ローンを対象から外すことで回避可 |
官報に 名前や住所が載る |
◯ 載る |
✕ 載らない |
家族や会社にバレる | △ バレる可能性もある |
✕ バレにくい |
手続の期間 | 1年~1年半程度 | 3~6ヶ月程度 |
かかる費用の総額 | 50万~60万円程度 | 最低5万円~ 最高60万円程度 |
クレジットカードや ローンが 新規契約できない期間 |
5~10年程度 手続の開始決定日から |
5年程度 和解成立日もしくは完済日から |
保証人への影響 | ◯ 保証人は借金の一括返済を求められる |
△ 対象から外せば影響を回避可 |
ブラックリストに載る | ◯ 載る |
◯ 載る |
個人再生と任意整理では違うところは多数ありますが、まずは「借金の減額幅」に違いがあります。
個人再生では借金が5分の1~10分の1程度まで減額される可能性がありますが、任意整理では原則として元金は減額されません。利息などをカットした元金を3年~5年で返済していくことになります。
また任意整理は裁判所を通さず、債権者との直接交渉となります。
そのため個人再生のような複雑な手続はなく、3~6ヶ月程度の短期間で解決できる可能性があります。
「バレやすさ」でも、個人再生と任意整理とで違いがあります。
任意整理では、官報に名前や住所が掲載されないので家族や周囲にバレにくいですが、個人再生では官報に名前や住所が掲載されてしまいます。
任意整理についての詳細は以下の記事もご参照ください。
任意整理とは?メリット・デメリットと期間・費用を解説
個人再生をスムーズに行いたいなら弁護士に依頼を
ご紹介したように、個人再生の手続きは複雑で1年~1年半程度の長い期間を要します。
そのため個人再生をスムーズに進めるには、弁護士に依頼することが一般的です。
弁護士に個人再生を依頼すると、どのようなメリットがあるのか紹介します。
債務整理に関する法律に精通している
債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士なら、法律の専門知識に詳しいのはもちろん、経験も豊富で実務にも強いので、的確なアドバイスが期待できます。
弁護士は個人再生だけでなく、債務整理の全般についての知識があるので、依頼者にふさわしい解決方法も提案してくれます。
個人再生の手続をほぼお任せできる
債務整理の中でも個人再生は特に手続が複雑で、手続にかかる期間も1年~1年半程度と長期にわたります。
債務者(借りた側)本人が個人再生の手続を行うのは困難といえます。
しかし弁護士に個人再生を依頼すれば、その後の手続についてほぼすべてお任せすることができます。
債務者本人が行うことはほとんどありません。
受任通知の送付で督促・返済が一時止まる
弁護士は債務者から個人再生の依頼を引き受けた場合、直ちに債権者(貸した側)に対し、債務者の代理人になったこと、個人再生を行う予定であることを伝える「受任通知」を送付します。
受任通知が債権者に届いたら、借金の督促・返済は一時ストップします。
これによりしばらくの間、督促・返済のプレッシャーから解放されます。
【まとめ】個人再生は借金を大幅に減額できる正当な手段。デメリットを理解したうえで弁護士に相談を
個人再生には、借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性があるというメリットがあります。
その一方で「手続が複雑で期間も長い」といったデメリットや注意点もあります。
個人再生の手続を滞りなく進めたいなら、個人再生をはじめ債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士に相談・依頼するのが一般的です。
手続もほぼすべてお任せでき、スムーズに進められます。
また、個人再生以外の債務整理についても知ることができ、自分にふさわしい債務整理の方法を見つけることができます。
相談無料の弁護士事務所も多くあります。
借金問題にお悩みなら、債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士へ相談してみてはいかがでしょうか。
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2022.05.08