支払督促とは?簡易裁判所から届く理由と流れ、異議申し立てなどの対処法を解説

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支払督促とは、借金の返済を滞納している場合に債権者(貸金業者などのお金を貸した側)の申立てにより、簡易裁判所が金銭の返済を命じる法的な手続きです

支払督促が届いた場合は、返済するか督促異議申立てをするなどの適切な対処をしないと財産差押えの強制執行となる場合があります

次のような場合は、督促異議申立てをする必要があります。

  • 借金に覚えがない
  • 一括ではなく分割であれば払える
  • 消滅時効が完成している

督促異議申立てをするにあたって困った場合や、返済が難しい場合は、差押えをされる前に弁護士に相談してみましょう。

どうしても返済が難しい場合は、債務整理という方法で解決できる可能性があります

この記事では、支払督促の仕組みや対処法について解説します。

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目次


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支払督促とは?裁判所から届いたら注意が必要

借金の返済を滞納し続けていると、裁判所から「支払督促」という書類が届くことがあります。

支払督促は、債権者(貸金業者などのお金を貸した側)の申立てにより、簡易裁判所が金銭の返済を命じる法的な手続きです

支払督促が届いても返済せず、異議申立てもしないでいると、確定判決となり財産差押えの強制執行となる場合があります。

貸金業者から送られる督促状とはまったく意味合いが違うので、支払督促が届いたら、迅速に対応をしたほうがよいでしょう。

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(支払督促の要件)
第382条
 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。

(仮執行の宣言)
第391条
 債務者が支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。

(支払督促の効力)
第396条
 仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する

出典:e-GOV法令検索「民事訴訟法」

支払督促は借金の滞納だけでなく、購入した商品の代金を支払わない場合や、家賃を滞納した場合などでも、債権者から申立てをされてしまうおそれがあります。

また簡易裁判所での手続きは、原則として140万円以下までの請求しかできませんが、支払督促には請求の限度額が定められていません

そのため多額の借金がある場合でも、一括請求されてしまうリスクがあります。

簡易裁判所の請求限度額
手続きの種類請求限度額
少額訴訟60万円
民事訴訟140万円*
支払督促なし

*訴額(請求額)が140万円を超えると地方裁判所の訴訟手続きへ移行

支払督促とその対処法についてすぐ知りたいという方は下記の動画をご覧ください。

支払督促が届いており、今すぐ弁護士に相談したいという方は、お気軽に弁護士法人・響にご相談ください。相談は何度でも無料です。

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支払督促が債務者に届くまで・届いてからの流れ

借金の返済を滞納していると、債権者が簡易裁判所に「支払督促申立て」をします。

裁判所が支払督促申立ての内容を審査して、法律上の要件を満たすものと認めれば、債務者の言い分を聞くことなく「支払督促」を発付します。

支払い督促の流れ

※参考:政府広報オンライン「督促手続きの流れ」

支払督促と督促状や催告書との違い

借金の返済を滞納すると、滞納期間に応じてさまざまな通知が届くことになるでしょう。

特に債権者から届く「督促状」「催告書」と裁判所から届く「支払督促」はまったく別のものなので、しっかり理解しておいたほうがよいでしょう

借金滞納時に届くおもな通知
名称 送付者 送付方法 法的効力
督促状 債権者 普通郵便など なし
催告書 債権者 内容証明郵便など なし
支払督促 裁判所 特別送達郵便 あり
仮執行宣言付支払督促 裁判所 特別送達郵便 あり
  • 督促状(とくそくじょう)
    返済期日を過ぎても返済が行われない場合に、返済催促のために債権者から送られてくる文書のことです。滞納後数日~1週間程度で送られてくることが多いでしょう。
    督促状を送付してくる相手は、保証会社や債権回収会社の場合もあります。

    債権回収会社については以下の記事で詳しく解説しています。
    債権者から普通郵便で送られてくる督促状には、財産を差し押さえたりするような法的効力はありません
    しかし内容証明郵便で送られてきた督促状の場合は注意が必要です(後述します)。
    また、返済期日以降は遅延損害金が加算されていくので注意が必要です。

督促状については以下の記事で詳しく解説しています。

  • 催告書(さいこくしょ)
    催告書も、借金を滞納した際に返済を催促するという点では督促状と同じといえます。

    督促状が数回送付されても返済しない場合に、返済をより強く要求するといった意味合いのものといえます。

    また督促状・催告状どちらの場合も内容証明郵便によって送付された場合は、時効の完成猶予事由となるという点に注意が必要です

    基本的に借金は、最後に返済した日から5年間で消滅時効が成立し、返済の義務がなくなります。

    内容証明郵便によって催告書が送付されると、民法150条で認められている「催告」が成立し、消滅時効が6ヶ月更新(中断)されることになります

    ただし、催告は6ヶ月以内に裁判上の請求をしないと効力を失うこととなります。

    つまり内容証明郵便で督促状や催告書が届いたということは、債権者が裁判の準備を始めている可能性があるともいえるのです
続きを読む

(催告による時効の完成猶予)
第150条
 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

出典:e-GOV法令検索「民法」

催告書については以下の記事で詳しく解説しています。

支払督促と少額訴訟の違い

支払督促と似た裁判所を介する手続きに「少額訴訟」があります
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを請求する場合に利用できる簡易的な訴訟制度です

簡易的とはいえ、法的効力のある裁判所の判決が出される手続きなので、少額訴訟の訴状が届いた場合は慎重に対応する必要があります。

少額訴訟の訴状が届いた場合は、答弁書を期日までに裁判所に提出したうえで、指定された期日に裁判所に出廷することになります。

答弁書を提出せず、決められた期日に裁判所に出廷しない場合は、原告(債権者)の言い分どおりの判決が出る場合があるのです

少額訴訟の特徴
  • 請求額(訴額)は60万円以下
  • 原則として即日判決となる
  • 強制執行の申立てもできる

※参考:裁判所「少額訴訟」

支払督促と少額訴訟の違い
内容支払督促少額訴訟
請求額(訴額)の上限制限なし60万円
裁判所への出廷不要必要(1回のみ・即日判決)
和解の可能性ないある
強制執行の可能性あるある
対処法異議申立てを行う・裁判所に通常訴訟への移行を求める
・異議申立てを行う

訴訟というと恐ろしく感じるかもしれませんが、少額訴訟の場合は債務者の経済事情を考慮して、裁判所が分割払いや支払い猶予、遅延損害金免除といった現実的な判決を出す可能性もあります。

また債権者が応じてくれれば、話し合いで解決(和解)できる可能性もあります
※参考:裁判所「少額訴訟」

そのため、無視することなく真摯に対応することが大切といえます。

支払督促を悪用した詐欺も発生している

近年は、支払督促の手続きを悪用した詐欺(架空請求)も発生しているため注意が必要です

詐欺は、おもに次のようなケースが確認されています。

詐欺の手法 特徴 対処法
裁判所の通知を装った詐欺 裁判所からの通知を装い、偽りの連絡先や振込口座を記載 無視する
本当の裁判所の支払督促を悪用した詐欺 存在しない架空の請求に対して裁判所に支払い督促を申し立て、実際に支払督促を発付する 督促異議申立てをする
※対応しないと不利益を被る

※参考:法務省「督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください」

裁判所からの支払督促ではない場合は、自身から連絡などは一切せず無視したほうがよいでしょう。

架空請求がどうかの判断がつかない場合や不安な場合は、最寄りの消費生活センターなどに相談してください。
※参考:国民生活センター「「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています」

しかし裁判所からの支払督促を悪用した詐欺だった場合は、何も対応をしないでいると不利益を受けるおそれがあります

この場合は、たとえ身に覚えのない請求であっても、支払督促を受け取った日から2週間以内に裁判所に対して「督促異議申立て」を行う必要があります

督促異議申立てをしないと、無関係の請求でも財産差押えの強制執行をされてしまう可能性があり大変危険です

身に覚えがない支払督促申立書が届いたら、必ず督促異議申立書を出しましょう。

対処法がわからない場合は、弁護士に相談することも検討してください。

また裁判所からの支払督促であるかについては、次のような点を確認してみましょう。

  • 管轄の簡易裁判所から送付され封筒に裁判所名が記載されている
  • 手渡しの特別送達(内容証明)郵便で送付されている

以下で詳しく解説します。

管轄の簡易裁判所から送付され封筒に裁判所名が記載されている

管轄の簡易裁判所から送付され封筒に裁判所名が記載されている

支払督促は、ご自身の居住地区を管轄する簡易裁判所から送付されます

封筒に裁判所名が記載されていない場合や、連絡先が実際の裁判所と異なっている場合は詐欺の可能性もあります。

裁判所の管轄地域や連絡先は、裁判所のWebサイトで確認することができます。

不安な場合は裁判所へ直接連絡をして、実際に手続きが進められているのかを確認してみましょう。

特別送達郵便で送付されている

郵便の方法にも注目します。支払督促の場合、「特別送達」という特別な郵便で送付されることになっています郵便法第49条、内国郵便約款第131条にて規定)。

特別送達は封筒に明瞭に「特別送達」と書かれており、必ず郵便職員から名宛人への手渡しになります。はがきや普通郵便で届くことはありません

ポストへの投函はされず、受け取る際には署名もしくは押印を要求されます。また正当な理由なく受取拒否はできません

また内容物には、裁判所で付した支払督促の「事件番号」「事件名」が記載されています。

特別送達で送付される支払督促の特徴
  • 「特別送達」と明瞭に記載された封書で送付される(普通郵便では送付されない)
  • 封書には裁判所の名前が記載されている
  • ポストに投函されず郵便職員から手渡しされる
  • 受け取るときは「郵便送達報告書」に署名又は押印を求められる
  • 裁判所で付した支払督促の「事件番号」「事件名」が記載されている
  • 振込口座の記載はされていない

※参考:法務省「督促手続・少額訴訟Q&A」

これらの特徴に当てはまるかを、よく確認してみましょう。

特に、裁判所から「お金を振り込むように」という連絡がくることはないため、振込口座番号などの記載があった場合は詐欺である可能性が高いといえます

支払督促を無視したら差押えの強制執行になる可能性がある

支払督促が届いたら、適切に対応しないとさらに状況が悪くなる可能性があります

支払督促が届いたら、すべきことは次のどちらかになります。

  • 返済をする
  • 内容に不服がある場合は受領後2週間以内に異議申立てを行う

ここですべての返済を終えれば解決となり、問題はありません。

しかし返済を行わず、2週間以内に異議申立ても行わないと、次のようなステップへ進みます。

  • 2週間以内に異議申立てをしないと「仮執行宣言付支払督促」が届く
  • 受領後2週間以内に異議申立てを行わないと財産差押えの強制執行となる可能性がある

以下で詳しく説明します。

2週間以内に異議申し立てをしないと仮執行宣言付支払督促が届く

支払督促が届いてから2週間以内に返済もしくは異議申立てをしない場合、通常「仮執行宣言付支払督促」という通知が届くこととなります

支払督促の受領後2週間以内に異議申立てがなければ、申立人(債権者)は「仮執行宣言」の申立てをすることができます。
※なお、支払督促を受領した後2週間を経過した日から30日以内に申し立てなければ失効します。

申立てされた仮執行宣言は裁判所で審査され、問題がなければ「仮執行宣言付支払督促」を債務者に送達するのです

用語集

仮執行宣言とは?

判決が確定する前に強制執行を認める宣言のことです。
本来、裁判で判決が確定するまでは強制執行をすることができません。しかし上訴などによって判決の確定が遅れることから債権者を救済するために、判決が確定する前に強制執行を認めるという制度です

仮執行宣言付支払督促は、財産差押えの強制執行を認めることを宣言する通知です
ここまでくると、債権者は財産差押えの強制執行を行う可能性が高いといえます。

「仮執行宣言付支払督促」の送達を止めるには、支払督促が届いてから2週間以内に返済をするか、異議申立てをするしかありません

異議申立てをすると支払督促申立ては失効し、民事訴訟手続きに移行するため「仮執行宣言」が出されることはありません。

仮執行宣言の申立てが確定し差押えの強制執行をされる

「仮執行宣言付支払督促」が届いた場合でも、受領後2週間以内に異議申立てを行うことで差押えの強制執行を防ぐことができます

しかしこの場面でも異議申立てをしないと、いよいよ財産差押えの強制執行をされる可能性があります

用語集

差押えとは?

借金を返済せずに滞納し続けている債務者(お金を借りている側)の財産を、債権者(お金を貸している側)が強制的に換金・処分をして、回収すること。
借金を滞納した場合の差押えは、民事執行法に規定されています。

差押えの対象になるものには、以下のようなものがあります。

  • 給与の一部
  • 一定以上の現金、預貯金、生命保険など
  • 自動車、バイク、貴金属、骨とう品など
  • 土地、建物などの不動産

給与は、強制執行において差押えされやすいものといえます
とはいっても、全額が差押えられてしまうわけではありません。

借金の滞納によって差押えられる金額は、次の2つの金額どちらかが適用されることが定められています。(民事執行法第152条)

  • 税金等を差し引いた給与(手取り)の4分の1(手取りが44万円以下の場合)
  • 給与(手取り)のうち、33万円を超えた分の金額(手取りが44万円を超える場合)

たとえば給与の手取り額が50万円だった場合は、4分の1にあたる12万5,000円ではなく、33万円を超過した分の17万円が差押えの対象になります。

なお賞与(ボーナス)や退職金も差押えの対象です。

差押えの強制執行を止めるには、仮執行宣言付支払督促が届いてから2週間以内に返済をするか、異議申立てをすることとなります

差押えについては、以下の記事で詳しく解説しています。

実話 支払督促~差押えの強制執行を行った方の体験談

債権者(お金を貸した側)として、実際に支払督促から給与差押え(強制執行)を行った方の体験談を紹介します

支払督促が届いても対処せず差押えの強制執行になると、このような事態になるという実例ですので、参考にしてください。

体験談全文はこちら

ご経験者:S様(東京都・女性)

  • 公証役場で強制執行認諾条項入りの公正証書を作成

知人に数百万円のお金を貸していましたが、約束の期日に全く返済されませんでした。

弁護士に相談したら、確実に返済をしてもらうためには「公正証書」を作っておいたほうがよいと言われたので、公証役場へ行き作成しました。

公正証書(金銭消費貸借公正証書)には、以下のような内容を記載しました。

  • その時点の債権額
  • 遅延損害金の利率
  • 期限の利益喪失に関する条項
  • 強制執行認諾文言

その後1年程度は、期日に若干遅れることもあっても返済をしてくれましたが、1年4ヶ月目からまったく返済がなくなりました。

連絡も取れないため実家へ電話をしましたが、本人と話すことができないなど、あまりに誠意のない対応だったため、意を決して強制執行に踏み切ることにしました

  • 相手の勤務先に支払督促を送達し給料差押えを実行

裁判所に申立てをして相手の自宅へ支払督促を送達してもらいましたが、その場所には住んでいないようで裁判所に返送されてしまいました。

そのため「再送達上申書」を裁判所に提出して、相手の勤務先へ再送達してもらいました。

勤務先の方が受け取って本人には届いたはずですが、2週間を経過しても返済もされず異議申立てもないため、2回めの支払督促(仮執行宣言付き支払督促)を勤務先へ送達。

そこには給料差押えをする旨の記載がされていますが、やはりなんの反応もなく2週間が経過したため、給料差押えの強制執行を行うことになりました

この時点の残債は、以下のとおりです、

元金数百万円+遅延損害+執行費用(申立手数料・送達費用)
※金額は実際とは異なります

差押えできるのは給料の1/4と決まっています。しかし相手の給料は「日給月給」で毎月給料が変わるということだったので、差押えの金額も毎月変わってしまいます。

そこで給料と差押えの金額に相違がないことを確認するために、勤務先の人にお願いして相手の給料明細を毎月FAX送信してもらうことにしました。

  • 強制執行されると勤務先にバレて迷惑をかけてしまう

このように給料差押えの強制執行となると、勤務先に借金の額や裁判沙汰になったことが全部バレますし、給料明細には第三者に振込んだ事実が記載されます。

また手続きや毎月の処理などのために、勤務先にかなりの負担をかけてしまいます。多くの人に迷惑をかけてしまいますね。

借りたお金を返さず放置しておくと、こういう事態になることを知っておいてほしいと思います。

支払督促が届いたらどうすればいい?督促異議申立て手続きの書き方と流れ

前述のとおり支払督促が届いたら、返済するか、督促異議申立てをすることになります。

督促異議申立てとは、支払督促に対して「不服がある」と申し出ることです

おもに次のような場合、2週間以内に督促異議申立てをする必要があります。

  • 借金に覚えがない
  • 一括ではなく分割であれば払える
  • 消滅時効が完成している

なお督促異議申立てをすると、支払督促から通常訴訟(裁判)へ手続きが移行します。
裁判の対応に不安がある場合は、このタイミングで弁護士に相談してみましょう

督促異議申立て手続きの方法や流れを、以下で説明します。

2週間以内に裁判所へ督促異議申立書を提出・郵送する

異議申立てをする場合は、簡易裁判所からの支払督促を受領したら、受領日から2週間以内に「督促異議申立書」を裁判所へ提出します

督促異議申立書の用紙は、支払督促の書類と一緒に同封されています。もし同封されていない場合は、裁判所の窓口でもらうことができます。

督促異議申立書に記載するおもな内容は、次の通りです。

  • 債務者の氏名・住所・電話番号
  • 支払督促に対する言い分、返済方法の希望
  • 今後の書類の送付先などの質問に対する回答

など

督促異議申立書の提出は郵送でも可能です。

督促異議申立てをすることで、支払督促から民事訴訟の手続に移行します。

督促異議申立書の書式例

督促異議申立書

出典:東京簡易裁判所

受領日から2週間の数え方とは?

前述したとおり、異議申立てをする期限は支払督促の受領日から2週間以内と定められていますが、これは郵便職員から支払督促郵便を受け取った日からカウントされます

支払督促は特別送達という特別な郵便で届きますが、特別送達は受け取り拒否ができません

それでも受け取りを拒んだ場合は、郵便職員がその場に郵便物を置いていくことで送達したものとみなされます。本人以外の同居人などに渡すことでも送達されたとみなされ、その日からカウントが開始されます。

不在の場合や居留守を使った場合は郵便局で1週間保管されますが、その後は裁判所へ返送されます。

自宅へ届けられない場合は職場へ届けられる場合もあり、職場の人が受け取った場合は、その日からカウントが開始されることになります。

このように、特別送達で送付された支払督促は「受け取っていない」という言い訳ができないのです

続きを読む

(補充送達及び差置送達)
第106条 就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。(後略)

2 就業場所(中略)において送達を受けるべき者に出会わない場合において(中略)書類の受領について相当のわきまえのあるものが書類の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に書類を交付することができる

3 送達を受けるべき者又は第一項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる

出典:e-GOV法令検索「民事訴訟法」

消滅時効が成立している場合は督促異議申立書に記載して申し立てる

借金の返済には時効(消滅時効)があります。
消滅時効が成立している場合は、借金の返済義務が消滅する可能性があります

時効の条件は、最後の取引から5年または10年が経過していることです。

2020年3月31日以前に借り入れた場合の時効期間は5年ですが、民法の改正に伴い2020年4月1日以降の借し入れに関しては債権者に関係なく、次のうちいずれか早い方が適用されます。

  • 権利を行使することができるときから10年間
  • 債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間

借金の消滅時効については以下の記事で詳しく解説しています。

しかし、時効期間を過ぎても支払督促を申し立てる債権者は存在します。
時効は「時効の援用」を主張しないと認められない手続きであるためです。

時効期間が経過している場合は、督促異議申立書に「消滅時効を主張する」と記載して、異議申立てをしましょう

時効が認められれば支払督促が取り下げられ、裁判所から「取下書」が送られてくることもあります。

時効の援用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

債務整理を検討する

ここまで説明したとおり、支払督促が届いたら迅速に対応しないと、財産の差押えがなされてしまいます。

どうしても返済が難しい場合は、このタイミングで「債務整理」をすることで解決できる場合があります

債務整理は、借金を減額・免除などができる交渉や手続きのことで、おもに以下の3種類の方法があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

以下で詳しく説明します。

債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。

債権者と交渉して将来利息を減らしてもらう任意整理

「任意整理」は、債権者と直接交渉を行うことで、和解締結後の将来に発生する利息の軽減や過払い金の返還などを求める方法です

将来利息を減らしてもらい、かつ分割回数の増加を図ることで毎月の返済額が少なくなる可能性があり、一般的に3~5年程度かけて返済していくことになります。

任意整理のイメージ

任意整理について詳しくは以下の記事もご参照ください。

借金を1/5~1/10程度に減額可能な個人再生

「個人再生」は、借金総額をおよそ1/5~1/10程度に減額してもらい、原則3年間(最長5年)で返済する方法です

民事再生手続きの中の一つで、裁判所に申立てをし、再生計画の認可決定を受けることで借金を減額してもらう解決方法です。

また「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を利用することで、マイホームを手放さずに借金を減らせる可能性がある点が自己破産との大きな違いとなります。

個人再生の住宅ローン特則については以下の記事で詳しく解説しています。

個人再生のイメージ

個人再生について詳しくは以下の記事もご参照ください。

裁判所を介してほぼすべての借金の返済が免除される自己破産

「自己破産」とは裁判所を介して、一部の債務を除きすべての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう解決方法です

残っている借金は、税金や養育費などの非免責債権を除いてほぼ全額免除(免責)になります。

一方で住宅や車などを回収・処分されるというデメリットもあります。

自己破産を行った場合、家や車などの財産は基本的に手元に残せませんが、生活に必要な最低限の現金や生活必需品は手元に残すことが可能です。

自己破産のイメージ

自己破産について詳しくは以下の記事もご参照ください。

支払督促や債務整理についての相談は弁護士法人・響へ

弁護士法人・響では、借金問題や債務整理に関する相談を無料で受け付けています

特に支払督促が届いている場合は、迅速な対応をいたします。

異議申立てを行い裁判へ移行する場合は、裁判で債権者へ分割払いの交渉をするなどのサポートも可能です。

また債務整理をご希望の場合は、借金や収入の額などから適切と思われる債務整理をご提案し、手続きや交渉のほとんどをお任せいただけます

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  • 相談は何度でも無料

*2022年11月1日現在

まとめ
  • 支払督促が裁判所から届いたら注意が必要
    ・支払督促は、簡易裁判所が金銭の返済を命じる法的な手続き
    ・支払督促が届いても返済せず異議申立てもしないでいると、財産差押えの強制執行となる場合がある
  • 支払督促を悪用した詐欺も発生している
  • 支払督促が届いた場合の対処法
    ・2週間以内に異議申立てを行う
    ・消滅時効が成立している場合は督促異議申立書に記載して申し立てる
    ・債務整理を検討する
  • 支払督促や債務整理についての相談は弁護士法人・響へ
弁護士法人・響に相談するメリット
  • 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
  • 今お金がなくても依頼可能!
  • 相談は何度でも無料
  • 最短即日!返済ストップ
監修者情報
監修者:弁護士法人・響弁護士
宮澤 謙太
弁護士会所属
第二東京弁護士会所属(第60942号)
出身地
埼玉県
出身大学
一橋大学法科大学院
保有資格
弁護士
コメント

[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
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