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任意整理とは何か?メリット・デメリット、その後の生活への影響まで徹底解説

2021.02.22 2021.09.22

監修者情報
監修者:弁護士法人・響 弁護士
島井 伸仁
弁護士会所属
東京第二弁護士会 第59432号
出身地
奈良県
出身大学
関西大学社会学部 大阪大学法科大学院
保有資格
弁護士
コメント
ご依頼者の抱える問題が一歩でも解決に進むように日々職務に努めております。

任意整理をすると、どのぐらい借金が減るの?
任意整理をしたら、普通の暮らしに戻れる?

任意整理は、借金問題を解決する「債務整理」の手段の1つです。

借金の元本は減りませんが、将来利息を減額またはカットし、新たな返済計画を立てることで、月々の返済負担を軽くします

弁護士や司法書士などの専門家に手続きを依頼すれば、借入先からの督促や取り立てからも解放されます。

同じく債務整理の手段である「個人再生」や「自己破産」に比べ、デメリットが少ないことも特徴の1つ。

自動車や住宅などを手放す必要もありません。

そのため、債務整理をする人の大半が任意整理を選んでいます。

本記事では、任意整理のメリット・デメリットや、生活に与える影響などを、詳しく解説していきます。

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目次

任意整理とは?どんなメリット・デメリットがあるの?

任意整理とは、返しきれないほどに膨らんだ借金を、無理なく返せるよう借入先と交渉することをいいます。

任意整理をすると、多くの場合では

  • これから払う利息(将来利息)を減額またはカット
  • 遅延損害金をカット

した上で、3年(最大5年)の分割返済が可能となります。

任意整理は、自己破産、個人再生と並んで、借金問題を解決する「債務整理」の手段の1つです。

なかでも生活への悪影響が少ない任意整理を選ぶ人が多く、年間200万人以上が任意整理をしていると推計されています。

債務整理の利用者数
名称 利用者数
任意整理 200万人以上(推計値)
個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生) 1万2,841人
自己破産(個人のみ) 7万1,678人

出典:「令和2年 司法統計年報概要版」最高裁判所事務総局

以下、任意整理とメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。

任意整理の4つのメリット

任意整理の主なメリットは、以下の4点です。

(1)借金の返済が楽になる
(2)督促・取り立てがストップする
(3)家族や会社にバレにくい
(4)家や車など財産を残せる

(1)借金の返済が楽になる

任意整理をすると、これから支払う利息(将来利息)を減額またはカットできる可能性があります

任意整理したからといって元金は減額されないため、「任意整理をしても意味がない」と思う人もいるかもしれませんが、それは誤りです。

以下のように返済総額は大幅に減ります。

たとえば、200万円の借金を任意整理した場合、将来利息の約104万円をカットし、5年の分割払いにできる可能性があります。

また、月々の返済金額の見直しも可能です。

先の例でいうと、月々の返済額は4万2,290円から3万3,333円に減り、約9,000円の減額となります。

そもそも借金返済に困っている人は、利息を払うことが難しく、完済というゴールが見えなくなっているケースが多いでしょう。

特にクレジットカードなどのリボ払いは元金がなかなか減らない仕組みになっており「返済できるのは利息分だけ」「払っても払っても返済が終わらない」事態に陥りがちです。

任意整理をすれば、これまで利息の返済にあてていた金額を、元金の返済に充てることが可能になります。

つまり、払った分だけ借金が減り、月々の返済金額を減らせるようになるのです。

なお、過払い金がある場合は、過払い金請求によって借金の元金を減額できる可能性もあります

過払い金とは消費者金融やキャッシングの返済で「払いすぎたお金」のこと。

具体的には2010年6月17日以前から借り入れを始め、金利が20%を超えていた場合、過払い金の対象になる場合があります。

ただし、過払い金の返還請求をするには、「返済から10年以上が経過していない」など、一定の条件を満たさないといけません。

過払い金については下記の記事で詳しく説明しています。
過払い金とは?

(2)督促・取り立てがストップする

借入先からのしつこい督促・取り立てを止められるのも任意整理のメリットです。

弁護士など専門家に債務整理を依頼すると、受任通知が借入先(債権者)に送られ、受任通知が債権者に届いた時点で督促や取り立てがストップするのです

これにより、一時的ではありますが返済のプレッシャーから解放されます。

受任通知とは、専門家が任意整理をすることを借入先に知らせる通知のことです。

受任通知には法的な効力があり、受任通知が届いて以降、借入先は電話・郵便・訪問などによる取り立てが一切できなくなります(貸金業法21条)。

貸金業法

第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。

 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

出典:貸金業法|e-Gov法令検索

(3)家族や会社にバレにくい

任意整理は他の債務整理方法に比べ、家族や勤務先に知られにくいとされています。

理由の1つは、裁判所を介さず、お金を借りた人(債務者)と貸した側(債権者)が直接交渉する方法だからです

家計の収支を確認する経緯で家族に知られる、退職金の金額を確認する際に勤務先にバレるといったことがありません。

自己破産や個人再生と違い、官報にも掲載されません。

弁護士や司法書士に依頼すれば、借入先から家に届く督促状も止められます。

事務所からの郵便物などがきっかけで知られるリスクはありますが、依頼する際に「周囲に知られたくない」と伝えれば配慮してもらえます。

(周囲に知られやすい状況の有無
任意整理個人再生自己破産
裁判所への出廷×
不要

必要

必要
家族・勤務先の協力が必要な書類×
不要

必要

必要
官報への掲載×
なし

あり

あり

(4)家や車など財産を残せる

特別な事情がある場合、任意整理をする借金と、しない借金を選べるのも、メリットの1つです

例えば、「ローン支払い中の車を手元に残したい」場合は、カーローンを任意整理から外せば、車を手放さずに済みます。

(手続き対象と家・車の処分の必要性
任意整理個人再生自己破産
債権者の選択
可能
×
不可能
×
不可能
持ち家の処分×
住宅ローンを対象から外すことで回避可

「住宅ローン特則」を利用することで回避可

必要
車の処分×
自動車ローンを対象から外すことで回避可

自動車ローンを完済していれば残せる

20万円以上の価値があれば処分

任意整理によって起こるデメリットはほとんどない

任意整理の唯一ともいえるデメリットは、信用情報機関によっては事故情報として登録されてしまう可能性があることです

いわゆる「ブラックリストに載った」状態になるのです。

事故情報の掲載期間は、信用情報機関によって異なりますが、おおむね完済から5年とされています。

もっとも、ほとんどのケースでは任意整理をする前に事故情報に登録されています

借金を長期延滞(返済を61日以上または3ヶ月以上延滞)した段階で、事故情報が登録される可能性が高いのです。

したがって、任意整理をすることで新たに生じるデメリットはほぼないといえます。

信用情報機関別ブラックリスト掲載期間

<延滞>
信用情報機関登録期間
株式会社日本信用情報機構(JICC)・契約日が2019年10月1日以降
契約継続中および契約終了後5年以内(※)
・契約日が2019年9月30日以前
延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間
株式会社シー・アイ・シー(CIC)契約期間中および契約終了後5年以内
全国銀行個人信用情報センター契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間

※包括契約について次のどちらかに該当するときは、契約終了後5年を経過したものとみなされる。
① 残高「0円」となる入金後、解約することなく残高「0円」のまま5年を経過した場合(延滞解消または取引事実に関する情報が付帯している場合を除く。)
② 契約後、一度も残高が発生することなく5年を経過した場合

<任意整理>
信用情報機関登録期間
株式会社日本信用情報機構(JICC)・契約日が2019年10月1日以降
契約継続中および契約終了後5年以内(※)
・契約日が2019年9月30日以前
当該事実の発生日から5年を超えない期間
株式会社シー・アイ・シー(CIC)掲載されない
※ただし、保証会社により代位弁済が行われた場合は、契約終了後5年まで登録される
全国銀行個人信用情報センター掲載されない
※ただし、保証会社により代位弁済が行われた場合は、契約終了後5年まで登録される

続いて、任意整理後の生活についてもう少し詳しく見ていきましょう。

任意整理後の生活はどうなる?

任意整理をすると、その後どんな生活が待っているのでしょうか。

結論からいうと、任意整理の前後で生活が大きく変わることはありません

ただし、将来利息を減額またはカットした分、月々の返済負担が軽くなります。

また、信用情報に事故情報が載っている間は新たな借入が難しくなる点などは、注意が必要です

以下、詳しく解説していきます。

ブラックリスト期間中の生活への影響

信用情報機関に事故情報が掲載されている間、「できなくなること」がいくつかあります

具体的には、次の通りです。

  • クレジットカードの新規作成・利用が難しくなる
  • ローンやキャッシングといった新たな借入が難しくなる
  • 携帯電話・スマホの分割払いができない場合がある
  • 賃貸住宅の契約ができない場合がある
  • 連帯保証人・保証人になれなくなる

以下でさらに詳しく見ていきましょう。

(1)クレジットカードの新規作成・利用が難しくなる

ブラックリストに載ると、クレジットカードの新規作成が難しくなります。

新たに申し込んだとしても、多くの場合は審査落ちになるのが現実です

また、任意整理をしたクレジットカードは使用できなくなります。

任意整理していないカードも、更新時等に与信審査が行われるため、やがて使えなくなります

いずれのケースでも、それまで貯まっていたポイントは失効します。

クレジットカードに附帯しているETCカードも使えなくなるので注意しましょう。

なお、携帯電話各社(ドコモ、au、ソフトバンク)などが提供しているキャリア決済は、信用情報と関係なく引き続き利用できます。

そのほか、

  • 購入時に即銀行口座から引き落とされる「デビットカード」
  • 事前入金制の「プリペイドカード」
も同様に使えます。

また、自分の事故情報が家族に影響を及ぼすことはないため、家族が契約したカードの「家族カード」を利用する手も残っています。

(2)ローンやキャッシングといった新たな借入が難しくなる

車のローン、カーローン、住宅ローン、カードローンなど、新たなローンやキャッシングができません。

再び借入ができるようになるのは、約5年間のブラックリスト掲載期間が過ぎてからです

(3)携帯電話・スマホの分割払いができない場合がある

ブラックリストに乗っていると、携帯電話・スマホの分割払い契約が難しくなります。
機種変更したい場合は、一括払い等を余儀なくされる可能性があるでしょう。

ただし、過去に利用料金の滞納がない場合は、10万円以下の機種に限り、分割払いにできるケースもあるようです

(4)賃貸住宅の契約ができない場合がある

ブラックリストに載ったからといって「引っ越しができない」わけではありません。

賃貸住宅の契約や更新にあたって、信用情報は問われないためです。

しかし、賃貸借契約を結ぶ際に保証会社をつけるよう求められるケースや、家賃をカード払いにするケースでは、事故情報を理由に賃貸借契約を断られる可能性があります

すでに賃貸住宅に住んでいる場合も、ブラックリストに載ったことを理由に部屋を退去させられることはありません。

ただし、滞納した家賃を任意整理すると、賃貸住宅を追い出される可能性が高くなります。

(5)連帯保証人・保証人になれなくなる

ブラックリストに載っている間は、連帯保証人・保証人になれません

例えば子どもが奨学金を申請しても、親がブラックリストに載っていると保証人になれず、奨学金を受けられません。

親の借金問題が家族に影響を及ぼしてしまうケースです。

ただし、任意整理をしていない側の親に安定収入が見込めるなら、そちらを連帯保証人として申し込めば、奨学金の審査に通る可能性はあります。

任意整理後の返済

任意整理後は、原則3年の分割払いによって毎月の返済を行います

たとえば、200万円の借金があるなら、毎月4万円前後の返済が目安です。

逆に返済余力がある場合は、一括返済や繰り上げ返済も可能です。

返済方法は

  • 自分で借入先に振り込む
  • 弁護士・司法書士に返済を代行(弁済代行)してもらう

のいずれかを選択します。

返済を代行してもらう場合は、法律事務所と相談し設定した予定額を、事務所に振り込んでおくことになります。

ただし、返済代行をしてもらうには1,000円前後の手数料がかかるのが一般的です。

残額を知りたい場合は、任意整理の手続きを依頼した弁護士や司法書士に確認すれば、教えてもらえます。

実際はどう?任意整理した人の体験談を紹介

では、実際に任意整理で借金問題を解決した人のエピソードを見てみましょう。

Aさん(30代・女性)のケース
任意整理前後の返済総額285万円→230万円
任意整理前後の月返済額18万円→5万円

過去に精神科に通うほどの買い物依存症になり、自転車操業になっていました。夫も買い物依存を知っているので何度か注意されていますが、内緒でいくつものクレジットカード会社から借金をしていました。返済総額が300万円弱くらいまで膨らみ、いつ夫にバレてもおかしくないという不安から弁護士事務所に相談しました。
スタッフの皆さまのおかげで家族に内緒で手続きをすることができ、無事に完済ができそうです。夫に黙ったまま借金を積み上げていたら離婚するしかなかったかもしれないと思うと、もう絶対に借金はしたくありません。

Bさん(60代・男性)のケース
任意整理前後の返済総額 370万円→300万円
任意整理前後の月返済額 22万円→5万2,000円

車を購入した矢先にコロナの影響で収入が減り、リボ払いも使っていたので、なかなか元金が減らず利息ばかりを支払っている状態が続いて悩んでいました。月の返済額だけでもなんとか減らしてもらえないかという一心で弁護士事務所に相談しました。任意整理をする前は、「コロナで収入が減ったしこの先どうなるんだろう」「家族や会社にバレてしまうかもしれない」「破産するしかないのか」といった悩みで苦しかったですが、今はこうした悩みが払拭できてホッとしています。これからは毎月の返済のみちゃんと支払っていこうと前向きに考えています

Cさん(20代・女性)のケース
任意整理前後の返済総額 270万円→220万円
任意整理前後の月返済額 12万円→4万6,000円

20代前半に結婚したのですが、ショッピングや日頃の浪費で夫と合わせて借金の返済総額が270万円にもなっていました。当時夫は転職活動中で家の収入は私の給料15万円と夫のアルバイト代5万円のみでした。どう考えても毎月の返済額が足りないので、このままどうなってしまうのだろうと不安な気持ちでいっぱいでした。借金を減らす方法を調べ、弁護士事務所にメールで問い合わせをし、すぐに相談・手続きをお願いしました。若いうちに借金完済の目処がたって本当に良かったです。今後は夫にも生活費を入れてもらえるように話が進んでいるので、二人で協力して返済を続けていきます。

どんな状況の人が任意整理すべきか

ここまで、任意整理のメリット・デメリットと、任意整理後の生活についてお話してきました。

それでは、どんな人が任意整理に適しているのでしょう。

「借金額が〇〇円以上で任意整理ができる」といった明確な基準は設けられていませんが、自力での返済が難しい場合は、任意整理を検討する価値があります

以下、詳しく見ていきましょう。

任意整理を検討する目安

任意整理を検討する際の目安は、「自力での返済が難しいかどうか」です。

例えば、以下のいずれかに当てはまる場合が該当します

  • 借金額が年収の3分の1を超えている
  • 低収入・収入の減少で借金をしている
  • ショッピング・ギャンブル・遊びのために借金している
  • 複数の金融業者から借金している
  • 利用限度額いっぱいまでカードを使っている

いずれも、最初のうちは返済できたとしても、長期にわたって苦しい生活を強いられるため、完済まで至らないケースが少なくありません。

任意整理の条件

冒頭で触れたように、債務整理とは、借金を無理なく返せるよう借入先の金融機関などと交渉する手続きです。

その交渉の際、債権者が任意整理に応じてくれるかどうかはいくつかの条件で決まります。

また、任意整理の対象となるのは、借金のみであり、そのほかの支払義務は残る点は、注意が必要です。

無職の場合は任意整理できない

任意整理をする場合、原則的に以下の条件を満たしている必要があります

(1)安定した収入がある

任意整理をした後も返済は続いていくため、安定収入は不可欠です。

そのため、無職の人や生活保護の人は、任意整理できない場合があります。

(2)原則3年(最長5年)で返済できる

任意整理後は原則3年、最長5年以内に借金を完済しなければなりません。

つまり、3年で返済する場合は合計36回、5年で返済する場合は合計60回の支払いが発生する、ということです。

となると、やはり安定収入が欠かせません。

(3)返済する意思がある

任意整理の手続き中に、借金の返済が遅れたり滞ったりすると、「返済の意思がない」と見なされ、一括請求されるおそれがあります。

任意整理の対象となるのは借金のみ

任意整理の対象となる主な借金は、以下の通りです

  • クレジットカードの利用額(ショッピング・キャッシング)
  • 各種ローン(消費者金融ローン、銀行ローン、自動車ローン、住宅ローン)

一方、以下の支払は「非免責債権」と呼ばれ、任意整理をしても支払義務は残ります。

  • 税金
  • 健康保険料
  • 年金保険料
  • 罰金
  • 養育費・教育費

借金総額や財産の有無によっては他の債務整理方法がよいケースも

自力での借金返済が難しい場合、借金総額や財産の有無などによっては、任意整理ではなく「個人再生」または「自己破産」が適しているケースもあります。

安定した収入があり借金総額が多い人は個人再生が向いている

個人再生とは、債務者(借りた側)に返済不能のおそれがあることを裁判所に申立て、再生計画の認可決定を受けることで借金を減額してもらう手続きです

任意整理は利息のみが減額され借金の元金はそのままでしたが、個人再生は借金総額を5分の1から10分の1程度に減額できる点がメリットだといえます。

したがって、任意整理では支払えないほど借金が多く、安定した収入がある人には個人再生が適している可能性があります。

ローン支払い中の持ち家を手放したくないという人にも向いているでしょう。

ただし、家計収支表や退職金見込額証明書が必要であり、家族や勤務先にバレてしまうリスクは高くなります。

なお、任意整理の手続き中であっても、

  • 安定収入がある
  • 住宅ローンを除く借金総額が5000万円以下

といった条件を満たしていれば、個人再生に切り替えることも可能です。

任意整理と個人再生の違い
任意整理個人再生
借金の減額幅利息・遅延損害金のカット借金総額を1/5〜1/10程度にカット
裁判所への申立て不要必要
手続き費用借入先1社につき5〜10万円が相場
※弁護士費用のみ
70〜80万円以上
※裁判所費用と弁護士費用の合計
手続き期間3〜6ヶ月程度1〜1年半程度
財産の処分原則不要原則不要
保証人への影響保証人付きの債務を対象から外せばなし減額分は保証人が請求される
ブラックリスト期間5年程度5〜10年程度
官報への掲載なしあり

「個人再生」については以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生とは?」

任意整理では問題解決できない場合は自己破産を検討

自己破産とは、一部の債務を除いてすべての借金の支払義務を免除(免責)される手続きです

借金の減額幅が最も大きい債務整理の手続きですが、

  • 住宅や自動車は原則として手放さなければならない
  • 官報に名前や住所が掲載される
  • 手続き中に一部の資格・職業の制限がある

などデメリットも大きいという特徴があります。

したがって、返済できないほどの借金を抱えており、任意整理では解決できそうにない場合は、自己破産を検討するとよいでしょう。

自己破産も任意整理からの切り替えが可能です。

任意整理と自己破産の違い
任意整理自己破産
借金の減額幅利息・遅延損害金のカットすべての借金の返済義務がなくなる
裁判所への申立て不要必要
手続き費用借入先1社につき5〜10万円が相場
※弁護士費用のみ
50万円以上
※裁判所費用と弁護士費用の合計
手続き期間3〜6ヶ月程度6〜12ヶ月程度
財産の処分原則不要一定以上の価値があるものは処分
保証人への影響保証人付きの債務を対象から外せばなし保証人に返済義務が移る
ブラックリスト期間5年程度5〜10年程度
官報への掲載なしあり

「自己破産」については以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産とは

任意整理の流れ

任意整理の基本的な流れは以下の通りです。

なお、手続きの途中であれば取り消しができますが、専門家が辞任すると借入先から一括請求されることになります。

(1)専門家に相談・依頼

まずは任意整理の手続きを依頼する専門家を探します。

借金総額や1ヶ月の収支を確認した上で、

  • 任意整理が可能かどうか
  • 交渉する借入先(債権者)

などを専門家の手を借りながら判断します。

正式に依頼する場合は、委任契約を締結します。

依頼する際に必要な持ち物は以下です。

  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • クレジットカードやキャッシュカード

(2)受任通知の送付(即日〜3日程度)

弁護士や司法書士と契約すると、「受任通知」が借入先(債権者)に送付されます。

受任通知が債権者に届いた段階で、借金の督促や取り立てがストップします

同時に、債権者に取引履歴の開示を依頼します。

(3)利息の引き直し計算(1ヶ月〜2ヶ月半程度)

専門家は、1〜2ヶ月ほどかけて、借入先(債権者)から開示された取引履歴をもとに現状の借金額(債務額)を調査します

その際、利息制限法という法律に基づいた金利で利息を再計算する「引き直し計算」を行います。

過払い金(払いすぎた利息)の有無をチェックするためです。

引き直し計算自体は、債権者数にもよりますが一般的には1〜2週間程度で完了します。

(4)各借入先と交渉(3ヶ月程度)

利息の引き直し計算によって判明した正確な借金額をもとに、専門家が借入先(債権者)との和解交渉を行います

具体的には、将来利息・遅延損害金の減額(カット)や、原則3年の分割払い等です。

(5)各借入先と和解成立(即日)

各借入先(債権者)と和解に至れば、合意書を作成し、任意整理の手続きは終了です。

(6)返済の再開〜完済(3〜5年程度)

各借入先(債権者)と和解した条件にもとづき、返済を再開します。

任意整理の費用

任意整理は裁判所に申し立てる費用が不要のため、手続きを自分の手で行うなら、費用は送付書類の郵送代等のみで済みます。

ただし現実には、債務整理の手続きは複雑で手間がかかることから、弁護士・司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

専門家に依頼する場合は、以下の費用がかかります。

任意整理にかかる費用の例
費用の種類内容金額の目安
相談料法律相談をする際に支払う費用1時間につき1万円程度(無料の場合もあり)
着手金専門家に依頼する段階で支払う費用1社あたり2〜5万円程度(無料の場合もあり)
報酬金借金を減額できたときに支払う費用1社あたり2万円以下が原則。
※商工ローンは5万円以下
減額報酬借金の減額幅に応じて支払う費用減額分の10%以下
過払金報酬金過払い金の回収に成功した際に支払う費用・交渉の場合:回収額の20%以下
・裁判の場合:回収額の25%以下

借入先が1社の場合、5〜10万円程度が相場といわれています。

こんなにお金がかかるのかと不安に思う人もいるかもしれません。

しかし、安心してください。

借金の返済に苦しんでいる人が今すぐ債務整理の費用を払えないであろうことは、弁護士・司法書士も十分に理解しています。

そのため分割払いや後払いなど、1人ひとりの経済的な事情に合わせた支払方法を提案してくれる事務所がほとんどです。

どうしても支払が困難な場合は法テラスも選択肢の1つです。

法テラス(日本司法支援センター)は借金問題を含むさまざまな法的トラブルを対象に専門家が無料の法律相談に応じてくれる機関です。

法テラスには「民事法律扶助制度」があり、収入や資産が一定額以下であれば

  • 3回まで法律相談が無料
  • 弁護士費用の立て替えが可能

になります。

ただし、担当してくれる弁護士は選べず、債務整理経験が豊富な弁護士が担当になるとは限りません。

任意整理の費用については、以下の記事で解説しています。
「任意整理費用の相場は?お金がなくて払えない場合の対処法まで解説」

任意整理にかかる期間

任意整理の手続にかかる期間は、3~6ヶ月程度が目安です

債務整理の中では、もっとも期間が短く済みます。

ただし、

  • 借入先が交渉に応じてくれない場合
  • 和解になかなか至らない場合

はもっと時間がかかります。

とはいえ、専門家に手続きを依頼していれば、借入先からの督促や取り立ては止まっているはず。

落ち着いて待ちましょう。

任意整理の注意点

そのほか、任意整理をするにあたって覚えておきたい注意点を紹介します。

(1)任意整理の手続き中の借入はリスクが高い

中小の金融業者は借入条件が柔軟に設定されているため、任意整理している人も借入ができる可能性があります。

ただし、任意整理中の借入には、次のようなリスクがあります

●借入先と交渉が難航する

生活を再建する意思がないと判断されることがあります。

●依頼した専門家が辞任する

任意整理中に借入すると、借金額の計算や資料作成がやり直しになり、手続きが進めにくくなります。

●ヤミ金融から借金してしまうことがある

借入先が見つからず、「ブラックでもOK」などとうたうヤミ金融にうっかり手を出してしまうおそれがあります。

債務整理後、どうしても生活に困った場合は、公的機関の制度を頼ることをおすすめします。

(2)保証人ありの借金を任意整理すると連帯保証人や保証人に請求が及ぶ

保証人がいる借金を任意整理する場合、連帯保証人・保証人が借入先(債権者)からの取り立てを受けることになります

借入先からの請求が連帯保証人・保証人に行く、ということです。

そのため、保証人への影響を避けたい場合は、保証人がついた借金を債務整理の対象から外す対応をするのが一般的です。

債務整理の対象から外せば、保証人が債権者から請求されることはありません。

(3)任意整理の対象・関連の口座が一時的に凍結されることがある

銀行のローンを任意整理すると、同じ銀行の口座が凍結される可能性があります

消費者金融のローンでも、借入のある銀行の保証会社になっている場合は注意が必要です。

たとえば、アコムと三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」に借入がある場合、アコムの借金を任意整理すると三菱UFJ銀行の銀行口座が凍結されるおそれがあります。。

口座が凍結されると3ヶ月程度はすべての取引ができません。

給与の振込先、公共料金の口座振替先に設定している場合は、任意整理の手続き前に変更の対応をしておくとよいでしょう。

(4)任意整理前に裁判を起こされた場合は条件が厳しくなる

任意整理前や任意整理中に、借入先から借金の支払いを求める訴訟を提起された場合、和解交渉の条件が厳しくなる可能性があります。

裁判のためにかけた費用や手間を取り返したいと、借入先が考えるためです。

また裁判を起こされたのち「裁判上の和解」となると、和解の通りに返済をしない場合、差押えなどの強制執行が可能となる点は、注意が必要です。

万一、裁判所から書類が届いた場合は、速やかに弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

任意整理中の場合も、答弁書の提出や出廷などの対応をしてくれます。

任意整理後に払えなくなったら

任意整理後に返済が難しくなり、滞納してしまった場合はどうすればよいのでしょう。

これは、滞納期間や状況によって取るべき対応が異なります。

滞納期間が2ヶ月を越えると借入先から一括請求される

任意整理後に滞納してしまった際は、どれくらい滞納したかにより影響が異なります。

(1)滞納期間が2ヶ月以内

数日遅れの範囲であれば、一括請求されることは通常ありません

とはいえ、できるだけ早く借入先に連絡を入れ、返済しましょう。

(2)滞納期間が2ヶ月以上

多くの場合は2回の延滞(2ヶ月以上の滞納)で、借入先から一括請求されることになります

滞納機関が2ヶ月を過ぎ、借入先から一括請求をされた場合の選択肢は、

  • 再和解
  • 追加介入
  • 任意整理以外の債務整理

の3つです。

再和解は、再び任意整理を行うことです。

しかし、1回目と同じ条件で和解ができるとは限りません。

毎月の返済額が上がる、返済期間が短くなるなど、より悪い条件を飲まざるをえないことがあります。

再和解をしても返済が難しいようなら、追加介入を検討します。

追加介入とは、最初の任意整理では対象にしていなかった債権者も任意整理の手続を行うことをいいます。

いよいよ任意整理で解決できないなら、個人再生や自己破産への移行を検討しなければなりません。

今月だけ払えない場合は借入先に連絡を

一回支払いが遅れる程度でも、すぐに借入先に連絡して事情を説明しましょう。

また、いつまでに払えるのかを伝え、借入先の了解を得ます。

滞納を放置せず、誠実に対応すれば、一括請求を求められることは、まずありません

任意整理は自分でできる?依頼するならどこがいい?

任意整理の手続きは、債務者自身が行うこともできますが、大半のケースでは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しています。

以下で詳しく説明していきます。

自分で任意整理を行うとリスクや負担が大きい

任意整理の手続きを自分で進めること自体は可能です。

しかし、債権額の調査や引き直し計算、借入先との直接交渉など、手続きはどれも複雑で、債務者に大きな負担がかかります。

さらに、借入先(債権者)にまともに取り合ってもらえなかったり、結果として不利な条件で和解契約することになってしまったりするケースも多いのです。

さらに弁護士・司法書士に依頼しない場合、借入先と交渉している間も督促が続き、返済を続けなくてはなりません。

したがって、現実には専門家の手を借りるケースが大半です。

任意整理を自分で行うデメリットについては、以下の記事で解説しています。
任意整理は自分一人でもできる?

弁護士や司法書士など専門家に依頼するメリット

一方で、専門家に依頼するメリットには次のようなものがあります

  • 金融業者との交渉に長けている
  • 任意整理の手続きを任せられる
  • 受任通知の送付で督促・取り立てがストップする
  • 状況に合った債務整理方法を提案してもらえる

弁護士と司法書士の違い

任意整理を依頼できるのは、弁護士と司法書士ですが、その内容には細かな違いがあります。

(1)弁護士
弁護士は、債務整理全般の業務を取り扱うことができます。

債務額の制限はないため、借金額が多い場合も代理人として対応可能

個人再生や自己破産に手続きを切り替える場合も、手続きのほとんどを任せられます。

(2)司法書士
司法書士の場合も任意整理を取り扱うことは可能です。

ただし、債権者1社につき140万円を超える場合は対応できません

また、自己破産や個人再生を行う場合は、書類作成など一部の業務に限定されます。

依頼先選びのポイント

それでは、どのような基準で依頼先を選べばよいのでしょうか。注目したいのは、次の3点です。

(1)任意整理の実績

弁護士や司法書士のなかにも、債務整理を得意とし、実績を積んだ専門家と、そうでない人がいます。

任意整理を検討している場合は、債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士・司法書士に依頼したほうがスムーズです。

(2)任意整理にかかる費用

費用面では、弁護士に比べて司法書士のほうが安い傾向にあるといわれていますが、事務所によって費用設定が異なります。

相談の際に総額の見積もりをもらい、いくつかの事務所を比較検討するとよいでしょう

費用が明確か、後払い・分割払いに対応しているかも判断するポイントとなります。

(3)信頼性

専門家に相談する際には、以下のポイントを確認し、信頼できる人かどうかを見極めることが大切です

  • 弁護士や司法書士本人が対応してくれるか
  • 途中で担当者が変わらないか
  • 自分の悩みをしっかり聞いてくれるか
  • 理解できるまで丁寧に説明してくれるか
  • デメリットやリスクも教えてくれるか

万一、弁護士・司法書士と信頼関係が築けなかった場合は、任意整理中に解任することも可能です。

ただし、すでに支払った相談料や着手金は戻らず、新たに依頼する専門家にも改めて支払わなければなりません。

だからこそ、最初の段階で信頼できる専門家を選ぶことが大切です。

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[設立]
2014年(平成26年)4月1日
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