「過払い金って本当に戻ってくるの?」
「請求してもデメリットはない?」
過払い金とは、貸金業者などへの返済において、払いすぎたお金(法律で定める条件を超える利息分)のことです。
以下の条件に該当していれば、返還を求めることができます。
- 「2010年6月17日以前」に貸金業者からグレーゾーン金利で借り入れた
- 最終取引から10年未満(時効を迎えていない)
過払い金の返還請求は正当な権利ですので、大きなデメリットはありません。
ただし、現在返済中で、過払い金の返還後も借金が残る場合は、信用情報機関に事故記録が残ります。
この記事では、過払い金返還請求をするための条件や、請求時の注意点などについて解説します。実際に返還された事例についても紹介していますので、参考にしてください。
現在、過払い金返還請求を検討されている方は、弁護士法人・響にご相談ください。これまでに、返還実績が3,000件以上(2023年8月時点)あり、交渉ノウハウも豊富にありますので、スムーズに返還してもらえる可能性があります。
目次
過払い金とは?
過払い金とは、貸金業者などへの返済において、払いすぎたお金のこと。
具体的には、利息制限法の上限金利(20.0%)を超える金利で払ったお金です。

金銭の貸し借りにおいて、貸借人を高金利から保護することを目的に、利息の利率を制限する法律。借入額によって、上限金利が定められている(15.0〜20.0%)。
たとえば、以下のようなお金が過払い金にあたります。
例)消費者金融から50万円を、金利25.0%(利息制限法では18.0%)で借り入れ、5年間で完済した場合
- 支払った利息【62万5,000円】
- 利息制限法の上限金利で計算した利息【45万円】
差額=過払い金【17万5,000円】
過払い金は、「過払い金返還請求」を行うことで、返金されたり、借金の返済にあてられたりすることができます。
過払い金が発生する仕組み
なぜ、こうした過払い金が発生するかというと、2010年以前に、「グレーゾーン金利」という違法な金利で貸付けを行う貸金業者がいたからです。
そもそも、貸金業者が貸付けをする際の上限金利は、「出資法」と「利息制限法」の2つの法律によって規定されています。
2010年の貸金業法の改正以前は、これらの法律の上限金利(年利)は以下のように異なっており、この間がいわゆるグレーゾーン金利と呼ばれていました。
(借入元金) 100万円以上 |
(借入元金) 10万円以上 100万円未満 |
(借入元金) 10万円未満 |
|
---|---|---|---|
出資法 | 29.2%(一律) | ||
利息制限法 | 15.0% | 18.0% | 20.0% |
図で表すと以下のようになります。
グレーゾーン金利での貸付けは本来違法ですが、このときは、出資法の上限金利(29.2%)を超えていない分については罰則規定がありませんでした。
また、債務者が任意で利息を支払った場合には、本来無効であるはずのグレーゾーン金利での利息を、有効とみなす規定(みなし弁済)も存在していました。

貸金業者が、グレーゾーン金利での利息の返済を受けても、一定の条件に当てはまる場合は、有効とみなす規定。現在の貸金業法が改正される前の「貸金業規制法」で適用されていた。
【みなし弁済として認められる条件】
1.債権者(お金を貸す側)が、貸金業登録を受けた業者である(ヤミ金ではない)こと
2.貸付けの際に契約書(貸金業規制法17条に定められた書面)を交付すること
3.弁済のたびに受取証書(貸金業規制法18条が定める書面)を交付すること
4.債務者(お金を借りる側)が、利息と認識して支払いをしていること
5.債務者の任意で利息が支払われている(債権者からの強制ではない)こと
当日の法律では罪に問えないため、事実上容認されていたのです。
そのため、一部の貸金業者が、利益を上げるために、出資法の上限利率である29.2%に近い金利で貸付けを行っていました。
このような仕組みにより、過払い金が発生しているのです。
過払い金が発生するのは2010年の貸金業法改正前まで
過払い金が発生するのは基本的に、2010年6月17日までの借り入れにかぎられます。
というのも、当時グレーゾーン金利での貸付けを行う業者が増え、多重債務問題が深刻化した状況を受けて、違法な貸付けを取り締まる法律ができたからです。
きっかけとなったのは、2006年1月13日、最高裁において、前述したみなし弁済を実質的に否定する判決が下されたことです(最高裁判所第二小法廷平成18年1月13日判決)。
判決の内容は「みなし弁済の要件が適用されるケースはほとんど存在しえない」というものでした。
つまり、グレーゾーン金利での貸付が正式に違法と見なされるようになったのです。
これを受け、グレーゾーン金利の利息分を払い戻すよう貸金業者に請求する「過払い金返還請求」が全国的に始まりました。
2010年6月18日には、貸金業法改正によってグレーゾーン金利は完全に撤廃されました。
加えて出資法も改正、上限金利が20.0%になり、利息制限法と統一されています。
以後、貸金業者が利息制限法、または出資法の上限金利を超える金利で貸付けをおこなった場合は、超過部分が無効となると同時に、以下の罰則が下されるようになりました。
- 利息制限法(15.0〜20.0%)を超える貸付け:行政処分(業務停止、登録取り消しなど)
- 出資法(20.0%)を超える貸付け:刑事罰(5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方)
結果として、グレーゾーン金利は実質的に撤廃され、多くの貸金業者が金利を利息制限法の範囲内に設定するようになりました。
こうした経緯により、2010年6月18日以降は、基本的に過払い金が発生しなくなったのです。
過払い金とグレーゾーン金利との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
実際取り戻せる?過払い金返還請求の2つの条件
前述したとおり、過払い金は「過払い金返還請求」を行うことで、取り戻せる可能性があります。
過払い金返還請求ができる条件は、以下の2つです。
- 「2010年6月17日以前」に貸金業者からグレーゾーン金利で借り入れた
- 最終取引から10年未満(時効を迎えていない)
図で表すと以下のようになります(詳しくはこの後で解説します)。
過払い金の返還請求できる条件については、以下の記事でも解説しています。
過払い金返還請求を検討している方の中には、現在、借金の返済に追い込まれている人もいるでしょう。
そのような方は、仮に過払い金返還が請求できなくても、「債務整理」によって借金を解決できる可能性があります(詳しくは後述します)。
債務整理をするべきかどうかは、個人で判断することが難しいケースが多いため、弁護士に相談して決めた方がよいでしょう。
「2010年6月17日以前」に貸金業者からグレーゾーン金利で借り入れた
過払い金が発生しているのは、「2010年6月17日以前」の貸金業者での借り入れになります。
過払い金は、利息制限法の上限利率を超過した貸付け(グレーゾーン金利)に対して発生するものです。
前述したように、「2010年6月18日以降」は、出資法が改正され、グレーゾーン金利が撤廃されています。
そのため、2010年6月18日以降は過払い金が発生していないことになります。
対象はクレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者
過払い金返還請求の対象となる貸金業者は、大きく分けると以下の2つです。
- 消費者金融
- クレジットカード会社・信販会社
これらの貸金業者の一部で、対象の期間において、利息制限法の上限金利(20.0%)を超える貸付けが行われていました。
そのため、過払い金が発生している可能性があるのです。
対象外となる借り入れ
一方で、過払い金返還請求の対象とならない借り入れもあります。
- クレジットカードのショッピング利用
- 住宅ローンや自動車ローン、銀行系カードローン
これらの借り入れは、法改正前から利息制限法の上限金利の範囲内で貸付けを行っているか、あるいは、そもそも出資法や利息制限法が適用されないためです。
対象会社でも倒産していれば請求できない
過払い金返還請求の対象となる貸金業者であっても、すでに倒産していれば、返還請求をすることはできません。
そもそも請求しようにも、請求する相手がいないからです。
以下は、倒産などにより、過払い金請求が難しくなった貸金業者の例です。
- 武富士
- SFコーポレーション(三和ファイナンス)
- アエル(日立信販・ワールドファイナンス・ナイス)
- 丸和商事(ニコニコクレジット)
- クラヴィス
過払い金返還請求の対象会社については、以下の記事で詳しく解説しています。
おもな貸金業者における過払い金の発生時期
過払い金返還請求の対象会社(消費者金融、クレジットカード会社名)について、
- 代表的な会社名
- 過払い金が発生している可能性のある時期
を、以下にまとめています。
ご自身の借り入れで、過払い金が発生しているかどうか、判断の参考としてください。
消費者金融 | 過払い金発生時期 |
---|---|
プロミス (SMBCコンシューマーファイナンス) |
2007年12月18日まで |
アコム | 2007年6月17日まで |
アイフル | 2007年7月31日まで |
レイクALSA (新生フィナンシャル) |
2007年12月1日まで |
クレジットカード会社名 | カードの名称 | 過払い金発生時期 |
---|---|---|
エポス(旧マルイ) | エポスカード (マルイカード) |
2007年3月15日まで |
ゼロファースト (エムワンカード) |
2007年4月15日まで | |
三井住友カード | 三井住友VISAカード | 2005年頃まで |
アプラス | 新生VISA 新生アプラス 新生カードVISA など |
2007年頃まで |
TSUTAYA Tカードプラス TSUTAYA WカードJCB など |
2007年頃まで | |
オリエントコーポレーション | オリコカード アメニティカード クレストカード オートウェーブカード オートバックスカード コジマカード など |
2007年3月31日まで |
クレディセゾン | セゾンカード | 2007年7月頃まで |
UCカード | 2007年7月頃まで | |
セディナ | OMCカード CFカード クオークカード など |
2007年頃まで |
※上記に記載のない貸金業者でも、過払い金が発生している可能性はあります。
※発生時期・金利は目安。金利は当時のものです。
表からもわかるとおり、消費者金融やクレジットカード会社で過払い金が発生しているのは、「2007年頃まで」が多くなっています。
要因としては、2006年1月、最高裁の判決でみなし弁済が実質的に否定されたことで、多くの貸金業者が貸付け金利を引き下げたことが考えられます。
最終取引から10年未満(時効を迎えていない)
もう一つの条件は、過払い金返還請求の対象となる借り入れの完済(最終取引)が、10年以内に行われていることです。
なぜなら、完済後10年間、「過払い金の返還を請求できる権利」を行使しなければ、その権利ごと消滅してしまうからです。
これは「消滅時効」と呼ばれ、民法で定められています。
(債権等の消滅時効)
第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1.債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
2.権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
(引用元:民法第166条)
※2017年の改正前民法の条文は、「民法第166条 - Wikibooks」を参照のこと
たとえば、2012年1月に完済した借金について、2023年6月に返還請求をしようと思っても、すでに完済から10年以上が経過しているため、請求することはできません。
10年以上前でも「取引が連続」していれば対象となる
例外として、10年以上前に完済した場合でも、その後に同じ金融業者から再び借り入れをした場合には、過払い金返還請求できる可能性はあります。
カードローンやキャッシングなどは、借り入れ・返済が繰り返されることが多く、完済前の取引と完済後の再度の取引が「連続している」と判断できる場合があるからです。
取引の連続性が認められる場合、再度の借り入れの返済期間も取引期間と見なされるため、過払い金返還請求権の消滅時効はまだ完成していないことになります。
過払い金返還請求の消滅時効については、以下の記事で詳しく解説しています。
実際に過払い金返還請求ができるかは、個人で判断することが難しいケースが多いため、法律の専門家である弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士法人・響に過払い金の無料相談をする過払い金返還請求のデメリット・リスクとは?
過払い金返還請求には、デメリットや、自分で行うことによるリスクもあります。
- ブラックリストに載る可能性がある
- 請求した会社における借り入れ、クレジットカード利用は不可に
- 自分で交渉すると、不利な条件を提示されるケースも
以下で、それぞれ見ていきましょう。
過払い金請求におけるデメリットについては、以下の記事でも解説しています。
ブラックリストに載る可能性がある
借金の状況によっては、過払い金返還請求をすると、ブラックリストに載る可能性があります。
具体的には、以下の条件を満たすケースです。
- 現在返済中の貸金業者に対して、過払い金返還請求をした
- 返還された過払い金を残額の返済にあてても、完済できなかった
過払い金が戻ってきても、借金を全額返済できずに残った場合は、「任意整理」を行った扱いになり、ブラックリストに載ることになります。

債権者と交渉することで、将来利息や遅延損害金のカット(減免)による毎月の返済額の減額や、返済スケジュールの調整に応じてもらう方法。任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリスト入り)。
すでに完済している場合や、過払い金で借金が完済できる場合は、ブラックリストに載ることはありません。
※一時的に掲載され、後日削除される場合もあります。
「ブラックリストに載る」というのは俗称で、実際には信用情報機関に事故情報が登録される状態をいいます。

クレジットカードやローンなどの利用者の信用情報(契約内容、返済、支払状況、利用残高など)を管理・提供している機関。以下の3つがある。
・株式会社日本信用情報機構(JICC)
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
金融機関や貸金業者は、審査の際に信用情報機関に信用情報を照会します。
その際に、事故情報が登録されていると「返済能力がない」と判断され、審査に落とされてしまいます。
その結果、以下のような影響を受けます。
- 住宅ローン、自動車ローンなどを含む新たな借り入れができなくなる
- クレジットカードの利用や新規作成ができなくなる
なお、「任意整理」による事故情報の登録期間は完済から約5年です。
5年後には事故情報は削除され、上記の影響はなくなります。
事故情報の登録による影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
請求した会社における借り入れ、クレジットカード利用は不可に
事故情報が登録されると、
- 新規の借り入れ
- クレジットカードの利用
ができなくなると解説しました。
しかし、事故情報が「登録される・されない」にかかわらず、過払い金返還請求を行った会社では、いずれもできなくなります。
信用情報機関の事故情報とは別に、過払い金返還請求をした会社の顧客情報に、「過払い金返還請求の事実」が登録されるためです(いわゆる社内ブラック)。
信用情報機関の事故情報は5年で削除されるのに対し、社内ブラックの情報は半永久的に残ることがほとんどです。
そのため、過払い金返還請求後は基本的に、対象のクレジットカード会社で再契約することは難しいといえます。
過払い金返還請求後も、借り入れやクレジットカードの利用をしたい場合は、過払い金返還請求先とは異なる系列の会社を選ぶ必要があります。
自分で交渉すると、不利な条件を提示されるケースも
自分で貸金業者に過払い金返還請求をすると、対象の会社から、不利な条件で和解案を持ちかけられる可能性があります。
たとえば、以下のような和解案です。
- 返済中の借金の利息を免除する代わりに、過払い金返還請求には応じない
- 本来の過払い金より、少ない返還額とする
- 借金残高よりも過払い金の方が多くても、過払い金を返還しない
一般の方ではこのような不利な和解案を提示されても、気付くことができなかったり、反論や交渉にも手間取ったりするケースが多いでしょう。
一度和解書にサインをしてしまうと、妥当な条件で再度交渉をすることは難しくなります。
そのため、貸金業者からサインを求められたときは、慎重に和解案の中身を確認する必要があります。
場合によっては、過払い金返還請求の裁判を起こし、納得できる条件を引き出した方がよいこともあります。
そうした判断をするためには、法律の知識や、和解交渉の経験が必要となりますので、弁護士などの専門家に相談した方がよいでしょう。
過払い金はどれくらい戻る?目安を知るための計算方法を紹介
「自分の場合、過払い金はどれくらい戻るのだろう」と気になる方も多いでしょう。
ここでは、返還請求できる過払い金の額(目安)を算出する方法を解説します。
過払い金の計算方法については、以下の記事でも解説しています。
過払い金を算出する「引き直し計算」のやり方
過払い金の額を求める計算方法は「引き直し計算」と呼ばれます。
下の計算式を使って、
- 当月に発生していた利息返済額(支払った利息)
- 利息制限法の上限金利での利息返済額(本来の利息)
を毎月分(※)、算出します。
※「該当月の借り入れ残高」によって金利が変動するため
借り入れ残高(円)×金利(%)÷365(日)×借り入れ日数(日)
「1の合計」と「2の合計」の差額が、過払い金(過払い利息)の総額です。
無料で使える過払い金の計算ソフト
上で紹介した引き直し計算は複雑なため、自力で行うことはなかなか難しいかもしれません。
以下のような無料の表計算ソフトを利用して計算すると、計算が楽になるでしょう。
- 「外山式」利息計算ソフト
- 「名古屋式」利息計算ソフト
アドリテム司法書士法人の外山敦之氏が配布している無料過払い金計算ソフト
消費者問題に関連する被害の予防・被害回復などを目的に設立された「名古屋消費者信用問題研究会」が提供している無料過払い金計算ソフト
ただし、過払い金返還請求で請求できる額の算出には、より複雑な計算が伴うケースも少なくありません。
次の項目の条件を確認しておきましょう。
注意!計算は条件によって複雑になる
たとえば以下のようなケースでは、計算に必要な条件が複雑に絡みます。
- 同じ貸金業者から何件も借り入れていた
- 過払い金発生期間中、完済と借り入れを繰り返していた
- 返済を遅延したことがあり、遅延損害金が発生していた
- 過払い金の元金に利息が発生している(※)
※過払い金は、元金が発生した時から返還日まで、元金に対して法定利息が発生する」ということが過去の判決で認められている(最高裁判所第三小法廷平成19年2月13日判決)
これらを踏まえて計算するには、過去の取引履歴とそれを読み解く時間、法律に関する知識が必要となります。
実際に過払い金返還請求を行う際には、正確な引き直し計算をするためにも、弁護士への依頼を検討した方がよいでしょう。
過払い金返還請求に関する相談先一覧
これまで解説したとおり、過払い金返還請求ができるかの判断や、過払い金の計算を個人で行うことは簡単ではありません。
そのため、過払い金返還請求を検討する際は、まず専門機関に相談することをおすすめします。
以下に、過払い金返還請求について相談できる窓口をまとめました。
それぞれ、相談料や特徴も記載していますので、相談先を選ぶ際の参考にしてください。
選ぶべき人 | 相談先 | 相談料 | 特徴 |
---|---|---|---|
過払い金返還請求の時効が迫っている人 | 弁護士事務所 | 無料の事務所もある | ・相談からそのまま弁護士に過払い金返還請求を依頼できる |
司法書士事務所 | 無料の事務所もある | ・相談からそのまま司法書士に過払い金返還請求を依頼できる | |
過払い金返還請求の時効まで比較的余裕があり、気軽に相談したい人 | 市区町村役所の法律相談窓口 | 無料 | ・対応は市役所などの開庁時間内(各役所により異なる) ・必要があれば弁護士、司法書士を紹介してもらえることも |
JCCO(日本クレジットカウンセリング協会) | 無料 | ・「多重債務ほっとライン」での電話相談が可能 ・必要があれば弁護士会などを紹介してもらう |
|
年収が一定以下で過払い金返還請求の費用に不安がある人 | 法テラス(日本司法支援センター) | 30分無料(3回まで) | ・弁護士、司法書士への相談が可能 ・窓口相談の利用には月収などの審査があり、時間がかかるケースがある ・収入が一定未満の方は「民事法律扶助制度」を利用できる |
過払い金返還請求の相談先については、以下の記事で詳しく解説しています。
「取り戻せない」と即断せずにまずは相談することが大切
前述したように、過払い金が発生しているのは、2010年以前の取引なので「もう請求できないのでは…」とあきらめている方もいるかもしれません。
しかし、前述したように、貸金業者との取引が継続している場合は「一連の取引」があると見なされて、現在でも返還請求が行えるケースもあります。
日本貸金業協会が公表している「令和3年度 年次報告書」によれば、2020年度における利息返還金の合計は1,153億円となっています。
最盛期(2008年=5,910億円)と比べると減少傾向にはありますが、依然として高い数値であるといえるでしょう。
それだけ、現在でも請求できる可能性があるということです。
「どうせ取り戻せないだろう」と決めつけず、まずは無料相談窓口で、相談してみましょう。
過払い金返還請求を検討中の方は弁護士法人・響にご相談を
過払い金返還請求の相談先を迷う場合は、弁護士法人・響をご検討ください。
弁護士法人・響は、過払い金返還請求について、豊富な実績をもっています。
これまで蓄積したノウハウをもとに貸金業者と交渉いたしますので、妥当な金額・条件で、和解契約を結べる可能性が高くなります。
ご相談は24時間365日、受け付けています。相談料は何度でも無料ですので、過払い金返還請求について、不安な点があれば気軽に相談いただけます。
以下で、弁護士法人・響における過払い金返還請求の実績の一部を紹介します。ぜひ事務所選びの参考にしてください。
- おもな貸金業者における過払い金返還率
- 過払い金返還額の例(口コミあり)
おもな貸金業者の過払い金返還率
以下は、弁護士法人・響における、おもな貸金業者の過払い金の返還率の実績です。
各社の返還までの期間も記載していますので、あわせて参考にしてください。
対象会社 | 返還率(※) | 返還までの期間 |
---|---|---|
アコム株式会社 | 85%程度 | ・返還請求から和解成立までは約1ヶ月半程度 ・4ヶ月後末日の返還となる |
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 | 90~93%程度 | ・返還請求から和解成立までは約2ヶ月程度 ・返還は約3ヶ月後 ・和解金額によっては2~4ヶ月後になるケースも |
アイフル株式会社 | 45~50%程度 | ・返還請求から和解成立までは約1ヶ月半程度 ・返還は基本的に和解日から1ヶ月後の末日 |
新生フィナンシャル株式会社 | 80%程度 | ・返還請求から和解成立まで約1ヶ月程度 ・返還は和解日から1ヶ月後の末日 |
※あくまで傾向です。必ずしもこのとおりになるとはかぎりません
※返還率は、非充当計算金額(返済に充当されなかった過払い利息の額)に占める実際の返還額の割合です
過払い金返還額の例(口コミあり)
次に、弁護士法人・響における「過払い金返還の実例」を3つ紹介します。
過払い金の返還額や、ご依頼者の方の口コミ(体験談)も載せていますので、参考にしてください。
消費者金融から過払い金772万円が戻ってきた例(40代・女性)
- 借入期間:2004年9月〜2019年9月(約15年間)
- 借入先:消費者金融
- 借入額:275万円
- 過払い金返還額:772万円 ※
- 体験談
最初は、まだ債務は残っているものの、過払い金があるかなと思い、弁護士に調べてもらいました。
その結果、思ったより金額が大きかったことや、特にローンを組む予定がなかったこともあり、過払い請求をお願いしました。
※非充当計算で算出した85%の金額の返還で和解
クレジットカード会社から過払い金470万円が戻ってきた例(60代・男性)
- 借入期間:1987年10月〜2015年6月(約28年間)
- 借入先:クレジットカード会社
- 借入額:100万円
- 過払い金返還額:470万円 ※1
- 体験談
クレジットカード(※2)でも過払い金が出るかもと知り、相談してみました。
思った以上の過払い金を受け取ることができ、非常に良かったです。
※1 過払い金返還請求訴訟を提起し、過払い金の利息を含め全額返還された
※2 キャッシング利用
消費者金融から過払い金494万円が戻ってきた例(40代・男性)
- 借入期間:1999年1月〜2018年2月(約19年間)
- 借入先:消費者金融
- 借入額:100万円
- 過払い金返還額:494万円 ※
- 体験談
友人が過払い金をもらったという話を聞いたので、自分も調べてもらうことにしました。
当初、訴訟という大ごとになってしまうことに対して抵抗がありましたが、弁護士からていねいに説明を受け、訴訟してもらいました。結果的には大満足です。
※ 過払い金返還請求訴訟を提起、非充当計算で算出した金額の85%が返還
過払い金返還請求の弁護士費用はどのくらい?相場を紹介
過払い金返還請求の弁護士費用の目安は、日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」で定められてます。
以下に、費用の内訳と、それぞれの費用項目の相場をまとめました。
費用項目 | 概要 | 金額相場 |
---|---|---|
相談料 | 弁護士や司法書士に対する相談料 | 5,000~10,000円程度 (無料の場合もあり) |
着手金 | ・過払い金返還請求を依頼した段階で支払う費用 ・返還請求の結果にかかわらず発生する ・過払い金の調査や計算、示談における貸金業者との交渉などの費用がこれにあたる |
10,000〜20,000円以下/1社 (無料の場合もあり) |
解決報酬金 | ・過払い金返還請求完了後にかかる費用 ・日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」では、1社あたり2万円までと上限目安が定められている ・費用体系によって異なる場合がある |
20,000円以下/1社 ※上限あり |
過払い金回収報酬 | ・回収できた過払い金の額に応じて支払う費用 ・和解交渉は回収分の20%、裁判だと25%までと日本弁護士連合会の規定によって上限目安が設定されている ・事務所によっては異なる場合がある |
和解:返還された過払い金の20%以下 訴訟:返還された過払い金の25%以下 |
その他 | ・交通費、書類の郵送費、収入印紙代、裁判の手数料など実際にかかった費用(経費) | 交通費、書類の郵送費、収入印紙代、 裁判の手数料など実費 |
※金額は目安です
(参考:日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」)
合計すると、【(20,000〜50,000円)+(過払い金返還額の20%)】程度となります(※請求先を1社とした場合)。
たとえば、過払い金が100万円で、相談料・着手金が無料だった場合、22万円程度が弁護士費用となります。
(計算式:20,000円+(1,000,000円×0.2)=220,000円)
実際の費用は、弁護士事務所によって異なる場合があります。
依頼前に、その弁護士事務所の費用体系を確認しておくようにしましょう。
過払い金請求にかかる費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
弁護士法人・響で過払い金返還請求を依頼した際の費用
過払い金返還請求の弁護士費用の一例として、弁護士法人・響の費用体系を紹介します。
相談料 | 無料 |
着手金 | 無料 |
解決報酬金 | 20,000円(税込22,000円) |
過払い金回収報酬 | 和解:返還された過払い金の20%(税込22%) 訴訟:返還された過払い金の25%(税込27.5%) |
その他 | 交通費、書類の郵送費、収入印紙代、 裁判の手数料など実費 |
※該当の借り入れを完済している場合の費用
弁護士法人・響では、過払い金に関する相談料・着手金は無料です。
過払い金の調査や計算の結果、過払い金が発生しなかったり少額すぎたりして請求を行わない場合は、お支払いいただくのは調査にかかった実費のみです。
司法書士に過払い金返還請求を依頼した際の費用相場
「相談先」の表で説明したとおり、過払い金返還請求は、司法書士事務所に依頼することもできます。
以下、過払い金返還請求を司法書士に依頼した場合の、費用相場です。
相談料 | 5,000~10,000円 (無料の場合もあり) |
着手金 | 10,000〜20,000円/1社につき (無料の場合もあり) |
解決報酬金 | 定額報酬(着手金・解決報酬金)として合計50,000円以下 (無料の場合もあり) |
過払い金回収報酬 | 和解:過払い金の20%以下 訴訟:過払い金の25%以下 |
その他 | 交通費、書類の郵送費、収入印紙代、 裁判の手数料など実費 |
※金額は目安です
(日本司法書士会連合会「債務整理事件における報酬に関する指針(平成28年4月27日改正)」)
合計金額は、【(0〜80,000円)+(過払い金返還額の20%)】程度となります(※請求先を1社とした場合)。
過払い金が100万円で、相談料・着手金・解決報酬金が無料だった場合、20万円程度が司法書士費用ということになります。
(計算式:1,000,000円×0.2=200,000円」)
上の表で示したとおり、解決報酬金を無料としているところもあるため、ケースによっては弁護士への依頼時より費用が抑えられることもあるでしょう。
しかし、日司連の提示している費用は目安であり、事務所によってはこれを上回る費用を求めるケースもあります。
また、司法書士は、借金額が140万円以上の過払い金返還請求の案件を受けられないという制限があるため、注意が必要です(司法書士法第3条)。
過払い金はいつ戻る?過払い金返還請求の流れと期間を解説
過払い金返還請求を行ってから、返還されるまでの期間はおおよそ4〜6ヶ月です。
大まかな流れは以下のとおりです。
※弁護士に依頼した場合の流れです
それぞれのステップについて、行うことや期間の目安を解説していきます。
実際の期間はケースによって異なりますが、まずは大枠を把握しておきましょう。
1.弁護士に相談・依頼
まずは弁護士に相談するところからです。
弁護士事務所の初回相談で、過払い金の有無、目安の金額などを無料で診断してもらえることもあります。
過払い金がありそうなことがわかれば、そのまま過払い金返還請求を依頼することが可能です。
弁護士に依頼した場合は、委任契約をした後すぐに、次で解説する「取引履歴の開示請求」が行われるケースが多いといえます。
相談時は、以下のものを持参するとスムーズでしょう。
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- 印鑑(認印でOK)
- 借入先との契約書
- 借金の取引明細書
なお、契約書や取引明細書がすでにない場合でも相談することは可能です。
相談予約時に指定されたほかに持ち物があれば、持参するようにしましょう。
2.【1〜3ヶ月程度】過払い金の調査・引き直し計算
弁護士は過払い金返還請求の依頼を受けると、貸金業者に取引履歴の開示請求を行います。
取引履歴とは、貸金業者から「いつ、いくらお金を借り入れ(または返済)したのか」の履歴をまとめたものです。
取引履歴が弁護士の手元に届くまでは、およそ1ヶ月から3ヶ月ほどかかります。
その後、開示された取引履歴をもとに、利息制限法で定められた利息で引き直し計算を行うことで、過払い金の額が決定します。
過払い金は、計算を間違ってしまうと貸金業者から返還を拒否される可能性もあります。
そのため、弁護士による正確な計算が大切です。
3.【2〜3ヶ月程度】相手先の貸金業者と和解交渉
過払い金の額が確定したら、請求先の貸金業者に「引き直し計算書」と「過払い金返還請求書」を送り、交渉に移ります。
これは「和解交渉」と呼ばれます。
任意交渉の結果、依頼人の納得のいく条件が引き出せれば、貸金業者との和解が成立します。
引き直し計算後、2〜3ヶ月程度で交渉をまとめ、合意書を取り交わすことが多いでしょう。
4.【3〜6ヶ月程度】過払い金返還請求訴訟(※和解できない場合)
交渉をしても納得のいく条件での和解が難しい場合、「過払い金返還請求訴訟」を裁判所に提起することも可能です。
一般的に、訴訟をした方が返還金は高くなることが多いといえます。
訴訟で判決が出た場合、過払い金の全額に加え、過払い金自体に発生する利息(過払い金利息)の支払いが行われるケースも少なくありません。
過払い金はいわば、「請求者が貸金業者に貸付けを行っている状態」ですので、その利息分を請求できるのです。利率は法定利率の3.0%(※)が適用されます(民法404条)。
※2023年8月時点
ただし、訴訟を行うと期間が長くなるのがデメリットです。
和解交渉後、過払い金返還請求訴訟は3〜6ヶ月以上かかることが多いといえます。
また、貸金業者によっては、任意交渉では積極的に反論しないものの、訴訟では徹底的に争う姿勢をとることもあります。
そうなると、当初の和解段階で提案された金額よりも低くなってしまう可能性も否定できません。
過払い金返還請求を依頼した弁護士などと相談し、状況に合わせて、納得できる条件での解決を目指すのがよいでしょう。
5.【1〜6ヶ月程度】過払い金の返還
合意書の取り交わしや判決の確定がなされると、貸金業者から過払い金が指定口座に振り込まれます。
過払い金の返還時期は、和解成立後1〜6ヶ月後程度となることが多いでしょう。
裁判となった場合には、過払い金の返還までに少なくとも6ヶ月から1年ほどかかる可能性があります。
なお、弁護士に依頼して過払い金返還請求をしていた場合は、いったん依頼していた事務所の口座に振り込まれ、成功報酬を差し引いたうえで本人の銀行口座に振り込まれる流れとなるのが一般的です。
過払い金に関するよくある質問
以下、過払い金に関するよくある質問をまとめました。
不明点があれば、弁護士などの法律の専門家に確認するようにしましょう。
Q1.過払い金返還請求をすると住宅ローンを組めなくなるの?
すでに完済した借り入れに対する過払い金返還請求は、通常住宅ローンに影響しません。
ただし、返済中の借入先に対する過払い金返還請求については、返還金を借金に充当しても完済できない場合、原則としてブラックリストに載ります。
ブラックリストに載ると基本的に、借金完済から5年程度、住宅ローンが組めなくなります。
そのようなリスクを回避するために、「過払い金請求後に返済残額が残らないか」を事前に確認することが大切です。
弁護士などの法律の専門家に相談し、正確な引き直し計算を行ったうえで慎重に判断した方がいいでしょう。
過払い金請求による住宅ローンへの影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
Q2.借金をした本人が死亡していても過払い金返還請求はできる?
債務者本人の死亡後でも、遺族などの相続人が過払い金返還請求を行うことは可能です。
亡くなった人(被相続人)の過払い金は、相続財産と考えられるためです。
なお、被相続人の過払い金返還請求を行うと、相続について「単純承認」したことになります。
相続を単純承認すると、被相続人にほかに借金がある場合も相続放棄ができず、返済義務を負うことになってしまいます。
借金をしていた人が亡くなった場合の過払い金返還請求は、ほかに所有していた財産や抱えていた借金の額などを調べてからの方がよいかもしれません。
不明点があれば、弁護士などの法律の専門家に相談するとよいでしょう。
Q3.借金の詳細を覚えていない、明細がない状態でも過払い金返還請求はできる?
借金の詳細を覚えていない、明細がない状態であっても、過払い金返還請求を行うことは可能です。
貸金業者に取引履歴の開示請求をすることで、借入額や借入期間を調べることができるからです。
そもそも、どこから借り入れたか忘れてしまった場合は、信用情報機関に問い合わせれば、自分が過去にした借り入れなどを確認することもできます。
過払い金と関係すると考えられる信用情報機関の情報確認の方法、手数料の一覧は以下のとおりです。
不明点があれば、弁護士などに相談のうえ確認を進めるのもよいでしょう。
信用情報機関 | 電子的請求(税込) | 郵送による請求(税込) |
---|---|---|
CIC | パソコン・スマートフォン:500円 | 1,500円 |
JICC | スマートフォン専用アプリ:1,000円 | 1,000円 |
KSC | パソコン・スマートフォン:1,000円 | 1,124〜1,200円 |
※2023年7月時点の情報です。最新の情報は各サイトでご確認ください。
過去の借金について調べる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
Q4.過払い金が戻ってきたら税金はかかる?確定申告は必要?
過払い金には、税金がかかるケースとかからないケースがあります。
過払い金に税金がかかるかどうかは、「過払い金が個人の収入と見なされるか否か」によって決まります。
まず原則として、過払い金は収入の扱いにはなりません。
過払い金返還請求は「不当利得返還請求」といわれ「相手が法的権利がないにもかかわらず得た利益を取り戻す」ことに当たります。
過払い金はもとは自分のお金であるといえ、自分のお金を取り戻した分には税金もかからないのです。
しかし、過払い金に対して利息が発生し、返還されたケースでは異なります。
もともと自分のお金である過払い金の元金は収入とされませんが、過払い金の利息部分は収入であると見なされるのです。
過払い金の利息は、「雑所得」という勘定科目に計上されます。
雑所得とは、事業活動によらずに得た所得のこと。雑所得も収入となるため、確定申告が必要となります。
ただし以下の条件の両方に該当する場合は、確定申告は不要です。
- 過払い金の利息を含めたその年の雑所得が20万円以下である
- 給与所得者(サラリーマン、パートタイマーなど)である
なお、生活保護を受給している場合、過払い金の返還を受けると収入と見なされます(下記のQ7.で解説)。
Q5.過去に債務整理した場合も過払い金返還請求はできる?
過去に債務整理を行った場合、改めて過払い金返還請求ができる可能性は低いといえます(債務整理について詳しくは後述)。
弁護士などの法律の専門家に依頼して債務整理を行う場合、まず利息の引き直し計算を行って借金額を確定させ、返済計画などを作成していることがほとんどだからです。
つまり、債務整理を行った時点で、過払い金返還請求の手続きが行われている可能性が高いといえます。
Q6.遅延損害金の利率がグレーゾーン金利の場合は過払い金は発生する?
遅延損害金をグレーゾーン金利で支払っていた場合、過払い金返還請求を行える可能性があります。
利息制限法第4条では、契約利息の1.46倍を超える遅延損害金は無効と定められています。
さらに利息制限法第7条には以下のような特則が設けられており、貸金業者の遅延損害金の上限は20%と定められています。
第七条 第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
(出典:e-Gov法令検索「利息制限法 」)
ただし、遅延損害金は債務者が支払日に遅れるという契約違反をしたために発生したお金です。
そのため、遅延損害金が関わる過払い金の返還請求は、貸金業者と主張が食い違い、高度な交渉が必要になるケースも少なくありません。
過去の返済で年利20.0%以上の遅延損害金を支払っていた心当たりがあれば、弁護士などに相談してみるとよいでしょう。
Q7.生活保護受給中でも過払い金返還請求はできる?
現在生活保護を受給している方も過払い金返還請求は可能ですが、生活保護費の減額につながる可能性があるため注意が必要です。
生活保護受給中に過払い金が返還されたときは、過払い金の全額が「一時所得」として扱われます。
所得が増えることにより生活保護費が減額されるケースも考えられるほか、所得税もかかります。
なお、福祉事務所は、生活保護受給者と取引のある金融機関を調査することができます。
そのため、返還された過払い金を福祉事務所にバレずに受け取ることはできないと考えた方がよいでしょう。
収入を隠しての生活保護受給は、不正受給と見なされることもあります。
借金問題を解決したい場合、過払い金請求よりも債務整理が向いていることも
「過払い金を取り戻して借金の返済を少しでも楽にしたい」
という場合、過払い金返還請求で戻ってきた過払い金を、返済額に充当することも可能です。
しかし、それだけでは借金の完済が難しい場合、あるいはそもそも過払い金が発生していない場合は、解決策として「債務整理」を検討する必要があります。
債務整理とは、借金の減額や免除などについて、債権者(お金を貸した側)の合意または裁判所の決定に基づいて借金問題を解決する方法です。
債務整理には大きく分けて、3つの方法があります。
この後で、具体的に解説します。
「借金はあるし、過払い金もありそうだけど、何からすればいいかわからない」という場合は、弁護士に過払い金の相談をする際、現在の借入額なども伝えてみるのがよいでしょう。
弁護士が、借金問題解決までの筋道も一緒に考えてくれます。
日本弁護士連合会が提示しているガイドラインでは、過払い金返還請求だけ行って借金問題を放置しておくこと(いわゆる「つまみ食い」)は原則禁止とされているのです。(日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」第8条2項)
債務整理については、以下の記事で詳しく解説していきます。
任意整理はデメリットを抑えつつ返済プランを見直せる
任意整理とは、債権者と交渉することで、将来利息や遅延損害金をカット(※)してもらい、毎月の返済額の減額や、返済スケジュールの調整を行う解決方法です。
(※金融機関によってはカットできないこともあります)
債権者と和解契約を結んだ後は、3~5年での完済を目指します。
任意整理を弁護士などに依頼すると、まず過払い金が発生しているかを確認してくれます。
過払い金が発生していそうな場合は、引き直し計算を行い、借金総額から差し引きます。
過払い金と相殺した後の借金残高をどう返すか、交渉を進めるのが通常です。
借金の額が年収などに対して非常に多い場合をのぞいて、一定の収入があるケースでは、任意整理が第一の選択肢になることが多いでしょう。
実際に任意整理を行っている人は、年間200万人程度いると推定されています。
一方で、任意整理にかぎったことではありませんが、債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されるというデメリットがあります。
これによる影響は上記で解説したとおりです。
【任意整理のメリット・デメリット】 | |
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メリット | ・周囲に知られるリスクが低い ・保証人に迷惑がかかることを避けられる |
デメリット | ・ブラックリストに載る ・借金の元金は減額されず、返済を続ける必要がある |
任意整理については、以下の記事で詳しく解説しています。
裁判所に申し立て借金の支払い免除をしてもらう自己破産
自己破産とは、裁判所に申立てを行うことで、一部を除いたすべての借金を免除(免責)してもらう手続きです。裁判所が申立人の収入や借金額、借金の理由などをもとに、免責を認めるか判断します。
自己破産の準備中に過払い金の存在がわかった場合は、自己破産の申立て前に過払い金の返還請求を行うことがあります。
過払い金の返還があった場合、自己破産に必要な費用、税金などの支払い、最低限の生活費に充てるケースが多いといえます。
自己破産は、借金を帳消しにできる一方で、家や車などの財産は原則として回収されます。そうなれば生活への影響も大きなものとなります。
自己破産を検討する場合、弁護士などと相談して進めるのがよいでしょう。
【自己破産のメリット・デメリット】 | |
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メリット | ・借金の返済義務が免責される |
デメリット | ・ブラックリストに載る ・保証人や連帯保証人に請求がいく ・持ち家(住居)や車が回収される |
自己破産については、以下の記事で詳しく解説しています。
借金を5分の1~10分の1程度に減額できる可能性がある個人再生
個人再生とは、裁判所に申立てを行うことで、借金を1/5~1/10程度(最低100万円まで)に減額してもらう手続きです。減額された借金は、原則3〜5年での完済を目指します。
個人再生を弁護士などに依頼すると、まず過払い金が発生しているかを確認し、引き直し計算を行います。
過払い金を借金総額から差し引いたものを借金額と考え、申立て手続きなどを進めるのです。
個人再生では、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を利用することで、住宅ローン返済中であっても家の処分を免れる可能性があります。
一方で、手続きが複雑で期間も長い(1年〜1年半程度かかる場合がある)といったデメリットもあります。
【個人再生のメリット・デメリット】 | |
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メリット | ・持ち家を残せる |
デメリット | ・ブラックリストに載る ・借金は減額されるが、免除にはならない ・保証人や連帯保証人に請求がいく |
個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。
過払い金とは、払いすぎていた利息のことです。
過払い金返還請求(過払い金請求)を行うことで、取り戻すことができます。過払い金の発生の理由は、出資法と利息制限法の間で上限金利が異なり、その差である「グレーゾーン金利」と呼ばれる金利での貸付けが行われていたことにあります。それを助長する「みなし弁済」制度も存在していました。
しかし、2006年の最高裁判決でみなし弁済が実質無効化し、過払い金返還請求が広く行われ始めました。さらに貸金業法・出資法改正により、2010年6月以降、グレーゾーン金利は撤廃され、過払い金の発生もなくなっています。
過払い金発生の条件は、以下の2つです。
・「2010年6月17日以前」に貸金業者からグレーゾーン金利で借り入れた
・最終取引から10年未満(時効を迎えていない)過払い金の相談先は多くあります。
「過払い金返還請求の時効が迫っている」「過払い金をきちんと取り戻したい」「並行して借金問題を抱えている」という場合、過払い金返還請求の相談は弁護士事務所にするのがよいでしょう。無料相談を受け付けている事務所も多くあります。
借金の詳細を覚えていない場合や、明細が手元にない場合でも相談は可能なので、気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。