2022.05.23
「借金を減らすなら債務整理って聞くけど、本当にそんな都合のいい制度があるの?」
債務整理とは、裁判所の許可または債権者(貸主)との交渉によって、借金を減額・免除する手続きです。
借金の減額や免除というと、借金の返済に悩む債務者(借主)にとっては救済制度のように思えますが、それだけに
「借金が減るのと同等のデメリットがあるのでは?」
と疑いたくなってしまうもの。
債務整理の手続きを決断するためにも、メリットやデメリットはもちろん、
- 実際に手続きをした人がどうなってるか知りたい
- どれだけの費用がかかる?
なども、理解しておく必要があるでしょう。
そこでこの記事では、債務整理について弁護士が詳しく解説。
借金の返済や督促に苦しんでいる方々にとって、解決への糸口になればと思います。
「債務整理」即読みガイド
- 債務整理とは借金を減額・免除する手続き
- 債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4種類がある
- どの債務整理を選択するかで、借金の減額幅やデメリットが異なる
- 共通するデメリットは信用情報に事故記録が登録(ブラックリスト)されること
- 債務整理をすると、クレジットカードやローン契約ができないなどの影響がある
- 債務整理をしても、戸籍や仕事、家族への影響は原則ない
- 手続きに要する費用や期間がもっとも少ないのは任意整理
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目次
債務整理とは?
債務整理とは、裁判所への申立または債権者(貸主)との交渉によって、借金を減額・免除する手続きをいいます。
わかりやすくいうと、
「毎月の返済が苦しい」
「毎日借金のことばかり考えてしまう」
「債権者からの督促に苦しんでいる」
など、返済に行き詰まってしまった方々が、生活を再建するきっかけとして用意されている制度・手続きです。
カードローンや住宅ローンはもちろん、クレジットカードやリボ払い、奨学金といったほぼすべての借金に対して減額・免除が可能で、原則として誰でも利用できます。
※一部条件があります。
(参考)債務整理ができる“借金”の種類
【債務整理できる】
- カードローンや住宅ローンなど銀行や消費者金融からの借入
- クレジットカードを利用した借入(リボ払いや分割払い、キャッシング、ショッピング問わず)
- 奨学金
- 生命保険等の契約者貸付
- 個人からの借入
【債務整理できない】
- 税金や公共料金の滞納
- 婚姻費用や養育費
- 慰謝料(悪意または故意または重過失で加えた不法行為に基づく損害賠償のみ)
- 罰金や刑事訴訟費用
適切な債務整理をすることで、借金の悩みはほとんどを解決できるといえるでしょう。
債務整理の方法は主に4種類
債務整理には、おもに次の4種類の方法があります。
債務整理の種類 | 特徴 | どんな人が利用する? |
---|---|---|
任意整理 | 債権者と交渉して、主に将来利息をカットして元金のみを3〜5年で返済する | 毎月の返済額を下げたい人 |
個人再生 | 裁判所に申立をして、住宅を残しつつ、借金を1/5〜1/10程度に減額する | 住宅を守りながら借金を減額したい人 |
自己破産 | 裁判所に申立をして、財産の一部を処分し、すべての借金を免除する | 全く返済できないときの最終手段 |
特定調停 | 裁判所に申立をして、主に将来利息をカットして毎月の返済額を下げる | 法律の専門家に費用を支払う余裕がない人 |
4つの手続きそれぞれのメリットやデメリット、適用条件などは後ほど詳しく解説しますが、借金の額や収入・財産など状況によって利用すべき方法が異なります。
債務整理をするときは、どの方法が最適なのかをよく理解しておきましょう。
債務整理=借金救済制度?債務整理の目的とは
債務整理は、借金を背負った人を救済し生活を再建させることが目的とした正当な借金救済制度です。
上でお話しした4種類の手続きのうち、自己破産・個人再生・特定調停については、法律によって規定されています。
個人再生:「民事再生法」によって規定
自己破産:「破産法」によって規定
特定調停:「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」によって規定
ただし、任意整理は法律などで規定された制度ではありません。
したがって、よく広告等で目にする「国が認めた借金減額制度」というキャッチコピーは、誤解を招く表現といえるかもしれません。
とはいえ、裁判所が介入せず、当事者同士の話し合いにより解決を目指す点においては、合法的な手続きといえるでしょう。
では、「借りたお金は返す」というのは常識のはずなのに、なぜ合法的に借金は減額できるのでしょうか?
多額の借金を抱えてしまった債務者は、憲法第二十五条が規定する「最低限度の生活」が送れない状況に陥る可能性があります。
さらにお金を貸した債権者にとっても、債務者から一銭も回収できないくらいなら、減額する、財産の一部を没収することで借金を免除する、などに応じた方が損失は軽くすむでしょう。
債務整理は、決して債務者だけを救済する目的ではなく、債権者も保護する目的もあるのです。
弁護士法人・響に債務整理の相談をする債務整理は多くの人が利用している
債務整理を利用している人数は、裁判所を通して手続きを行う「自己破産」は年間約7万人程度、「個人再生」は年間1万人程度と公表されています。
裁判所を通さない「任意整理」は、正確な人数は不明ですが、年間に200万人が利用していると推定されています。
特に任意整理は、裁判所を通さず金融機関などの債権者(貸した側)と直接交渉する方法のため、比較的利用しやすい方法といえるでしょう。
任意整理 | 推定約200万人程度 |
個人再生 | 1万2,841人 *1 |
自己破産 | 7万1,678人 *2 |
*1 小規模個人再生事件と給与所得者等再生事件の合計件数
*2 法人破産は含まない件数
出典:最高裁判所事務局 司法統計年報概要版 令和2年度
4種類の債務整理の特徴と違いとは?
それぞれの債務整理の特徴や違いをまとめると、以下のようになります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 | |
---|---|---|---|---|
裁判所の手続き | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
減額の内容*1 | 将来利息・遅延損害金を減額できる可能性 | 借金を1/5~1/10程度に圧縮できる可能性 | ほぼすべての借金が免除になる可能性 | 将来利息を減額できる可能性 |
元金の減額 | ない | ある | ある | ない |
返済期間 | 3~5年 | 3~5年 | 返済なし | 3~5年 |
弁護士に依頼が必要か | 弁護士に依頼することが一般的*2 | 弁護士に依頼することが一般的*2 | 弁護士に依頼することが一般的*2 | 不要 |
*1 必ずこの通りに減額できるわけではありません。
*2 自分で行うことも可能
では、それぞれの手続きについて、以下で詳しく解説していきます。
任意整理とは?
「任意整理」とは、裁判所などを通さずに債権者と直接交渉して借金の減額を図る方法です。
具体的には、債権者に以下のお願いをし、話し合いによって和解を目指します。
-
- 任意整理の和解日から発生する将来利息のカット
- 遅延損害金のカット(返済を滞納していた場合)
- 返済期間の再設定(36〜60回での分割払い)
*債権者によっては減額できない場合もあります。
たとえば、借金の元金が200万円の場合、将来利息約104万円を減額できる可能性があります。

任意整理をすると、これから支払う利息(将来利息)を減額またはカットできる可能性があります。
将来利息が減額・カットされれば、これまで利息の返済に充てていた金額を元金の返済に充てることが可能です。
また、任意整理をする業者との取引期間に過払い金(利息制限法の上限を超える金利での取引)が発生していれば、元金の減額も可能です。
「対象とする借金を選べる」のも任意整理の大きなポイント。
借金の中には、住宅や車のローンを任意整理の対象から外すことで、没収を免れるようにすることも可能です。
さらに、裁判所を介さないため、家族や友人・会社に知られる心配も少ないのも特徴です。
ただし、先ほどもお話ししたとおり、任意整理は法律で制定された制度ではないため、原則として債権者は交渉に応じる法的責任はありません。
そのため、金融業者によっては和解に応じてもらえないケースもあります。
また、元金の返済は続けなければならないため、以下のような条件もあります。
- 原則3年~5年程度の分割払いで完済できる、安定した収入があること
- 完済まで返済を続ける意思があること
任意整理については下記の記事で詳しく解説しています。
「任意整理とは?デメリットと対処法から費用、期間まで弁護士が解説」
任意整理は、原則として借金そのもの(元金)を減額する手続きではありません。そのために「意味がないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
「借金の返済が終わらない」一番の原因は利息の存在です。
任意整理によって、将来にかかる利息をカットできれば、元金のみの返済となります。
毎月支払った分だけ元金が減っていく仕組みなので、完済までのゴールが明確になります。
一方で債権者の立場で考えると、債務者に個人再生や自己破産をされてしまうと借金の元金が一部・または全額戻ってこないことになります。
そこで債務者と債権者が任意整理という形で話し合い、将来利息を減額するなどで合意を図ることは双方に意味のある手続きといえるでしょう。
個人再生(民事再生)とは?
「個人再生」とは、債務者(借りた側)に返済不能のおそれがあることを裁判所に申立てて、再生計画の認可決定を受けることで借金を1/5〜1/10程度まで減額してもらう方法です。
個人再生は、法的には民事再生法221条以下に規定された民事再生手続の一部で、民事再生が法人・個人問わずに規定されているのに対し、個人再生は文字通り、主に個人を対象にした手続きを指します。
言い換えれば、個人再生は民事再生を簡易化したものと理解しておくとよいでしょう。
個人再生ができるおもな条件は、以下のとおりです。
-
- 借金総額が100万円以上であること(最低弁済額*が100万円のため)
- 借金総額が5,000万円以下(利息制限法の引き直し計算後)であること
- 将来的に継続的・安定的な収入があり、再生計画に則った弁済が行えること
*返済しなければならない最低限の金額
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
「個人再生とは?自己破産との違いやデメリットをわかりやすく解説」
自己破産とは?
「自己破産」とは裁判所を介して、一部の債務を除きすべての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう方法です。
裁判所の許可(免責)を得て借金をゼロにするという大きな効力がある反面、家や車など一定以上の価値ある財産は没収され、債権者に分配されてしまうデメリットもあります。
自己破産ができるおもな条件は、以下のとおりです。
-
- 借金が返済できない状態である
- 借金の理由が免責不許可事由*1にあたらない
- 借金が非免責債権*2ではない
*1「浪費または賭博その他の射幸行為による場合」「返済できないとわかっていて借り入れを行った場合」「過去7年以内に自己破産による借金の免除を受けている場合」など
*2「税金や国民健康保険料」「害意による行為に基づく損害賠償金」「養育費」など
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
「自己破産とは?弁護士や破産者に聞くメリットデメリットと手続きの流れ」
特定調停とは?
「特定調停」とは、裁判所の仲介によって債権者と話し合って返済計画を立て直すことで借金を減額してもらう解決方法です。
借金の減額幅などは任意整理と似ていますが、弁護士などに依頼することなく債務者自身で手続きを行うことができます。
特定調停ができる主な条件は、以下のとおりです。
- 借金を抱えて支払い不能に陥っている、返済が困難となるおそれがあること
- 調停をすることを求める旨の申述を行うこと
【番外編】過払い金返還請求とは?
「過払い金返還請求」とは、本来支払う必要がない高い金利で借り入れていた場合に、払い過ぎていたお金を返してもらう手続きです。
本来払う必要のなかったお金を返してもらう手続きで借金を減額・免除する手続きではないため、「債務整理」ではありませんが、債務整理をすることで、過払い金の発生が判明する場合があります。
その場合は債務整理と同時に、過払い金返還請求を行うことも可能なため、債務整理に近い手続きとして利用されています。
過払い金返還請求には、おもに以下のメリットがあります。
- 過払い金があれば、借金がなくなる場合もある
- ショッピングの債務があった場合は相殺することも可能
- 返済期間が長期に渡っている場合は、残っている借金が消えてさらに過払い金も返ってくる可能性もある
過払い金返還請求ができるおもな条件は、以下のとおりです。
- 2010年(平成22年)以前に高い金利(いわゆるグレーゾーン金利)で借り入れをしていた
- 完済後10年以内であること
過払い金については以下の記事で詳しく説明しています。
「過払い金とは?対象や計算方法は?請求のデメリット・時効と相談先」
4種類の債務整理のメリットとデメリットとは?
以上のように債務整理にはそれぞれの方法にメリットとデメリットがあり、手続きごとに異なります。
メリット | デメリット |
---|---|
・将来利息の減額・カットが可能 ・過払い金があれば元金も減額できる ・督促・取り立てが原則ストップする ・対象とする借金を選べる ・(他の債務整理と比べて)家族や会社にバレにくい ・家や車など財産を残せる ・原則、保証人に迷惑がかからない |
・完済から約5年たつまでブラックリスト状態になる ・定期的・継続的な収入が必要 ・和解できないなど失敗するケースがある ・(他の債務整理と比べると)減額できる金額が低い |
メリット | デメリット |
---|---|
・債務額に応じて借金を5分の1~10分の1程度に圧縮できる可能性がある ・原則3年、最長5年での分割返済が可能となる ・住宅ローンが残っている場合は「住宅ローン特則」を利用することで住宅を手放すことなく住み続けられる |
・完済から約5年たつまでブラックリスト状態になる ・定期的・継続的な収入が必要 ・保証人が一括返済を迫られる ・国の広報誌である「官報」に載る ・手続が複雑で期間も長い(約1年~1年半程度) ・費用の負担が大きい(50~80万円程度) ・裁判所に出廷する必要がある |
メリット | デメリット |
---|---|
・借金の支払義務を全額免除できる ・金融機関からの取り立てや強制執行を解除できる ・生活保護受給者や無職など収入がなくても手続き可能 ・自己破産後に得た財産は没収されない ・生活に必要な財産は残せる |
・手続き終了から約5〜10年ブラックリスト状態になる ・保証人が一括返済を迫られる ・国の広報誌である「官報」に載る ・手続が複雑で期間も長い(約1年~1年半程度) ・家や車など高額の財産を失う ・職業や資格に制限がかかる(自己破産の手続き期間のみ) ・費用の負担が大きい(30〜130万円程度) ・裁判所に出廷する必要がある |
メリット | デメリット |
---|---|
・将来利息の減額・カットが可能 ・対象とする借金を選べる ・(他の債務整理と比べて)家族や会社にバレにくい ・家や車など財産を残せる ・原則、保証人に迷惑がかからない ・自分で手続きを行えば、費用の負担が少ない(数千円程度) |
・完済から約5年たつまでブラックリスト状態になる ・遅延損害金や未払利息は支払わなければならず、任意整理と比べて返済額が高くなる可能性がある ・定期的・継続的な収入が必要 ・裁判所に出廷する必要がある |
4種類の債務整理のメリット・デメリットを比較
4種類の債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・特定調停)のメリット・デメリットをそれぞれ比較すると以下のようになります。
デメリット | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 |
---|---|---|---|---|
ブラックリスト(信用情報)に載る | 〇 約5年 |
〇 約5年~10年 |
〇 約5年~10年 |
〇 約5年 |
住宅を回収・処分される | ✖ 回避できる |
✖ 回避できる |
〇 | ✖ 回避できる |
車を回収・処分される | ✖ 回避できる |
✖ 回避できる |
〇 | ✖ 回避できる |
保証人に影響がある | ✖ 回避できる |
〇 | 〇 | ✖ 回避できる |
生命保険を解約される | ✖ | ✖ | △ 解約される場合あり |
✖ |
銀行口座が凍結になる | ✖ 回避できる |
〇 | 〇 | ✖ 回避できる |
家族や会社にバレる可能性 | ✖ | △ | 〇 | △ |
職業・資格の制限を受ける | ✖ | ✖ | 〇 | ✖ |
各債務整理のデメリットが、生活にどんな影響を及ぼすのか?は「債務整理をするとどうなる?デメリットが生活に及ぼす影響とよくある誤解」で具体的に解説しています。
債務整理共通のデメリット!信用情報機関に事故記録が登録される
4種類の債務整理共通のデメリットとして信用情報機関に「事故情報」が登録される点が挙げられます。
いわゆる 「ブラックリスト(信用情報)に載る」状態といわれるものです。
信用情報機関に事故情報が登録されている間は、おもに以下のような制限があります。
- クレジットカードが利用停止になり新規発行もできない
- 金融機関や消費者金融などで新たなローンが組めない
- スマホや携帯電話端末の分割払いができない
- 新規で賃貸契約ができない場合がある
- ローンや奨学金の保証人・連帯保証人になれない
※いわゆるブラックリストの影響については、「債務整理をするとどうなる?デメリットが生活に及ぼす影響とよくある誤解」で詳しく解説します。
信用情報や信用情報機関とは?
信用情報とは、クレジットカードやローンなどの申し込みや契約・利用状況に関する情報(申し込み内容や契約内容、支払い状況、借入残高など)をいいます。
信用情報機関とは、クレジットカードやローンなどの利用者の信用情報を取り扱う機関です。
過剰な貸付けを行わないよう、金融機関や消費者金融、クレジットカード会社などが利用者の信用情報をチェックをしています。
そのため、債務整理をしたという事実は事故情報として登録されるのです。
信用情報機関は、以下の3つがあります。
ブラックリストの登録期間は5~10年
3つの信用情報機関では、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停による事故記録の登録期間(目安)を次のように設定しています。
信用情報機関名 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 |
---|---|---|---|---|
CIC※1 | 完済日から5年 | 完済日から5年 | 破産手続き開始決定日から5年 | 完済日から5年 |
JICC | 完済日から5年※2 | 完済日から5年※3 | 手続き終了(免責確定)日から5年 | 完済日から5年 |
KSC | 完済日から5年 | 完済日から5年または手続開始決定日から10年のいずれか遅い方 | 破産手続き開始決定日から10年 | 完済日から5年 |
※1.CICでは「どの債務整理を行ったか」は登録されず延滞等と同じ「異動情報」として登録されます。
(参考:「信用情報開示報告書」の表示項目)
※2.2019年9月30日以前の契約・借入は受任通知を受領した日から5年
※3.2019年9月30日以前の契約・借入は手続開始決定日から5年
それぞれの信用情報機関で登録期間や起算日は異なりますが、3つの信用情報機関は情報を共有しているため、任意整理すると(完済日から)約5年、個人再生と自己破産をすると約5年から最長10年はいわゆる“ブラックリスト期間”になります。
ブラックリスト(信用情報)については以下の記事で詳しく説明しています。
「債務整理のブラックリストはいつ消える?登録の期間・影響と確認方法」
債務整理をするとどうなる?デメリットが生活に及ぼす影響とよくある誤解
債務整理のデメリットについては、上で紹介しましたが、それらが実生活にどんな影響を及ぼすのか?さらに詳しく見ていきましょう。
また、債務整理はその効力の大きさからか、中には誤解といえるものもありますので、あわせて解説していきます。
クレジットカードが利用できない
債務整理をすると、原則としてクレジットカードの新規発行はできません。
カード会社が新規カード契約をするとき、必ず申込者の信用情報をチェックし、事故情報が残っているとほとんどの場合で審査落ちになります。
現在利用中のクレジットカードはどうなる?
〈個人再生・自己破産の場合〉
個人再生・自己破産は、原則として整理する債権者を選べません。
そのため、キャッシング・リボ払いなどの借入がある・ない、クレジットカードを利用している・いないに関わらず、弁護士や司法書士は手続きをする前にすべてのカード会社に対して手続きを行う旨を通知します(受任通知)。
通知を受けたカード会社は、契約に基づき強制解約を行うため、基本的にこの時点ですべてのクレジットカードが利用できなくなります。
〈任意整理・特定調停の場合〉
任意整理・特定調停には、整理の対象(債権者)を選んで交渉できる特徴があります。
例えばクレジットカードA社は整理の対象とするが、B社は整理の対象としない、といった対応が可能です。
そのため、
・整理の対象としたA社については、手続きと同時に強制解約
となりますが、
・整理の対象としないB社については、継続してクレジットカードを使用
することが可能です。
ただし、B社についても、カードの更新時などで行われる「途上与信」で信用情報が問われ、更新ができず、結果として解約になる可能性があります。
また、カード会社によっては、更新よりも前にカードの利用停止措置をとる場合もあります。
いずれにせよ債務整理をすると、信用情報が回復するまでクレジットカードは利用できなくなります。
ただし、カード決済する方法はクレジットカードだけではありません。
以下のような方法であれば、信用情報機関に事故記録が登録されていても、カード決済が可能です。
- 「デビットカード」を利用する
- 「家族カード」を利用する
- 「プリペイドカード」を利用する
- 「LINE PAY」や「PayPay」などのスマホ決済を利用する*
*クレジットカード払いにしている場合は利用できない場合もあります。
債務整理による信用情報への影響や“ブラックリスト期間”については、以下の記事で詳しく解説しています。
「債務整理のブラックリストはいつ消える?登録の期間・影響と確認方法」
ローンやキャッシングが利用できない
お金を借りるとき、金融機関は必ず申込者の信用情報に事故記録が残っていないか?をチェックします。
そのため新規でローンやキャッシング契約を申し込むと、ほぼ必ず審査落ちになります。
ここまででお話ししたとおり、
- 任意整理は完済から5年程
- 自己破産・個人再生は10年程度
登録されているため、ローンが組めるのは最短で5年後、最長で10年後です。
「近々、住宅や車の購入を検討している」などの事情がある方は、手続きしない方がいいでしょう。
債務整理後に生活費が足りなくてお金が必要になってしまった場合は、以下のような対処法が考えられます。
- 家族名義でローンを組む
- 「生活福祉資金貸付制度」を利用する
都道府県の社会福祉協議会が、資金の貸付けと必要な相談や支援を行う制度です。 - 「年金担保貸付制度」を利用する
年金受給権を担保として融資を受けることができる制度です。一時的に小口の資金が必要な場合に利用できますが、返済が終わるまで年金の一部を受け取ることができなくなります。
〈利用できる方〉
・必要な資金を他から借りることが困難な低所得者世帯
・障害者手帳などの交付を受けた人が属する障害者世帯
・65歳以上の高齢者が属する高齢者世帯
※貸付けには条件があり、免責確定後に申請可能です。
〈利用できる方〉
・年金証書を所持している
・現在年金の支払いを受けている
※令和4年3月末で申込受付終了予定です。
賃貸住宅の契約には注意が必要
賃貸契約を結ぶ際の審査には原則として信用情報は問われないため、債務整理をしても賃貸住宅に住むことはできます。
注意すべきなのは、家賃保証会社が信販系の金融機関のときです。
家賃保証会社の多くは、保証を主とした会社や不動産系列の会社ですが、物件によっては信販系の会社が担うケースがあります。
信販会社は3つある信用情報機関のいずれかに加入しているため、審査時に信用情報機関の事故情報を照会されて契約を断られる可能性があります。
家賃保証を信販会社が請け負っているケースは多くはないものの、念のために以下のような対策をしておくとよいでしょう。
- 連帯保証人を立てる
- 信用情報機関に加盟していない家賃保証会社を利用する
- 公営住宅を選ぶ
- 不動産会社に相談する
自己破産後の賃貸契約の注意点については以下の記事で詳しく説明しています。
「債務整理すると賃貸はどうなる?解約を避ける方法と審査に通るコツ」
保証人になれない
信用情報に事故情報が載っている期間は、保証人や連帯保証人にはなれない点も注意が必要です。保証人になる際にも審査があり、信用情報を確認されるためです。
このような場合には、以下のような対処法が考えられます。
- 債務整理をしていない家族に保証人になってもらう
- 子供の奨学金の保証人は「機関保証制度」を利用する
- 自動車ローンは保証人不要のローンを利用する
一定期間が過ぎて事故情報が消去されれば、保証人や連帯保証人になることは可能です。
また賃貸住宅の契約をする際の連帯保証人には、一定期間が過ぎる前でもなれる場合があります。
信用情報を照会できるのは信用情報機関に加盟している金融機関のみで、一般的に不動産業者や大家は加盟していないので信用情報を照会できないためです。
住宅や車が回収・処分される場合もある
4種類ある債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・特定調停)のいずれを利用するかによって、また、残債がある(ローンが残っている)かによって、所有している住宅や車がどうなるかが異なります。
〈住宅を回収される〉
- 自己破産:原則として回収・処分されて債権者への返済に充てられる
〈住宅の回収を回避できる〉
- 任意整理:住宅ローンを任意整理の対象から外すことで、住宅の回収を回避できる
- 個人再生:「住宅ローン特則」を利用することで住宅の回収を回避できる
- 特定調停:住宅ローンを特定調停の対象から外すことで、住宅の回収を回避できる
〈車を回収される〉
- 自己破産:原則として自動車は回収・処分されて債権者への返済に充てられる
〈車の回収を回避できる〉
- 任意整理:残債のある自動車ローンを任意整理すれば車は引き揚げられるが、任意整理の対象から外すことで回収を回避できる
- 個人再生:残債がある自動車ローンの場合に個人再生すれば車は引き揚げられるが、完済していれば回収されない
- 特定調停:残債のある自動車ローンを特定調停すれば車は引き揚げられるが、特定調停の対象から外すことで回収を回避できる
債務整理で車を失わない方法については以下の記事で詳しく説明しています。
「債務整理による車への影響と残す方法|債務整理後に車を使うには?」
保証人に影響がある場合もある
債務整理の解決方法によっては、債務整理をした債務者に代わって、保証人や連帯保証人が一括返済を求められるケースがあります。
しかし、保証人への影響を回避する方法もあるのです。
〈保証人へ影響がある〉
- 個人再生:保証人に請求(一括請求)がいく
- 自己破産:保証人に請求(一括請求)がいく
〈保証人への影響を回避できる〉
- 任意整理:保証人がいる借金を任意整理の対象から外せば保証人に請求がいかない
- 特定調停:保証人がいる借金を特定調停の対象から外せば保証人に請求がいかない
生命保険は解約になる場合もある
債務整理をしても、原則として加入している生命保険に影響しません。債務整理をしたからといって生命保険に加入できないこともありません。
しかし自己破産を選択した場合は、加入している生命保険を解約される可能性があります。
〈生命保険を解約になる場合もある〉
- 自己破産:原則として20万円以上の解約返戻金がある生命保険は解約が求められる
〈生命保険を解約にならない〉
- 任意整理:契約をしている生命保険に影響はない。原則として解約を求められることはない
- 個人再生:生命保険は解約にならないが、解約返戻金は財産(清算価値)として裁判所に報告が必要
- 特定調停:契約をしている生命保険に影響はない。原則として解約を求められることはない
銀行口座が凍結になる場合もある
債務整理の方法によっては、銀行口座が凍結されるケースもあります。
銀行口座の凍結とは?
現金の引き出し、給料の振り込み、公共料金の自動引き落としなどの銀行口座を使った取引が、入金以外はできなくなることです。
銀行口座が凍結される期間は、一般的に約3ヶ月程度といわれています。
弁護士・司法書士が銀行に「受任通知」を送付してから、保証会社が銀行に返済する「代位弁済」を終えるまで銀行口座は凍結されます。
銀行口座が凍結されるのは、口座を持っている銀行の融資やカードローンを債務整理の対象とする場合です。
どの方法で銀行口座が凍結されるのか、下記でチェックしておきましょう。
〈銀行口座を凍結される〉
- 個人再生:借金のある銀行口座は凍結される
- 自己破産:借金のある銀行口座は凍結される
〈銀行口座凍結を回避できる〉
- 任意整理:銀行からの借金を任意整理の対象から外せば原則として銀行口座は凍結されない
- 特定調停:銀行からの借金を特定調停の対象から外せば原則として銀行口座は凍結されない
債務整理後の銀行口座については以下の記事で詳しく説明しています。
「債務整理の受任通知後、引き落としはどうなる?口座凍結の注意点とは」
家族や会社にバレる可能性もある
債務整理の解決方法によっては、家族や会社などに借金を滞納したことや債務整理をしたことがバレる可能性もあります。
自宅や車を回収・処分される「自己破産」はバレる可能性が高いといえ、官報に載らず自宅に郵便物も届かない「任意整理」は、比較的バレる可能性が低いといえます。
〈家族や会社へバレる可能性が高い〉
- 自己破産:官報に名前や住所が掲載され、住宅や車などの資産を回収されるのでバレる可能性は高い
〈家族や会社へバレる可能性がある〉
- 個人再生:官報に名前や住所が掲載されるのでバレる可能性がある
- 特定調停:官報に掲載されないが、裁判所から郵便物が届く(送り先は変更できる)
〈家族や会社へバレる可能性は低い〉
- 任意整理:官報(国の広報誌)に掲載されないので、家族や会社にバレにくい
職業・資格の制限を受けるケースもある
債務整理をしたからといって、結婚や就職など普段の生活に影響を及ぼすことはありません。
一般の会社員や公務員の場合、債務整理をすること自体が解雇の事由にあたりませんので、債務整理をすることによって解雇されることはないといえます。
ただし自己破産をした場合は、自己破産手続を開始してから免責が確定するまでの間、一時的に制限を受ける職業・資格があります。
- 士業(弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、土地家屋調査士など)
- 生命保険募集人、損害保険代理店
- 証券外務員
- 質屋、古物商
- 警備業者、警備員
- 団体企業の役員・会社役員 など
職業・資格の制限を受けるケースについては以下の記事で詳しく説明しています。
「自己破産で職業制限される職業・資格は?制限期間・仕事に戻る方法」
また、債務整理のデメリットについては以下の記事で詳しく説明しています。
「債務整理のデメリットは?ブラックリストのリスクや救済制度の特徴」
実はデメリットではない?債務整理のよくある誤解
債務整理には前述のようにデメリットやリスクがありますが、誤解されている点もあるようです。
よくある誤解は次のような内容です。
誤解1 戸籍に記録が載る
債務整理をしたことが、戸籍に記載されることはありません。
戸籍は身分関係(出生・結婚・死亡・親族関係など)を載せるものであり、取引や事故情報を載せるものではないので、債務整理をした事実を記載する項目はありません。
誤解2 年金や生活保護は受給できなくなる
年金や生活保護費は最低限の生活を支えるための制度ですので、自己破産後でも条件にあてはまれば受給することができます。
自己破産前に生活保護費を受給している場合は、自己破産後もそれまでと変わりなく受給することができます。
自己破産後の年金について詳しくはこちらの記事を参照ください。
「自己破産後も年金はもらえる?支払いは免除?差し押さえ対象かも解説」
誤解3 税金や社会保険料も免除・減額の対象になる
税金や健康保険料・国民年金などの社会保険料は、債務整理の対象になりません。
任意整理や個人再生を行った場合でも、税金や社会保険料は減額できないのです。
また自己破産では、税金や社会保険料は免責が決定された場合でも支払いが免除されない「非免責債権」にあたるため免責されません。
-
- 税金や社会保険料
- 罰金・過料
- 養育費
- 慰謝料・損害賠償金* など
*例外もあります。
債務整理を行ったあとでも、税金や社会保険料は支払う必要があります。
どうしても払えない場合は、役所に相談することで分割払いなどの対応をしてもらえる可能性があります。
誤解4 結婚や就職に影響がある
債務整理が結婚や就職に影響を及ぼすことは、基本的にはありません。
ただし、結婚前に配偶者や就職先の担当者が身辺調査することで債務整理の事実が発覚し影響する可能性はあります。
前述した「官報」には、自己破産や個人再生をした人の名前や住所が掲載されます。
官報は図書館などで閲覧可能なため、一般の方でも調べることはできます。
そのため、債務整理の事実がバレる可能性はゼロとはいい切れません。
【アンケート】債務整理してよかった?それとも後悔してる?経験者200人に聞いた体験談
ここまでお話ししたとおり、債務整理にはメリットもありますが、デメリットもあります。
では、実際に債務整理を経験した方々はどのように感じたのでしょうか?
当サイトでは債務整理経験者200名にアンケートを実施。
債務整理したことを後悔しているか?についてリアルな声をお届けします。
※調査データ
実施時期:2022年4月
調査概要:債務整理に関するアンケート
調査対象:過去10年以内に債務整理をした人(200名)
調査媒体:GMOリサーチ
債務整理の種類:任意整理:100人、個人再生:38人、自己破産:88人
任意整理をしてよかった?後悔してる?

任意整理経験者の9割以上が「してよかった」と回答しました。
その理由をお聞きしたところ、次のような声が寄せられました。
【任意整理してよかった理由】
- 債権者を一つにまとめることで、利子負担が軽くなり、将来の人生計画の再スタートに明るい兆しが見え、前向きに生きられるようになったから
- 支払いが毎月6万から、多い月は10万円くらいあり、工面するのが大変だった。毎月の支払い額が減ったので楽になったから
- リボ払いの設定にしていたので、残金が分からないし、変更ができなかった。任意整理したおかげで、スッキリした。
- 支払いに追われお金のことばかり考えていた生活から抜け出せた
- 精神的なストレスで身体に異常が見られるようにまで発展してしまった。そういう状況を脱して健全な精神状態に戻れた
ただし、中には次のようなネガティブな意見もありました。
【任意整理しなければよかった理由】
- 信用情報記録にブラックリストと認定された。 クレジットカードの登録やローンが組めなくなり不便だった
- 任意整理を知らず後から考えてみれば、利息の部分の事を考えていなかったから後からまた請求が届いたから
- 結果的に一括で支払ったから、無理に利用してブラックリストにのらなくてもよかったと今となっては思っているから
個人再生をしてよかった?後悔してる?
【個人再生してよかった理由】
- 1年以上期間はかかったがかなり減額できたから良かった
- 住むところを失わずに生活ができるところがよかった
- 債権者にはご迷惑をお掛したが、借金が減ったので、なんとか返済をしていけました
- 心配や不安などが多くありましたが、いろいろな話やネットなどで調べてやってみようという気になれました
- もう一度人生をやり直すきっかけを持てた
【個人再生しなければよかった理由】
- いろいろな選択肢がある中で、きちんと調べて決めればよかったと思います。知識が無いといろいろ分からない
- ややこしくて時間かかるし、めんどくさかったです。誰かに任せればよかったと思います
- 借金は、普通に返しておくべきだった
自己破産をしてよかった?後悔してる?
【自己破産してよかった理由】
- 生活が建て直せたことはもちろん、精神的に追い詰められていたものがなくなり、夜にぐっすり眠れるようになった。将来設計が明確になった
- 「まだ借りれる」という気になり、誰かに気づいてもらわないままだったから
- 介護と重なり、返済が困難であったから、弁護士に相談しました。国の機関からの相談で、弁護士費用が掛からなかったので助かりました
- 働けず返せない状況なので、自己破産してよかったのではないかと思っています
- 借金返済ができなくなりやむを得ず行ったが、そもそも借金をせずに収入に見合った生活をしておけばよかったと思う
【自己破産しなければよかった理由】
- カード利用は仕方ないにしても、分割払いもできなくなりました。大した額ではなかったので、任意整理にすればよかった
- クレジットカードが使えなくなり、とても不便だし、他に違う方法があったはずだと非常に後悔しています
- 現金のみの体制は不便だし、車を買い替えたくてもローンが組めない。もっと考えてすれば良かったと後悔している
- 人に言えない、恥ずかしいから。気分が沈みがちになる
債務整理にかかる費用の相場とは
債務整理の方法によって、かかる費用は異なります。
裁判所を通す方法の場合は、裁判所に払う費用が必要になります。
また弁護士に手続きや交渉を依頼した場合は、弁護士費用が必要になります。
裁判所費用の相場 | 弁護士費用の相場 | |
---|---|---|
任意整理 | 不要 | 5万円~50万円程度*1 |
個人再生 | 2~3万円程度*2 | 50万円~60万円程度 |
自己破産 | (同時廃止の場合)2~3万円程度 (管財事件の場合)20~50万円程度 |
50万円程度 |
特定調停 | 1,000円程度 | 不要 |
*1 債権者の数や借金額によって変動します。
*2 個人再生委員が選任された場合は、個人再生委員の報酬が別途必要です。
それぞれの解決方法の費用の相場がいくらになるのか、くわしく紹介しましょう。
任意整理の費用相場は最低5万円~が基本
任意整理を弁護士に依頼すれば、弁護士費用がかかります。
弁護士の費用は債権者の数や借金の金額にもよりますが、最低でも5万円程度が相場となります。
債権者や借金額が多ければ50万~60万円程度になる場合もあります。
なお任意整理は裁判所を通しての手続きではないので、裁判所の費用は不要です。
任意整理にかかる弁護士費用
弁護士に任意整理を依頼した際は「相談料」「着手金」「報酬金」「減額報酬金」といった費用がかかります。
項目 | 費用の相場 |
---|---|
相談料 法律相談をする際に必要 |
1万円程度(1時間につき) ※無料の場合もあり |
着手金 案件の着手時に必要 |
借入先1社につき2万~5万円程度 ※債務額によっては10万円程度の場合もあり |
報酬金 案件の成功時に必要 |
債権者1社につき 原則2万円以下 |
減額報酬金 借金の減額の成功時に必要 |
減額分の10%以下 |
※日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」など各種データを基に作成
例えば、債権者が3社、借金残高が200万円から150万円に減額できた場合、弁護士費用は計21万円程度になります。
名称 | 費用の相場 |
---|---|
相談料 | 1万円 |
着手金 | 9万円(3万円×3社) |
報酬金 | 6万円(2万円×3社) |
減額報酬金 | 5万円(50万円×10%) |
合計額 | 21万円 |
※債権者3社、借金が50万円に減額できた場合の例
任意整理の費用については下記の記事で詳しく解説しています。
「任意整理費用の相場は?お金がなくて払えない場合の対処法まで解説」
個人再生の費用相場は50万~60万円程度が基本
弁護士に個人再生を依頼する場合は弁護士費用がかかるほか、裁判所を介しての手続きとなるため裁判所費用も必要になります。
個人再生にかかるトータルの費用は、50万~60万円程度が相場といえます。
個人再生にかかる弁護士費用
個人再生を弁護士に依頼する場合、弁護士費用として「相談料」「着手金」「報酬金」がかかります。
名称 | 費用の相場 |
---|---|
相談料 | 1万円程度(1時間につき) ※無料の場合もあり |
着手金 | 30万円程度~ |
報酬金 | ・住宅なし:20万円~ ・住宅あり:30万円~ |
個人再生の場合は、住宅ローンが残っている場合は「住宅ローン特則」を利用することで、住宅を手放さずに住み続けることができます。
住宅ローン特則を利用する場合は、弁護士費用が高額になることが一般的です。
個人再生での弁護士費用は、総額50~60万円ほどはかかると見たほうがよいでしょう。
個人再生にかかる裁判所費用
個人再生の場合、裁判所には「予納金(官報掲載料)」「収入印紙(申立手数料)」「郵便切手(通知呼出料等)」などの費用がかかります。
個人再生の場合、裁判所費用の相場は以下のとおりです。
名称 | 費用 |
---|---|
予納金 (官報掲載料) |
1万3,000円程度 |
収入印紙 (申立手数料) |
1万円程度 |
郵便切手 (通知呼出料等) |
2,000円~3,000円程度*1 |
封筒代 (債権者全員の分及び申立人の分) |
数百円(実費) |
個人再生委員の報酬*2 | 15万円〜25万円 |
※裁判所によって金額は異なる
*1:郵便切手(通知呼出料等)は債権者数3社の場合を想定
*2:個人再生委員を選任するかは裁判所の判断による
個人再生にかかる裁判所費用総額は、一般的に2万~3万円ほどです。
しかし裁判所の判断で、個人再生申立人と裁判所を補助する役割を担う「個人再生委員」が選任される場合があります。
個人再生委員が選任された場合、その費用(報酬)が15万~25万円程度かかります。
個人再生の費用については下記の記事で詳しく解説しています。
「個人再生の費用の相場|費用が払えないときの対処法」
自己破産の費用相場は50万円以上が基本
自己破産は裁判所を介しての手続きとなるため、弁護士に依頼した際にかかる弁護士費用に加え、裁判所費用も必要となります。
自己破産にかかるトータルの費用は、おおよそ50万円以上が相場といえます。
自己破産にかかる弁護士費用
自己破産を弁護士に依頼した場合「相談料」「着手金」「報酬金」といった弁護士費用がかかります。
自己破産の場合、弁護士費用の相場は以下のとおりです。
名称 | 費用の相場 |
---|---|
相談料 | 1万円程度(1時間につき) ※無料の場合もある |
着手金 | 30万円程度~ |
報酬金 | 20万円程度~ |
自己破産での弁護士費用は、トータルで50万円ほどはかかると見たほうがよいでしょう。
自己破産にかかる裁判所費用
裁判所では「予納金(官報掲載料)」「収入印紙(申立手数料)」「郵便切手(通知呼出料等)」などの費用がかかります。
自己破産の場合、裁判所費用の相場は以下のとおりです。
名称 | 費用 |
---|---|
予納金(官報掲載料) (管財事件の予納金) |
1万5,000円程度(20万円~) ※破産管財人報酬も含む |
収入印紙(申立手数料) | 1,500円程度 〈内訳〉 破産手続開始申立費用:1,000円 免責許可申立費用:500円 |
郵便切手 (通知呼出料等) |
4,000円~5,000円程度(※1) |
あて名書きをした封筒 (債権者全員の分及び申立人の分) |
封筒代(実費) |
※裁判所によって金額は異なる
※1:郵便切手(通知呼出料等)は債権者の数は3名とした場合で計算したもの
自己破産で「同時廃止」の手続きを行った場合の裁判所費用は、トータルで2万~3万円ほどで済みます。

破産手続の開始と同時に手続きを廃止(終了)することです。 財産がなく、免責を不許可とする事由がないこといことが明らかな場合に行われます。費用を安くすませることができます。
しかし「管財事件」の手続きを行った場合には「破産管財人」への報酬も必要です。通常その報酬は予納金(20万円以上)に含まれています。

裁判所が破産管財人を選任して破産者の財産を調査・処分し、債権者に配当する手続きです。 自己破産を申立てた本人に一定以上の保有財産があるなど、手続きに時間を要する場合などに行われます。裁判所に予納金を20万円以上払うなど、費用は多くかかります。

自己破産の手続きの際に裁判所から選任されて、財産を売却し債権者に配当する役目を担う専門家です。一般的に破産管財人は弁護士が選任されることが多いです。
管財事件となった場合にかかる自己破産の費用は、トータルで100万円程度になる可能性もあります。
自己破産の費用については下記の記事で詳しく解説しています。
「自己破産にかかる費用総額の相場は?払えない場合も手続き可能なワケ」
特定調停の費用相場は数千円程度が基本
特定調停は、基本的には自分が裁判所を介して行う手続きであるため、裁判所費用がかかります。
自分で特定調停の手続きを行った場合の費用は、総額でも数千円程度が相場といえます。
特定調停にかかる裁判所費用
裁判所費用として「申立手数料(収入印紙)」「手続費用(予納郵便切手)」がかかります。
名称 | 費用 |
---|---|
申立手数料(収入印紙) | 500円(債権者1人につき) |
手続費用(予納郵便切手) | 430円(債権者1人につき) |
債権者の数にもよりますが、特定調停にかかる裁判所費用は数千円で済むケースが多いといえます。
弁護士に特定調停を依頼した場合、弁護士費用がかかることも
原則として、特定調停は弁護士や司法書士に費用を支払えない方が利用する制度ですが、必要に応じて弁護士に依頼しても問題ありません。
ただし、ご自身で特定調停を行う場合と比べて費用がかさみます。
弁護士に特定調停を依頼した場合は、裁判所費用とは別に弁護士費用が10万~30万円程度かかると見たほうがよいでしょう。
債務整理の費用について下記の記事でも詳しく解説しています。
「債務整理費用はいくら?種類ごとの相場と払えない場合の対処法5選」
債務整理の弁護士費用を払えない場合の対処法
前述のとおり、債務整理に必要な弁護士費用・裁判所費用は、総額数万円~数十万円程度がかかることになり、経済的負担は少なくありません。
しかし債務整理の費用を相場より抑えるための方法がいくつかあります。
以下で紹介します。
司法書士に依頼する
司法書士に債務整理を依頼する場合は、弁護士に比べて費用はやや安い傾向にあります。
司法書士費用の相場は、以下のとおりです。
- 定額報酬:1万~5万円まで(債権者1社につき)
- 減額報酬:借金の減額分の10%まで
日本司法書士会連合会の「債務整理事件における報酬に関する指針」では、定額報酬は債権者1社あたり5万円まで、減額報酬は借金の減額分の10%までと定められています。
しかし司法書士の場合、債務整理において取り扱える借金額に上限があります。
債権者1社につき借金額が140万円を超える場合は、司法書士は債務整理を行えません。
また、利息制限法に基づいた現在の金利で利息を再計算する「引き直し計算」をして過払い金が140万円(債権者1社につき)を超える場合も、司法書士は債務整理を行えません。
借金が少額の場合なら、司法書士に債務整理を依頼するのも一つの選択肢といえます。
債務整理の種類 | 弁護士 | 司法書士 |
任意整理 | (債権者1社につき)5万円程度 | (債権者1社につき)3〜5万円程度 |
個人再生 | 50万円~60万円程度 | 30万円〜50万円程度 |
自己破産 | 50万円程度 | 20万円〜40万円程度 |
特定調停 | 弁護士や司法書士に債務整理手続きの依頼をした場合、ほぼ任意整理を行います。 |
ただし、弁護士と司法書士では債務整理の手続きにおいて、依頼できる業務範囲が異なる点には注意しておきましょう。
債務整理の種類 | 弁護士 | 司法書士 |
任意整理 | すべて対応可能 | 債権者1社につき140万円以内の場合のみ(※) |
個人再生 | すべて対応可能 | 提出書類の作成のみ |
自己破産 | すべて対応可能 | 提出書類の作成のみ |
特定調停 | 弁護士や司法書士に債務整理手続きの依頼をした場合、ほぼ任意整理を行います |
※司法書士の中でも「簡裁訴訟代理等関係業務」も行うことができる認定司法書士のみ対応
弁護士は法律に関する業務のすべてを行うことができますが、司法書士は裁判所に提出する書類の作成や提出が主な業務です。
そのため、司法書士は裁判所に出廷する際に同行できませんし、手続き内容が異なる場合もあります。
法テラスに相談する
「法テラス」とは「日本司法支援センター」の愛称のことで、法的なトラブルに遭った経済的に余裕がない人に対して、無料の法律相談に応じています。
法テラスでは、さらに弁護士・司法書士費用の「立替え」も行ってくれます。
立替えとは、法テラスが利用者に代わって弁護士・司法書士に費用(着手金・報酬金・実費)を支払い、後で法テラスに費用を分割払いするものです。
弁護士・司法書士費用は、月額5,000円~1万円程度で分割払いします。
法テラスを利用すれば、債務整理の費用を抑えられる可能性があります。
しかし、法テラスに依頼すると以下のようなデメリットもあります。
- 弁護士との契約までに時間がかかる
- 担当の弁護士を選ぶことができない
紹介された専門家が必ずしも債務整理において実績が豊富とは限らないため注意が必要です。
自分で債務整理をする
弁護士や司法書士に依頼せず自分で債務整理を行えれば、弁護士・司法書士費用はかかりません。
自分で債務整理をする場合にかかるのは、主に以下のような実費です。
- 必要書類の印紙代:任意整理の場合は合意書に貼る印紙代として債権者1社あたり2,000円程度、自己破産の場合は1,500円
- 通信費:郵便料金や電話料金など
債務整理の手続きは複雑で、必要書類を準備・作成したり、債権者や裁判所と連絡を取ったりと手間や時間がかかります。
自分で債務整理の手続きをする場合は債権者からの借金の督促は止まらないだけでなく、その間も返済を続けなければなりません。
自分で債務整理を行うことは、負担も大きいといえます。
無料相談や分割払い・後払いに応じてくれる弁護士事務所に相談する
弁護士・司法書士事務所の中には、債務整理の相談に無料で応じてくれるところもあります。
債務整理の費用を一括で払えない場合は、 費用の分割払い・後払いに応じてくれる事務所もあります 。
初回相談時に、分割払い・後払いが可能か質問してみるとよいでしょう。
借金や債務整理に悩んでいるなら、まずは相談無料の事務所に相談してみてはいかがでしょうか。
債務整理の費用を払えない場合の対処法について下記の記事でも詳しく解説しています。
「債務整理の費用が払えない・・・!後払いや分割払いは可能?」
債務整理を弁護士に相談するメリットは?
債務整理は弁護士に依頼すれば、ほとんどの手続きや交渉をお任せすることができます。
※司法書士は交渉はできません。
また弁護士・司法書士に債務整理を依頼すると、債権者への返済や督促がストップします。
以下でくわしく説明します。
借金の督促や支払いが一時ストップする
弁護士・司法書士は債務者から債務整理の依頼を引き受けると、債権者に対し債務者の代理人になったことおよび、債務整理を行うことを伝える「受任通知」を送付します。
債権者に受任通知が届いた時点で、取り立てや督促・返済は原則としてストップします。
債権者は弁護士・司法書士から受任通知を受けた場合、 貸金業法の第21条1項9号に基づき、取立て行為を止めることが定められています。
(取立て行為の規制) 第21条
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
(略)
9号 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
債権者に受任通知が届いたときから債務整理の手続きが終わるまでの間、借金の督促は止まり、返済もストップします。

弁護士費用が用意できていない場合でも、この間に費用を用意することが可能になるのです。
受任通知については以下の記事で詳しく解説しています。
「債務整理の受任通知でできること|受任通知のリスクや対処法も解説」
自分に合った債務整理の方法を提案してくれる
弁護士は依頼者のおかれた状況から、どの債務整理の方法が合っているかを判断してアドバイスしてくれます。
ご自身でどの債務整理の方法が向いているのかを判断することは、容易ではないといえます。
弁護士に相談することで
- 保証人に迷惑をかけたくない場合は「任意整理」で保証人付きの債務を対象外にする
- 借金の総額が多いが家を残したい場合は「個人再生」にする
- 収入もなく借金返済の目途がたたない場合は「自己破産」で借金解決を最優先にする
といったように、的確なアドバイスを受けることができます。
債務整理の手続きの多くを任せられる
弁護士に債務整理を依頼すると、債権者との交渉や煩雑な手続きなどをお任せできます。
特に任意整理の場合は金融機関や貸金業者との交渉が必要になりますが、その多くをお任せすることができます。
また弁護士には守秘義務があるので依頼人の情報を漏らすことはなく、周囲にバレないように配慮してくれるでしょう。
債務整理手続きの流れと期間、必要書類
債務整理の手続きは、どのような流れで進んでいくのでしょうか?
また期間はどのぐらいかかるのでしょうか?
それぞれの方法ごとに紹介します。
任意整理の流れ・期間と必要書類
任意整理を弁護士・司法書士に依頼した場合の基本的な流れは、以下の通りです。
- 弁護士・司法書士に相談・依頼
弁護士・司法書士に依頼することで任意整理が可能かどうか?交渉する借入先(債権者)などを弁護士・司法書士が判断してくれます。
弁護士・司法書士に正式に依頼する場合は、委任契約を締結します。 - 受任通知の送付(即日〜3日程度)
弁護士・司法書士に正式に手続きを依頼すると、債権者あてに「受任通知」という書類が送られます。
受任通知は「これから債務整理をはじめます」と宣言するようなもので、受任通知には法的な効力があります。
これ以降、債務者は月々の返済をしなくて済み、債権者は督促や取り立てができなくなります。 - 利息の引き直し計算(1ヶ月〜2ヶ月程度)
弁護士や司法書士は、借入先(債権者)から開示された取引履歴をもとに現状の借金額(債務額)を調査します。
その際「利息制限法」という法律に基づいた金利で利息を再計算する「引き直し計算」を行います。引き直し計算をして、利息を払いすぎた「過払い金」があることがわかれば、過払い金の返還請求を行います。 - 債権者と交渉(3ヶ月程度)
利息の引き直し計算によって判明した正確な借金額をもとに、弁護士や司法書士が債権者との和解交渉を行います。 - 債権者と和解成立(即日~)
債権者と和解に至れば、合意書を作成して交渉は終了です。 - 返済の再開〜完済(3〜5年程度)
債権者と和解した条件にもとづき、返済を再開します。
- 本人確認書類
- 印鑑
- クレジットカードやキャッシュカード
任意整理の流れについては以下の記事で詳しく解説しています。
「任意整理の流れをステップごとに解説|必要な期間と交渉のコツも」
自己破産の流れ・期間と必要な書類
破産手続きは弁護士の力を借りて進めることが一般的です。
弁護士への相談から、借金が帳消しとなる免責許可の決定まで、次のような流れで進みます。
- 弁護士・司法書士に相談・依頼
債務者自身が手続きすることも可能ですが、現実には多くの方が弁護士・司法書士に依頼しています。
ただし、司法書士がしてくれるのは、書類作成の代行のみです。弁護士は、裁判所とのやりとりを含めた手続き全般を代行してくれます。 - 受任通知の送付(即日〜3日程度)
弁護士・司法書士に正式に手続きを依頼すると、債権者あてに「受任通知」という書類が送られます。
受任通知は「これから債務整理をはじめます」と宣言するようなもので、受任通知には法的な効力があります。
これ以降、債務者は月々の返済をしなくて済み、債権者は督促や取り立てができなくなります。 - 申立ての書類作成(約2~3ヶ月)
裁判所に自己破産の申立てを申請する前に、書類を作成します。弁護士や司法書士に依頼した場合は、ほとんど代行してもらえます。 - 裁判所に自己破産の申立て(約1ヶ月)
作成した書類を、債務者が居住している地域を管轄している地方裁判所に提出します。 - 裁判所で破産審尋(面談)を受ける(約1週間)
まれではあるものの、弁護士同行のもとで裁判所に出廷し、面談を行う場合があります。面談内容は、書類の確認と借金をした理由についてなどです。 - 破産手続の開始決定
ここで「同時廃止」か「管財事件(少額管財)」が決まります。一部職業や資格に制限を受けるのは、ここから免責確定までの一定期間です。 - 【管財事件の場合】破産管財人による財産の調査・精算
開始決定がなされると、裁判所から破産管財人が選出されます。破産管財人と面接した後に、管財人が財産を調査し、精算をします。 - 【管財事件の場合】債権者集会・免責審尋(約半年)
破産管財人が債権者に対し事情や財産状況などを報告する場として、債権者集会が行われます。ただし、実際は債権者が参加することはなく、数分で終わります。
また債権者集会と同日に裁判官、破産管財人と面談します。ここでは自己破産する意思などを最終確認されます。 - 免責許可の決定(約1ヶ月)
最終的に裁判所が免責を確定します。この段階で借金を支払う必要がなくなり、職業や資格の制限も解除(復権)されます。
自己破産の手続きに必要な書類
自己破産の手続きに必要な書類は以下の通りです。基本的に、本人と弁護士や司法書士が役割分担をして書類を集めることになります。
- 申立書
- 陳述書(状況・事情などの説明書面)
- 債権者一覧表・滞納公租公課一覧表(債務を証明する書類)
- 財産目録(財産を証明する書類)
- 給与明細書・年金などの受給証明書・源泉徴収票・確定申告書・課税証明書・同居人の給与明細書や源泉徴収票(収入を証明する書類)
- 退職金支給明細書・退職金規定
- 戸籍謄本・住民票(身分に関する書類)
- マンションやアパートの賃貸借契約書・登記簿謄本・住宅使用許可書等(住居に関する書類)
- 不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書・課税台帳に記載がないことの証明書・ローン残高証明書・車検証・車両売却査定書・生命保険証書・預金通帳等(資産に関する書類 )
自己破産に必要な書類については以下の記事で詳しく解説しています。
「自己破産の必要書類は11種類!スムーズかつバレずに集める方法も紹介」
個人再生の流れ・期間と必要書類
個人再生手続きは弁護士の力を借りて進めることが一般的です。
弁護士への相談から、再生計画の許可の決定まで、次のような流れで進みます。
- 弁護士・司法書士に相談・依頼
弁護士や司法書士に相談することで、借金の総額や収入・財産などを把握した上で、個人再生をどう進めたらいいのか、個人再生にかかる期間・費用がいくらかを確認します。 - 受任通知の送付(即日〜3日程度)
弁護士・司法書士に正式に手続きを依頼すると、債権者あてに「受任通知」という書類が送られます。
受任通知は「これから債務整理をはじめます」と宣言するようなもので、受任通知には法的な効力があります、
これ以降、債務者は月々の返済をしなくて済み、債権者は督促や取り立てができなくなります。 - 利息の引き直し計算(1ヶ月〜2ヶ月程度)
弁護士・司法書士は債権者から借金の取引履歴を取り寄せて、利息制限法に基づく金利で利息を改めて計算する「引き直し計算」を行い、現在の借金総額を確定させます。
引き直し計算をして、利息を払いすぎた過払い金があることがわかれば、過払い金の返還請求を行います。 - 申立ての書類作成(約2~3ヶ月)
弁護士や司法書士が、債務者の収入や支出・家計、財産・資産などについて調査を行います。
その結果「小規模個人再生手続」か「給与所得者等再生手続」のどちらの手続きが適しているかを判断し、裁判所に提出する個人再生申立書などを作成をします。
弁護士や司法書士に依頼した場合は、ほとんど代行してもらえます。 - 裁判所に個人再生の申立て(約1ヶ月)
作成した書類を、債務者が居住している地域を管轄している地方裁判所に提出し、個人再生の申立てをします。
東京地裁など裁判所によっては、個人再生の申立て当日~1週間程度の間に「個人再生委員」が選任されます。
通常、個人再生委員の選任から1週間以内に申立てた債務者本人との面談が設けられ、申立書に記載されている内容の確認などを行います。
東京地裁など裁判所によっては、申立てからおよそ1週間後あたりから「履行テスト」がスタートします。履行テストは原則として6ヶ月間行います。 - 再生手続の開始決定(約1ヶ月)
申立書の内容などで問題がなければ、裁判所は申立てから約1ヶ月後に個人再生の手続きを開始する決定を下します。
個人再生の手続きが始まると、裁判所から各金融業者(債権者)に対し、個人再生の手続きの「開始決定書」と、借金額を調査・確定する「債権届出書」が送付されます。
各金融業者は、個人再生の手続きの開始決定から約6週間後までに債権届出書を裁判所に提出します。
その後、申立人(代理人)は債権届出書の金額を認めるかどうかを示す「債権認否一覧表」などを裁判所に提出します。 - 裁判所へ再生計画案を提出(約3~4ヶ月)
弁護士・司法書士は、申し立てた債務者と協議した上で再生計画案を作成して、申立てから約3~4ヶ月後までに裁判所に提出します。
再生計画案に記載する主な内容は以下のとおりです。
・返済の開始時期
・返済総額
・返済方法
・返済期間
・住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用するかどうか - 債権者による決議・意見聴取(約1ヶ月)
「小規模個人再生手続」の場合、再生計画案が法律上の要件を満たしていれば、裁判所から各金融業者(債権者)に再生計画書・議決書が送付され、書面決議が行われます。
「給与所得者再生手続」の場合、各債権者による決議は行われず意見聴取のみが行われます。 - 裁判所が認可または不認可を決定(約1~2ヶ月後)
再生計画案どおりに借金が返済される見込みがあるかどうかを裁判所が判断し、再生計画の「認可」または「不認可」を決定します。
認可または不認可を決定した約2週間後には、国の広報誌といえる「官報」に掲載され、さらに2週間後に認可または不認可の決定が確定します。 - 再生計画に沿って返済開始
再生計画が認可されたら、債務者から債権者への返済が、再生計画の認可決定が確定した翌月からスタートします。
個人再生の場合、返済期間は原則3年、最長5年となっています。
個人再生の流れは以下の記事で詳しく解説しています。
「個人再生の流れと期間を図解でわかりやすく解説!かかる費用も紹介」
- 債務整理とは借金解決のための正当な手段の一つです。返済が苦しくなってきた場合は債務整理も借金解決のために検討してみましょう。
- 債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」といった解決方法があります。
- それぞれの解決方法のメリット・デメリットやかかる費用・期間を理解した上で自分に合った方法を選択して、借金解決に向けて前向きな活用を考えてみてはいかがでしょうか。
- 弁護士・司法書士に依頼すれば、債務整理の手続きの多くをお任せできますし、相談無料の事務所も少なくありません。
- まずは債務整理の取り扱い実績が豊富な弁護士・司法書士へ相談してみてはいかがでしょうか。
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2022.05.20