FXによって激しい浮き沈みを経験したけれど、今は家族5人の平穏な日々

この記事は弁護士法人・響のPRを含みます
この記事の監修者
犬飼 俊雄
この記事の監修者
犬飼 俊雄弁護士
弁護士会所属
東京弁護士会(第61379号)
出身地
神奈川県
出身大学
学習院大学法科大学院
専門分野
借金問題・債務整理・交通事故

Mさん(31歳・女性)

経験したこと:自己破産
債務整理をした時期:約3年前
借金の総額:約420万円

この企画の趣旨

世の中には、債務整理に対して「最後の手段」といったイメージが強くあります。
しかし債務整理は「終わり」ではなく、平穏な日々を取り戻す「再生の始まり」です。

この企画は、債務整理を経験した方々にお話をうかがい、どういった経緯で借金をするようになったのか、そして「そんな生活をいかに再建し、現在はどんな生活をしているのか」という部分にもフォーカスしたドキュメンタリーです。

※本企画は、債務整理をより多角的に理解してもらうことを目的としています。特定の手続き・成果を保証するものではありません
※弁護士法人・響で受任した案件ではありません

NISAなどの普及により、投資はかなり身近になりました。現在何かしらの投資や、金融商品の取引をしている人も多いのではないでしょうか。

今回は、FXで2万円から800万円まで増やした後、全てを失い、最終的に自己破産に至った30代の女性Mさんの体験談。

Mさんの話を聞いていると、これはFXという特殊なケースに限定される話ではなく「失ったものを取り返そうとして引き返せなくなる」という、誰にでも起こり得る心理の積み重ねだったことがわかります。

彼女はなぜ借金を背負うことになり、どうやってそこから抜け出したのか。その道のりについてお伝えします。

※以下のコンテンツは、債務整理を経験した方に実際のエピソードをお聞きし「ご本人が語っている文体」として編集部が執筆したものです

目次

プロローグ

プロローグの画像

私は、31歳の会社員。家族構成としては、夫と3人の子供がいます。

夫婦共働きなので、仕事に育児にと慌ただしい毎日を送っていますが、子供たちも日々成長して、家族みんな平穏に暮らすことができています。

ただ…実は私、結婚前に自己破産を経験したことがあるんです。そのことは夫も知りませんし、今後も絶対にバレたくない、秘密にしている過去です。

今振り返ってみると、まるでジェットコースターのような、大きな利益と損失を繰り返した末の自己破産でした。

当初は順調に利益を出すことができていたけれど…

それは今から5年くらい前のこと。仲のいい友人から「バイナリーオプション」という金融商品があることを教えてもらったことがすべての始まりでした。

バイナリーオプションとは、為替レートなどを予想する取引。一定時間が経ったときに予想よりも「高いか安いか」を予想して、当たれば利益が出るというものです。

もともと投資には少し興味があったので、しばらくやってみたらおもしろくなって。そこからはFX(外国為替証拠金取引)に移行してトレードをするようになったんです。

そしてここから、損益のジェットコースターの日々が始まりました。

FXに移行してからは、利益がすごいペースで増えていったんですよ。たった1~2週間くらいで、最初の資金の2万円が100万円くらいまで増えたんです。そうなるともっと利益を狙っていきたくなるので取引量を増やしたところ、500万円くらいまで増加しました。

こうなるともう、自分にはFXの才能があると思ってしまいますし、やめられなくなりますよね。

当時は派遣社員として働いていたのですが、トレードで稼げるようになってきたので、だんだんとシフトを減らしてトレードで生活するようになりました。

生活スタイルも専業トレーダーのようになって、部屋にパソコンのモニターを3枚くらい設置して、朝から晩まで10時間以上チャートの画面を見続けるような生活です。そして最終的に、資金は800万円くらいまで増やすことができたんです。

2万円から始めて800万円になったのですから、ここまでなら誰もがうらやましがる話かもしれませんね。

でも、口座の資金額はそこがピークでした。

そこからだんだんと勝てなくなり、今度は積み上げてきた資金を失っていく番になったんです。負け始めると、取引量が大きい分だけ資金を失うペースも早いんですよ。

ただ、これまで大きな損失が出ても損失以上の利益でカバーできていたので、「大きく勝てばすぐに取り戻せる」と思ってしまって。

負けが続いてだんだん資金がなくなっていっても、「ここでやめたら取り返すチャンスを失うだけ」と思い、やめる決心ができませんでした。

そして最終的には、800万円あった資金をすべて失ってしまったんです。

振り返ってみれば、そこは一つの「FXをやめるべきポイント」ではありました。800万円を失うというのは間違いなく大損失ですが、少なくともそこでやめていれば「稼いだお金がなくなった」というだけで済みましたから。

しかし当時の私は、そこまでいってもなお「絶対に取り返せる」という考えを捨てることができなかったんです。

そして、クレジットカードから入金してFX資金に充てるようになっていきました。自分のお金ではなく借金を使い始めた瞬間から、もう冷静な判断はできなくなっていたのだと思います。

最終的には、クレジットカードの上限額を上げてもらって300万円まで使えるようにしてFXにつぎ込んだのですが…それでもやっぱり勝てませんでした。

そこでようやく、「トレードで取り返す」ことへの諦めがつきました。

FXの画像

借金返済に追われる生活の中、結婚がきっかけで債務整理を決意

結局私は、トレードがうまかったのではなく「運が良かっただけ」だったんでしょうね。振り返ってみるとそう思います。

クレカの上限額を上げて注ぎ込んだ300万円は、リボ払いにして月々13万円くらい支払う生活になりました。毎月毎月、何をしていなくても13万円が自動的に消えていくので、精神的にはかなりキツい状態です。

さらに、返済しているとはいっても利息が占めている部分もかなり大きいので、元金はなかなか減っていかない状態なんですよね。これもまた、精神的にキツい部分でした。

半年くらいはどうにか支払いもできていたのですが、だんだんと払えなくなっていき、気付けばクレカの返済のために消費者金融にも手を出すようにもなっていました。もう考えることといえば「とにかく返済日を乗り切る」ということだけで…。

そんな日々を続けていくうちに借金額は減るどころかむしろ増え、最終的な借金総額は420万円くらいになっていたと思います。

一時は口座に800万円ものお金があったのに、それが全部なくなってしまって、さらに借金が400万円以上ですから、もう本当にショックで…。

トレードが順調だったときに買ったバッグを、借金返済のために手放したときは本当に虚しくなったのを覚えています。ここまでしなくちゃいけないのか、と。

当時は実家暮らしだったので生活だけはなんとかなったのですが、貯金はまったくできませんし、もう借金の支払いでカツカツの日々が続いて…。

そんな日々をどうにかしなきゃと思ったきっかけは、婚約したことでした。

普通なら、結婚が決まったら「幸せ」しかないかもしれませんが、私には「借金がバレる」という焦りがありました。夫は私の借金について知りませんし、私としても絶対に知られたくない秘密です。

もし子供ができて専業主婦になったら、私の収入がなくなるので返済が続けられなくなります。

「このままじゃまずい、結婚前にどうにかしなきゃ…」と思い、ようやく専門家に相談しようと決心しました。

相談したのは近くにあった弁護士事務所です。実は私の親もかつて任意整理をしたことがあると聞いていて、ちょうどその事務所が近くにあったので、そこに相談しました。

弁護士さんから言われたのは「金額が金額なので自己破産しかない」ということ。

任意整理や個人再生などで借金を減額しても、結局は結婚後も返済を続けていくことからは逃れられません。借金をなくすなら自己破産しかないということで、私も決断しました。

夫にバレないように自己破産ができるのかはとても不安でしたが、とはいえ短期的に完済するのはもう無理なので、結局は自己破産を選ぶしかないということもわかっていました。ですから、決断したことで逆にすっきりした部分もあったと思います。

そこからは、夫にバレないように、コソコソしながら手続きを進める日々です。

婚約後に同居を始めましたが、夫は仕事の帰りが遅いので、私が日中に弁護士さんと会うのは問題ありませんでした。手続きがすべて終わるまで7~8回は事務所に行ったと思いますが、夫にバレることはありませんでした。

自宅に郵便物が届くこともありましたが、それもすべて、夫が帰ってくる前に私が受け取っていたので、郵便物からバレるということもなかったです。裁判所にも、私の代理人として弁護士さんが行ってくれました。

弁護士費用については毎月5万円ずつ、半年ほどかけて払いました。当時はまだ私も仕事を続けていたので、給料の中から5万円をこそっと払い続け、弁護士費用にあてることができたんです。

もともと私の給料の額面は夫に伝えていなかったので、月々5万円を払い続けていても、夫にバレることはありませんでした。

免責許可が下りたと聞いたときは、ほっとしましたね。もちろん、許可が下りるだろうという前提でやってきましたが「本当に下りたんだ」という安堵感がありました。

「自己破産をすると官報に載る」ということについては、かなり心配でしたが…。どうやら私の周りに官報を読む人はいなかったようで、ひとまずは誰にもバレていないと思います。

編集部のワンポイント解説

「官報」とは、政府が発行している新聞のようなもの。これを日常的に読んでいる人は少ないものの、誰でも読むことが可能です。個人再生・自己破産をした人は官報に住所・氏名が載ることを避けられません。

こうして私は、夫にバレることなく自己破産をすることができたというわけです。

ただ、債務がなくなったことと引き換えに、生活面での不便さは感じています。

あと3年くらいはクレジットカードを持つことができませんし、ローンも組めません。そのためスマホは一括で購入しないといけないですし、クレジットカードが持てないのも影響が大きいですね。

日常の買い物については現金で支払うほか、デビットカードや、現金チャージしたPayPayなどで対応しています。

今後についてなにより心配なのは、夫からクレジットカードやローンに関する話題が出ること。今のところそういった話題がほとんどなかったのでバレていませんが、今後どうなるかわからないので…。

借金がなくなったことで精神的にはだいぶ楽になったので、あとはブラックリストの期間が明けるのが待ち遠しいですね。ブラックリストの期間が明けたら、そのときは本当にホッとできると思います。

今は普通の生活が送れているだけで幸せ

800万円もあったお金がなくなって借金を背負ってしまった…というのはとても虚しい経験でしたが、今はもう落ち込んではいません。

今は、自分で稼いだお金を自分の意思で使える。そんなシンプルなことが嬉しいですね。債務整理する以前は、自分の意思とは関係なく「返済するだけ」でお給料が消えていきましたから。そんな生活が終わったというだけで、だいぶ幸せです。

「今もFXをやりたい気持ちはあるか」を考えてみると、正直なところ「やりたい気持ち」はあると思うんですよね。でも今はもう、以前のように独り身ではありません。何かあったら迷惑をかけてしまう人がたくさんいるので、やめようと思っています。

それに今はもう、仕事をしながら3人の子育てをしていますから、そんなことをしている余裕もないですね。毎日が大忙しで、嵐のようです。

今はそんな日々を過ごしながら、たまに行く家族旅行を楽しみに暮らしています。

家族旅行の画像

取材後記

取材をしていて驚いたのは、やはりFXの損益によるジェットコースターのような浮き沈みです。一時は800万円もの利益があったのに、それを全部失って借金400万円ですから、振れ幅としては1200万円以上です。それがわずか数年のうちに起きたというのは、やはりショッキングなエピソードといえるでしょう。

しかし、そんなジェットコースターのような浮き沈みを経験しながらも、現在は3児の母として幸せな日々を送っているのもまた、Mさんの人生です。

自己破産というと、世の中では「人生の終わり」かのような偏見もありますが、決してそんなことはないなと、あらためて感じるエピソードでした。

人間誰しも、お金の失敗をする可能性はあります。もちろん失敗はしないに越したことはありませんが、もし失敗したとしても救済手段がある。Mさんの話を聞いていて、それを強く実感しました。

この記事の監修者
犬飼 俊雄
この記事の監修者
犬飼 俊雄弁護士
弁護士会所属
東京弁護士会(第61379号)
出身地
神奈川県
出身大学
学習院大学法科大学院
専門分野
借金問題・債務整理・交通事故
  • 80万件の問合せ・相談実績あり
  • 弁護士 約40(2024年7月時点)
  • 8拠点(東京・北海道・大阪・兵庫・香川・沖縄)
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