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交通事故で6ヶ月通院した場合の慰謝料相場はいくら?計算方法を解説

交通事故のケガで6ヶ月通院した…慰謝料はいくらもらえるの?

交通事故に遭ってケガを負った場合は、相手側に慰謝料を請求できます。
通院6ヶ月の場合の慰謝料には、最大で116万円*請求できる可能性があります

後遺障害が認定された場合は、後遺障害慰謝料を請求できる可能性もあります。

また、ケガの治療のために仕事を休まざるをえなかった分の補償も受けられます。

しかし納得のいく慰謝料を請求するためには、慰謝料についての基本的な仕組みや正しい計算方法を理解しておく必要があります。

本記事では、交通事故によって6ヶ月通院した場合の慰謝料額を中心に、慰謝料の計算方法や納得のいく慰謝料の請求方法などを紹介します。

※この記事では「加害者=過失の割合が大きい交通事故の当事者」「被害者=過失の割合が小さい交通事故の当事者」としています。

*弁護士基準(裁判基準)の通院慰謝料・重傷の場合の最大額。

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目次

交通事故で6ヶ月通院した場合の入通院慰謝料の相場は?

交通事故に遭ってケガをしたときには、事故の相手方に対して慰謝料の請求が可能です

ケガを負った場合に請求できるのが「入通院慰謝料」と呼ばれるもので、計算方法によって金額が異なります。

慰謝料の計算方法は、おもに次の3つがあります。

  • 自賠責保険基準
  • 各保険会社が独自に設定している基準
  • 弁護士基準(裁判基準)

計算の基準によって慰謝料額は変わってきます。

弁護士基準(裁判基準)においては軽傷と重傷の場合で金額は異なりますし、通院か入院かによっても慰謝料額は違います。

次に、各計算方法について詳しく見ていきましょう。

自賠責保険基準の慰謝料は最大77.4万円

「自賠責保険基準」は、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づいた計算基準です。

詳しい計算方法については後述しますが、自賠責保険基準で請求できる傷害の入通院慰謝料は、通院6ヶ月の場合で最大77万4,000円です
※通院期間180日で実通院日数が90日以上の場合。

自賠責保険は、交通事故の被害者を保護して最低限の補償を行うことを目的としています。

〈自動車損害賠償保障法の条文〉

(この法律の目的)
第一条 この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。(原文ママ)

自賠責保険の傷害分の支払い限度額は、ケガの治療費や入通院慰謝料、休業損害などを含めて120万円までとなっています。通院・入院のどちらの場合でも金額は同じです。

自賠責保険は、交通事故に対する最低限の補償ということを理解しておきましょう。

任意保険会社が独自に設定している基準もある

交通事故の相手が任意保険に加入している場合は、相手側の保険会社と示談交渉を行うことになりますが、各保険会社は独自に慰謝料の基準を設定しています

これらは「任意保険基準」と呼ばれることがありますが、補償額としては自賠責保険基準に近い水準であるケースが多いようです。

ただし、実際の基準値や計算方法は各保険会社によって異なるので、統一的な基準になるものがありません。

慰謝料について説明したWebサイトなどでは、任意保険基準と紹介されていることも多いですが、厳密には任意保険基準と呼べるものは存在しないといえます

かつては保険会社の統一基準として「旧任意保険支払基準」があったため、現在もこのように紹介されているといえるでしょう。

しかし具体的に「通院〇〇日で慰謝料〇〇万円」などと紹介することはできないため、本記事では原則として任意保険基準や旧任意保険支払基準については記載していません。

弁護士基準(裁判基準)の慰謝料は軽傷と重傷で異なる

弁護士基準(裁判基準)は、弁護士などに慰謝料請求を依頼したときに適用される基準額で、過去の裁判例に基づいて設定されているものです。

弁護士基準(裁判基準)で計算をする場合の慰謝料は、ケガの程度が軽傷か重傷かで金額が異なります。

慰謝料計算の際の軽傷・重傷の定義は、次のようになります。

  • 軽傷:打撲や挫創(組織や臓器の損傷)、むちうちなど他覚的な所見がないもの
  • 重傷:軽傷に当てはまらない骨折など

なお軽傷・重傷の定義は、警察庁が定めているもの(下記参照)とは異なります。

〈警察庁の定義〉

・重傷(重傷者):交通事故によって負傷し、1ヶ月(30日)以上の治療を要する場合(人)をいう。

・軽傷(軽傷者):交通事故によって負傷し、1ヶ月(30日)未満の治療を要する場合(人)をいう。

出典:警察庁「交通事故統計における用語の解説」

警察庁の定義では1ヶ月以上の治療を要する場合は重傷となりますが、弁護士基準(裁判基準)による慰謝料請求の場合は骨折など症状を基準とすることにご注意ください。

次に、それぞれのケースでどれくらいの慰謝料が請求できるのかを解説します。

【弁護士基準(裁判基準)の慰謝料】骨折など重傷の場合は最大116万円

骨折など、ケガの程度が重傷の場合は弁護士基準(裁判基準)では、通院6ヶ月で最大116万円程度の慰謝料請求が行えます

■重傷・通院のみのケース
通院期間 弁護士基準(裁判基準)の入通院慰謝料額
6ヶ月 116万円程度

※慰謝料額は目安です。

入院した場合は別の基準があるので、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

【弁護士基準(裁判基準)の慰謝料】むちうちなど軽傷の場合は最大89万円程度

打撲やむちうちなど、ケガの程度が軽傷の場合は弁護士基準(裁判基準)では、通院6ヶ月で最大89万円程度の慰謝料請求が行えます

■軽傷・通院のみのケース
通院期間 弁護士基準(裁判基準)の入通院慰謝料額
6ヶ月 89万円程度

※慰謝料額は目安です。

軽傷の慰謝料額についてくわしく知りたい場合は下記の記事もご参照ください。

交通事故で6ヶ月通院した場合の入通院慰謝料の計算方法

自賠責保険基準では、入通院慰謝料の計算において決められた計算方法があります

弁護士基準(裁判基準)には、軽傷・重傷ごとになど目安となる計算基準が存在します。

自賠責保険基準、弁護士基準(裁判基準)とは別に、各保険会社や共済が独自に設定している慰謝料の基準や計算方法もありますが、ここでは割愛します。

自賠責保険基準と弁護士基準(裁判基準)のそれぞれの計算方法について、詳しく見ていきましょう。

自賠責保険基準の計算方法

自賠責保険基準での慰謝料の計算は、次の式に当てはめて行います。

慰謝料の対象となる日数×4,300円

慰謝料の対象となる日数とは、
・治療期間
・実通院日数×2
を比較して少ない方の日数のことです。

〈慰謝料の計算例1〉
治療期間が6ヶ月(180日)で実通院日数が80日間の場合
・治療期間:180日
・実通院日数:80日×2=160日
となるので「実通院日数=160日」が慰謝料の対象となる日数となります。

この場合の慰謝料額は

4,300円×160日=68万8,000円

となります。

〈慰謝料の計算例2〉
治療期間が6ヶ月(180日)で実通院日数が105日間の場合

・治療期間:180日
・実通院日数:105日×2=210日
となるので「治療期間=180日」が慰謝料の対象となる日数となります。

この場合の慰謝料額は

4,300円×180日=77万4,000円

となります。

自賠責保険基準についてくわしくは以下の記事もご参照ください。

弁護士基準(裁判基準)の計算方法

弁護士基準(裁判基準)の計算では、慰謝料額の目安となる算定表があります

これは、弁護士や裁判官が慰謝料算出の際に参考にしている書籍である「赤い本」に掲載されているものです。

赤い本とは

「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部編)の通称で、表紙が赤色であることから赤い本と呼ばれています。おもに東京地裁の実務に基づいた賠償額の基準と参考になる判例を掲載しています。

ほかにも、通称「青本」と呼ばれる全国の裁判例を掲載した「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター本部編)もあります。

参考:公益財団法人 日弁連交通事故相談センター「当センターの刊行物について(青本及び赤い本)」

赤い本に掲載されている「通院・軽傷」と「通院・重傷」の通院期間1~6ヶ月の算定表を抜粋すると、慰謝料額は次の通りです。

■通院慰謝料(軽傷)
通院期間 入通院慰謝料額の目安
1ヶ月 19万円程度
2ヶ月 36万円程度
3ヶ月 53万円程度
4ヶ月 67万円程度
5ヶ月 79万円程度
6ヶ月 89万円程度
■通院慰謝料(重傷)
通院期間 入通院慰謝料額の目安
1ヶ月 28万円程度
2ヶ月 52万円程度
3ヶ月 73万円程度
4ヶ月 90万円程度
5ヶ月 105万円程度
6ヶ月 116万円程度

※参考:公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻 2022年版」
※慰謝料額は目安です。必ずしもこの金額が受け取れるわけではありません。

慰謝料額は「慰謝料計算機」を使うことで、おおよその金額をシミュレーションすることができます。

ケガの程度や通院期間など、数項目を入力すれば計算できるので、ぜひ活用してみてください。

弁護士基準(裁判基準)には入院慰謝料もある

ケガの治療で入院をした場合は、通院とは別の算定基準があります

赤い本に掲載されている「入院・軽傷」と「入院・重傷」の入院期間1~6ヶ月の算定表を抜粋すると、慰謝料額は次の通りです。

■入院慰謝料(軽傷)
入院期間 入通院慰謝料額の目安
1ヶ月 35万円程度
2ヶ月 66万円程度
3ヶ月 92万円程度
4ヶ月 116万円程度
5ヶ月 135万円程度
6ヶ月 152万円程度
■入院慰謝料(重傷)
入院期間 入通院慰謝料額の目安
1ヶ月 53万円程度
2ヶ月 101万円程度
3ヶ月 145万円程度
4ヶ月 184万円程度
5ヶ月 217万円程度
6ヶ月 244万円程度

上記の算定表をもとに、入院と通院を組み合わせたケースでいくつかのパターンを見ていきましょう。

入院+通院の慰謝料額
治療期間 自賠責保険基準* 弁護士基準(裁判基準)
軽傷 重傷
入院1ヶ月+通院5ヶ月 77.4万円 105万円程度 141万円程度
入院2ヶ月+通院4ヶ月 77.4万円 119万円程度 165万円程度

*自賠責保険の慰謝料額は対象となる日数を1ヶ月あたり30日として計算。
※慰謝料額は目安です。※慰謝料額は目安です。必ずしもこの金額が受け取れるわけではありません。
※参考:公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻 2022年版」

計算基準の違いだけでなく、入院や通院の期間によって慰謝料額は異なります。

適正な金額の慰謝料請求を行うために、算定の目安をよく把握しておきましょう。

弁護士基準についてくわしくは以下の記事もご参照ください。

交通事故で後遺障害が残れば後遺障害慰謝料を請求できる

交通事故によるケガが完治せず、「後遺障害」の等級認定がなされることで、後遺障害慰謝料が請求できます

単にケガの後遺症が残っているだけでなく、一定の要件を満たすことで後遺障害の等級認定を受けられるので注意しておきましょう。

後遺障害等級認定は、症状固定となってから手続きを行うものであり、症状によって等級が定められています。

症状固定とは
ケガの治療を続けてもそれ以上症状の改善が見込めない状態のことをいいます。
症状固定

交通事故で多く見られるむちうちの場合、後遺障害14級または12級に該当することがあり、骨折の場合は12級に該当するケースがあります。

各等級で目安となる後遺障害慰謝料の金額は、次の通りです。

等級 自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
14級 32万円 110万円程度
12級 94万円 290万円程度

※慰謝料はあくまで目安です。

等級が異なれば、受け取れる慰謝料額に違いがあるため、実際の症状に見合った補償を受けるためにも、どの等級に該当するかを確認することが重要です。

後遺障害等級認定された場合の慰謝料額にも目安がある

後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。

後遺障害と認められるには、交通事故によって負ったケガの後遺症が「自賠法施行令」で定められた等級に該当していなければなりません。

後遺障害の等級は14~1級までの14段階があり、計算基準によって慰謝料額は異なります。

各等級の慰謝料額を自賠責保険基準と弁護士基準(裁判基準)でそれぞれまとめると、下記の表のようになります。

等級 自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
14級 32万円 110万円程度
13級 57万円 180万円程度
12級 94万円 290万円程度
11級 136万円 420万円程度
10級 190万円 550万円程度
9級 249万円 690万円程度
8級 331万円 830万円程度
7級 419万円 1,000万円程度
6級 512万円 1,180万円程度
5級 618万円 1,400万円程度
4級 737万円 1,670万円程度
3級 861万円(1,105万円) 1,990万円程度
2級 998万円(1,168万円) 2,370万円程度
1級 1,150万円(1,350万円) 2,800万円程度

※慰謝料額は目安です。必ずしもこの金額が受け取れるわけではありません。
※( )の金額は、被扶養者がいる場合。

上記の表からは、後遺障害の等級が1つ違うだけで、後遺障害慰謝料の金額が大きく変わってくることがわかります。

交通事故が原因で働けなくなった場合は逸失利益を請求できる

交通事故の影響によって働けなくなってしまった場合、その分の補償として「逸失利益」(いっしつりえき)を請求できます

後遺障害の場合の逸失利益は、後遺障害が残らなければ将来受け取ることができたであろう収入を指します。

後遺障害として等級認定を受け、労働能力が低下したことで収入が減ったときは「後遺障害逸失利益」を請求できます。

ただし、原則として事故当時に無職ではなく労働対価としての収入があることや将来にわたって収入が減る見込みがあることなどが、請求の条件としてあります。

後遺障害逸失利益の計算方法は次の通りです。

後遺障害逸失利益=年間の基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

※18歳未満の未就労者の場合は「67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数」を用います。

このように、後遺障害逸失利益の計算は専門的な知識が必要であるため、交通事故案件に豊富な解決実績がある弁護士に相談をしてみましょう。

保険会社によっては、提示する示談金(損害賠償金)の中で、後遺障害慰謝料と逸失利益を合計して「後遺障害分」と一括りにしてくるケースがあるので注意が必要です。

逸失利益の計算や請求は複雑なので、悩んでしまう前に弁護士に相談をすることが大切です。

後遺障害逸失利益について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

後遺障害等級認定の申請から認定までの流れ

後遺障害等級認定の手続きを行う方法としては、「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります

事前認定の場合は、相手方の任意保険会社に後遺障害診断書を提出すればよく、その他の手続きについては基本的に相手方の保険会社が行ってくれます。

一方、被害者請求の場合は必要な書類をすべて自分でそろえて、相手方の自賠責保険会社に送る必要があり、手間や時間がかかります。

後遺障害等級認定

どちらの方法も申請には、後遺障害診断書が必要です。

それぞれの申請方法について、メリットやデメリットなどを踏まえながら、さらに詳しく解説します。

「事前認定」相手方の保険会社が手続きを行う

後遺障害の等級認定手続において、一般的な方法である「事前認定」の場合は相手方の任意保険会社が手続きを行ってくれます

後遺障害診断書を保険会社に提出すれば、あとは等級認定の結果が送られてくるのを待つだけなので、手続きとしては容易といえます。

しかし、申請書類に不備や不足があったとしてもそのまま手続きが進んでしまう可能性があります。

後遺障害等級認定は、基本的に提出された書類をもとに審査が行われるため、書類に見落としがあると実際の症状よりも低い等級で認定される場合があるでしょう。

先に述べたように、後遺障害の等級は慰謝料や逸失利益などに影響するため、慎重に手続きを行うことが重要です。

「被害者請求」被害者自ら申請手続きを行う

被害者請求とは、交通事故の被害者自身が後遺障害等級認定に必要な書類をそろえて、手続きを行う方法です。

被害者請求の手続きをする対象は、相手方の自賠責保険会社になることに注意が必要です。

手続きの全体的な流れとしては、以下の通りです。

  1. 加害者側の自賠責保険会社に連絡を入れ、書類一式を送ってもらう。
  2. 被害者の方で必要書類の作成と収集を行う。
  3. 必要書類をすべてそろえたら、加害者側の自賠責保険会社に書類を提出する。
  4. 自賠責保険会社が書類を審査機関に提出して、認定結果を待つ。
  5. 一定の期間を経て、認定結果が自賠責保険会社を通じて被害者に知らされる。その後、等級に応じた金額が被害者の銀行口座に振り込まれる。

手続きの中で最も時間や手間がかかるのが、必要書類をそろえる点だといえます。

後遺障害診断書以外にも、次のような書類が必要になるので早めに準備に取りかかりましょう。

書類の種類 書類の入手先
後遺障害診断書 病院
診療報酬明細書 病院
印鑑証明書 市区町村役場
事故発生状況報告書 保険会社から取り寄せて記入する
損害賠償額支払請求書 Webにある無料のフォーマットを使う
交通事故証明書 自動車安全運転センター
(Webからの申請が可能で、交付手数料として1通あたり800円がかかる)
各種検査資料 病院
休業損害証明書 勤務先

なお、被害者請求は自動車損害賠償保障法(第19条)によって、3年で時効となることが定められているので注意が必要です。

〈自動車損害賠償保障法〉

第19条
第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知つた時から三年を経過したときは、時効によって消滅する。

出典:e-GOV検索「自動車損害賠償保障法」

被害者請求についてくわしくは以下の記事もご参照ください。

交通事故で6ヶ月通院した場合に慰謝料請求で気をつけるべきポイント

交通事故の慰謝料請求を行うときは、ケガの治療について注意点があります。

基本的なポイントを押さえておかないと、実際に慰謝料を請求する段階になって困ってしまうこともあるでしょう。

どのような点に気をつけるべきかを解説します。

原則として完治・症状固定するまで通院する

交通事故の被害に遭ったときには、整形外科など医師のいる病院で診察を受けることが重要です

整骨院や接骨院では後遺障害診断書の作成が行えないので、最初は医師のいる病院に通いましょう。

医師の許可があれば、後から整骨院や接骨院に通うのは問題ありませんが、ケガの治療は継続性と一貫性が大事になるので慎重に判断をすることが大切です。

また、ある程度治療が進んだからといって、途中で病院に通わなくなってしまうのも避けましょう。

自分で判断をしてしまわずに、きちんと医師の指示を仰ぐことが大事です。

ケガの治療は原則として、完治もしくは症状固定となるまで行います。

慰謝料請求にも影響してくる部分なので、適切に治療を受ける必要があります。

保険会社から治療費打ち切りを打診されてもすぐに応じない

ケガの治療を続けていると、3~6ヶ月ほど経過したタイミングで相手方の保険会社から治療費の打ち切りが打診されることがあります。

治療費の打ち切りとなると、その後の治療費を請求できなくなるため、慎重に判断をすることが大切です。

保険会社から打ち切りを伝えられたとしても、必ずしも応じる必要はありませんが、医師や弁護士などに相談をしてみましょう。

一人で判断をするよりも、第三者のアドバイスを聞いたうえで判断をしてみましょう。

交通事故で6ヶ月通院した場合に慰謝料以外に請求できる損害賠償金とは

交通事故の被害に遭った場合、慰謝料以外にも請求できる損害賠償金があります。

事故状況やケガの程度によって請求できる項目は違ってきますが、おもなものとして以下の項目があげられます。

請求できる項目 内容 補償額の相場
自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
治療関係費 治療にかかる費用 実費 実費
器具等購入費 車椅子・松葉づえなど 実費
眼鏡は50,000円が限度
実費
通院交通費 通院のための交通費 実費 実費
付添看護費 入通院で付き添いが必要になった際の費用 ・入院:1日あたり4,200円
・自宅看護もしくは通院:1日あたり2,100円
・入院:近親者付添人1日あたり6,500円程度
職業付添人の場合は実費相当額
・通院:1日あたり3,300円
※症状などによて異なる
入院雑費 入院中に必要なものの購入・利用費用 原則1日あたり1,100円 1日1,500円程度
家屋等改造費 後遺症が残ることによってかかる自宅のバリアフリー化などの費用 補償なし 実費相当額
葬儀関係費 葬儀に関する費用 100万円 150万円程度
休業損害 休まずに働いていれば、得られた現在の収入の減少に対する損害賠償 原則1日あたり6,100円 事故前の基礎収入額に基づく
※職業によって異なります
車両破損による損害費用 車両の修理にかかった費用 補償なし 適正修理費相当額
逸失利益 後遺障害が残らなければ、将来得られたはずの収入の減少に対する損害賠償 基礎収入・労働能力喪失率・喪失期間などによって算出 基礎収入・労働能力喪失率・喪失期間などによって算出
着衣や積み荷等の損害に関する費用 交通事故が原因で破損したものの費用 補償なし 実費相当額

※参考:国土交通省自賠責保険ポータルサイト「限度額と保障内容」
公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻 2022年版」

これらの項目をひとつずつ確認して請求するのは時間や手間がかかり、見落としてしまうものもあるでしょう。

適正な補償を受けるには、交通事故案件に豊富な解決実績がある弁護士に相談をするとスムーズです。

上記であげた項目に当てはまるものがある場合は、まずは気軽に相談をしてみましょう。

仕事を休んだ場合は休業損害を請求できる

交通事故の影響で仕事を休まざるをえなくなった場合には、「休業損害」を請求することが可能です

休業損害とは、交通事故によるケガのために休業したときに、休業せずに働くことができていれば得られたはずの収入を失ったことに対する損害賠償を指します。

具体的な計算方法は、自賠責保険基準と弁護士基準(裁判基準)で異なります。

自賠責保険基準の場合

原則として1日あたり6,100円×休業日数

で計算を行います。

1日あたりの減収分が6,100円を超えることが証明できるなら、最大で1万9,000円までの補償を受けられます。

ただし、自賠責保険の傷害分の支払い限度額はケガの治療費や入通院慰謝料、休業損害などを含めて120万円までとなっているので気をつけておきましょう。

弁護士基準(裁判基準)の場合

1日あたりの基礎収入×休業日数

で計算します。

1日あたりの基礎収入とは、給与所得者であれば事故に遭う3ヶ月前に得ていた収入の平均額から計算します。

自営業者などの場合は、確定申告書の控えなどの書類をもとに計算を行うので、所得収入を示す書類を用意しておきましょう。

休業損害は主婦(主夫)や学生も請求できる場合がある

休業損害の計算は、事故前の収入をもとに算出しますが、主婦(主夫)や学生でも請求できる可能性があります

相手方に請求できる金額は職業によって違ってきますが、事故前に無収入であったからといって補償を受けられないわけではありません。

弁護士基準(裁判基準)収入がない場合は、基礎収入の根拠となるものがないため、代わりに厚生労働省が公表している「賃金センサス」を用いて計算します。

賃金センサスは産業や企業規模、性別などでカテゴリ分けがされているものであり、平均賃金の目安を把握できます。

休業損害の計算は複雑で、一般の方には難しいことも多いといえます。

適切な金額を請求するためには、弁護士に相談してみましょう。

休業損害についてくわしくは下記の記事もご参照ください。

交通事故で6ヶ月通院後に慰謝料請求した場合の弁護士費用はいくら?

交通事故の慰謝料などの損害賠償金を弁護士基準(裁判基準)で請求するためには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります

弁護士費用の内訳としては、法律相談料・着手金・報酬金(成功報酬)・弁護士日当・実費などがありますが、ある程度相場があります。

弁護士費用の相場と内訳について紹介します。

弁護士費用の相場と内訳

初めて弁護士に依頼をするときは費用面が気になるものですが、一般的な相場があります。

一般的な弁護士費用の内訳は、次のようになります。

  • 法律相談料:弁護士に相談をしたときの費用。
  • 着手金:弁護士に引き受けてもらうときの費用。最終的に依頼者が望む成果が得られなかった場合でも返金されないので注意が必要。
  • 報酬金(成功報酬):依頼案件が解決したときに支払う費用。定額の最低報酬金が定められていることが多い。
  • 弁護士日当:弁護士がトラブル解決のために、現地に赴く場合の対価として支払う費用。
  • 実費:交通費や宿泊費、相手方に送る内容証明郵便の費用、印紙代や切手代など。

一般的な弁護士費用の相場をまとめると、以下の通りです。

費用項目 相場
法律相談料 30分あたり5,000~1万円程度
着手金 ※一例 経済的利益300万円以下 経済的利益の8.8%(税込)
経済的利益300~3,000万円 経済的利益5.5%+9万9,000円(税込)
報酬金 ※一例 経済的利益300万円以下 経済的利益の17.6%(税込)
経済的利益300~3,000万円 経済的利益の11%+19万8,000円(税込)
弁護士日当 ・半日(2~4時間)=3~5万円程度
・1日(4時間以上)=5~10万円程度
実費 実費を精算する

※着手金と報酬金は、日本弁護士連合会がかつて使用していた基準(旧報酬規程)をもとに算出。

弁護士費用についてはこのように細かく分けられているので、依頼をする前にいくらかかるのかを問い合わせておくことが大切です。

弁護士費用についてくわしくは以下の記事もご参照ください。

弁護士費用特約を使えば自己負担が不要な場合も

ご自身が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、保険会社が弁護士費用を補償(代わりに負担)してくれるので、自己負担が不要になることもあります

弁護士費用特約は、自動車保険以外にも火災保険や生命保険のものでも使える場合があります。

弁護士費用特約とは

また、ご自身が加入する保険に弁護士費用特約が付いていなかったとしても、ご家族が加入する保険に付いていれば利用できる場合もあります。

多くの弁護士事務所では弁護士費用特約を利用することが可能なので、相談時にお金を用意しなくても交通事故に関する悩みに対応してもらえます。

どの程度の範囲まで利用できるかは保険会社や契約内容によって異なるため、弁護士費用特約を利用するときは保険会社に事前確認を行っておきましょう。

弁護士費用特約についてくわしくは以下の記事もご参照ください。

弁護士法人・響に依頼した場合の弁護士費用

弁護士法人・響では、弁護士費用特約の利用が可能です。

弁護士費用特約がない場合でも、以下の料金体系でご依頼を承っております。

〈弁護士法人・響の弁護士費用(弁護士費用特約がない場合)〉
費用の種類 料金
相談料 0円
着手金 0円
報酬金 220,000円+経済的利益の11%(税込)

特約が付いていない場合の相談料や着手金は無料であり、相談をする時点でお金が発生することはありません。

また、原則として後払いにも対応しているため、費用面の心配の最小限でご依頼いただきます。

初回相談時に、必要な費用についてはていねいにご説明いたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

慰謝料請求を実績が豊富な弁護士に相談することのメリット

交通事故案件で豊富な解決実績のある弁護士に相談するメリットは、慰謝料請求の他にもたくさんあります。

後遺障害等級認定の申請や保険会社との示談交渉、慰謝料以外の損害賠償金の請求などがあげられます。

交通事故に関する手続きにはさまざまなものがあり、すべてを自分で行おうとすると時間や手間もかかり大変です。

納得がいく形で適正な補償を受けるためには、専門的な知識を持ち、豊富な解決実績のある弁護士に依頼をすることが重要です。

各メリットについて、ポイントを紹介します。

弁護士基準(裁判基準)の慰謝料を請求できる

弁護士に相談をするメリットとしてまず挙げられるのが、弁護士基準(裁判基準)で慰謝料や損害賠償金の請求が行えることです

同じケガの程度であっても、自賠責保険基準と弁護士基準(裁判基準)とでは慰謝料額に大きな違いがあります。

弁護士基準(裁判基準)は、弁護士に依頼することで適用されるものです。

慰謝料額は相手方の保険会社との示談交渉によって決められるものですが、一般の方にとってプロの保険会社を相手にやりとりをするのはハードルが高いものです。

法律の知識を備えた弁護士に依頼をすることで、納得のいく慰謝料を請求できる可能性が高まります。

後遺障害等級認定の申請を任せられる

ケガの後遺症が残り、後遺障害等級認定の手続きを行いたい場合も、弁護士に任せることができます

申請にあたっては被害者請求の場合は後遺障害診断書の他にも、さまざまな書類や資料を準備する必要があります。

すべての手続きを自分で行おうとすれば多くの時間や手間がかかりますし、自分で申請をしても必ずしも納得のいく認定結果を得られるとはかぎりません。

また、専門的な知識が求められる部分が多く、初めて手続きを行うときは何から手をつけていいか迷うことも多いでしょう。

後遺障害等級認定の手続きで実績のある弁護士であれば、個別の状況を踏まえたうえで、適切な形で手続きを行ってくれます。

医師や保険会社などとのやりとりで困ったときにも、適切なアドバイスをもらえるでしょう。

保険会社との示談交渉の手続きを任せられる

弁護士には、相手方の保険会社とのやりとりを任せることができます

交通事故の被害に遭うと、ケガの治療や示談交渉などで、相手方の保険会社とは頻繁にやりとりをする機会が多いものです。

特に示談交渉の場面においては、思うように自分の意見を反映してもらえずに、適正な補償が受けられないと感じてしまうこともあるでしょう。

慣れないやりとりを続けていると心理的な負担も大きくなるので、交通事故案件で豊富な解決実績のある弁護士に相談をしてみることが大切です。

弁護士に依頼をすることで、保険会社と直接交渉するストレスからも解放されるでしょう。

慰謝料以外の損害賠償金を請求できる

交通事故の被害に関する補償は、慰謝料以外にもさまざまな損害賠償金があります。

弁護士に示談交渉を依頼すると、個別の状況に応じて損害賠償金を漏れなく請求してくれます

休業損害や逸失利益などの請求は専門的な知識も必要になるため、自分で計算をしようとしても難しい部分があるでしょう。

交通事故案件の解決経験が豊富な弁護士であれば、損害賠償金の請求に関してもしっかりと対応してもらえるはずです。

どの程度の損害賠償金を請求できるのかは、保険会社との示談交渉を進める前に弁護士に相談してみましょう。

弁護士依頼のメリットについてくわしくは以下の記事もご参照ください。

まとめ
  • 交通事故の被害に遭ったときには、1日も早く元の生活を取り戻すために、しっかりと補償を受けることが重要です。
  • 慰謝料だけでなく、休業損害などの損害賠償金についても適正な金額を請求していく必要があります。
  • ただし、実際に相手方の保険会社と示談交渉を進めていくには、専門的な知識が必要になるので難しさを感じてしまう場面もあるものです。
  • 一人で悩んでしまうのではなく、交通事故案件で豊富な解決実績のある弁護士にまずは相談をしてみましょう。
  • 弁護士費用特約を利用すれば、自己負担がなく依頼できる場合もあります。
  • また、弁護士法人・響では特約がない場合でも依頼時にお金を用意しなくてもご依頼いただけます。
  • 交通事故案件について豊富な解決実績を持つ弁護士が多く在籍しており、ご依頼者の個別の状況をよく踏まえたうえでお手伝いさせていただいております。
  • 交通事故のご相談は無料となっておりますので、どうぞお気軽にお問い合せください。

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