自己破産で官報に載ると周囲​​にバレる?名前検索は可能?閲覧される期間も

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自己破産をすると、国が発行している官報に、氏名、住所などが公告されます。

とはいえ、官報を日常的に閲覧しているのは、士業や金融業など限られた業種の人です。そのため、官報によって自己破産の事実が一般の方に知られることは、ほとんどありません

官報は紙だけでなく、インターネット版もあります。インターネットの無料版は誰でも閲覧できますが、閲覧できる期間は直近90日間分であり、名前検索の機能はありません。

この記事では、自己破産の事実を知られたくない方に向けて、官報で公告される内容や、官報の閲覧方法、閲覧される期間などを紹介。自己破産の事実が知られる可能性について詳しく解説します。

自己破産による影響について、不安があれば弁護士法人・響にご相談ください。借金状況によっては、周囲に知られずに借金を解決する方法も提案可能です。

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目次

官報とは?掲載(公告)される内容と例

官報は、内閣府が発行している機関紙です。

行政機関の休日を除き、ほぼ毎日発行されています。

自己破産など、裁判所における公示事項のほか、法令や条約、人事異動など、国民に広く知らせる必要がある事項*が掲載されています。

なぜ、自己破産の情報が公告(公に告知)されるかというと、債権者、つまりお金を貸した側を破産手続に参加させるためです。

自己破産を規定する破産法でも、破産手続の際に官報に公告することが定められています。

*官報の公告内容
  • 法律・政令・条約(国家の決定事項や外国との間の決定事項)
  • 内閣官房令/府令・省令/規則/告示(各府省の決定事項)
  • 国会事項(国会に関する事項)
  • 人事異動(大臣や各省庁などの人事異動)
  • 叙位・叙勲・褒章(国に貢献した人物などへの授与、位などの公表)
  • 官庁報告(最低賃金や国家試験に関する事項)
  • 入札公告・落札公示/官庁公告(競争入札に関する告知)
  • 裁判所公告/特殊法人等(法律で公告が義務付けられている内容)
  • 地方公共団体(教育職員の免許の失効や墓地の改葬、行旅死亡人の告知など)
  • 会社その他(決算公告等)

※自己破産情報の公告は、「裁判所公告」に該当します

官報における自己破産情報の公告例

自己破産の手続きをする際、官報で公告されるのはどのような情報なのでしょうか?

以下は、破産手続開始決定時、および免責許可決定時における公告例です。

破産手続開始決定時の公告例

令和○年(フ)第○○号
○○県○○市○○1丁目2番地3
債務者 ○○○○

1 決定年月日時 令和○年○月○日午前○時
2 主文 債務者について破産手続を開始する。本件破産手続を廃止する。
3 理由の要旨 破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。
4 免責意見申述期間 令和○年○月○日まで

○○地方裁判所○○部

※同時廃止事件の場合

免責許可決定時の公告例

令和○年(フ)第○○号
○○県○○市○○1丁目2番地3
破産者 ○○○○

1 決定年月日 令和○年○月○日
2 主文 本件破産手続を終結する。
3 理由の要旨 配当が終了し、破産管財人の任務終了による計算の報告を目的とした債権者集会は終結した。
4 主文 破産者について免責を許可する。

○○地方裁判所○○部

ご覧のとおり、自己破産をした人(債務者)の氏名と住所も掲載されます。そのため、必ずというわけではありませんが、個人が特定されることもありえます。

なお、破産手続開始決定時と免責許可決定時で、住所が異なる場合は、免責許可決定時に以前の住所(旧住所)が公告される場合もあります。

自己破産情報が官報に公告される回数とタイミング

上でも少しふれましたが、自己破産情報が官報で公告されるのは、以下の2回です。

自己破産における官報の公告タイミング
  • 「破産手続開始決定」時
  • 「免責許可決定」時

それぞれの手続きについて、解説します。

自己破産の手続きの流れについては、こちらの記事でも解説しています。

1.「破産手続開始決定」時

1回目に公告されるのは、「破産手続開始決定」時です(破産法第32条)。

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第32条 裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
(以下略)

(引用元:e-Gov法令検索「破産法」

破産手続開始決定とは、裁判所が破産手続(自己破産の手続き)を行うことを認めることをいいます。

裁判所に申立てをしてから、1ヶ月程度で行われることが一般的です。

2.「免責許可決定」時

2回目に公告されるのは、「免責許可決定」時です(破産法第10条第3項、および第252条第3項)。

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第10条第3項 この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。

第252条第3項 裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第10条第3項本文の規定は、適用しない。

(引用元:e-Gov法令検索「破産法」

免責許可決定とは、裁判所によって、借金の返済義務の免除(免責)が決定されることをいいます。

財産の状況などにもよりますが、早ければ、申立てをしてから2〜3ヶ月程度で行われます。

なお、免責許可決定が行われた際は、官報による公告とあわせて、債権者に個別の通知も行われます。このときの書面を「免責許可確定証明書」といいます。

官報を閲覧する方法と閲覧可能期間

官報を閲覧する方法は、おもに以下の3つです。

閲覧方法 閲覧期間
官報販売所で購入 発行日
図書館で閲覧 一定期間
インターネット版官報にアクセス 無料会員:90日間
有料会員:半永久的

閲覧方法や期間について、以下でさらに詳しく解説していきます。

官報販売所で購入

官報は、全国48ヵ所にある官報販売所で、購入することができます。一般的な書店などでは購入できません。

料金は以下のとおりです。

1部 定期購読(官報販売所で受付)
143円 1ヶ月1,641円

※税込表示

官報に自己破産の情報が公告されるのは、前述のとおり破産手続開始決定時と免責許可決定時の2回のみで、同じ内容が連日公告されることはありません。

それゆえ、特定の自己破産情報が公告された紙版の官報を入手できるのは、原則として発行日のみとなります。

なお、官報の内容は、発行日の午前8時30分に、国立印刷局と東京都官報販売所にも掲示されます。

図書館で閲覧

官報は国立国会図書館や、各地の大きな図書館に所蔵されており、無料で閲覧できます。

ただし、各地の図書館では、特定の期間(発行から数年間など)のみ所蔵していることが一般的です。

そのため、これまで発行されたすべての官報が閲覧できるわけではありません。

インターネット版官報にアクセス

官報には、インターネット版もあります。

さらに無料版と、会員のみが閲覧できる有料版に分けられます。

インターネット版官報(無料版)

無料版の「インターネット版官報」は、誰もが利用できます。

ただし、特定の日付で発行された官報を閲覧できるのは、直近90日間のみです。

官報情報検索サービス(会員制有料版)

会員のみが閲覧できる有料版は、「官報情報検索サービス」という名称で提供されています。

無料版と異なり、昭和22年5月3日以降の官報が、半永久的に閲覧できます。

また、検索機能がついており、日付やキーワードによって、情報を絞り込むことができます。

「官報情報検索サービス」の利用料金は以下のとおりです。

紙版官報を定期購読されている場合 新規申し込みの場合
日付検索のみ 無料 1,672円
日付検索+記事検索 528円 2,200円

※月額、税込表示

官報を日常的に閲覧するのはどんな人?

官報の閲覧方法について解説しましたが、実際に官報を閲覧する人は多くありません。

日常的に閲覧する可能性があるのは、以下のような業種、あるいは機関に勤めている人だといえます。

官報を閲覧する可能性のある業種・機関の例
  • 士業(弁護士や司法書士など)
  • 金融業(保険会社など)
  • 警備業
  • 行政機関(税務署など)
  • 信用情報機関
    など

また、閲覧する目的は、破産情報の確認にかぎりません。法令改正を把握したり、政府の動向を確認するなど、さまざまです。

それゆえ、仮に閲覧されたとしても、個人が自己破産をした事実が知られるケースは少ないといっていいでしょう。

インターネット版官報は名前検索できる?

インターネット版の官報について、「名前で検索されてしまうのでは?」と懸念される方もいるでしょう。

無料版のインターネット官報は、検索機能がついていないため、名前で検索されることはありません。

一方で、官報情報検索サービス(会員制有料版)は検索機能がついています。そのため、同サイト内で個人情報を検索される可能性はあります。

ただし、有料であるため、一般の方に閲覧されるケースは少ないといえます。

また、取得した個人情報を故意に漏洩することは、名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害にあたるとして、原則として禁止されています。

もし違反した場合は、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」の罰則が科せられます(個人情報保護法第181条)。

そのため、自己破産をした個人の情報が、一般の方に知られる可能性は低いといっていいでしょう。

官報情報を利用した「破産者マップ」の影響は?

破産者マップとは、破産者の情報が載った地図サイトのことです。

官報に公告された破産者情報をもとに作成されており、情報の削除のためには、手数料を支払わなければならず、2019年に社会問題となりました。

同年、個人情報保護法第19条に違反するとして、個人情報保護委員会が行政指導を行った結果、破産者マップは自主閉鎖されました。

続きを読む

第19条 個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。

(引用元:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」

破産者マップの現在

しかしながら、2024年3月現在、「新・破産者マップ」という類似サイトが運営されています

同サイトは破産者マップと同様に、自己破産をした個人の情報を無断で掲載しており、情報の削除のためには、ビットコインで手数料を支払わなければなりません。

日本弁護士連合会(日弁連)は、このような状況について、個人情報保護の観点で問題があるだけでなく、自己破産制度の目的である「経済生活の再生の機会の確保」(破産法第1条)が損なわれると指摘しています

また、インターネット版の官報の運用について、容易に不特定多数の人に情報が広まることがないように、以下のような対策が必要であると国に提言しています。

  • 閲覧できる期間を制限する
  • 指定信用情報機関以外の者が、官報の個人情報を第三者に広めた場合の罰則を設ける

自己破産を検討している方は、現況について不安に感じることもあると思いますが、借金の解決を諦めるべきではありません。

借金の解決方法には任意整理など、官報に公告されない方法もあります(詳細は後述)。不安な場合は、まずは弁護士に無料相談することをおすすめします。

自己破産情報が官報で公告されるデメリットは?

ここまで、官報の公告により、一般の方に自己破産の事実が知られる可能性について解説してきました。

一方で、官報による公告について、他にデメリットになりうることはないのでしょうか?

考えられるデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

自己破産情報が官報で公告されるデメリット
  • 官報公告費用がかかる
  • 闇金からダイレクトメールが届く可能性がある
  • 事故情報の登録要因になる

いずれも、必ずしも生活に影響があるわけではありませんが、官報による影響として、押さえておくとよいでしょう。

それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。

官報公告費用がかかる

自己破産の申立てをする際に、官報に公告するための料金を支払う必要があります。

裁判所によって金額は異なりますが、東京地方裁判所の場合は、以下のようになっています(2024年3月時点)。

管財事件 18,543円
同時廃止事件 11,859円

なお、弁護士に依頼した場合は、支払いの手続き自体は弁護士が代理してくれます。

闇金からダイレクトメールが届く可能性がある

官報の情報を闇金(闇金融業者)がチェックしていた場合、融資を勧誘するダイレクトメールが自宅に届くことがあるかもしれません 。

闇金は、「出資法」の上限金利(年20.0%)を超える違法な金利で融資を行っているため、利用しないようにくれぐれも注意してください。

闇金かどうかの判断がつかない場合は、送付元の会社が貸金業者として登録されているか確認しましょう。闇金は、貸金業法に違反する貸付けを行っているため、貸金業法の登録を受けていません。

貸金業者として登録されているかは、登録貸金業者情報検索入力ページで確認することができます。

事故情報の登録要因になる

官報の公告は、事故情報の登録要因になります。

事故情報の登録とは、信用情報機関に自己破産などを行ったことが登録されることをいいます。これはいわゆる「ブラックリストに載る」状態です。

信用情報機関は3つありますが、そのうち全国銀行個人信用情報センター(KSC)については、官報の公告情報をもとに、事故情報を登録しています。

ほか、事故情報の登録要因としては、

  • 弁護士による債権者への受任通知
  • 破産手続開始決定時の裁判所からの通知

などがあります。

自己破産による事故情報は、破産手続開始決定または免責許可確定後の5〜7年間、登録されます。

自己破産のブラックリスト登録期間

その期間中は、金融機関などから「返済能力がない」と判断され、クレジットカードの利用や新規の借り入れなどができなくなるため、注意が必要です。

事故情報の登録による影響については、下記記事で詳しく解説しています。

任意整理であれば官報に公告されない

官報に公告されずに、借金を整理(減額)する方法として、任意整理が挙げられます。

任意整理は、自己破産と同様に、借金の正当な解決手段である「債務整理」の一つです。

債権者と和解交渉をすることで、将来利息や遅延損害金*のカット、返済期限の延長などに応じてもらえる可能性があります。
(*債権者によってはカットできないこともあります)

債権者と和解契約を結んだ後は、3~5年での完済を目指します。

任意整理のイメージ

任意整理は裁判所を介さず、当事者間で解決を目指す方法であるため、官報に公告されることはありません

また、「整理の対象とする借金を選べる」ため、保証人・連帯保証人つきの借金がある場合に、それらを整理の対象から外すことができます。これにより、保証人・連帯保証人に任意整理の事実がバレたり、一括請求がいったりするリスクを回避できます。

ブラックリストには載りますが、自己破産や個人再生と比べて、デメリットが最小限で済む解決方法といえます。

現在一定の収入があり、元金を3~5年で完済できる見込みがあれば、任意整理を検討した方がよいでしょう。もし、任意整理ができるか判断が難しい場合は、まずは弁護士に無料相談してみましょう。

任意整理のメリット・デメリット
メリット ・官報に公告されない
・整理の対象を選べる
・保証人・連帯保証人に一括請求がいくことを避けられる
デメリット ・借金の元金は減額されず、返済を続ける必要がある
・ブラックリストに載る

任意整理については、下記記事で詳しく解説しています。

弁護士法人・響に相談するメリット
  • 月々の返済額を5万→2万へ減額できた事例あり
  • 今お金がなくても依頼可能!
  • 相談は何度でも無料
  • 最短即日!返済ストップ
監修者情報
監修者:弁護士法人・響弁護士
西島 弘起
弁護士会所属
東京第二弁護士会 第59420号
出身地
東京都
出身大学
中央大学法学部 上智大学法科大学院
保有資格
弁護士・行政書士
コメント
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[実績]
43万件の問合せ・相談実績あり
[弁護士数]
43人(2023年2月時点)
[設立]
2014年(平成26年)4月1日
[拠点]
計7拠点(東京、大阪、香川、福岡、沖縄)
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