「借金の返済額は経費として計上できないのかな?」
「借金も税金控除の対象になると聞いたことがあるのだけど…」
借金の一部は、確定申告を行う際に経費として計上して、税金の控除を受けられる場合があります。
- 借金の利息分は経費として申請できる
- 借金の元金は経費にできない
借金の利息を確定申告で経費に計上できる条件は、次の3つです。
- 個人事業主である
- 給与所得者で本業以外に20万円以上の収入がある
- 不動産収入のための借金がある
この記事では、借金と経費の考え方や確定申告の仕訳のしかた、確定申告の手続きで困った場合の相談窓口などについて詳しく説明します。
また、どうしても借金の返済ができない場合の正当な救済制度である「債務整理」についても紹介しています。
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目次
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借金は確定申告で必要経費にできる?
個人事業主の場合は、確定申告時に借金を必要経費として所得控除できる場合があります。
- 借金の利息分は必要経費として申請できる
- 借金の元金は必要経費にできない
確定申告で借金がどのように扱われるのかを、以下で詳しく解説します。
借金の利息分は経費として申請できる
借金返済の利息部分については、必要経費として経費に算入できます。
必要経費に算入できる金額は、次のものになります。
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
出典:国税庁「やさしい必要経費の知識」
借金の利息は、収入金額(利益)を得るために要した費用として認められるのです。
借金のうち利息の部分だけを「支払利息」として経費に算入し確定申告すると、控除対象となり所得税が減額されます。
ただし、すべての人が借金の利息で減税できるわけではありません。
確定申告で減税できるのは、個人事業主などのように借金の利息を経費として計上できる人だけです。
なお、個人事業主でも自宅の住宅ローンやプライベートで使用するための自動車ローンなどは経費に算入できません。
借金の元金は経費にできない
借金の元金分は、必要経費として確定申告することはできません。
借金の元金は返済するだけなので、利益を生み出さないものとされるからです。
借金は元金と利息をしっかり把握したうえで、記帳する必要があります。
借入金の元金は負債として扱います。
借金の利息を確定申告で経費に計上できる条件
借金の利息分を経費に算入するためには、次のような条件があります。
- 個人事業主である
- 給与所得者で本業以外に20万円以上の収入がある
- 不動産収入のための借金がある
以下で詳しく説明します。
個人事業主である
個人事業主の場合、借金の利息を必要経費として申告することができます。
開業したばかりの人は、開業届を出す前の経費も開業費として計上することができるので、開業資金の借金も対象です。
自宅の一部を事業所としている場合は、住宅ローンも経費にできます。その場合は、生活費と事業費とを比率で配分して計算します。
比率の目安としては、事業用として使っている床面積、事業に使用している日数・時間などを指標とします。
青色申告特別控除でさらに減税できることも
青色申告者は、所得金額から最高65万円もしくは10万円を控除される「青色申告特別控除」が受けられます。
青色申告特別控除を受けるための条件は以下のとおりです。
- 複式簿記で確定申告すること
- e-Tax による申告または電子帳簿保存を行うこと
- 65万円の控除を受けない青色申告者
ただし青色申告者になるためには、申告する年の3月15日までに税務署に届け出を提出する必要があるため注意してください。
参考:国税庁「青色申告制度」
給与所得者で本業以外に20万円以上の収入がある
企業に勤務する給与所得者の場合は、借金の利息を必要経費として申告することはできません。
ただし副業をしている場合は、所得が20万円を超えると確定申告が必要になり、借金の利息も経費として計上できる可能性があります。
1 給与の収入金額が2,000万円を超える方
2 1か所から給与の支払を受けている方で、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える方
3 2か所以上から給与の支払を受けている方で、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える方
出典:国税庁「給与所得者の確定申告」
不動産収入のための借金がある
個人事業主だけでなく給与所得者でも、不動産収入を得るために借り入れた借金の利息は経費の対象となります。
アパート経営などの不動産業の場合は不動産収入は事業所得・不動産所得となりますが、おもな収入源が別にある人は雑所得の扱いになり、申告が必要です。
不動産を購入するための借金の利息でも、購入した不動産から賃貸収入を得ている場合は、必要経費となります。
住宅ローン減税は利用できる
なお住宅ローンの利息が経費にできなくても、住宅ローン控除(減税)を受けることは可能です。
住宅ローン控除(減税)は、毎年末のローン残高または住宅の所得対価のうちいずれか少ない方の0.7%が所得額から13年間*控除される制度で、給与所得者でも受けることができます。
*既存住宅の場合は10年
しかし次のような注意点があります。
住宅における事業使用割合が2分の1を超えると、住宅ローン控除が受けられなくなることです。
事業の必要経費として利息を比率配分して2分の1以上を計上するよりも、2分の1未満の割合で住宅ローン控除を受けるほうが減税できる可能性があるので、注意して計算しておく必要があります。
なお住宅ローン控除(減税)は、2022年度の税制改正で変更されています。
控除率と控除期間、所得要件などが変更されているので、ご利用にあたっては確認してください。
参考:国土交通省「住宅ローン減税等が延長されます!」
確定申告時の借金の項目と仕訳のしかた
借金分の確定申告を行う場合には、仕訳について注意点があります。
確定申告には、おもに青色申告と白色申告の2種類があります
青色申告は最大で65万円控除(簡易簿記で行う場合は10万円の控除)の優遇措置を受けられるなどのメリットがありますが、事前に申請書を提出したり簿記を厳密に記帳する必要があります。
白色申告は事前の申請は不要で、帳簿は簡易簿記でよいのですが、税制上の優遇はありません。
青色申告 (65万円控除) |
青色申告 (55万円控除) |
青色申告 (10万円控除) |
白色申告 | |
---|---|---|---|---|
対象者 | 不動産所得、事業所得、山林所得があり、青色申告の承認を受けた人 | 青色申告の承認を受けていない人 | ||
上記に加えe-Taxで確定申告をするか電子帳簿保存する | ||||
事前申請 | 開業届と青色申告承認申請書 | 必要なし | ||
記帳方法 | 複式簿記 単式簿記(簡易簿記) |
単式簿記(簡易簿記) | 単式簿記(簡易簿記) |
青色申告と白色申告の仕訳方法の注意点を、以下で解説します。
白色申告の仕訳のしかた
白色申告の場合は単純な収支内訳書での申告となるため、借入金を記載する必要はありません。
収入として記帳すると、それが借入金なのか利益なのかの区別がつかないからです。
青色申告決算書で必要になる「貸借対照表」を作成する必要はありません。
白色申告では、借金の利息のみを経費として仕訳を行います。
青色申告の仕訳のしかた
青色申告は、複式簿記での申告となります。
複式簿記とは取引を複数の科目で記載する方法で、入出金と財産が増減した理由を同時に記録します。
借入金は
- 借方に借入金
- 貸方に負債
として仕訳します。
借金をすると現金が手元に入る一方で負債が大きくなり、返済すると手元のお金はなくなりますが負債も小さくなる、ということが複式簿記でわかるようにしてください。
借金の返済には、元金と利息が含まれており、支払利息は次のような計算式で表せます。
支払利息=返済額-借金の元金
実際にいくら利息を払っているかは、借入先の金融機関が発行する明細書で確認をしましょう。
なお青色申告で65万円の控除を受けるためには、青色申告決算書と確定申告書をe-Taxで申告するか、電子帳簿保存(2022年分からは優良な電子帳簿保存)をする必要があります。
電子帳簿保存を行わずに、郵送や税務署の窓口で確定申告を行うと、青色申告の控除額は最大55万円になります。
青色申告における借入時の仕訳と処理の方法
借入時の仕訳は、借方に借入金と印紙代などの諸経費、貸方に借入金の総額を記帳します。
ここでは、100万円を借り入れた場合の仕訳の例を紹介します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
普通預金 | 992,500円 | 借入金 | 1,000,000円 | 事業資金の借り入れ |
支払手数料 | 5,500円 | 銀行手数料 | ||
租税公課 | 2,000円 | 印紙代 |
借り入れした100万円のうち銀行手数料を「支払手数料」、印紙代を「租税公課」として記帳します。
借り入れしたお金が銀行口座に振り込まれた場合は、銀行手数料と印紙代を差し引いた992,500円が普通預金となります。
青色申告における返済時の仕訳と処理の方法
返済時の仕訳は、借方に元金と利息、貸方に返済総額を記帳します。
ここでは、2.2万円を返済する場合の仕訳の例を紹介します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
借入金 | 20,000円 | 普通預金 | 22,000円 | 借入金返済 |
支払利息 | 2,000円 | 利息の支払い |
借金の利息は「支払利息」として仕訳します。
こうすることで借入金が元金の返済として、支払利息が経費として記帳されます。
返済を銀行口座から行った場合は、借入金と支払利息の合計額を「普通預金」として貸方に記帳します。
確定申告の手続きで困ったら専門機関や専門家に相談する
前述した仕訳は、あくまでも一例です。金融機関や業種などによっては利息の支払い方法や勘定科目が変わることもあるので、仕訳や記帳について困った場合は専門機関や専門家に相談してみましょう。
確定申告について相談できるおもな専門機関・専門家には、次のようなところがあります。
相談するためには予約が必要な場合が多いので、あらかじめ確認しておきましょう。
名称 | 概要 | 費用 |
---|---|---|
国税局 | ・国税局電話相談センター 国税に関する一般的な相談に国税局の職員が対応 ・税務相談チャットボット(ふたば) 土日・夜間も利用可能 |
無料 |
税務署 | 書類や事実関係を確認する必要がある場合に面接相談を受付 ※事前に電話予約が必要 事前予約のご案内 |
無料 |
商工会議所 | 全国の商工会議所で記帳の仕方について相談ができ、記帳代行も可能 商工会議所(都道府県連)名簿 |
相談は無料 記帳代行は有料 |
全国商工会連合会(商工会) | 決算や申告期に税理士が税務相談に対応。記帳代行も可能 全国各地の商工会WEBサーチ |
相談は無料 記帳代行は有料 |
税理士 | 確定申告の承認申請などの税務代理、確定申告書の作成、代理送信など幅広く対応 税理士情報検索サイト |
・記帳代行は月1~3万円程度 ・確定申告は5~10万円程度 |
また国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って金額などを入力することで税額などが自動計算され、所得税等の申告書や青色申告決算書などを作成することができます。
作成した申告書は「e-Tax(電子申告)」を利用して提出することも可能です。
※マイナンバーカードおよびカード読取対応機器が必要です。また確定申告書等作成コーナーを利用して申告書を作成できない場合もあります。
※令和4年分の確定申告書等作成コーナーは、令和5年1月上旬公開予定です。
借金の返済に困った場合は弁護士へ相談できる
前述のとおり借金の利息は経費として計上できますが、借金の返済にお困りの場合は、弁護士に相談することで解決できる場合があります。
どうしても返済の難しい借金は、債務整理で解決できる可能性が高いといえます。
債務整理については以下の記事で詳しく解説しています。
債務整理は、次の3つの方法があります。
- 個人再生
裁判所に申立てをして、借金を1/5~1/10程度に減額してもらい3~5年程度で返済する。
個人再生について詳しくは以下の記事もご参照ください。
- 自己破産
裁判所に破産申立てをして、借金を一部の債務を除いてほぼ全額免責(免除)してもらう。
自己破産について詳しくは以下の記事もご参照ください。
- 任意整理
借入先と直接交渉し、おもに将来利息を減らしてもらい3~5年程度で返済する。
将来利息をカットすることができれば毎月の返済負担が軽減され、確実に元金を減らすことが可能でしょう。
任意整理は、個人再生や自己破産と異なり、裁判所を通さず借入先と直接交渉をする方法のため、費用や期間も比較的少なくて済みます。
任意整理について詳しくは以下の記事もご参照ください。
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*2022年12月1日現在
- 借金は確定申告で必要経費にできる
・借金の利息分は経費として申請できる
・借金の元金は経費にできない - 借金の利息を確定申告で経費に計上できる条件
・個人事業主である
・給与所得者で本業以外に20万円以上の収入がある
・不動産収入のための借金がある - 確定申告時の借金の項目と仕訳のしかた
・白色申告では借金の利息のみを経費として仕訳する
・青色申告では借方に借入金、貸方に負債として仕訳する - 確定申告の手続きについて相談できる専門機関や専門家
・国税局
・税務署
・商工会議所
・全国商工会連合会(商工会)
・税理士 - 借金の返済に困った場合は弁護士へ相談できる
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