「別除権(べつじょけん)」とは、裁判所を通した手続中にもかかわらず他の破産債権者よりも先に取り立てすることができたり、回収や弁済を受けられる債権者(お金を貸した側)の権利です。
本来、自己破産や個人再生裁判所を通した手続きの場合はすべての債権者は平等に扱われますが、別除権を持っている債権者は優先的に権利を行使することができるのです。
別除権には次の3つがあります。
- 先取特権
- 質権
- 抵当権
別除権に似た効果があるものとして、
- 所有権留保
があります。
別除権が行使された場合には、担保にしていた財産を失うことになります。
別除権をもつ債権者は、債務整理とは関係なく権利を行使できる仕組みになっています。
ただし、別除権を回避するための対処法もあります。
この記事では、裁判所を通舌手続きの際に行使される別除権について、詳しく解説していきます。
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目次
別除権とは?
「別除権(べつじょけん)」とは、債権者が破産財団や、再生債務者に属する特定の財産を、ほかの債権者に優先して、個別に債権を取り立てすることができたり、回収や弁済を受けたりすることができる権利のことです 。
本来、債務者が自己破産や個人再生など裁判所を通した手続きを行った場合は、すべての債権者は平等に扱われますが、別除権を持っている債権者は優先的に権利を行使することができるのです。
たとえば住宅に抵当権が設定されている場合、債権者は破産手続が開始されていても自由に抵当権を実行でき、それにより得た金銭を優先的に得る債権に充てることができるようになります。
これは、破産法という法律で決められています。
破産法2条9項
この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第六十五条第一項の規定により行使することができる権利をいう。
破産法65条1項
別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。

破産財団とは、破産者の財産または相続財産もしくは信託財産のことであり、破産手続きにおいて破産管財人に、その管理および処分する権利が専属するもののことをいいます。
自己破産については以下の記事で詳しく解説しています。
別除権の対象となる権利にはいろいろな種類がある
別除権の対象となる権利には、次の3つがあります。
- 先取特権
- 質権
- 抵当権
また別除権に似た効果があるものとして
- 所有権留保
もあります。
それぞれどのような権利なのか、解説します。
先取特権
「先取特権(さきどりとっけん)」とは、その名の通り、他の債権者よりも先に(優先して)債務者の財産から弁済を受けることができる権利のことをいいます。
この権利があると、たとえ債務者との合意がなくても債務者の一定の財産から、債権を回収することができます。
先取特権には次の4つがあります。
- 一般先取特権
共有の財産などの管理によって生じた共益費・給与など雇用関係の費用・葬儀に関する費用・日用品の購入に関する費用について生じるについて生じる先取特権のことです。 - 動産先取特権
動産の売買などで生じた費用の先取特権のことです。 - 不動産先取特権
不動産を保存・工事・売買するときにかかった費用について生じる先取特権のことです。 - マンション管理費の先取特権
滞納中のマンション管理費について生じる先取請求権のことです。
抵当権
「抵当権」は、不動産に広く使われている権利です。
不動産以外にも自動車・船・漁業権など、登記や登録制度があるものには、抵当権を設定することができます。
また質権とは違い、抵当権の対象となったものを債務者が占有し、使用収益することもできるようになっています。
具体的には住宅に抵当権がついている場合、住宅ローンの返済が滞った場合には、債権者は抵当権の設定されている住宅を競売にかけて債権を回収することができます。
質権
質権とは、債権者が債務者から担保を受け取って保管しておき、いざというときには、保管しておいた担保の品物を売却して、優先的に弁済が受けられる権利です。
まさに質屋と同じような意味あいです。
具体的には、債権者が債務者へお金を貸す際に、担保として高価な絵画を受け取った場合、債権者はそれを保管しておきます。
その後、債務者が借りたお金を完済したときには、それと引き換えに保管していた絵画を返却します。しかし債務者が返済できなくなったときには、債権者は絵画を売却するなどして、弁済を受けます。
所有権留保
「所有権留保」は、厳密には別除権には含まれませんが、別除権と似た効果があります。おもに自動車ローンでよく使われます。
たとえば、自動車をローンを組んで購入した場合、自動車の所有権者はカーディーラーなどのローン債権者となります。ローンが完済されると、そこで初めて購入者が自動車の所有権者となることができます。客観的には購入者が自動車を自らの所有物のように利用しているにもかかわらず、実際の所有権が売主側に留まっているため、所有権留保と呼ばれます。
もちろん、購入者がローンの返済ができなくなった場合は、所有権者は自動車を回収・売却して、債権を回収します。
別除権を行使されるとどうなる
別除権を持つ債権者は、裁判所上の手続きとは関係なく権利を行使することができます。
たとえば、住宅の抵当権を有している債権者は、自己破産した債務者から優先的に(破産手続きとは別に)抵当権を行使して競売することができます。
また別除権ではありませんが、似た効果のある所有権留保のついた自動車は、債権者である自動車ディーラーやローン会社に、自分が乗っている自動車を回収されてしまいます。
つまり、別除権を行使されてしまったときには、担保にしていた財産を失うことになってしまうのです。
別除権を回避するには「別除権協定」を結ぶ
個人再生などの民事再生のときには「別除権協定」を行うことで、別除権の行使を回避できる可能性があります。
個人再生の場合は、再生債務者が別除権を有する債権者(別除権者)に対して、相当額を支払うことを約束し、かわりに別除権者が別除権を行使しないという合意を取り付けることがあります。これを「別除権協定」といいます。
別除権協定を結ぶには、以下の条件が必要になります。
- 別除権を有する債権者(別除権者)との合意が必要
返済方法や返済期間や利息などについて、債権者と取り決めします。相手との交渉になるため、必ずしも合意できるわけではないでしょう。 - 裁判所の許可が必要
別除権協定を結ぶためには裁判所の許可が必要です。個人再生の場合、借金が1/5~1/10ほどになるのが一般的です。しかし、別除権協定が結ばれることで、場合によっては、別除権者が別除権行使の場合よりも多くの債権を優先的に回収できることもあるため、ほかの債権者を害する内容にもなりえます。
そのため別除権協定が認められるのは、対象となる財産を残す必要性が極めて高い場合(生計を立てるための仕事に必要不可欠な場合など)に限定されており、裁判所から許可を得ることは簡単ではありません。
個人再生については以下の記事で詳しく解説しています。
別除権を回避するなら弁護士に相談
ここまで述べてきたように、破産・個人再生など、裁判所を通した手続きを行うとき、債権者から別除権を行使されてしまうと財産を失うことになります。
このような事態を避けるためには、債権者にはどのような権利があるのかを知ることが必要です。そのなかでも、別除権を行使される恐れがあるのか、別除権協定を結べないかなどは気になるところです。別除権や協定について知りたい・実行したいときには、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士に相談・依頼すれば、債務整理に関することはお任せできるため安心ですし、面倒な手続きや交渉などから解放されます。
無料で相談を受けている弁護士事務所もあります。債務整理のことで悩んでいるなら、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
別除権には、先取特権、質権、抵当権の3つがあります。
また別除権と似た効果があるものとして、所有権留保があります。
いずれの権利も債務整理手続きの種類にかかわらず、債権者は権利を行使でき、権利が行使されてしまうと、財産を失うことになってしまいます。別除権協定を債権者と結ぶことができれば、別除権の行使を回避することは可能です。
ただし、債務者にとっては便利な協定ではあるものの、結ぶためには債権者の同意と裁判所からの許可が必要になり簡単ではありません。
債務整理を検討中で別除権について詳しく知りたい、別除権の行使を回避したいという場合は、弁護士事務所へ相談してみましょう。
弁護士法人・響は法律相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
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